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{{単位
{{単位
|名称=メートル
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|画像=[[Image:Platinum-Iridium meter bar.jpg|250px]]<br/>メートル原器(1889 - 1960年)
|英字={{lang|fr|mètre}}, {{lang|en|metre}}, {{lang|en|meter}}
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}}
}}
'''メートル'''({{lang-fr-short|mètre}}、米、記号'''m''')は、[[国際単位系]] (SI) および[[MKS単位系]]<ref>{{cite web|url=http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~miyagawa/misc/physics/MKS_units.pdf|format=PDF |title=MKS単位系について|author=宮川勇人|publisher=[[香川大学]]工学部材料創造工学科|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>における[[長さ]]の[[物理単位]]である。他の[[量]]とは関係せず完全に独立して与えられる7つの[[SI基本単位]]の一つである<ref name=Ube-k>{{cite web|url=http://www.ube-k.ac.jp/~oki/class/IE/pre/sec1_note.pdf|format=PDF|title=計測工学 ‐第1回(測定と単位系)‐p.p.1-2‐平成20年4月10日|author=沖俊任|publisher=[[宇部工業高等専門学校]]|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。なお、[[CGS単位系]]ではセンチメートル (cm) が基本単位となる<ref name="BIPM21">{{cite web|title=Official BIPM definition|url=http://www.bipm.org/en/si/si_brochure/chapter2/2-1/second.html|publisher=BIPM|accessdate=2010-11-13}}</ref><ref>{{cite web|url=http://dprpcf.hyd.eng.hokudai.ac.jp/gaku/EBooks/Hydraulics/PdfFile/Ch01a1.pdf|format=PDF |title=独修『水理学』、長谷川和義監修/田中岳著|chapter=第1章 単位と次元 目標:SI単位系・工学単位系の違いを理解する|author=田中岳|publisher=[[北海道大学]]大学院工学研究科環境資源工学・水圏工学|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。
'''メートル'''({{lang-fr-short|mètre}}, 記号'''m''')は、[[国際単位系]](SI)における[[長さ]]の[[物理単位|単位]]である。[[SI基本単位]]の一つである。日本語では、原語であるフランス語読みの'''メートル'''の他に、英語({{lang-en-gb-short|metre}}, {{lang-en-us-short|meter}} {{IPA|ˈmiːtə(r)}})から'''メーター'''と言うこともあり、漢字で「'''米'''」と書かれることもある。


メートル(metre)という名称は、「ものさし」または「測ること」を意味する{{lang-el-short|μέτρον}}(''metron'')に由来し、メーター(meter)などと同じ語源である<ref name=Hiroshima2 />。[[日本語]]では、原語である[[フランス語]]読みの'''メートル'''の他に、英語({{lang-en-gb-short|metre}}, {{lang-en-us-short|meter}} {{IPA|ˈmiːtə(r)}})から'''メーター'''と言うこともあり、[[漢字]]では「'''米'''」と書かれる<ref>{{cite web|url=http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&p=%E3%83%A1%E3%83%BC&dtype=0&dname=0na&stype=0&index=22056318066000&pagenum=31 |title=メートル【(フランス)mètre】【米】|author=[[大辞泉]]|publisher=Yahoo!辞書|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。
1メートルは、現在は1秒の299 792 458分の1の[[時間]](約3億分の1秒)に[[光]]が[[真空]]中を伝わる[[距離]]として[[定義]]されている。言い換えると、1[[光秒]]の299 792 458分の1である。


元々は、[[地球]]の[[赤道]]と[[北極点]]の間の[[海抜]][[ゼロ]]における[[距離]]を1/10000000した長さを意図し、度量衡学[[:en:metrology|(en)]]の[[技術]]発展を反映して何度か更新された。1983年に基準が見直され、現在は1[[秒]]の299,792,458分の1の[[時間]](約3億分の1秒)に[[光]]が[[真空]]中を伝わる[[距離]]として[[定義]]されている<ref name="Res1">{{cite web|url=http://www.bipm.org/en/CGPM/db/17/1/ |author=|title= Resolution 1. of the 17th meeting of the CGPM (1983) 、第17回[[国際度量衡総会]]決議1|publisher=[[国際度量衡局]] (International Bureau of Weights and Measures, BIPM) |year=1983|language=英語|accessdate=2010-11-15}}</ref>。言い換えると、1[[光秒]]の299 792 458分の1である。
メートル(metre)という名称は、「ものさし」を意味する{{lang-el-short|μέτρον}}(''metron'')に由来し、メーター(meter)などと同一語源である。


== 定義 ==
[[デシメートル]]≪'''メートル''' ≪ [[デカメートル]]
現在の「メートル」は、以下のように定義される。
{{Quotation|The metre is the length of the path travelled by light in vacuum during a time interval of 1/299,792,458 of a second.<ref name="Res1" /></br>
==倍量・分量単位 ==
訳:メートルとは、光が真空中を1/299,792,458秒に進む距離である<ref name=Niigata />。|第17回国際度量衡総会決議1、1983年}}
国際単位系の接頭辞と組み合わせて、メートルから派生する多くの単位が使用されている。よく使われているのは次のような単位である。


== 歴史 ==
* km = [[キロメートル]] = [[1 E3 m|1,000 メートル]]
=== 名称===
* cm = [[センチメートル]] = [[1 E-2 m|1/100 メートル]]
長さの少数単位の提案は、記録された中では1668年に[[イギリス]]の[[哲学者]]ジョン・ウィルキンス[[:en:John Wilkins|(en)]]が著作『[[真性の文字と哲学的言語にむけての試論]]』提唱した普遍的測定単位 (universal measure) に見られる<ref name=Wilk1>{{cite web|url= http://www.metricationmatters.com/docs/WilkinsTranslationLong.pdf |format=PDF |title= An Essay towards a Real Character and a Philosophical Language (Reproduction)/[[真性の文字と哲学的言語にむけての試論]] |author=ジョン・ウィルキンス|year=1668 |publisher= |language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref><ref name=Wilk2>{{cite web|url= http://www.metricationmatters.com/docs/WilkinsTranslationShort.pdf |format=PDF |title= An Essay towards a Real Character and a Philosophical Language (Transcription)/真性の文字と哲学的言語にむけての試論|author=ジョン・ウィルキンス|year=1668 |publisher= |language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。1675年には[[イタリア]]の[[科学者]]ティト・リビオ・ブラッティーニ[[:en:Tito Livio Burattini|(en)]]が著作『Misura Universale』の中で、[[ギリシア語]]の「{{lang|el|μέτρονκαθολικόν}} (métron katholikón) 」から普遍的測定単位を「metro cattolico (metre catholic)」と書き表した。これが1797年にフランス語に伝わり「mètre」となり、次いで英語の「meter」となった<ref>{{cite web|url= http://www.merriam-webster.com/dictionary/meter |title= meter. (2009) |author=|year=2009 |publisher= Merriam-Webster Online Dictionary |language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref>
* mm = [[ミリメートル]] = [[1 E-3 m|1/1,000 メートル]]
* &micro;m = [[マイクロメートル]] = [[1 E-6 m|10<sup>-6</sup> メートル]] -- 以前は通称のミクロンも正式名称だったが廃止された
* nm = [[ナノメートル]] = [[1 E-9 m|10<sup>&minus;9</sup> メートル]]
* pm = [[ピコメートル]] = [[1 E-12 m|10<sup>&minus;12</sup> メートル]]
* fm = [[フェムトメートル]] = [[1 E-15 m|10<sup>&minus;15</sup> メートル]] -- フェルミまたはユカワの別名があった
* am = [[アトメートル]] = [[1 E-18 m|10<sup>&minus;18</sup> メートル]]
* zm = [[ゼプトメートル]] = [[1 E-21 m|10<sup>&minus;21</sup> メートル]]
* ym = [[ヨクトメートル]] = [[1 E-24 m|10<sup>&minus;24</sup> メートル]]


1668年ウィルキンスは、[[クリストファー・レン]]が提案した[[クリスティアーン・ホイヘンス]]が観察した1/2[[秒]]の間隔を刻む時の[[振り子]]の長さを標準長とする案を受け入れた。その長さは38ラインランド・インチおよび39.25イギリス・インチ (997mm) に相当した<ref name=Wilk1/><ref name=Wilk2/>。
倍量単位については、定義上は[[メガ]]メートル(Mm)、[[ギガ]]メートル(Gm)などもありうるが、[[天文学]]で扱われる大きな長さについては[[天文単位]]、[[光年]]、[[パーセク]]などの慣用の単位が使用されたり、[[指数]]表記されたりすることが多い。


[[Image:Dunkerque Belfort.JPG|thumb|right|200px|[[ダンケルク]]の[[鐘楼]]。ドランブルが行った測定の北限。]]
分量単位では、[[フェムトメートル]] (fm) が[[原子核]]サイズであり、それより小さいものでは[[プランク長]] (~ 10{{sup|&minus;35}} m) オーダーまで表すべき長さがほとんど存在しないため、fm 未満はほとんど使われない。
[[Image:Monjuic's castle in Barcelona.jpg|thumb|200px|[[バルセロナ]]の[[要塞]]。メシャンが行った測定の南限。]]
=== 子午線からの定義 ===
人類がそれぞれの生活圏の中で過ごしている時代にはさして必要が無かったが、[[大航海時代]]を経て地球規模の[[航海]]や[[交流]]網が発達すると、長さの単位がまちまちな状態では不都合が多くなった<ref name=Hiroshima2>{{cite web|url=http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/Class/ESA00.html |title=授業科目『地球科学A』|chapter=第2回・「メートル」の由来とその定義。引用元『地球をはかる 新版地学教育講座1巻』、地球団体研究会、[[東海大学]]出版会、p15|author=|publisher=[[広島大学]]地球資源研究室|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。これに最も熱心に取り組んだのは、既に地球[[測量]]の実績を持つ<ref group="注">1736年から10年をかけて、フランスは[[地球]]の形状を把握するため[[ラップランド]]と[[ペルー]]で緯度1度あたりの距離計測を行った。{{Cite book|和書|author=村上陽一郎|year=1996年|title=宇宙像の変遷|publisher=[[講談社]]|edition=第一刷|chapter=14.地球を測る|pages=189-201|isbn=4-06-159235-1}}</ref>[[フランス]]だった<ref name=Hiroshima2 />。


1790年に[[フランス]]の[[シャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴール]]が普遍的な物理量基準の必要性を提唱し<ref>{{cite book|和書|author=監修:今井秀孝|title=トコトンやさしい計量の本|chapter=第1章 計るって何だろう|pages=24-25|publisher=[[日刊工業新聞社]]|year=2007年|edition=第1刷|isbn=978-4-526-05964-3}}</ref>、これを国民議会[[:en:National Assembly (French Revolution)|(en)]]が承認して基準づくりへの取り組みが始まった<ref name=Keirin>{{cite web|url= http://www.shinko-keirin.co.jp/kori/science/ayumi/ayumi23.html |title=科学の歩みところどころ 第23回 1メートルはどうして決めた? |author=森一夫、児島昌雄|publisher=[[新興出版社啓林館|啓林館]] |language=日本語|year=1979年|accessdate=2010-11-13}}</ref>。当時、長さの標準単位を決める定義には、以下に示す3つの支持を集めた案があった。
1000の冪乗以外の[[センチメートル]] (cm)、[[デシメートル]] (dm)、[[デカメートル]] (dam)、[[ヘクトメートル]] (hm) の中では、唯一 cm だけが使われる。
# 北緯45度の緯度にて<ref>[[#田中館1934|田中館 (1934)、p2]]</ref>ウィルキンスの流れを汲んだ1/2秒の[[周波数]]を持つ振り子の長さ(3ピエ8[[リーニュ (単位)|リーニュ]]1/2<ref>{{cite web|url=http://www.lib.geidai.ac.jp/MBULL/32Ichise.pdf|format=PDF |title=振子式装置が示す18世紀フランス舞曲のテンポ|pages=4 |author=市瀬陽子|publisher=[[東京芸術大学]]附属図書館 |language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>)
# [[地球]]の[[赤道]]全周を4千万分の1にした長さ<ref name=Keirin />
#同じく地球の[[子午線]]全周を4千万分の1にした長さ<ref name=Keirin />
この問題はパリ科学学士院で検討され、[[アントワーヌ・ラヴォアジエ]]、[[ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ]]、[[ジャン=シャルル・ド・ボルダ]]らが議論に加わった<ref name=Keirin />。1791年、フランスの[[科学アカデミー (フランス)|科学アカデミー]]は子午線を基準に置く方法を選択した。その理由は、実際の地球表面と[[ジオイド]]面との差異によって[[重力]]は一定にならないため振り子の振幅は変動する点が問題視され、また[[海]]上や[[熱帯気候]]に当たる赤道での測定は困難と判断されたためである<ref name=Keirin />。


普遍的に受け入れられる基本的な長さの単位を設定するに当たり、当時知られていた子午線の長さよりも更に正確な[[測定]]が求められた。イギリスや[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の協力が得られず<ref name=Keirin />、フランス科学アカデミーは単独で<ref name=Keirin />[[ジャン=バティスト・ジョゼフ・ドランブル]]と[[ピエール・メシャン]]を派遣して、1792年から[[子午線弧]]長の測定を[[三角測量]]にて<ref>[[#田中館1934|田中館 (1934)、pp.3-5]]</ref>行わせた。[[パリ]]を起点に、北の[[ダンケルク]]へはドランブル一行が<ref name=Alder1>[[#オールダー2006|オールダー (2006)、pp25-57、第1章 北へ向かった天文学者]]</ref>、南の[[スペイン]]の[[バルセロナ]]へはメシャン一行が<ref name=Alder2>[[#オールダー2006|オールダー (2006)、pp58-94、第2章 南へ向かった天文学者]]</ref>それぞれ計測を担当し、緯度差9[[度 (角度)|°]]39[[分 (角度)|′]]27[[秒 (角度)|″]].81<ref name=Hiroshima2 />の距離を最新の経緯儀などを携えて測量を開始した。しかし時は[[フランス革命]]のさ中にあり、持っていた測定機器から反革命分子のスパイ活動と間違えられたり<ref name=Alder1 />、[[フランス革命戦争]]のためメシャンはスペインで足止めされる<ref name=Alder2 />など幾多の困難に直面した<ref name=Keirin />。その間にも政府は、暫定的に[[ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ]]の測定値を用いて、新しい単位メートルを「パリを通過する北極点と赤道をつなぐ子午線長の10<sup>7</sup>分の1を定める」という法律を1795年に公布した<ref name=Niigata>{{cite web|url=http://museum-eng.eng.niigata-u.ac.jp/c/1_metre.html |title=「メートル」の定義と歴史/参考文献『単位の辞典』、小泉袈裟勝、1965年|author=原田修治|publisher=[[新潟大学]]工学部|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。測量は、1798年に完遂された<ref name=Keirin />。
他の単位系の長さの単位のいくつか([[尺]]、[[フィート]]など)も、現在ではメートルを基準とする定義に改められている。


測量から計算された結果、子午線全周の1/4に当たる[[北極点]]から赤道までの子午線弧長は5,130,740[[トワーズ]]という数値が計算された<ref name=Keirin />。測定の終了を受けて、1799年にフランスは、これを1千万分の1にした値3ピエ11.296リーニュを1メートルと定めた<ref name=Keirin />。これは、1ヤードや2キュービットといった既存の長さ単位を意識して採用された<ref name=Wada30>[[#和田2002|和田 (2002)、第2章 長さ、時間、質量の単位の歴史、pp30-31、1.長さの単位:地球から原器へ]]</ref>。そして、[[白金]]で作られた板状の<ref name=Wada30 />メートル原器(端度器<ref name=Hiroshima>{{cite web|url=http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/ES_Y_07.html |title=地球科学用語集 |chapter=【ま行】メートル(metre[英]、meter[米])|author=|publisher=[[広島大学]]地球資源研究室|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>)を製作し、これを[[フランス国立中央文書館]]に保管した<ref name=Keirin />。これはアルシーブ原器 (Metre des Archives) と呼ばれた<ref name=Keirin />。
==歴史==
=== 地球の子午線弧長によるメートル ===
メートルが初めて規定されたのは[[1791年]]、フランスにおいてだった。前年の3月に国民議会議員である[[シャルル・モーリス・ド・タレーラン=ペリゴール|タレーラン=ペリゴール]]の提案によって、世界中に様々ある長さの単位を統一し、新しい単位を創設することが決議された。当初はイギリスとの協同で進める予定だったが、この事業は[[フランス革命]]の一環であり(各地での度量衡の単位が異なることは、打破すべき旧体制-[[アンシャン・レジーム]]-のひとつだった)、同様の革命が自国にも波及することを恐れたイギリスの参同が得られず単独で行うことになり、[[フランス科学アカデミー]]に委員会が設けられた。


この新しい長さの単位は、旧来の慣れ親しんだ[[寸法]]からすぐには切替わらなかった。フランスは1837年にメートル法以外の単位使用を法律で禁じ<ref name=Alder12>[[#オールダー2006|オールダー (2006)、pp413-443、第12章 メートル化された地球]]</ref><ref group="注">書類1枚につき10フラン、公務員の場合20フランの罰金。同時に質量単位のポンドも使用規制の対象となった。[[#田中館1934|田中館 (1934)、pp.10-11]]</ref>、1851年の[[ロンドン万国博覧会 (1851年)|ロンドン万国博覧会]]や1867年の[[パリ万国博覧会 (1867年)|パリ万国博覧会]]などで[[広報]]活動を行い、普及に努めた<ref name=Keirin />。そのうち、[[蒸気機関車]]の発明による[[鉄道]]敷設や、実験を重視する[[科学]]の発達が統一基準の普及を求め、[[電気]]単位への採用などを通じてメートルは広まった<ref>[[#田中館1934|田中館 (1934)、pp.10-13]]</ref>。
自然科学に根拠を持ったものでなければ世界で共通に使ってもらえないということで、委員会では以下の3つの案が検討された。
# [[地球]]の[[北極]]から[[赤道]]までの[[子午線弧]]長(子午線象限)の1,000万分の1
# 赤道の[[周長]]の4,000万分の1
# 北緯45[[度 (角度)|度]]の地点で、半[[周期]]が1[[秒]]になる[[振り子]]の紐の長さ
これらはほぼ同じ長さであり、その元となったのは、ヨーロッパ各地で使われていた、[[キュビット]]の2倍のダブルキュビットに由来する単位だった。


[[Image:Mètre-étalon Paris.JPG|right|thumb|220px|1796-1797年にかけて啓蒙のために[[パリ]]の街中に16基設置されたメートル原器 (Mètre-étalon)。写真は[[6区 (パリ)|6区]]のヴォージラール通り ([[:en:Rue de Vaugirard|Rue de Vaugirard]])36.]]
第3案は、地球の重力が場所によって異なることと、長さの定義に時間を使わなければならないということで却下された(ただし、現在のメートルの定義には秒が使われている)。第2案も、赤道上には海上区間や[[熱帯]]地域が多く測量が困難ということで採用されず、委員会は第1案を国民議会に答申した。それを受けて、[[1791年]]3月の国民議会で1案が正式に採用された。
=== メートル原器 ===
{{Main|メートル法|メートル条約|メートル原器}}
現実には、地球の[[地殻]]表面は単純な正球または楕円球ではなく、標準長を設定する際の絶対的な基準とするには馴染まない<ref name=Wada30 />。これが地球科学の発展で明らかとなってきた事に加え、ふたたび基準値を観測で得ようとすると、また地球を測るという費用と時間および労力をかけなければならないことから再現性が疑問視された<ref name=Saijyo1-3>[[#西條2009|西條 (2009)、1講.メートル、pp4-5、3.国際メートル原器を長さの基準に]]</ref>。このため、1869年にアルシーブ原器そのものが副原器の立場からメートルの基準そのものと変更された<ref name=Wada30 />。


1870年代から、現代的な観点から新しい[[メートル法]]の規格を検討する一連の国際会議が開催された。1870年にフランスが主催した第1回国際メートル委員会は[[普仏戦争]]の影響で参加国が少なく実効的な決議を得られなかった<ref name=Saijyo1-3 />。1872年には第2回委員会が開かれ<ref name=Saijyo1-3 />、30本の原器を製作することが決まった<ref name=Tanaka17>[[#田中館1934|田中館 (1934)、p.17]]</ref>。これは、アルシーブの原器を基準に<ref name=Niigata />、白金90%と[[イリジウム]]10%の[[合金]]を用い、[[氷]]が[[融解]]する[[温度]]環境下で原器に刻まれた2本の目盛りの間を1mの基準とする<ref>[[#nistmetre|National Institute of Standards and Technology 2003; Historical context of the SI: Unit of length (meter)]]</ref>、全長102m、「X」字型の断面は[[アンリ・トレスカ]]が考案した形状が採用された<ref>{{cite web|url=http://www.ruth.chem.yamaguchi-u.ac.jp/tannihan.htm |title=単位のおはなし|author=|publisher=[[山口大学]]工学部|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>)<ref name=Hiroshima />。しかし、この原器は1875年の[[メートル条約]]に基づいた[[国際度量衡局]] (Bureau International des Poids et Mesures, BIPM) 設立(フランスの[[セーヴル]])に間に合わなかった<ref name=Tanaka17 /><ref group="注">当初フランスで製造されたが不純物が規定の2.0%を上回り、改めてイギリスのジョンソン・マシュー社が作り直した。[[#田中館1934|田中館 (1934)、p.17]]</ref>。
[[1795年]]、[[ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ]]の測定値に基づいて暫定的に「メートル」の長さを定め、[[黄銅]]製の仮の原器を作成した。[[1792年]]6月より、北極から赤道までの子午線弧長を実際に[[測量]]することとなった。しかし、その長さを実際に測量するのは不可能に近いので、[[ジャン=バティスト・ジョゼフ・ドランブル]]及び[[ピエール・メシャン]]の主導により、パリを通過する同一[[子午線]]上にある[[フランス]]北岸の[[ダンケルク]]から[[スペイン]]南岸の[[バルセロナ]]までの距離を[[三角測量]]を繰り返して計測し、その距離と両都市の[[緯度]]差から北極から赤道までの子午線弧長を求めることとした。測量が行われたのが[[フランス革命]]の直後でまだ政情が不安定だったこと、スペインもフランスと対立していたこと、さらにほとんどが山岳地帯であることから測量は困難を極めた。[[スパイ]]と間違われて逮捕されたり、命を落したりした者もいた。測量には6年かかり、[[1798年]]6月に終了した。この測量結果を元にしてメートルの長さが正式に定められ、[[1799年]]に[[プラチナ|白金]]製の正式な「メートル原器」が作成された。原器は、国立史料館に保管されたことから「アルシーブ(Archive)のメートル」と呼ばれる。[[質量]]も、このメートルを基準として、1立方デシメートルの水の質量が1[[キログラム]]と定められた。これに時間の単位[[秒]]を加えて新たな単位系[[メートル法]]が作られた。


1889年、[[国際度量衡総会]] (Conférence Générale des Poids et Mesures, CGPM) 第1回大会が開催され、30本のうち最も正確と判断されたNo.6原器を正式な[[メートル原器|国際メートル原器]]と認定してこれを保管し、他の原器は[[国家]]単位へ配布した<ref>[[#田中館1934|田中館 (1934)、p.22]]</ref><ref group="注">日本へはNo.22原器が割り当てられた。[[#田中館1934|田中館 (1934)、図版-3]]</ref>。
=== メートル原器によるメートル ===
[[1870年]]、全世界の単位をメートル法に統一する[[メートル条約]]を締結するための会議で、単位系の基準はメートル原器とすると定められたので、メートルと地球の子午線弧長との直接の関連はなくなった(実際、後に再度地球の子午線象限を測ってみると、本来なら10,000,000メートルとなるはずの長さが10,002,288メートルであることが分かった)。[[1875年]]にメートル条約が締結された。日本は[[1885年]]([[明治]]18年)にこの条約に加入した。メートル条約を受けて、各国で使用するための[[メートル原器]]が30本作られた。このメートル原器は白金90%、[[イリジウム]]10%の合金で、発案者の名前から「トレスカの断面」と呼ばれるX字形の断面をしている。両端附近に楕円形のマークがあり、その中に3本の平行線が引かれていて、0[[セルシウス度|℃]]のときの中央の目盛り同士の間隔が1メートルであると定められた。30本のうち、"No.6"の原器が「アルシーブのメートル」の長さに最も近かったため、これを「国際メートル原器」とした。[[1889年]]の第1回[[国際度量衡総会]]において他の原器がくじ引きで条約加盟各国に配布され、国際メートル原器との差が伝えられた。例えば日本に配布されたものは"No.22"で、国際メートル原器との差は0.78 &micro;mである。


このオリジナルとなるメートル原器はBIPMによって特別な環境下で1889年まで保存された。しかし、原器は製作当初から精度に対する物理的な限界が指摘され<ref name=Niigata />、同時に経時的変化や紛失・焼損のリスク<ref group="注">イギリスのポンド・ヤード原器は1834年に焼損の憂き目に遭った。[http://www.ehdo.go.jp/niigata/npc/kouza/H20/Aug05.pdf 単位のいま・むかし、スライド25、新潟職業能力開発短期大学校、制御技術科、金川明]</ref>が常につきまとった<ref name=Hiroshima />。また、長さの原器となるものについての議論は続き、さらに[[アメリカ国立標準技術研究所]]によってメートル原器には製作時の[[誤差]]があることが発見された<ref name=Beers>[[#beers1992|Beers & Penzes 1992]]</ref>。
=== 普遍的な定義へ ===
国際メートル原器という「物」を基準にした定義では、メートル原器の紛失、焼損などのおそれがある。さらに、国際メートル原器と比較しなければメートルを決めることができない。そのため、どこにいても1メートルの長さを現示することのできる普遍的な定義が求められるようになった。また、基準となる目盛り線自体に幅があるため、その幅分だけ誤差が生じることになる。


=== クリプトン-86スペクトル長 ===
普遍的でより精度の高いメートルの定義として光の波長を使用するという発想が、[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル]]の[[1873年]]の著書『電磁気学』の中で初めて示されている。[[1892年]]、国際度量衡委員会は光の波長を用いた長さの基準の研究を[[アルバート・マイケルソン]]に依頼しており、彼は自身の考案した干渉計で[[カドミウム]]から出る赤色の光の波長を求めて、光の波長を元にしたメートルの定義が可能という研究結果を発表した。どの原子を使用すれば良いかの議論の末、[[1960年]]の第11回国際度量衡総会において、1650763.73λKr([[クリプトン]]86原子の準位2p<sup>10</sup>と5d<sup>5</sup>の間の遷移に対応する光の真空中における波長の1 650 763.73倍に等しい長さ)という新しい定義が採択された。
1873年、[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル]]は著書『電磁気学』にて普遍的で高精度が期待される[[光]]の特定[[波長]]をメートルの単位にするべきという発想を示した<ref>{{cite web|url=http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt099j/0906_03_featurearticles/0906fa02/200906_fa02.html |title=電磁気学における混乱とCPT対称性の意義‐対称性に結びつく単位系‐|author=市口恒雄|publisher=科学技術政策研究所|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。1893年、メートル原器へ初めての[[干渉法]]による計測が、マクスウェルと同じ主張を唱える[[アルバート・マイケルソン]]によって行われた。1925年まで、干渉法はBIPMにて一般的に用いられたが、国際メートル原器は1960年まで長さの基準の地位にあった。しかし、暫定的に0[[セルシウス度|℃]]1[[気圧]]の[[乾燥]]環境における[[カドミウム]][[赤色|赤]]線の波長6438.4696×10<sup>-10</sup>mが使われつつ、色々な同位体元素の[[電磁スペクトル]]が検討された<ref name=Hiroshima />。


そして、第11回CGPMにて[[国際単位系]]によってメートルの定義は、[[クリプトンの同位体|クリプトン-86]][[元素]]が[[真空]]中で発する電磁スペクトルである[[オレンジ色]]‐赤色の発光スペクトル[[:en:emission line|(en)]]が示す[[波長]]の1,650,763.73倍と等しい長さへと変更された<ref name=Hiroshima /><ref name=Niigata />。この「0.73」という半端な小数点以下部分は、あくまでメートル原器の長さに波長数を合わせたためである<ref name=Wada32>[[#和田2002|和田 (2002)、第2章 長さ、時間、質量の単位の歴史、pp30-31、2.長さの単位:原器から光へ]]</ref>。その後継続して[[レーザー]]の安定放出や測定方法の精度向上が図られた<ref name=Hiroshima />が、クリプトンランプを使う実験では再現性の悪さも問題となっていた<ref name=Niigata />。
その後、[[光速]]の測定精度が高まったこと、長さの測定精度が時間の測定精度と比べて劣っていたことから、[[1983年]]の第17回国際度量衡総会において、「1秒間に光が進む距離」に基づく現在の定義が採用された。

=== 光の速度 ===
不確実性の低減を目指し、1983年の第17回CGPMでメートルの定義はさらに変更され、現在用いられている「[[光速]]」と「秒」で表す方法になった。これは[[セシウム]][[原子時計]]が発明され、正確な「秒」が決められた事と表裏一体を成している<ref name=Hiroshima2 />。

この定義は、真空中の光速を[[有効数字]]9桁という高い精度となる299,792,458m/sと固定して得たものである<ref name=Saijyo1-5>[[#西條2009|西條 (2009)、1講.メートル、pp7-8、5.光の速さを長さの標準に]]</ref>。さらに、[[特殊相対性理論]]によって光は[[光源]]の動きや方向に関わりなく、またどんな波長(振動数)でも一定であり、そして不変だという点が重視された<ref name=Saijyo1-5 />。

このように現在採用されるメートルは一定時間における光が進む距離で定義されているが、実験室で現実に再現されるメートルは未だに標準的なレーザー<ref group="注">例えば、国立物理研究所 (National Physical Laboratory) のウェブサイト[http://www.npl.co.uk/science-technology/time-frequency/optical-frequency-standards-and-metrology/research/iodine-stabilised-lasers]では[[ヨウ素]]安定化レーザーを用いている。</ref>を用いて干渉法で波長の数を数える測定をして得られる「図による表現」である。そして、この方法では3つの大きな制約が精度に課せられている<ref name=Webster2>[[#zagar1999|Zagar, 1999, pp. 6&ndash;67''ff'']]</ref>。
* 観測対象の真空下における波長の[[不確かさ]]
* 媒体で生じる[[屈折率]]の不確かさ
* 干渉計がレーザーを数える際の解像度
メートルの定義には以下の関係式が用いられる。
:<math> \lambda = \frac{c}{n f} \ , </math>
λは決定された波長、cは理想的な真空中における光速、nは測定がされる媒体の屈折率を示す。そして、fは頻度を表す。この方法では、長さは最も正確な測定値のひとつである頻度fに関連づけられる。<ref name=Webster2/>

第17回CGPMで決定したこの定義では、科学者が行うレーザー波長の測定において不確かさを1/5に抑える副次的効果が意図された。さらに、研究室ごとの再現性も容易にするために、第17回CGPMでは[[ヨウ素]]で安定化した[[ヘリウム]] - [[ネオン]]レーザーを推奨している。これによれば、波長は{{nowrap|1=λ<sub>HeNe</sub> = {{val|632.99139822|u=nm}}}}となり、関連する不確かさ (U) の期待値は{{val|2.5|e=-11}} となる<ref>[[#penzes2005|Penzes 2005]]</ref><ref group="注">参照[http://search.bipm.org/bipm/en/C=?q=HeNe+metre+632.991&uia=s&setcontext=&x=0&y=0]([[BIPM]]データベース)、 [http://inms-ienm.nrc-cnrc.gc.ca/research/optical_frequency_si_e.html]Optical Frequency - Maintaining the SI Metre/([[:en:National Research Council of Canada|カナダ国立研究所]](2008年)</ref>これは[[秒]]の定義における不確かさ({{nowrap|1=''U'' = {{val|5|e=-16}}}})よりも数段劣り、実験室における再現性には限界があることを表している<ref>{{cite web|url= http://tf.nist.gov/timefreq/cesium/fountain.htm |title= NIST-F1 Cesium Fountain Atomic Clock ;The Primary Time and Frequency Standard for the United States|author=|year=2009(Last update 2010-10-05) |publisher= NIST, Physical Measurement Laboratory|language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。その結果、現在使われるメートルの実用的な設定は定義と違って真空中のヘリウム - ネオンレーザー波長{{val|1579800.298728|(39)}}個分で叙述される。

1999 - 2000年には測定の絶対性を高めるために超短光パルスレーザーを用いる「光周波数コム」を利用した計測がアメリカや[[ドイツ]]を中心に提案され、この成果を受けて開発者の[[ジョン・ホール (物理学者)|ジョン・ホール]](アメリカ)と[[テオドール・ヘンシュ]](ドイツ)には2005年の[[ノーベル物理学賞]]が授与された<ref name=Sansou>{{cite web|url=http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090716/pr20090716.html |title=「長さの国家基準」が新方式に|author=|publisher=独立行政法人 産業技術総合研究所 広報部 広報業務室|date=2009-07-16|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。日本は2009年7月16日に国家標準を光周波数コム装置へ変更した<ref name=Sansou />。

=== 定義の変遷 ===
*1790年5月8日: フランス革命後の国民議会が新たに、周波数が1/2秒となる振り子の長さを1メートルと定義した。
*1791年3月30日:フランス科学アカデミーが提案したパリを通過する北極点から赤道までの子午線の距離を1千万分の1にした長さを1メートルとする提案を国民議会が承認した。
*1795年:[[黄銅]]製の暫定的なメートル原器が製作された。
*1799年12月10日:国民議会は、1799年6月23日に製作されフランス国立中央文書館に保管された白金製メートル原器(アルシーブ原器)を基準に指定した。
*1869年:アルシーブ原器そのものが1メートルの基準とされた<ref name=Wada30 />。
*1889年9月28日:第1回国際度量衡総会 (CGPM) が開催され、白金と10%イリジウム合金製メートル原器に刻まれた2本の線が、氷が融ける温度にて示す距離を1メートルと定義された。
*1927年10月6日:第7回国際度量衡総会にて再定義が施された。温度0℃・標準[[気圧]]の環境にて、水平面上に間隔を571mm開けて平行になるよう設置した直径1cm以上の円柱(ロール)2本の上に白金 - イリジウム合金製メートル原器を置き、原器に刻まれた2つの中心線の軸を挟む距離を1メートルと規定した。
*1960年10月14日:第11回国際度量衡総会にて定義が一新され、[[クリプトン]]86[[原子]]の準位2p<sup>10</sup>と 5d<sup>5</sup>との間の遷移に対応する光の真空中における波長の1,650,763.73倍に等しい長さを1メートルとした<ref>[http://physics.nist.gov/Pubs/SP447/app6.pdf National Institute of Standards and Technology]</ref>。
*1983年10月21日:第17回国際度量衡総会にて、1メートルは真空中で光が1/299,792,458秒に進む距離と再定義された<ref>[[#taylor2008a|Taylor and Thompson (2008a), Appendix 1, p. 70.]]</ref>。
*2002年:[[国際度量衡委員会]] (International Committee for Weights and Measures, CIPM) は、メートルが固有長[[:en:proper length|(en)]]であるべきであり、[[一般相対性理論]]が予測する効果はほとんど影響を及ぼさず、ありうる実測の不確かさは無視してもかまわないとみなした<ref name="taylor2008a77">[[#taylor2008a|Taylor and Thompson (2008a)]], Appendix 1, p. 77.</ref>。

{| class="wikitable"
|+ 1795年以降のメートルの定義と不確かさの変遷 <ref>Cardarelli, Francois ''Encydopaedia of scientific units, weights, and measures: their SI equivalences and origins'', Springer-Verlag London Limited 2003, ISBN 1-85233-682-X, page 5, table 2.1, data from Giacomo, P., ''Du platine a la lumiere'', Bull. Bur. Nat. Metrologie, 102 (1995) 5–14.</ref>
! 年
! 定義内容
! 絶対的な不確かさ
! 相対的な不確かさ
|-
| 1795年
|子午線1/4相当の距離の1/10000000 。</br>ドランブルとメシャンの測定から
| 0.5–0.1&nbsp;mm
| 10<sup>−4</sup>
|-
| 1869年<ref name=Wada30 />
| 最初の原器「Metre des Archives」。白金製。</br>フランス国立中央文書館保管。
| 0.05–0.01&nbsp;mm
| 10<sup>−5</sup>
|-
| 1889年
| 白金-イリジウム合金製原器の氷融点温度時の長さ</br>(第1回CGPM)
| 0.2–0.1&nbsp;µm
| 10<sup>−7</sup>
|-
| 1960年
| 原子変換;クリプトン86の光の波長の1650763.73倍</br>(第11回CGPM)
|0.01–0.005&nbsp;µm
| 10<sup>−8</sup>
|-
| 1983年
| 真空中で光が1/299792458秒に進む距離</br>(第17回CGPM)
| 0.1&nbsp;nm
|10<sup>−10</sup>
|}

=== 取扱い ===
原器を廃した現在の基準では、メートルは計測器(計量器)の測定結果が根底の基準となる。そのための具体的な計量器が指定され、日本の場合は[[計量法]]第134条に基づいて「特定標準器」を[[経済産業大臣]]が指定し、これが「国家基準」となる<ref name=Sansou />。2009年7月16日に日本はメートル計量器指定を更新し、「モード同期ファイバレーザ」を使用する光周波数コムが採用された。これは従来の方法よりも300倍の精度向上を果たしている<ref name=Sansou />。

最新の定義は光速を基準にしているが、CIPMは過去のクリプトンスペクトル長を基準としたメートルおよびそれを基にした測定結果を否定した訳ではない。問題は、それぞれの不確かさにある差であり、測定結果を取扱う際にこれを充分念頭に置くことが必要としている。逆に、求める測定誤差範囲によっては光速以外の方法で基準のメートルを求めても良いものとしている<ref name=Hiroshima />。


== 表記 ==
== 表記 ==
=== 倍量単位・分量単位 ===
[[漢字]]では「米突」の字が宛てられており、ここから「米」一字だけでメートルの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現[[気象庁]])が「米」を[[偏]]とする以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年(明治24年)から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった(第二次大戦中に敵性語を使わないようにするために作られた、と書いている書物もあるが、これは誤りである)。一部は中国でも取り入れられている。
[[SI接頭辞]]では、メートルの[[十進法]]による[[物理単位#倍量単位・分量単位|倍量単位・分量単位]]を定めている<ref>{{cite web|url=http://www.nmij.jp/library/units/si/ |title=国際単位系|author= |publisher=即率行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。ただし長大な距離ではkmやその倍量単位だけでなく、[[天文単位]]や[[光年]]または[[パーセク]]といった単位が用いられることが多い。また、分量単位では、[[フェムトメートル]] (fm) が[[原子核]]サイズであり、それより小さいものでは[[プランク長]] (~ 10{{sup|&minus;35}} m) オーダーまで表すべき長さがほとんど存在しないため、fm 未満はほとんど使われない。
*マイクロメートル(&micro;m) -- 粆(元の国訓は「ミクロン」)

*ミリメートル(mm) -- 粍
*センチメートル(cm) --
* km = [[キロメートル]] = [[1 E3 m|1,000 メートル]]
* cm = [[センチメートル]] = [[1 E-2 m|1/100 メートル]]
*デシメートル(dm) -- 粉(元々「[[粉|こな]]」の意味の文字だが、デシメートルの意味は日本で作られたもの([[国訓]])である。)
* mm = [[ミリメートル]] = [[1 E-3 m|1/1,000 メートル]]
* &micro;m = [[マイクロメートル]] = [[1 E-6 m|10<sup>-6</sup> メートル]]
* nm = [[ナノメートル]] = [[1 E-9 m|10<sup>&minus;9</sup> メートル]]
* pm = [[ピコメートル]] = [[1 E-12 m|10<sup>&minus;12</sup> メートル]]
* fm = [[フェムトメートル]] = [[1 E-15 m|10<sup>&minus;15</sup> メートル]] – [[エンリコ・フェルミ|フェルミ]]または[[湯川秀樹|ユカワ]]の別名があった<ref name=Ogawa>{{cite web|url=http://www2.kobe-u.ac.jp/~lerl2/QPE(I)_04_10_08.pdf |format=PDF |title=量子物理工学Ⅰ|author=小川真人|publisher=[[神戸大学]]工学部電気電子工学科|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>
* am = [[アトメートル]] = [[1 E-18 m|10<sup>&minus;18</sup> メートル]]
* zm = [[ゼプトメートル]] = [[1 E-21 m|10<sup>&minus;21</sup> メートル]]
* ym = [[ヨクトメートル]] = [[1 E-24 m|10<sup>&minus;24</sup> メートル]]

用語ミクロン (micron) がしばしばマイクロメーター (micrometre) の代わりに使われることがある。しかし、この名称は公式なものではない<ref>[http://physics.nist.gov/Pubs/SP811/sec05.html ''NIST Guide to the SI: #5.2.3 Other Unacceptable Units'' - Retrieved 12 March 2010]</ref>。

=== 漢字表記 ===
[[漢字]]では「米突」の字が宛てられており、ここから「米」一字だけでメートルの意味を表すようになった。日本では[[明治時代]]、中央気象台(現:[[気象庁]])が「米」を[[偏]]とする以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年(明治24年)から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった([[第二次世界大戦中]]に敵性語を使わないようにするために作られた、と書いている書物もあるが、これは誤りである)。一部は[[中国]]でも取り入れられている。
*マイクロメートル(&micro;m) -- 粆(一微<ref name=Ogawa />)(元の国訓は「ミクロン」)
*ミリメートル(mm) -- 粍(一毛<ref name=Ogawa />)
*センチメートル(cm) -- 糎(一厘<ref name=Ogawa />)
*デシメートル(dm) -- 粉(元々「[[粉|こな]]」の意味の文字だが、デシメートルの意味は日本で作られたもの([[国訓]])である。)(一分<ref name=Ogawa />)
*デカメートル(dam) -- 籵
*デカメートル(dam) -- 籵
*ヘクトメートル(hm) -- 粨
*ヘクトメートル(hm) -- 粨
*キロメートル(km) -- 粁
*キロメートル(km) -- 粁
*ミリアメートル(10<sup>4</sup> m) -- 𥸯(米偏に万)
*ミリアメートル(10<sup>4</sup> m) -- 𥸯(米偏に万)

=== 符号位置 ===
=== 符号位置 ===
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
86行目: 167行目:
{{CharCode|13078|3316|-|全角キロメートル}}
{{CharCode|13078|3316|-|全角キロメートル}}
|}
|}

=== 英語のスペリング ===
英語圏において、アメリカを除き一般にメートルは{{lang-en-short|Metre}}と書かれる<ref>{{cite web|url= http://www.metricationmatters.com/docs/Spelling_metre_or_meter.pdf |title=Spelling metre or meter|format=PDF|author= Pat Naughtin |year=2008 |publisher= Metrication Matters |language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。[[国際度量衡局]]がフランス語で発行する2006年版の国際単位系 (SI) 冊子「Bureau international des poids et mesures」は、英語への翻訳において単語「metre」を使用し、その目的をSI規格がより扱いやすくするためと述べている<ref>[[#bipm2006|BIPM, 2006]], p. 130''ff''.</ref>。

ただし、アメリカでは合衆国政府が定める公文書書式マニュアルに沿って「meter」を用いている。1975年のメートル条約にて、アメリカ商務省はアメリカ国内にてSIの解釈に変更を加える解釈の責任を与えられた。これを受けて商務省は[[アメリカ国立標準技術研究所]] (NIST) に裁量権を与えた。2008年にNISTは、BIPMが発表した「Le Système international d'unités (SI)」第8版の英語翻訳書(BIPM, 2006)に対してアメリカ版を発行した(Taylor and Thompson, 2008a)。この中でNISTは、BIPM版の「metre」を「meter」、「litre」([[リットル]])を「liter」、「deca」([[デカ]]:10倍の意)を「deka」に置き換えた(Taylor and Thompson, 2008a, p. iii)。NIST所長は、公式にこの変更を表明し、これはアメリカにおけるSIの「法解釈」の結果だと表明した(Turner)。

また、パーキングメーターや速度計のような測定機器は、どの国においても「meter」が使われている<ref>{{cite web|url= http://dictionary.cambridge.org/results.asp?searchword=parking+meter |title= Cambridge Advanced Learner's Dictionary |chapter= parking meter, meter, speedometer.|author= |year=2008 |publisher= Cambridge University Press. s.v. |language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。しかし、どのような装置においても、「meter」という表示は「metre」と同じ意味で使われ、本稿で解説した長さを示す単位を表している<ref>''American Heritage Dictionary of the English Language''. 3rd ed. (1992). Boston: Houghton Mifflin. s.v. meter.</ref>。

== 他の単位との相関 ==
{{長さの単位 (短)}}
{{長さの単位 (長)}}


== 派生単位 ==
== 派生単位 ==
メートルはSIの基本単位であり、メートルから派生した単位は多数あるので、ここで全てを挙げることはせず、メートルのみを使用した単位を挙げる。
メートルはSIの基本単位であり、メートルから派生した単位は多数あるため、ここで全てを挙げることはせず、メートルのみを使用した単位を挙げる。


*m<sup>2</sup> -- [[平方メートル]]。[[面積]]。
*m<sup>2</sup> -- [[平方メートル]]。[[面積]]。
96行目: 188行目:
*m<sup>&minus;3</sup> -- [[毎立方メートル]]。不純物の割合など。
*m<sup>&minus;3</sup> -- [[毎立方メートル]]。不純物の割合など。


==関連項目==
== 関連項目 ==
{{Wiktionarypar|メートル}}
{{Wiktionarypar|メートル}}
*[[長さの比較]]
*[[長さの比較]]
{{長さの単位 (短)}}
{{長さの単位 (長)}}


== 参考文献・資料 ==
{{Unit of length.(m)}}
*{{cite web|url= http://ts.nist.gov/MeasurementServices/Calibrations/upload/4998.pdf |format=PDF|author=John S. Beers, William B. Penzes |title= NIST Length Scale Interferometer Measurement Assurance. (NISTIR 4998) |publisher=[[アメリカ国立標準技術研究所]] |year=1992|language=英語|accessdate=2010-11-15}}
*{{Anchor|bipm2006}}{{cite web|url= http://www1.bipm.org/utils/common/pdf/si_brochure_8.pdf |format=PDF|author= |title= The International System of Units (SI) |publisher=国際度量衡局 (BIPM)|year=2006|language=フランス語、英語|accessdate=2010-11-15}}
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*{{Cite book|和書|author=ケン・オールダー|translator=吉田三知世|year=2006年|title=万物の尺度を求めて メートル法を定めた子午線大計測|publisher=[[早川書房]] |edition=第1刷|isbn=4-15-208664-5|ref=オールダー2006}}
*{{Cite book|和書|author=西條敏美|year=2009年|title=単位の成り立ち|publisher=恒星社厚生閣|edition=第1刷|isbn=978-4-7699-1099-2|ref=西條2009}}
*{{Cite book|和書|author=和田純夫|coauthors=大上雅史、根本和昭|year=2002年|title=単位がわかると物理がわかる|publisher=ベレ出版|edition=初刷|isbn=4-86064-013-6|ref=和田2002}}

== 脚注 ==
=== 注釈 ===
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=== 脚注 ===
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=== 脚注2 ===
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==外部リンク==
==外部リンク==
*[http://www1.bipm.org/en/si/si_brochure/chapter2/2-1/metre.html BIPM - metre] - [[国際度量衡局]]のサイト内のメートルの定義{{en icon}}
*{{en icon}} [http://www1.bipm.org/en/si/si_brochure/chapter2/2-1/metre.html BIPM - metre] - [[国際度量衡局]]のサイト内のメートルの定義
*{{en icon}} Layer, H.P. (2008). [http://www.mel.nist.gov/div821/museum/length.htm ''Length—Evolution from Measurement Standard to a Fundamental Constant'']. Gaithersburg, MD: National Institute of Standards and Technology. Retrieved 18 August 2008. <!-- Information there not yet included in article -->
*[http://www.shinko-keirin.co.jp/kori/science/ayumi/ayumi23.html 科学の歩みところどころ 1メートルはどうして決めた?]([[新興出版社啓林館|啓林館]]){{ja icon}}
*{{ja icon}}[http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxrefer.cgi?H_FILE=%95%bd%8e%6c%96%40%8c%dc%88%ea&REF_NAME=%8c%76%97%ca%96%40&ANCHOR_F=&ANCHOR_T= 計量法]、[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H04/H04SE358.html 計量法附則第三条の計量単位等を定める政令]


*{{EoE|Meter|Meter}}
*{{EoE|Meter|Meter}}


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== 関連書 ==
*ケン オールダー 吉田三知世 訳『万物の尺度を求めて』メートル法を定めた子午線大計測 早川書房 ISBN 4152086645


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2010年11月19日 (金) 12:02時点における版

メートル
mètre, metre, meter

メートル原器(1889 - 1960年)
記号 m
国際単位系SI基本単位
長さ
定義 真空中で1の299 792 458分の1の時間にが進む行程の長さ
由来 北極点赤道の距離の1/10 000 000
テンプレートを表示

メートル: mètre、米、記号m)は、国際単位系 (SI) およびMKS単位系[1]における長さ物理単位である。他のとは関係せず完全に独立して与えられる7つのSI基本単位の一つである[2]。なお、CGS単位系ではセンチメートル (cm) が基本単位となる[3][4]

メートル(metre)という名称は、「ものさし」または「測ること」を意味する: μέτρονmetron)に由来し、メーター(meter)などと同じ語源である[5]日本語では、原語であるフランス語読みのメートルの他に、英語(: metre, : meter [ˈmiːtə(r)])からメーターと言うこともあり、漢字では「」と書かれる[6]

元々は、地球赤道北極点の間の海抜ゼロにおける距離を1/10000000した長さを意図し、度量衡学(en)技術発展を反映して何度か更新された。1983年に基準が見直され、現在は1の299,792,458分の1の時間(約3億分の1秒)に真空中を伝わる距離として定義されている[7]。言い換えると、1光秒の299 792 458分の1である。

定義

現在の「メートル」は、以下のように定義される。

The metre is the length of the path travelled by light in vacuum during a time interval of 1/299,792,458 of a second.[7]
訳:メートルとは、光が真空中を1/299,792,458秒に進む距離である[8] — 第17回国際度量衡総会決議1、1983年

歴史

名称

長さの少数単位の提案は、記録された中では1668年にイギリス哲学者ジョン・ウィルキンス(en)が著作『真性の文字と哲学的言語にむけての試論』提唱した普遍的測定単位 (universal measure) に見られる[9][10]。1675年にはイタリア科学者ティト・リビオ・ブラッティーニ(en)が著作『Misura Universale』の中で、ギリシア語の「μέτρονκαθολικόν (métron katholikón) 」から普遍的測定単位を「metro cattolico (metre catholic)」と書き表した。これが1797年にフランス語に伝わり「mètre」となり、次いで英語の「meter」となった[11]

1668年ウィルキンスは、クリストファー・レンが提案したクリスティアーン・ホイヘンスが観察した1/2の間隔を刻む時の振り子の長さを標準長とする案を受け入れた。その長さは38ラインランド・インチおよび39.25イギリス・インチ (997mm) に相当した[9][10]

ダンケルク鐘楼。ドランブルが行った測定の北限。
バルセロナ要塞。メシャンが行った測定の南限。

子午線からの定義

人類がそれぞれの生活圏の中で過ごしている時代にはさして必要が無かったが、大航海時代を経て地球規模の航海交流網が発達すると、長さの単位がまちまちな状態では不都合が多くなった[5]。これに最も熱心に取り組んだのは、既に地球測量の実績を持つ[注 1]フランスだった[5]

1790年にフランスシャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴールが普遍的な物理量基準の必要性を提唱し[12]、これを国民議会(en)が承認して基準づくりへの取り組みが始まった[13]。当時、長さの標準単位を決める定義には、以下に示す3つの支持を集めた案があった。

  1. 北緯45度の緯度にて[14]ウィルキンスの流れを汲んだ1/2秒の周波数を持つ振り子の長さ(3ピエ8リーニュ1/2[15]
  2. 地球赤道全周を4千万分の1にした長さ[13]
  3. 同じく地球の子午線全周を4千万分の1にした長さ[13]

この問題はパリ科学学士院で検討され、アントワーヌ・ラヴォアジエジョゼフ=ルイ・ラグランジュジャン=シャルル・ド・ボルダらが議論に加わった[13]。1791年、フランスの科学アカデミーは子午線を基準に置く方法を選択した。その理由は、実際の地球表面とジオイド面との差異によって重力は一定にならないため振り子の振幅は変動する点が問題視され、また上や熱帯気候に当たる赤道での測定は困難と判断されたためである[13]

普遍的に受け入れられる基本的な長さの単位を設定するに当たり、当時知られていた子午線の長さよりも更に正確な測定が求められた。イギリスやアメリカの協力が得られず[13]、フランス科学アカデミーは単独で[13]ジャン=バティスト・ジョゼフ・ドランブルピエール・メシャンを派遣して、1792年から子午線弧長の測定を三角測量にて[16]行わせた。パリを起点に、北のダンケルクへはドランブル一行が[17]、南のスペインバルセロナへはメシャン一行が[18]それぞれ計測を担当し、緯度差9°3927.81[5]の距離を最新の経緯儀などを携えて測量を開始した。しかし時はフランス革命のさ中にあり、持っていた測定機器から反革命分子のスパイ活動と間違えられたり[17]フランス革命戦争のためメシャンはスペインで足止めされる[18]など幾多の困難に直面した[13]。その間にも政府は、暫定的にニコラ・ルイ・ド・ラカーユの測定値を用いて、新しい単位メートルを「パリを通過する北極点と赤道をつなぐ子午線長の107分の1を定める」という法律を1795年に公布した[8]。測量は、1798年に完遂された[13]

測量から計算された結果、子午線全周の1/4に当たる北極点から赤道までの子午線弧長は5,130,740トワーズという数値が計算された[13]。測定の終了を受けて、1799年にフランスは、これを1千万分の1にした値3ピエ11.296リーニュを1メートルと定めた[13]。これは、1ヤードや2キュービットといった既存の長さ単位を意識して採用された[19]。そして、白金で作られた板状の[19]メートル原器(端度器[20])を製作し、これをフランス国立中央文書館に保管した[13]。これはアルシーブ原器 (Metre des Archives) と呼ばれた[13]

この新しい長さの単位は、旧来の慣れ親しんだ寸法からすぐには切替わらなかった。フランスは1837年にメートル法以外の単位使用を法律で禁じ[21][注 2]、1851年のロンドン万国博覧会や1867年のパリ万国博覧会などで広報活動を行い、普及に努めた[13]。そのうち、蒸気機関車の発明による鉄道敷設や、実験を重視する科学の発達が統一基準の普及を求め、電気単位への採用などを通じてメートルは広まった[22]

1796-1797年にかけて啓蒙のためにパリの街中に16基設置されたメートル原器 (Mètre-étalon)。写真は6区のヴォージラール通り (Rue de Vaugirard)36.

メートル原器

現実には、地球の地殻表面は単純な正球または楕円球ではなく、標準長を設定する際の絶対的な基準とするには馴染まない[19]。これが地球科学の発展で明らかとなってきた事に加え、ふたたび基準値を観測で得ようとすると、また地球を測るという費用と時間および労力をかけなければならないことから再現性が疑問視された[23]。このため、1869年にアルシーブ原器そのものが副原器の立場からメートルの基準そのものと変更された[19]

1870年代から、現代的な観点から新しいメートル法の規格を検討する一連の国際会議が開催された。1870年にフランスが主催した第1回国際メートル委員会は普仏戦争の影響で参加国が少なく実効的な決議を得られなかった[23]。1872年には第2回委員会が開かれ[23]、30本の原器を製作することが決まった[24]。これは、アルシーブの原器を基準に[8]、白金90%とイリジウム10%の合金を用い、融解する温度環境下で原器に刻まれた2本の目盛りの間を1mの基準とする[25]、全長102m、「X」字型の断面はアンリ・トレスカが考案した形状が採用された[26][20]。しかし、この原器は1875年のメートル条約に基づいた国際度量衡局 (Bureau International des Poids et Mesures, BIPM) 設立(フランスのセーヴル)に間に合わなかった[24][注 3]

1889年、国際度量衡総会 (Conférence Générale des Poids et Mesures, CGPM) 第1回大会が開催され、30本のうち最も正確と判断されたNo.6原器を正式な国際メートル原器と認定してこれを保管し、他の原器は国家単位へ配布した[27][注 4]

このオリジナルとなるメートル原器はBIPMによって特別な環境下で1889年まで保存された。しかし、原器は製作当初から精度に対する物理的な限界が指摘され[8]、同時に経時的変化や紛失・焼損のリスク[注 5]が常につきまとった[20]。また、長さの原器となるものについての議論は続き、さらにアメリカ国立標準技術研究所によってメートル原器には製作時の誤差があることが発見された[28]

クリプトン-86スペクトル長

1873年、ジェームズ・クラーク・マクスウェルは著書『電磁気学』にて普遍的で高精度が期待されるの特定波長をメートルの単位にするべきという発想を示した[29]。1893年、メートル原器へ初めての干渉法による計測が、マクスウェルと同じ主張を唱えるアルバート・マイケルソンによって行われた。1925年まで、干渉法はBIPMにて一般的に用いられたが、国際メートル原器は1960年まで長さの基準の地位にあった。しかし、暫定的に01気圧乾燥環境におけるカドミウム線の波長6438.4696×10-10mが使われつつ、色々な同位体元素の電磁スペクトルが検討された[20]

そして、第11回CGPMにて国際単位系によってメートルの定義は、クリプトン-86元素真空中で発する電磁スペクトルであるオレンジ色‐赤色の発光スペクトル(en)が示す波長の1,650,763.73倍と等しい長さへと変更された[20][8]。この「0.73」という半端な小数点以下部分は、あくまでメートル原器の長さに波長数を合わせたためである[30]。その後継続してレーザーの安定放出や測定方法の精度向上が図られた[20]が、クリプトンランプを使う実験では再現性の悪さも問題となっていた[8]

光の速度

不確実性の低減を目指し、1983年の第17回CGPMでメートルの定義はさらに変更され、現在用いられている「光速」と「秒」で表す方法になった。これはセシウム原子時計が発明され、正確な「秒」が決められた事と表裏一体を成している[5]

この定義は、真空中の光速を有効数字9桁という高い精度となる299,792,458m/sと固定して得たものである[31]。さらに、特殊相対性理論によって光は光源の動きや方向に関わりなく、またどんな波長(振動数)でも一定であり、そして不変だという点が重視された[31]

このように現在採用されるメートルは一定時間における光が進む距離で定義されているが、実験室で現実に再現されるメートルは未だに標準的なレーザー[注 6]を用いて干渉法で波長の数を数える測定をして得られる「図による表現」である。そして、この方法では3つの大きな制約が精度に課せられている[32]

  • 観測対象の真空下における波長の不確かさ
  • 媒体で生じる屈折率の不確かさ
  • 干渉計がレーザーを数える際の解像度

メートルの定義には以下の関係式が用いられる。

λは決定された波長、cは理想的な真空中における光速、nは測定がされる媒体の屈折率を示す。そして、fは頻度を表す。この方法では、長さは最も正確な測定値のひとつである頻度fに関連づけられる。[32]

第17回CGPMで決定したこの定義では、科学者が行うレーザー波長の測定において不確かさを1/5に抑える副次的効果が意図された。さらに、研究室ごとの再現性も容易にするために、第17回CGPMではヨウ素で安定化したヘリウム - ネオンレーザーを推奨している。これによれば、波長はλHeNe = 632.99139822 nmとなり、関連する不確かさ (U) の期待値は2.5×10−11 となる[33][注 7]これはの定義における不確かさ(U = 5×10−16)よりも数段劣り、実験室における再現性には限界があることを表している[34]。その結果、現在使われるメートルの実用的な設定は定義と違って真空中のヘリウム - ネオンレーザー波長1579800.298728(39)個分で叙述される。

1999 - 2000年には測定の絶対性を高めるために超短光パルスレーザーを用いる「光周波数コム」を利用した計測がアメリカやドイツを中心に提案され、この成果を受けて開発者のジョン・ホール(アメリカ)とテオドール・ヘンシュ(ドイツ)には2005年のノーベル物理学賞が授与された[35]。日本は2009年7月16日に国家標準を光周波数コム装置へ変更した[35]

定義の変遷

  • 1790年5月8日: フランス革命後の国民議会が新たに、周波数が1/2秒となる振り子の長さを1メートルと定義した。
  • 1791年3月30日:フランス科学アカデミーが提案したパリを通過する北極点から赤道までの子午線の距離を1千万分の1にした長さを1メートルとする提案を国民議会が承認した。
  • 1795年:黄銅製の暫定的なメートル原器が製作された。
  • 1799年12月10日:国民議会は、1799年6月23日に製作されフランス国立中央文書館に保管された白金製メートル原器(アルシーブ原器)を基準に指定した。
  • 1869年:アルシーブ原器そのものが1メートルの基準とされた[19]
  • 1889年9月28日:第1回国際度量衡総会 (CGPM) が開催され、白金と10%イリジウム合金製メートル原器に刻まれた2本の線が、氷が融ける温度にて示す距離を1メートルと定義された。
  • 1927年10月6日:第7回国際度量衡総会にて再定義が施された。温度0℃・標準気圧の環境にて、水平面上に間隔を571mm開けて平行になるよう設置した直径1cm以上の円柱(ロール)2本の上に白金 - イリジウム合金製メートル原器を置き、原器に刻まれた2つの中心線の軸を挟む距離を1メートルと規定した。
  • 1960年10月14日:第11回国際度量衡総会にて定義が一新され、クリプトン86原子の準位2p10と 5d5との間の遷移に対応する光の真空中における波長の1,650,763.73倍に等しい長さを1メートルとした[36]
  • 1983年10月21日:第17回国際度量衡総会にて、1メートルは真空中で光が1/299,792,458秒に進む距離と再定義された[37]
  • 2002年:国際度量衡委員会 (International Committee for Weights and Measures, CIPM) は、メートルが固有長(en)であるべきであり、一般相対性理論が予測する効果はほとんど影響を及ぼさず、ありうる実測の不確かさは無視してもかまわないとみなした[38]
1795年以降のメートルの定義と不確かさの変遷 [39]
定義内容 絶対的な不確かさ 相対的な不確かさ
1795年 子午線1/4相当の距離の1/10000000 。
ドランブルとメシャンの測定から
0.5–0.1 mm 10−4
1869年[19] 最初の原器「Metre des Archives」。白金製。
フランス国立中央文書館保管。
0.05–0.01 mm 10−5
1889年 白金-イリジウム合金製原器の氷融点温度時の長さ
(第1回CGPM)
0.2–0.1 µm 10−7
1960年 原子変換;クリプトン86の光の波長の1650763.73倍
(第11回CGPM)
0.01–0.005 µm 10−8
1983年 真空中で光が1/299792458秒に進む距離
(第17回CGPM)
0.1 nm 10−10

取扱い

原器を廃した現在の基準では、メートルは計測器(計量器)の測定結果が根底の基準となる。そのための具体的な計量器が指定され、日本の場合は計量法第134条に基づいて「特定標準器」を経済産業大臣が指定し、これが「国家基準」となる[35]。2009年7月16日に日本はメートル計量器指定を更新し、「モード同期ファイバレーザ」を使用する光周波数コムが採用された。これは従来の方法よりも300倍の精度向上を果たしている[35]

最新の定義は光速を基準にしているが、CIPMは過去のクリプトンスペクトル長を基準としたメートルおよびそれを基にした測定結果を否定した訳ではない。問題は、それぞれの不確かさにある差であり、測定結果を取扱う際にこれを充分念頭に置くことが必要としている。逆に、求める測定誤差範囲によっては光速以外の方法で基準のメートルを求めても良いものとしている[20]

表記

倍量単位・分量単位

SI接頭辞では、メートルの十進法による倍量単位・分量単位を定めている[40]。ただし長大な距離ではkmやその倍量単位だけでなく、天文単位光年またはパーセクといった単位が用いられることが多い。また、分量単位では、フェムトメートル (fm) が原子核サイズであり、それより小さいものではプランク長 (~ 10−35 m) オーダーまで表すべき長さがほとんど存在しないため、fm 未満はほとんど使われない。

用語ミクロン (micron) がしばしばマイクロメーター (micrometre) の代わりに使われることがある。しかし、この名称は公式なものではない[42]

漢字表記

漢字では「米突」の字が宛てられており、ここから「米」一字だけでメートルの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現:気象庁)が「米」をとする以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年(明治24年)から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった(第二次世界大戦中に敵性語を使わないようにするために作られた、と書いている書物もあるが、これは誤りである)。一部は中国でも取り入れられている。

  • マイクロメートル(µm) -- 粆(一微[41])(元の国訓は「ミクロン」)
  • ミリメートル(mm) -- 粍(一毛[41]
  • センチメートル(cm) -- 糎(一厘[41]
  • デシメートル(dm) -- 粉(元々「こな」の意味の文字だが、デシメートルの意味は日本で作られたもの(国訓)である。)(一分[41]
  • デカメートル(dam) -- 籵
  • ヘクトメートル(hm) -- 粨
  • キロメートル(km) -- 粁
  • ミリアメートル(104 m) -- 𥸯(米偏に万)

符号位置

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+3399 - &#x3399;
&#13209;
フェムトメートル
U+339A - &#x339A;
&#13210;
ナノメートル
U+339B - &#x339B;
&#13211;
マイクロメートル
U+339C 1-13-48 &#x339C;
&#13212;
ミリメートル
U+339D 1-13-49 &#x339D;
&#13213;
センチメートル
U+3377 - &#x3377;
&#13175;
デシメートル
U+339E 1-13-50 &#x339E;
&#13214;
キロメートル
U+334D 1-13-35 &#x334D;
&#13133;
全角メートル
U+3316 - &#x3316;
&#13078;
全角キロメートル

英語のスペリング

英語圏において、アメリカを除き一般にメートルは: Metreと書かれる[43]国際度量衡局がフランス語で発行する2006年版の国際単位系 (SI) 冊子「Bureau international des poids et mesures」は、英語への翻訳において単語「metre」を使用し、その目的をSI規格がより扱いやすくするためと述べている[44]

ただし、アメリカでは合衆国政府が定める公文書書式マニュアルに沿って「meter」を用いている。1975年のメートル条約にて、アメリカ商務省はアメリカ国内にてSIの解釈に変更を加える解釈の責任を与えられた。これを受けて商務省はアメリカ国立標準技術研究所 (NIST) に裁量権を与えた。2008年にNISTは、BIPMが発表した「Le Système international d'unités (SI)」第8版の英語翻訳書(BIPM, 2006)に対してアメリカ版を発行した(Taylor and Thompson, 2008a)。この中でNISTは、BIPM版の「metre」を「meter」、「litre」(リットル)を「liter」、「deca」(デカ:10倍の意)を「deka」に置き換えた(Taylor and Thompson, 2008a, p. iii)。NIST所長は、公式にこの変更を表明し、これはアメリカにおけるSIの「法解釈」の結果だと表明した(Turner)。

また、パーキングメーターや速度計のような測定機器は、どの国においても「meter」が使われている[45]。しかし、どのような装置においても、「meter」という表示は「metre」と同じ意味で使われ、本稿で解説した長さを示す単位を表している[46]

他の単位との相関

長さの単位
メートルSI単位) インチ フィート ヤード 曲尺 鯨尺
1 m = 1 ≈ 39.370 ≈ 3.2808 ≈ 1.0936 = 33 = 3.3 = 2.64
1 in = 0.0254 = 1 ≈ 0.083333 ≈ 0.027778 = 0.8382 = 0.08382 = 0.067056
1 ft = 0.3048 = 12 = 1 ≈ 0.33333 = 10.0584 = 1.00584 = 0.804672
1 yd = 0.9144 = 36 = 3 = 1 = 30.1752 = 3.01752 = 2.414016
1 寸 ≈ 0.030303 ≈ 1.1930 ≈ 0.099419 ≈ 0.033140 = 1 = 0.1 = 0.08
1 尺(曲尺) ≈ 0.30303 ≈ 11.930 ≈ 0.99419 ≈ 0.33140 = 10 = 1 = 0.8
1 尺(鯨尺) ≈ 0.37879 ≈ 14.913 ≈ 1.2427 ≈ 0.41425 = 12.5 = 1.25 = 1


長さの単位
メートル
SI単位)
海里 ヤード チェーン マイル
1 m = 1 ≈ 0.00053996 ≈ 1.0936 ≈ 0.049710 ≈ 0.00062137 = 3.3 = 0.55 ≈ 0.0091667 ≈ 0.00025463
1 M = 1852 = 1 ≈ 2025.4 ≈ 92.062 ≈ 1.1508 = 6111.6 = 1018.6 ≈ 16.9767 ≈ 0.47157
1 yd = 0.9144 ≈ 0.00049374 = 1 ≈ 0.045455 ≈ 0.00056818 = 3.01752 = 0.50292 ≈ 0.0083820 ≈ 0.00023283
1 ch = 20.1168 ≈ 0.010862 = 22 = 1 = 0.0125 = 66.38544 = 11.06424 ≈ 0.18440 ≈ 0.0051223
1 mi = 1609.344 ≈ 0.86898 = 1760 = 80 = 1 = 5310.8352 = 885.1392 ≈ 14.752 ≈ 0.40979
1 尺 ≈ 0.30303 ≈ 0.00016362 ≈ 0.33140 ≈ 0.015064 ≈ 0.00018829 = 1 = 0.16667 ≈ 0.0027778 ≈ 0.000077160
1 間 ≈ 1.8182 ≈ 0.00098174 ≈ 1.9884 ≈ 0.090381 ≈ 0.0011298 = 6 = 1 ≈ 0.016667 ≈ 0.00046296
1 町 ≈ 109.09 ≈ 0.058904 ≈ 119.30 ≈ 5.4229 ≈ 0.067786 = 360 = 60 = 1 ≈ 0.027778
1 里 ≈ 3927.3 ≈ 2.1206 ≈ 4294.9 ≈ 195.22 ≈ 2.4403 = 12960 = 2160 = 36 = 1

派生単位

メートルはSIの基本単位であり、メートルから派生した単位は多数あるため、ここで全てを挙げることはせず、メートルのみを使用した単位を挙げる。

関連項目

参考文献・資料

脚注

注釈

  1. ^ 1736年から10年をかけて、フランスは地球の形状を把握するためラップランドペルーで緯度1度あたりの距離計測を行った。村上陽一郎「14.地球を測る」『宇宙像の変遷』(第一刷)講談社、1996、189-201頁。ISBN 4-06-159235-1 
  2. ^ 書類1枚につき10フラン、公務員の場合20フランの罰金。同時に質量単位のポンドも使用規制の対象となった。田中館 (1934)、pp.10-11
  3. ^ 当初フランスで製造されたが不純物が規定の2.0%を上回り、改めてイギリスのジョンソン・マシュー社が作り直した。田中館 (1934)、p.17
  4. ^ 日本へはNo.22原器が割り当てられた。田中館 (1934)、図版-3
  5. ^ イギリスのポンド・ヤード原器は1834年に焼損の憂き目に遭った。単位のいま・むかし、スライド25、新潟職業能力開発短期大学校、制御技術科、金川明
  6. ^ 例えば、国立物理研究所 (National Physical Laboratory) のウェブサイト[1]ではヨウ素安定化レーザーを用いている。
  7. ^ 参照[2]BIPMデータベース)、 [3]Optical Frequency - Maintaining the SI Metre/(カナダ国立研究所(2008年)

脚注

  1. ^ 宮川勇人. “MKS単位系について” (PDF). 香川大学工学部材料創造工学科. 2010年11月13日閲覧。
  2. ^ 沖俊任. “計測工学 ‐第1回(測定と単位系)‐p.p.1-2‐平成20年4月10日” (PDF). 宇部工業高等専門学校. 2010年11月13日閲覧。
  3. ^ Official BIPM definition”. BIPM. 2010年11月13日閲覧。
  4. ^ 田中岳. “独修『水理学』、長谷川和義監修/田中岳著” (PDF). 北海道大学大学院工学研究科環境資源工学・水圏工学. 2010年11月13日閲覧。
  5. ^ a b c d e 授業科目『地球科学A』”. 広島大学地球資源研究室. 2010年11月13日閲覧。
  6. ^ 大辞泉. “メートル【(フランス)mètre】【米】”. Yahoo!辞書. 2010年11月13日閲覧。
  7. ^ a b Resolution 1. of the 17th meeting of the CGPM (1983) 、第17回国際度量衡総会決議1” (英語). 国際度量衡局 (International Bureau of Weights and Measures, BIPM) (1983年). 2010年11月15日閲覧。
  8. ^ a b c d e f 原田修治. “「メートル」の定義と歴史/参考文献『単位の辞典』、小泉袈裟勝、1965年”. 新潟大学工学部. 2010年11月13日閲覧。
  9. ^ a b ジョン・ウィルキンス (1668年). “An Essay towards a Real Character and a Philosophical Language (Reproduction)/真性の文字と哲学的言語にむけての試論” (PDF) (英語). 2010年11月13日閲覧。
  10. ^ a b ジョン・ウィルキンス (1668年). “An Essay towards a Real Character and a Philosophical Language (Transcription)/真性の文字と哲学的言語にむけての試論” (PDF) (英語). 2010年11月13日閲覧。
  11. ^ meter. (2009)” (英語). Merriam-Webster Online Dictionary (2009年). 2010年11月13日閲覧。
  12. ^ 監修:今井秀孝「第1章 計るって何だろう」『トコトンやさしい計量の本』(第1刷)日刊工業新聞社、2007、24-25頁。ISBN 978-4-526-05964-3 
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n 森一夫、児島昌雄 ( エラー: year に「年」の漢字は付けないでください。月や日まで含める場合や「年」の漢字を付ける必要のある場合は year を使用せず date に記入してください。). “科学の歩みところどころ 第23回 1メートルはどうして決めた?”. 啓林館. 2010年11月13日閲覧。
  14. ^ 田中館 (1934)、p2
  15. ^ 市瀬陽子. “振子式装置が示す18世紀フランス舞曲のテンポ” (PDF). 東京芸術大学附属図書館. pp. 4. 2010年11月13日閲覧。
  16. ^ 田中館 (1934)、pp.3-5
  17. ^ a b オールダー (2006)、pp25-57、第1章 北へ向かった天文学者
  18. ^ a b オールダー (2006)、pp58-94、第2章 南へ向かった天文学者
  19. ^ a b c d e f 和田 (2002)、第2章 長さ、時間、質量の単位の歴史、pp30-31、1.長さの単位:地球から原器へ
  20. ^ a b c d e f g 地球科学用語集”. 広島大学地球資源研究室. 2010年11月13日閲覧。
  21. ^ オールダー (2006)、pp413-443、第12章 メートル化された地球
  22. ^ 田中館 (1934)、pp.10-13
  23. ^ a b c 西條 (2009)、1講.メートル、pp4-5、3.国際メートル原器を長さの基準に
  24. ^ a b 田中館 (1934)、p.17
  25. ^ National Institute of Standards and Technology 2003; Historical context of the SI: Unit of length (meter)
  26. ^ 単位のおはなし”. 山口大学工学部. 2010年11月13日閲覧。
  27. ^ 田中館 (1934)、p.22
  28. ^ Beers & Penzes 1992
  29. ^ 市口恒雄. “電磁気学における混乱とCPT対称性の意義‐対称性に結びつく単位系‐”. 科学技術政策研究所. 2010年11月13日閲覧。
  30. ^ 和田 (2002)、第2章 長さ、時間、質量の単位の歴史、pp30-31、2.長さの単位:原器から光へ
  31. ^ a b 西條 (2009)、1講.メートル、pp7-8、5.光の速さを長さの標準に
  32. ^ a b Zagar, 1999, pp. 6–67ff
  33. ^ Penzes 2005
  34. ^ NIST-F1 Cesium Fountain Atomic Clock ;The Primary Time and Frequency Standard for the United States” (英語). NIST, Physical Measurement Laboratory (2009(Last update 2010-10-05)). 2010年11月13日閲覧。
  35. ^ a b c d 「長さの国家基準」が新方式に”. 独立行政法人 産業技術総合研究所 広報部 広報業務室 (2009年7月16日). 2010年11月13日閲覧。
  36. ^ National Institute of Standards and Technology
  37. ^ Taylor and Thompson (2008a), Appendix 1, p. 70.
  38. ^ Taylor and Thompson (2008a), Appendix 1, p. 77.
  39. ^ Cardarelli, Francois Encydopaedia of scientific units, weights, and measures: their SI equivalences and origins, Springer-Verlag London Limited 2003, ISBN 1-85233-682-X, page 5, table 2.1, data from Giacomo, P., Du platine a la lumiere, Bull. Bur. Nat. Metrologie, 102 (1995) 5–14.
  40. ^ 国際単位系”. 即率行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター. 2010年11月13日閲覧。
  41. ^ a b c d e 小川真人. “量子物理工学Ⅰ” (PDF). 神戸大学工学部電気電子工学科. 2010年11月13日閲覧。
  42. ^ NIST Guide to the SI: #5.2.3 Other Unacceptable Units - Retrieved 12 March 2010
  43. ^ Pat Naughtin (2008年). “Spelling metre or meter” (PDF) (英語). Metrication Matters. 2010年11月13日閲覧。
  44. ^ BIPM, 2006, p. 130ff.
  45. ^ Cambridge Advanced Learner's Dictionary” (英語). Cambridge University Press. s.v. (2008年). 2010年11月13日閲覧。
  46. ^ American Heritage Dictionary of the English Language. 3rd ed. (1992). Boston: Houghton Mifflin. s.v. meter.

脚注2

本脚注は、出典・脚注内で提示されている「出典」を示しています。

外部リンク