天ヶ瀬ダム

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天ヶ瀬ダム
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左岸所在地 京都府宇治市槙島町六石
位置
天ヶ瀬ダムの位置(日本内)
天ヶ瀬ダム
北緯34度52分51秒 東経135度49分42秒 / 北緯34.88083度 東経135.82833度 / 34.88083; 135.82833
河川 淀川水系淀川
ダム湖 鳳凰湖
ダム諸元
ダム型式 アーチ式コンクリートダム
堤高 73.0 m
堤頂長 254.0 m
堤体積 122,000
流域面積 4,200.0 km²
湛水面積 188.0 ha
総貯水容量 26,280,000 m³
有効貯水容量 20,000,000 m³
利用目的 洪水調節不特定利水
上水道発電
事業主体 国土交通省近畿地方整備局
電気事業者 関西電力
発電所名
(認可出力)
天ヶ瀬発電所 (92,000kW)
喜撰山発電所 (466,000kW)
施工業者 大林組
着手年/竣工年 1955年/1964年
出典 『ダム便覧』天ヶ瀬ダム(元) [3] [4]
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天ヶ瀬ダム(あまがせダム)は京都府宇治市一級河川淀川本川中流部、通称宇治川と呼ばれる流域に建設されたダムである。

国土交通省近畿地方整備局が管理する国土交通省直轄ダムで、西日本屈指の大河川・淀川本流に建設された唯一のダム。高さ73.0メートルアーチ式コンクリートダムで、淀川の治水と宇治市への上水道供給、総出力59万8,000キロワットにも及ぶ水力発電を目的とした特定多目的ダムである。現在ダム機能の強化を目的にバイパストンネル建設を柱とするダム再開発事業を実施中である。

ダムによって形成された人造湖鳳凰湖(ほうおうこ)と命名され、平等院鳳凰堂などと共に、琵琶湖国定公園エリアでもある宇治地域の主要な観光地となっている。

地理[編集]

天ヶ瀬ダムは淀川本流に建設された唯一のダムであり、ダム湖琵琶湖直下に位置している。ダムの機能として洪水調節不特定利水上水道発電など重要な役割を担っている。

天ヶ瀬ダム下流には宇治市街地が広がっており平等院鳳凰堂など重要文化財が多く、更に下流域の大阪平野までの洪水調節機能を有しており、洪水被害低減という形で下流域の住民の安全と財産保護に貢献している。

天ヶ瀬ダムの発電形式は貯水式水力発電であり、ダムによって出来た鳳凰湖を下池として喜撰山ダム揚水発電を行っている。そのため電力確保の面でも重要なダムとなっている。

天ヶ瀬ダムは平常時最高水位EL78mから下流側水位EL20mまで落ち込む為、琵琶湖水位のEL84mからの落差のほとんどを使っており[1]、天ヶ瀬発電所ではこの落差を最大限に利用して有効落差57mとなっている[2]

ダム湖(鳳凰湖)からは宇治浄水場が取水しており、宇治市城陽市八幡市久御山町上水道を供給している[3]京都盆地には他に桂川から取水する乙順浄水場と木津川から取水する木津川浄水場が有り、これら3つの浄水場は久御山ポンプ場で送水管が繋がっている。大雨による土砂の流入で浄水場の取水量が減少した際は、汚染の少ないダム湖(鳳凰湖)より取水する宇治浄水場からのバックアップ送水を行っている。また上水道の供給能力日本最大を誇る村野浄水場が宇治川・桂川・木津川の三川合流地点直下の磯島取水場から取水しており、 大阪広域水道企業団が府内42市町村に供給している水道水の約8割を担う浄水場であり[4]淀川の水量安定化による大阪府への上水道確保の面でも天ヶ瀬ダムの役割は大きい。

沿革[編集]

淀川は大阪市京都市といった日本屈指の大都市を貫流する極めて重要な水系であり、古来より治水・利水は間断なく繰り返されていたが、洪水も頻繁であり当時の為政者達の悩みの種でもあった。

戦後森林の乱伐等で全国的に水害が多発したが淀川でも例外ではなく、1953年(昭和28年)の台風13号では宇治川の堤防が決壊し宇治市等流域市町村に多大な損害を与えた。この台風13号での淀川の洪水流量は過去最悪のものであり、これを機に淀川流域の根本的な治水対策として建設省近畿地方建設局(現・国土交通省近畿地方整備局)は「淀川水系改修基本計画」を実施。この計画の一環として計画されたのが天ヶ瀬ダムである。数多くのダムが建設されている淀川水系の中にあって、淀川本川に建設された唯一のダムであり、淀川水系における多目的ダムの第1号でもある。

ダムの高さは73.0m、型式はアーチ式コンクリートダムであるが、このダムは「ドーム型アーチ式コンクリートダム」というアーチダムの一型式である。この型は設計が極めて難しいタイプのアーチダムであるが、コンクリートの使用量が少なくて済む為経済性に優れた型のダムである。殿山ダム日置川)で初めて採用され、その後黒部ダム黒部川)等日本有数のダムに応用された。実際には1955年までは天ヶ瀬ダムは直線型の重力式コンクリートダムとして計画されていたが、当時の高度経済成長に伴うコンクリート需要の逼迫により1957年には地盤調査の後にドーム型アーチ式コンクリートダムに変更された。

京都府南部への上水道供給[5]の他、ダム建設に伴って1924年(大正13年)に建設された関西電力の志津川ダム(大峯ダム。重力式コンクリートダム・31.2m)が水没する為、その代替施設としての天ヶ瀬発電所による水力発電を目的とした特定多目的ダムである。なお、発電に関してはその後、喜撰山ダム1970年(昭和45年)に完成し喜撰山発電所と揚水発電(認可出力466,000kW)を行っている。

1989年(平成元年)より、洪水調節機能の強化と新規利水を目指し国内最大級の放水路トンネルを建設する「天ヶ瀬ダム再開発計画」が進められていたが、反対運動や水需要の減少等により2003年(平成15年)に計画の見直しが図られた。2005年(平成17年)の淀川水系流域委員会による答申でも計画中止が妥当とされ、国土交通省は事業を継続する意向を示しているものの、実質的に事業は頓挫している状態となっていたが、平成25年6月に本体工事が開始された。[5]

治水の一環としての洪水調節機能について、2013年9月に大雨をもたらした台風18号接近の際、貯水上限水位まであと30cmに迫ったことから、同月16日の午前7時15分から同10時20分にかけて、完成以来初めて非常用ゲート4門を開門して毎秒1,000トンを放流した。これにより宇治川は氾濫危険水位である3.6mを突破したことから、宇治市は流域の26,700世帯・62,000人に避難指示を発令した[6]

観光地としてのダム[編集]

このダムは宇治市街に近い都市型ダムである。ダムより2.3kmの至近距離に平等院鳳凰堂世界遺産)や宇治橋天ヶ瀬森林公園がある。また京都市内にも近く、京滋バイパスを利用することで大津市比叡山石山寺にも近く、こうしたことから観光バス等を連ねて観光客が多く訪れる。遠足や社会科見学等で近畿地方小学生が訪問することでも知られる。

ダム湖は1987年(昭和62年)に平等院鳳凰堂が近いこと、ドーム形アーチ式である堤体の形が、羽を広げた鳳凰に見えること等に因んで「鳳凰湖」と名付けられた。桜や紅葉の名所でもある。

以前は京阪宇治交通(1999年からは京阪宇治交サービス、2003年4月からは京阪宇治バス)がダムまで路線バスを運行しており、ダム近くにレストハウス(1997年以降は地ビールレストラン「ガーデンズ天ヶ瀬」)を経営していたが、レストランは2002年に閉鎖され、バス路線も2005年7月限りで廃止された[7]。レストハウス跡の建物は2012年に解体された[8]

ダムには防犯カメラが設置してある。ダム関連工事による安全管理上の観点(自殺者の防止も含む)から、2008年12月よりダム通路への立入禁止の措置が取られたが、現在は昼間に限り開放されている[9][10]

天ヶ瀬ダムが登場する作品[編集]

漫画[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 天ヶ瀬ダムってどんなダム?|天ケ瀬ダム 淀川ダム統合管理事務所”. www.kkr.mlit.go.jp. 2022年6月15日閲覧。
  2. ^ 水力発電所ギャラリー 関西電力天ヶ瀬発電所 - 水力ドットコム”. www.suiryoku.com. 2022年6月15日閲覧。
  3. ^ 京都府. “水道事業のあらまし” (日本語). 京都府. 2022年6月15日閲覧。
  4. ^ 琵琶湖をスタートした水の旅|堺市上下水道局ホームページ” (日本語). water.city.sakai.lg.jp. 2022年6月15日閲覧。
  5. ^ 京都府営水道・宇治浄水場から宇治市・城陽市・八幡市・久御山町に供給されている
  6. ^ 「非常用ゲート初開門」 - 京都新聞(2013年9月18日、朝刊3面)
  7. ^ 参考外部リンク[1]
  8. ^ 参考外部リンク[2]
  9. ^ 天ヶ瀬ダムへの立入を禁止しています(淀川ダム統合管理事務所) (PDF)
  10. ^ 天ヶ瀬ダムの通路の暫定開放について(淀川ダム統合管理事務所) (PDF)
  11. ^ 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成(1987年度撮影)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]