玉姫様

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玉姫様
戸川純スタジオ・アルバム
リリース
ジャンル ニューウェイヴ
レーベル アルファレコード / ¥EN
プロデュース
  • 戸川純
  • 飯尾芳史
チャート最高順位
戸川純 アルバム 年表
改造への躍動
ゲルニカ
1982年
玉姫様
1984年
裏玉姫
戸川純とヤプーズ
1984年
ミュージックビデオ
「森の人々」 - YouTube
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玉姫様』(たまひめさま)は、戸川純のソロ名義での1枚目のオリジナル・アルバム1984年1月25日アルファレコードの¥ENレーベルより発売された。

概要[編集]

デビュー作のゲルニカ改造への躍動』、オムニバス『WE WISH YOU A MERRY CHRISTMAS』を挟んで発売された1st ソロアルバム。

本作収録曲の「玉姫様」で『夜のヒットスタジオ』(1984年02月06日)に初出演した。

2006年にはSony Music Directより本作を含むアルファレコード時代の戸川純関連アルバム9作(上野耕路戸川京子作品含む)がデジタルリマスタリングされた音源に帯、レコードレーベル、歌詞カード等が再現された紙ジャケット仕様で復刻された。なおジャケットはオリジナル・レコード盤ではE式であったが、この紙ジャケット盤ではA式になり、オリジナルを再現していない。また同時に戸川純関連映像作品2作もDVDで復刻された。ジャケット写真はガラスに焼き付けたものを撮影した[1]

収録曲[編集]

  1. 怒涛の恋愛
    • 作詞:戸川純/作曲:比賀江隆男/編曲:比賀江隆男
    詞先で作られた[2]
    サウンドのテープが伸びているような音は、比賀江隆男のオープンリールが使われている[2]
    オムニバス「YEN卒業記念アルバム」には吉川洋一郎編曲による別ヴァージョンが収録されている。
    高見知佳に提供した『怒涛の恋愛』(作詞:戸川純/作曲:矢野顕子)は別曲であり、戸川が新たに詞を書き下ろしている。
  2. 諦念プシガンガ
    アンデス民謡『EL BORRACHITO』に歌詞を付けたもの。
    歌詞は1〜2分で書いた[3]
    「プシガンガ」とは「円座してお酒を飲んで歌い踊る」という意味[4]
    「一塊の肉塊なり」という歌詞があるが、元々は「一介」だったのを、レコード会社に勝手に書き換えられた[4]
  3. 昆虫軍
    ハルメンズ『昆虫群』のカヴァー
  4. 憂悶の戯画
    コールユーブンゲン『No.26のC』に歌詞を付けたもの。戸川は幼少時代に劇団ひまわりの声楽の練習でこの曲を習った[5]
    タイトルの「憂悶」は山本舜勝『三島由紀夫・憂悶の祖国防衛賦』からの引用[5]
  5. 隣の印度人
    • 作詞:佐伯健三/作曲:比賀江隆男/編曲:比賀江隆男・立川芳雄
  6. 玉姫様
    タイトルはソロデビュー前から温めていた。タクシーで見た「玉姫殿」の広告をヒントに、「殿」を「様」に変えたもの[6]
    詞先で作られた[6]
    六感は…」という歌詞があるが、元々は「第六感は…」だった。デモテープを聴いたところ変えられていたが、作曲者に敬意を示す意味でそのままにした[6]。「六感」と言いつつも「見えない」「聞こえない」という矛盾した歌詞になっているのはそのためである[6]
  7. 森の人々
    • 作詞:佐伯健三/作曲:比賀江隆男/編曲:比賀江隆男・立川芳雄
  8. 踊れない
    • 作詞:泉水敏郎/作曲:泉水敏郎/編曲:比賀江隆男・立川芳雄
    8 1/2の同名曲のカヴァー
  9. 蛹化の女
    • 作詞:戸川純/作曲:Pachelbel/編曲:国本佳宏
    ヨハン・パッヘルベルカノン』に歌詞を付けたもの。戸川は以前から『カノン』に歌詞を付けて歌いたいと思っていた[7]
    歌詞は1〜2分で書いた[1]
    当初歌詞にはカブトムシが出ていたが、曲に字数が合わないのでセミに変更した[7]

クレジット[編集]

参加ミュージシャン[編集]

  • 戸川純:マンドリン(Tr.1)
  • 泉水敏郎:ドラム(Tr.3,5,8)
  • 石原智宏:ベース(Tr.3,5,7)
  • 比賀江隆男:ギター(Tr.3,5,8)、キーボード(Tr.3,5,8)、足踏みオルガン(Tr.1)
  • 立川芳雄:キーボード(Tr.3,5,7,8)、シモンズ(Tr.8)
  • 里美智子:キーボード(Tr.5)
  • 福岡豊:パーカッション(Tr.2)、ギター(Tr.2)、コーラス(Tr.2)、コーラスアレンジメント(Tr.3)
  • 岡野一:ベース(Tr.2)、メロトロン(Tr.2)、パーカッション(Tr.2)、コーラス(Tr.2)
  • 松崎泰資:ギター(Tr.2)、コーラス(Tr.2)
  • 大西和久:コーラス(Tr.2)
  • 矢壁カメオ:パーカッション(Tr.2)、コーラス(Tr.2)
  • 細野晴臣:コーラス(Tr.5)
  • 日向敏文:ピアノ(Tr.7)
  • 内田健太郎:ベース(Tr.8)
  • 多ストリングス:ストリングス(Tr.9)
  • 国本佳宏:シンセサイザー(Tr.4,6)、イミュレーター(Tr.4)、指揮(Tr.9)
  • 飯尾芳史:キーボード(Tr.3,5)、MC4プログラム(Tr.3,5,7)、ドラム(Tr.6)シモンズ(Tr.7)

発売形態[編集]

形態 発売日 品番 発売元 備考
LP 1984年01月25日 YLR-28014 アルファレコード/¥EN
販売元:ワーナー・パイオニア
オリジナル発売日
CT 1984年03月25日 YLC-28014
CD 1984年09月25日 38XA-22 【初CD化】 定価¥3,800
1987年03月25日 32XA-149 アルファレコード
販売元:ワーナー・パイオニア→日本コロムビア(1991年以降)
【CD再発】
1993年08月21日 ALCA-512 アルファレコード
販売元:日本コロムビア
1994年12月21日 ALCA-9125 アルファミュージック
販売元:東芝EMI
1996年12月18日 ALCA-5126 【CD BOX】18枚組BOX SET『YEN Box Vol.2』のDisc.04として。単独発売なし。1996年リマスタリング/紙ジャケット仕様(E式を再現、帯は未付属)
2006年02月22日 MHCL-712 Sony Music Direct 【CD再発】 ※完全限定生産盤
2006年デジタルリマスタリング/紙ジャケット仕様(E式を再現していない)
2008年03月12日 MHCL-712
(2006年盤と同一型番)
【CD再発】 ※アンコールプレス(2006年紙ジャケの再生産盤)
品番、発売日クレジットは2006年盤と同じ、未開封のビニールに「アンコールプレス」シール貼付。
Blu-spec CD 2011年05月11日 MHCL-20132 【CD再発】 ※2006年盤をBlu-spec CD化。完全限定生産盤
2006年デジタルリマスタリング/紙ジャケット仕様(E式を再現していない)
Blu-spec CD2 2016年12月21日 MHCL-30426 【CD再発】2016年デジタルリマスタリング。

音楽配信[編集]

ダウンロード販売で、音楽配信されている。

形態 発売日 配信サイト 発売元 備考
配信 2014年02月06日 iTunesmora他。 Sony Music Direct 2006年デジタルリマスタリング。
2016年12月21日 2016年デジタルリマスタリング。
ハイレゾ配信 mora他。 【初ハイレゾ音源化】
2016年デジタルリマスタリング。

脚注[編集]

  1. ^ a b 戸川純 2016, p. 8.
  2. ^ a b 戸川純 2016, p. 23.
  3. ^ 戸川純 2016, p. 14.
  4. ^ a b 戸川純 2016, p. 16.
  5. ^ a b 戸川純 2016, p. 25.
  6. ^ a b c d 戸川純 2016, p. 21.
  7. ^ a b 戸川純 2016, p. 9.

参考文献[編集]

  • 戸川純『戸川純全歌詞解説集 疾風怒濤ときどき晴れ』Pヴァイン、2016年。ISBN 978-4-907276-66-9 

関連項目[編集]