歯科技工士

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歯科技工士
英名 Dental Technician
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 医療
試験形式 歯科技工士国家試験
認定団体 厚生労働省
等級・称号 歯科技工士
根拠法令 歯科技工士法
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歯科技工士(しかぎこうし、: Dental Technician)は、歯科医師が作成した指示書を元に義歯(入れ歯)や補綴物差し歯銀歯)などの製作・加工を行う医療系技術専門職。 昨今の歯科医療の向上と医業の分業化に伴い、非常に高度な精密技工技術と審美感覚が求められている。また、義歯といった口腔関連のものだけでなく、顎顔面領域において義眼や耳介、その他では義指など様々な補綴物を製作している者もいる[1]

歯科技工士法に基づく歯科技工士国家試験に合格した者に対する厚生労働大臣免許の国家資格であり業務独占資格であるため、歯科医師もしくは歯科技工士以外が歯科技工業務を行うことは法律で禁止されている。

現状[編集]

広島大学、東京医科歯科大学では4年制を採っている。その他は専門学校短大において教育がなされているが、技術の高度化に伴い、4年制への教育期間の延長が模索されている。 東京医科歯科大学大学院、広島大学大学院、東北大学大学院には、歯科技工士が進学可能な修士課程(二年制)および博士課程(四年制)が存在する。これらの大学院では、歯科分野での最新機器や次世代技術の研究および開発に携わることが出来る。また、研究手法、学会発表および論文作成法を習得することができる。歯科技工士は他の医療職と同様に、大学院に進学し、歯科技工関連の研究を行い、研究成果を発表していく必要性がある。

大学院HPへのリンク:東京医科歯科大学大学院 広島大学大学院 東北大学大学院

4年制を卒業または大学院を修了した者達の就職先は、他の学部の者たちと同様に、一般企業(営業、技術、事務、総合職、研究開発職など)、大学卒業程度の公務員が大半である。従来の歯科技工所や歯科医院には就職しない。就職先の種類および待遇は、従来の歯科技工士科専門学校卒業者とは明確に区別されている。

従来の歯科技工士科専門学校卒業者は、就職先がかなり限定されている。就職先は、歯科技工所か歯科医院が大半である。希に歯科関連企業の営業職の募集がある。病院歯科技工士の募集は、現在ほとんど行われていない。こちらは就職先が劣悪な労働環境であるため、専門学校卒業から5年以内に約70%の人たちが離職する。歯科技工士として仕事を続けることができるものは、劣悪な労働環境に過剰適応できた者、歯科医院や歯科技工所の後継などである。

厚生労働省の平成26年衛生行政報告例(就業医療関係者)によると就業歯科技工士は2014年末現在で34,495名であり、若年層の減少が続いている[2]

主な歯科技工士養成機関[編集]

1.広島大学 歯学部 口腔健康学科 口腔工学専攻

 歯科技工の技術だけでなく、コンピュータを使ったシステム工学や細胞工学の知識とスキルを持ち、幅広い医療知識と教養を兼備したリーダー的存在となりうる高度先進的医療人の育成を目指す。細胞工学、生体工学、生体材料学、情報処理学等に関する最新の知識を学ぶことが可能である。特別実習としてリハビリメイク実習、日本組織培養学会の組織培養実習があり、 細胞工学士、フェイシャルセラピストが認定される日本で唯一の専攻である。十分な基礎的、臨床的な歯学・医学・工学に関する知識及び技術を習得することで、思考能力、問題解決能力並びに指導能力を兼ね備え医療マインドをもった研究者、研究マインドを持った医療人が養成される。2014年度の卒業生の進路は、5名進学、15名就職であった。(広島大学HPより)

2.東京医科歯科大学 歯学部 口腔保健学科 口腔保健工学専攻

 口腔保健工学専攻は平成23年4月に新設された、全国で2校目となる4年制の歯科医療技術者(歯科技工士)教育機関である。口腔の健康・維持・増進・回復のため、医療専門分野はもとより工学分野とも相互に密接な連携を図りつつ、総合的かつ科学的研究を遂行し、その成果を広く社会に還元する極めて学際的な領域を担っている。歯科技工士の未来を拓く、世界のリーダーとなりうる人材の輩出を目指し、歯科技工の技術だけに偏るのではなく、幅広い知識と専門的技能を有し、多方面で活躍できる人材の育成を図っている。  第1回生の卒業生(14名)の進路(2016年4月1日現在)は、大学院進学2名、他大学歯学部編入1名、歯科関連企業2名、大学病院附属技工部1名、公立一般病院技工室1名、歯科技工所6名、その他1名であった。第2回生(14名)の卒業後の進路は(2016年2月現在)、大学院進学3名、他大学歯学科編入1名、歯科関連企業3名、医科関連企業3名、歯科技工所4名であった。(東京医科歯科大学HPより)

3.大阪大学歯学部附属 歯科技工士学校

 大阪大学歯学部附属歯科技工士学校では、「笑顔創造職人」を養成している。(大阪大学HPより)

4.東北大学歯学部附属 歯科技工士学校

 本校は、東北・北海道地区における唯一の国立大学法人の歯科技工士学校である。歯科医療の歯科技工という重要な分野を担う優れた歯科技工士を社会へ送り出すために、東北大学病院と隣接した恵まれた設備・環境の中で、歯学部教授をはじめ関係者全員が全力をあげて取り組んでいる。(東北大学HPより)

参考 - 歯科技工士養成機関の選び方-[編集]

1.学習環境、学費、就職先の観点から、上記の養成校を第一選択とする。

2.最新のCAD/CAM 機(パソコンで人工の歯を設計して、歯科材料のブロックをで削り出し、人工の歯を製作するもの)が設置されている養成校を選択する。

3.CAD/CAM 室が設けられている養成校を選択する。

4.3Dスキャン、デジタルワックスアップとミリングデータおよび造形データの作製(CAD/CAM システム)など、最新の歯科技工技術を指導できる教員が常勤として在籍している養成校を選択する。

5.留年させない養成校を選択する。

6.50歳以上の教員しか配置されていない養成校は避ける。

7.デジタル歯科学関連など、最新の歯科技工技術の学術論文を、歯科技工士学校の教員が書いているか、「CiNii Articles」などで確認する。

8.歯科技工士養成校教員の学歴が学士(口腔保健)または、修士(社会人課程は除く)以上であることを確認する。母校の卒業生を教員として採用している養成校は避ける。

9.入学者が定員の5割以下である養成校は避ける。

10.養成校に送られてくる求人数の多さを特色としている養成校は避ける。(離職率70%以上の業界であるから、常に労働条件のよくない求人が出回っている)

11.私立の歯科技工士養成校で入学から卒業までに要する費用は、学費・器材・修学旅行費などを含めると、2から3年間で300から400万円であることに注意する。また、諸費用がHPに書かれていない歯科技工士養成校は、追加費用がかかる恐れがあるため、避けたほうが無難である。

口腔健康科学専攻・口腔保健工学専攻の学生(歯科技工士免許取得可能の4年制大学生)と歯科技工士科専門学生の就職活動の違い[編集]

4年制大学および大学院生は、他学部と同様に、金融、IT・通信、自動車、流通、機械製造、建築・不動産、素材、生活、電気・精密機械、食品、教育、メディアなど、様々な業界の就職試験に受験可能である。加えて大卒・院卒程度の公務員試験も受験可能である。就職先が多岐にわたり、歯科関連の企業や、歯科技工所・歯科医院に限定されることはない。(学生が専攻以外の企業に就職することは、他学部では一般的なことである。)

歯科技工士科専門学生は、歯科技工所・歯科医院、歯科系の企業に就職が限定されている。就職活動方法は、2年時から、各専門学校に歯科技工所や歯科医院から求人票が送られてきて、その求人票を見て学生が職場見学、就職試験を受験するという流れが一般的である。近年、病院の歯科部門は義歯等を外注することが主流となってきており、募集自体がほとんど行われない。就職先も、福利厚生が不十分で、一日あたりの労働時間が8時間以上の歯科技工所・歯科医院が大半である。残業代が未払、年金や健康保険に加入していないところがほとんどである。(近年、インターネットが普及したことで、匿名ではあるが、歯科技工士の労働環境の劣悪さが数多く報告されている。インターネット内の情報の信頼性は限りなく低いものの、歯科技工士の30歳以下の70%が就業から5年以内に離職・転職していることから、嘘の情報だけではないと推察される。)

歯科技工士が主人公の漫画[編集]

不器用な匠ちゃん (1巻から6巻で完結)「コミックフラッパー」(メディアファクトリー)。

手先は器用、でも女子としては不器用な歯科技工士・藍川さん(20歳・♀)。彼女は歯科医院で銀歯や入れ歯を製作している。武器模型を作るのが趣味である歯科技工士・藍川さん(♀)は、仕事も趣味も技工系である。そんな手先が器用な彼女が不器用な初恋をしてしまった…。

推薦書籍-これから歯科技工士を目指す人・歯科技工士として働いている人たち向け-[編集]

「初めてのラボ運営 BOOK- CAD/CAM 時代を見据えた開業準備と安定経営のための A to Z-. The management compass and business know- how for dental laboratory.」医歯薬出版株式会社 2014, 山口 佳男, 島 隆寛, 大畠一成 編 編集発行人:大畑秀穂.

問題[編集]

1.現在、歯科医療において技工料が低く見積もられている(特に保険歯科医療)ことが問題となっており、適切な評価が求められている。2008年国会においても問題となった。

2.一部の技工所では中国に孫請け発注している可能性があると2010年2月の報道特集NEXT(TBS)にて報道されている。

3.各作業工程ごとの詳細な技術料および加工時間の目安が不透明である。例えば、キャストクラウンを製作するための分割復位式作業模型を製作するため歯科技工士作業工程は次のとおりである。(1)印象から石膏模型を取り外す[3-5分]。(2)模型のトリミング[3-5分]。(3)ダウエルピン植立のための穴あけ[5-10分]。(4)回転防止溝の形成[3-5分]。(5)形成した穴に瞬間接着剤を注入する[1-3分]。(6)ダウエルピンを形成した穴に植立する[1-3分]。(7)瞬間接着剤が完全に効果するまで待つ[30-60分]。(8)瞬間接着剤のバリ取りをする[5-10分]。(9)模型底面に石膏分離材を塗布する[1-3分]。(10)専用ゴム枠に超硬質石膏を注入して、石膏泥上に作業模型を乗せて石膏が硬化するまで待機する[40-60分]。(11)模型と石膏の境目を切削して出す[5-10分]。(12)専用のこぎりで、模型を分割する[10-20分]。(13)支台歯マージンのトリミングをする[10-40分]。(14)咬合器装着する[60分]。このように作業模型を製作するために全14工程が存在する。また、[ ]は加工時間の目安である。作業の熟練度、使用機器や材料により、作業時間は変化してくる。歯科技工作業は、専門的かつ作業時間が大きいにもかかわらず、技術料の詳細が明らかにされていない。加えて、例に挙げた作業模型製作料金は日本では0円である。かつ、作業模型製作のための材料費等は歯科医師ではなく歯科技工士が負担している。他にも、個人トレー、個歯トレー、テンポラリーブリッジ・クラウンなどは技工料金が設定されていない。これらも、歯科技工士が0円で製作している。

将来[編集]

1. 3Dスキャナ、口腔内カメラが低価格で流通されることで、歯科技工作業のデジタル化が加速すると推察される。これにより、従来の作業模型製作、咬合器装着、ワックスアップが3Dモデリングソフトを使用して行われることになる。そして、口腔内に入る装置(インレー、クラウン、ブリッジ等)は、ミリング機や3Dプリンタによって製作されるようになる。ここで、歯科用3Dデジタル機器の精度は、コストの観点から、100ミクロン(0.1mm)以内と言われている(これ以上機械の精度を上げると、機械の価格が上がり、歯科医療従事者が購入できなくなる)。つまり、設計段階での誤差の補正や、機械で加工された装置の最終微調整は、歯科技工士が行う必要がある。よって、歯科技工作業のデジタル化が進むからといって、歯科技工士が不要になるという極端な状況にはならないと推察される。

2. 平成27年度の時点で、インプラントドリルガイドなどのサージカルガイドを3Dプリンタで製作し、臨床応用している動きが見られる。このように、新しい医療用装置を歯科技工士が製作していくことになるかもしれない。

3.デジタル機器が歯科業界に普及することで、歯科技工士の一極集中化による大規模歯科技工所ができる、あるいは、CAD/CAMなどの専用設備の共有化が起こることが予想される。なぜなら、小規模の歯科技工所は設備投資を定期的に行うことが困難であるからである。

4. 歯科技工士免許を取得できる四年制大学の卒業者は、医療機器メーカー、全学部全学科を対象に求人を出す一般企業、公務員、大学病院の歯科技工士などに就職することが予想される。また、大学院進学者も一定割合で出てくると予想される。大学卒業者は、劣悪な労働環境の歯科技工所に、作業員として就職するメリットがないからである。

5.大学病院の歯科技工士配置数が減少する。故に、大学病院の求人が出なくなる。そして、大学病院は外注技工物がメインになる。

6.3Dプリンタメーカーに歯科技工士を配置し、歯科技工士に設計および造形物の品質管理をさせる動きが産業界に出てくる。

7.歯科医療機器メーカーがCAD/CAM加工センターを設置し、大卒または院卒の歯科技工士を配置するようになる。そして、大卒または院卒の歯科技工士が、品質管理、歯科技工物のトレーサビリティの管理などを担うようになる。

名称[編集]

英称は、Dental Technicianだが、アメリカとイギリスでは若干、表記が違う。アメリカでは、Certificated Dental Technician(CDT)だが、イギリスではRegistered Dental Technician(RDT)である。日本のような免許資格制度ではない。

脚注[編集]

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  1. ^ “広島大学歯学部 > 学科・専攻紹介 > 口腔保健学科口腔保健工学専攻”. http://www.hiroshima-u.ac.jp/dent/jakka/p_d33c9a.html 2009年10月24日閲覧。 
  2. ^ “就業歯科技工士数3万4495人で微減 衛生士は11万6299人”. 日本歯科新聞 (東京都千代田区: 日本歯科新聞社): p. 2. (2015年7月28日)