福澤全集

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福澤全集』(ふくざわぜんしゅう)は福澤諭吉の作品の全集。4種類の『福澤全集』が発行されている。

  1. 明治版『福澤全集』全5巻
  2. 大正版『福澤全集』全10巻
  3. 昭和版『続福澤全集』全7巻
  4. 現行版『福澤諭吉全集』(初版は全21巻、再版は全22巻)

内容[編集]

明治版『福澤全集』[編集]

1898年(明治31年)に発行されたもの。福澤諭吉自身によって編纂された。全5巻。時事新報社刊。第1巻の最初に主要な作品を解説した『福澤全集緒言』を収録し、それ以後は年代順に作品を配列している。なお、『日本婦人論』は『時事新報』に掲載された後、単行本化されなかったが、明治版全集の第5巻に収録された[1]。全集発行前後に発表された作品(『福翁百話』、『福翁自伝』、『修業立志編』など)は含まれていない。国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できる[2]

第1巻(1898年(明治31年)1月1日[3][4]
福澤全集緒言華英通語西洋事情雷銃操法西洋旅案内
第2巻(1898年(明治31年)2月5日[5][6]
条約十一国記西洋衣食住窮理図解洋兵明鑑掌中万国一覧清英交際始末英国議事院談世界国尽啓蒙手習之文学問のすゝめ童蒙教草かたわ娘改暦弁
第3巻(1898年(明治31年)3月5日[5][7]
帳合之法第一文字之教第二文字之教文字之教附録会議弁文明論之概略学者安心論分権論
第4巻(1898年(明治31年)4月8日[5][8]
民間経済録福澤文集通貨論通俗民権論通俗国権論民情一新時事小言時事大勢論
第5巻(1898年(明治31年)5月13日[5][9]
帝室論徳育如何兵論学問の独立全国徴兵論通俗外交論日本婦人論日本婦人論後編品行論士人処世論男女交際論日本男子論尊王論国会の前途国会難局の由来治安小言地租論実業論

大正版『福澤全集』[編集]

1925年(大正14年)から1926年(大正15年)に発行されたもの。石河幹明によって編纂された。全10巻。国民図書刊。第1巻から第6巻の途中までを明治版と同じ構成で収録、さらに明治版に収録されなかった作品(主に『実業論』より後に発行された作品)を収録した。さらに、第8巻から第10巻に『時事新報』掲載の社説や漫言などを「時事論集」として収録した。なお、『旧藩情』は『時事新報』に掲載された後、単行本化されなかったが、大正版全集の第6巻に収録された。また、『国会論』は1879年(明治12年)に『郵便報知新聞』紙上に藤田茂吉箕浦勝人の名義で掲載されて単行本化されたもので、明治版全集の発行時には福澤が執筆したものとは公表されていなかったため、明治版全集には収録されず、大正版全集の第8巻に「時事論集」の一つとして初めて収録された[10]国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できる[11]

第1巻(1926年(大正15年)9月30日[12]
福澤全集緒言華英通語西洋事情
第2巻(1926年(大正15年)5月31日[13]
雷銃操法西洋旅案内条約十一国記西洋衣食住訓蒙窮理図解洋兵明鑑掌中万国一覧清英交際始末英国議事院談世界国尽啓蒙手習之文
第3巻(1926年(大正15年)4月28日[14]
学問のすゝめ童蒙教草寓言かたわ娘改暦弁帳合之法文字之教文字之教附録手紙之文会議弁
第4巻(1925年(大正14年)12月24日[15]
文明論之概略学者安心論分権論民間経済録福澤文集
第5巻(1926年(大正15年)4月1日[16]
通貨論通俗民権論通俗国権論民情一新時事小言時事大勢論帝室論徳育如何兵論学問之独立全国徴兵論通俗外交論
第6巻(1926年(大正15年)1月28日[17]
日本婦人論日本婦人論後編品行論士人処世論男女交際論日本男子論尊王論国会の前途国会難局の由来治安小言地租論実業論明治十年丁丑公論瘠我慢の説女大学評論新女大学福澤先生浮世談旧藩情
第7巻(1926年(大正15年)2月20日[18]
福翁百話福翁百余話福翁自伝
第8巻(1926年(大正15年)6月30日[19]
時事論集 第1巻:政治篇、外交篇、軍事篇
第9巻(1926年(大正15年)7月31日[20]
時事論集 第2巻:経済篇、教育篇、道徳篇、品行篇、宗教篇、教訓篇
第10巻(1926年(大正15年)8月31日[21]
時事論集 第3巻:学術篇、処世篇、社会篇、雑説篇、漫言

昭和版『続福澤全集』[編集]

1933年(昭和8年)から1934年(昭和9年)に発行されたもの。石河幹明によって編纂された。全7巻。岩波書店刊。大正版から洩れていた「時事論集」と書翰集、諸文集からなる。そのため、大正版と重複する作品は収録されていない。第2巻に『時事新報』掲載の無署名社説である「脱亜論」が初めて収録された[22]国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧できる[23]

第1巻(1933年(昭和8年)5月20日[24]
時事論集 第1巻:明治15年篇、明治16年篇、明治17年篇
第2巻(1933年(昭和8年)7月20日[25]
時事論集 第2巻:明治18年篇、明治19年篇、明治20年篇、明治21年篇、明治22年篇
第3巻(1933年(昭和8年)8月30日[26]
時事論集 第3巻:明治23年篇、明治24年篇、明治25年篇、明治26年篇
第4巻(1933年(昭和8年)12月30日[27]
時事論集 第4巻:明治27年篇、明治28年篇、明治29年篇
第5巻(1934年(昭和9年)4月30日[28]
時事論集 第5巻:明治30年篇、明治31年篇、先生病後篇、附記
第6巻(1933年(昭和8年)10月30日[29]
書翰集
第7巻(1934年(昭和9年)7月5日[30]
諸文集

編者の石河は第5巻737頁の附記[31]に次のように記している[32]

  1. 石河幹明は1885年(明治18年)に時事新報社に入社した。
  2. 1887年(明治20年)頃から社説の執筆を執筆するようになった。
  3. 1891年(明治24年)-1892年(明治25年)頃から主として石河が社説を執筆した。
  4. 福澤の晩年には石河が殆んど全ての社説を執筆するようになった。
  5. 先生病後篇に収録した1898年(明治31年)9月に福澤が脳卒中で倒れた後の社説78篇は全て石河が執筆した。

さらに附記の後に、福澤没後約10年後に石河が執筆した大逆事件関係の社説10篇を収録している[33]

現行版『福澤諭吉全集』[編集]

初版は1958年(昭和33年)から1964年(昭和39年)に発行された。富田正文土橋俊一によって編纂された。全21巻。岩波書店刊。再版は1969年(昭和44年)から1971年(昭和46年)に発行され、初版出版以後に発見された作品をまとめて第22番目の別巻として追加された。全22巻。大正版と昭和版を合わせて、さらに洩れていた作品(第2巻収録の『兵士懐中便覧』、第3巻収録の『日本地図草紙』など)を集めたものである。なお、『国会論』は大正版全集では「時事論集」の一つとして収録されていたが、現行版全集では単行本の一つとして第5巻に収録された。その結果、現行版全集の第8巻から第16巻を占める「時事論集」収録の論説は全て『時事新報』に掲載されたもののみになったため、「時事論集」は「時事新報論集」に改名されることになった。

第1巻(1958年(昭和33年)12月1日初版、1969年(昭和44年)10月13日再版)[34]
福澤全集緒言増訂華英通語西洋事情(初編)(外編)(二編)
第2巻(1959年(昭和34年)2月1日初版、1969年(昭和44年)11月13日再版)[35]
雷銃操法西洋旅案内条約十一国記西洋衣食住兵士懐中便覧訓蒙窮理図解洋兵明鑑掌中万国一覧英国議事院談清英交際始末世界国尽
第3巻(1959年(昭和34年)4月1日初版、1969年(昭和44年)12月13日再版)[36]
啓蒙手習之文学問のすゝめ童蒙教草かたわ娘改暦弁帳合之法日本地図草紙文字之教会議弁
第4巻(1959年(昭和34年)6月1日初版、1970年(昭和45年)1月13日再版)[37]
文明論之概略学者安心論分権論民間経済録福澤文集通貨論通俗民権論通俗国権論
第5巻(1959年(昭和34年)8月1日初版、1970年(昭和45年)2月13日再版)[38]
民情一新国会論時事小言時事大勢論帝室論兵論徳育如何学問之独立全国徴兵論通俗外交論日本婦人論日本婦人論後編士人処世論品行論男女交際論日本男子論
第6巻(1959年(昭和34年)10月1日初版、1970年(昭和45年)3月13日再版)[39]
尊王論国会の前途国会難局の由来治安小言地祖論実業論福翁百話福翁百余話福澤先生浮世談女大学評論新女大学明治十年丁丑公論瘠我慢の説
第7巻(1959年(昭和34年)12月1日初版、1970年(昭和45年)4月13日再版)[40]
福翁自伝旧藩情ペル築城書、外国諸書翻訳草稿、海岸防禦論、幕末英学新聞訳稿、窮理全書訳稿、覚書
第8巻(1960年(昭和35年)2月1日初版、1970年(昭和45年)5月13日再版)[41]
時事新報論集 第1(1882年(明治15年)3月-1883年(明治16年)5月)
第9巻(1960年(昭和35年)4月1日初版、1970年(昭和45年)6月13日再版)[42]
時事新報論集 第2(1883年(明治16年)6月-12月)
第10巻(1960年(昭和35年)6月1日初版、1970年(昭和45年)7月13日再版)[43]
時事新報論集 第3(1884年(明治17年)8月-1886年(明治19年)3月)
第11巻(1960年(昭和35年)8月1日初版、1970年(昭和45年)8月13日再版)[44]
時事新報論集 第4(1886年(明治19年)4月-1888年(明治21年)12月)
第12巻(1960年(昭和35年)10月1日初版、1970年(昭和45年)9月14日再版)[45]
時事新報論集 第5(1889年(明治22年)1月-1891年(明治24年)2月)
第13巻(1960年(昭和35年)12月1日初版、1970年(昭和45年)10月13日再版)[46]
時事新報論集 第6(1891年(明治24年)3月-1893年(明治26年)2月)
第14巻(1961年(昭和36年)2月1日初版、1970年(昭和45年)11月13日再版)[47]
時事新報論集 第7(1893年(明治26年)3月-1894年(明治27年)12月)
第15巻(1961年(昭和36年)4月1日初版、1970年(昭和45年)12月14日再版)[48]
時事新報論集 第8(1895年(明治28年)1月-1897年(明治30年)5月)
第16巻(1961年(昭和36年)6月1日初版、1971年(昭和46年)1月13日再版)[49]
時事新報論集 第9(1897年(明治30年)6月-1901年(明治34年)11月)
第17巻(1961年(昭和36年)11月30日初版、1971年(昭和46年)2月13日再版)[50]
書翰集 第1(安政6年(1859年)-1885年(明治18年))
第18巻(1962年(昭和37年)5月10日初版、1971年(昭和46年)3月13日再版)[51]
書翰集 第2(1886年(明治19年)-1900年(明治33年)、年月未詳、補遺)
第19巻(1962年(昭和37年)11月5日初版、1971年(昭和46年)4月13日再版)[52]
諸文集 第1 内外旅行記録、著訳書関係文書並びに遺稿類、備忘録、慶應義塾関係文書、偽版取締関係文書、長沼事件に関する願書案文、民間雑誌、明六雑誌、家庭叢談、再刊「民間雑誌」、交詢雑誌、演説、序文跋文、碑文弔詞、広告文
第20巻(1963年(昭和38年)6月5日初版、1971年(昭和46年)5月13日再版)[53]
諸文集 第2 雑纂、詩・歌・語、幕末外交文書訳稿
第21巻(1964年(昭和39年)2月20日初版、1971年(昭和46年)6月30日再版)[54]
福澤家金銭関係諸記録、時事新報金銭関係諸記録、参考資料、補遺、書翰集補遺、福澤諭吉年譜、総索引
別巻(1971年(昭和46年)12月24日初版)
時事新報論集拾遺、書翰集拾遺、諸文集拾遺、福澤家金銭関係記録拾遺、参考資料、福澤諭吉年譜(追加)、総索引拾遺

第16巻には、福澤諭吉が1901年(明治34年)2月3日に亡くなってから後に掲載された社説が6篇収録されている。これらは『時事新報』主筆の石河幹明が執筆したものである[55]

脚注[編集]

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  1. ^ 日本婦人論』を書き直した『日本婦人論後編』のみが単行本化された。西澤直子「日本婦人論後編(にほんふじんろんこうへん)」、福澤諭吉事典(2010)、651-652頁。
  2. ^ 福澤全集 / 福澤諭吉著、時事新報社、1898年(明治31年)』 - 国立国会図書館
  3. ^ 福澤諭吉事典(2010)、1069頁。
  4. ^ NDLJP:898727
  5. ^ a b c d 福澤諭吉事典(2010)、1070頁。
  6. ^ NDLJP:898728
  7. ^ NDLJP:898729
  8. ^ NDLJP:898730
  9. ^ NDLJP:898731
  10. ^ 寺崎修「国会論(こっかいろん)」、福澤諭吉事典(2010)、643-644頁。
  11. ^ 福沢全集 / 福沢諭吉著、国民図書、1926年(大正14年) - 1927年(大正15年)』 - 国立国会図書館
  12. ^ NDLJP:979051
  13. ^ NDLJP:979052
  14. ^ NDLJP:979053
  15. ^ NDLJP:979054
  16. ^ NDLJP:979055
  17. ^ NDLJP:979056
  18. ^ NDLJP:979057
  19. ^ NDLJP:979058
  20. ^ NDLJP:979059
  21. ^ NDLJP:979060
  22. ^ 福澤諭吉 「脱亞論」『續福澤全集』第2巻、石河幹明編、岩波書店、1933年7月20日、40-42頁。NDLJP:1078022/38
  23. ^ 福沢全集 続 / 福沢諭吉著、岩波書店、1933年(昭和8年) - 1934年(昭和9年)』 - 国立国会図書館
  24. ^ NDLJP:1078000
  25. ^ NDLJP:1078022
  26. ^ NDLJP:1078042
  27. ^ NDLJP:1078065
  28. ^ NDLJP:1078087
  29. ^ NDLJP:1078112
  30. ^ NDLJP:1078138
  31. ^ 昭和版『続福沢全集』「附記」
  32. ^ 平山 (2004)、75-76頁。
  33. ^ 石河幹明の仕事:『時事新報』から
  34. ^ NDLJP:2941643
  35. ^ NDLJP:3002770
  36. ^ NDLJP:3002771
  37. ^ NDLJP:2941644
  38. ^ NDLJP:2941645
  39. ^ NDLJP:2941646
  40. ^ NDLJP:3002772
  41. ^ NDLJP:2941647
  42. ^ NDLJP:2941648
  43. ^ NDLJP:2941649
  44. ^ NDLJP:2941874
  45. ^ NDLJP:2941875
  46. ^ NDLJP:2941876
  47. ^ NDLJP:2941877
  48. ^ NDLJP:2941878
  49. ^ NDLJP:2941879
  50. ^ NDLJP:2941593
  51. ^ NDLJP:2982313
  52. ^ NDLJP:2965463
  53. ^ NDLJP:3002773
  54. ^ NDLJP:2941594
  55. ^ 福澤 (1971)、699頁。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]