明日の神話

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『明日の神話』
作者 岡本太郎
製作年 1969年
種類 アクリル系塗料による壁画
寸法 550 cm × 3000 cm (220 in × 1,200 in)
所蔵 東京都渋谷区

明日の神話』(あすのしんわ)は、岡本太郎が製作した縦5.5メートル、横30メートルの巨大壁画。東京都渋谷区渋谷マークシティ京王井の頭線渋谷駅とJR渋谷駅を結ぶ連絡通路にある。第五福竜丸被爆した際の水爆の炸裂の瞬間をテーマにしている。アスベスト製の板に一部コンクリートを盛り付けてアクリル系塗料で描かれている。悲惨な体験を乗り越え、再生する人々のたくましさを描いたとされる。大阪万博のシンボルタワー「太陽の塔」に並ぶ、岡本の代表作。

概要[編集]

岡本の絵画では最も大きな作品とされる。岡本は、メキシコオリンピックのためにメキシコ中心部に建築中だった、当時中南米一の規模の44階建てホテルのために製作[1]ルフィーノ・タマヨとの競作でも話題になっていた[1]。 岡本は作品の意図について、『中国新聞』1968年1月27日付朝刊のインタビューにおいて、「原爆が爆発し、世界は混乱するが、人間はその災い、運命を乗り越え未来を切り開いて行く―といった気持ちを表現した」と応えている。この思想的背景となったものとして、1950年代頃から岡本が愛読し、岡本の蔵書にも確認された世界的宗教学者であるミルチャ・エリアーデによる著書『永遠回帰の神話』(1949)において展開されている思想と通底していることが指摘されている。

その後、依頼主の経済的事情で作品の所在は不明となっていた。2003年9月、メキシコ国内の倉庫で発見、岡本のパートナーである岡本敏子が確認作業を行った。2004年10月、岡本太郎記念現代芸術振興財団などが、再生プロジェクトを立ち上げた[2]。修復のため、100個以上に分かれた壁画の断片を日本に船で移送、2005年7月から愛媛県東温市で絵画修復の専門家、吉村絵美留らが作業を行い、2006年6月に完了、報道陣に公開された。

修復した壁画は2006年7月8日から8月末まで、東京汐留日本テレビで一般公開された。展示後、岡本太郎記念現代芸術振興財団は永久保存を望んでおり、「太陽の塔」がある大阪府吹田市をはじめ、被爆地である広島市長崎市の市民団体、及び東京都渋谷区が、それぞれ誘致運動を行っていたが、2008年3月18日、財団は東京都渋谷区への恒久設置を決め、同年10月17日、壁画の渋谷マークシティの連絡通路への取り付け作業が完了。同年11月17日より一般公開されている。なお、油彩の原画5枚のうち1枚(1号原画)が広島市に寄託され、広島市現代美術館で保管されている。

2007年4月27日から2008年6月29日までの期間で東京都現代美術館にて特別公開された[3]

渋谷駅にて『明日の神話』の下に通る人。

沿革[編集]

  • 1967年 - 岡本太郎が「メキシコシティ中心部で建設計画中のホテルに壁画を描いてほしい」と依頼を受ける。
  • 1968年 - 製作開始。大阪万博の作品と並行して取り組み、岡本は日本とメキシコを何度も往復したという。
  • 1969年 - ホテルロビーに壁画を仮設置後、最終仕上げに入ったが、依頼者の経済状況が悪化し、そのまま放置され、行方不明になる。
  • 2003年 - メキシコシティ郊外の倉庫で発見、パートナーの岡本敏子が真贋を確認。
  • 2004年 - 岡本太郎記念現代芸術振興財団内に再生プロジェクト事務局が発足、壁画修復が本格的に始動。
  • 2005年 - メキシコにて壁画を解体、梱包後、岡本敏子が急逝。7月から愛媛県東温市で修復作業が始まる。
  • 2006年 - 6月に修復が完了。7月7日、汐留日テレプラザにて報道陣に公開。翌日に東京汐留で一般公開。
  • 2007年 - 4月から東京都現代美術館で特別公開。
  • 2008年 - 10月17日京王井の頭線渋谷駅連絡通路に恒久設置。11月17日に除幕式、一般公開開始。
  • 2011年 - 5月1日東日本大震災による福島第一原子力発電所事故を思わせる絵が描かれたベニヤ板が、壁画右下の壁に貼りつけられているのが見つかった[4]。ベニヤ板は同日中に警察により撤去されたが、壁画本体に損傷はなかった。5月18日、東京の若手美術家グループ「Chim↑Pom」がベニヤ板を貼りつけたことを明らかにした[5]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 『岡本太郎氏が大壁画 メキシコの新築ホテルに』 - 中国新聞 1967年9月8日 4ページ
  2. ^ 『明日の神話』とは(岡本太郎 - 明日の神話オフィシャルホームページ )
  3. ^ 『明日の神話』公開情報(岡本太郎 - 明日の神話オフィシャルホームページ )
  4. ^ 福島原発? 岡本太郎の「核恐怖」描いた壁画に別の絵 写真2枚 国際ニュース AFPBB News 2011年5月2日
  5. ^ 岡本太郎壁画に原発の絵 渋谷駅、美術家集団が掲示 共同通信 2011年5月18日

関連項目[編集]

  • ORIGINAL LOVE - 壁画からインスピレーションを受けた同名曲を発表。

外部リンク[編集]