大正処女御伽話

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大正処女御伽話
ジャンル 少年漫画
歴史漫画
恋愛漫画
漫画
作者 桐丘さな
出版社 集英社
掲載誌 ジャンプスクエア
レーベル ジャンプ・コミックス
(JUMP COMICS SQ.)
発表号 2015年8月号 - 2017年10月号
発表期間 2015年7月4日 - 2017年9月4日
巻数 全5巻
話数 全38話
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大正処女御伽話』(タイシャウヲトメおとぎばなし)は、桐丘さなによる日本漫画作品。『ジャンプSQ.19』(集英社)Vol.18に読み切りとして掲載された後、『ジャンプスクエア』(集英社)2015年8月号から2017年10月号まで連載。

物語[編集]

時は大正――。事故がもとで母と右手の自由、父の期待を失い田舎に養生という名目で家を追われた青年・珠彦。世の中の全てに嫌気がさし、引き籠もりの厭世家<ペシミスト>となり果てていた珠彦のもとに、夕月という少女がやってきた。彼女は父が珠彦の世話をさせるため買ってきた嫁であった。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

年齢は全て数え年。

志磨 珠彦(しま たまひこ)
明治三十八年九月一日生マレ。身ノ長五尺九寸(177センチメートルくらい、志磨家の者は男女を問わず高身長)。事故で母・右手の自由・父の期待を失う。17歳(第1話時点)。
実家から半ば追い出される形で千葉の田舎にある別荘でひっそりと暮らしていたが、夕月との同棲生活の中で少しずつ生きる希望を取り戻していく。夕月の優しさや明るさに触れれば触れるほど己の存在価値について深く思い悩むが、いつしか彼女に心惹かれていき、本当の妻として側にいてほしいと思うようになる。
17話で関東大震災が起こり、村は壊滅的な被害に遭う。美鳥に会いに東京に行っていた夕月が心配になった珠彦は、最悪の事態ばかり考えてしまう。崩壊を免れた家に閉じこもって一人すすり泣くが、倒れた戸棚の下から夕月からの手紙とマフラー、キャラメルを見つけ気力と希望を取り戻して綾と共に東京に向かう。地獄のような光景を目の当たりにして、絶望的な気持ちになりながらもやっとの思いで見つけた夕月は、頭を打って昏睡状態にあった。迷わず抱きかかえ、東京駅で怪我人の治療をしていた叔父、珠介の元に連れていき、ほとんど寝ずに看病した末に目を覚ます。
学問に秀でており、綾の弟達や家から下の麓にある村の子供達に勉強を教えたこともある。
運動神経も悪くなく、足は速い。
夕月(ゆづき)
明治四十一年十二月三十一日生マレ。四尺七寸(141センチメートルくらい)。珠彦の嫁(世話係)として志磨家に1万円[1](読み切り版、本誌第1話では20万円[2])で買われた少女。14歳(第1話時点)。
性格は天真爛漫で、家事全般が得意。献身的に珠彦の世話をしていく中で彼に想いを寄せるようになる。珠彦からは「ユヅ」と呼ばれている。
ひどい癖毛と大きな胸が悩みの種。ふだんは胸をさらしを巻いて隠している。時にきつく巻きすぎてうなされ、さらしを取ろうと血が出るほど手をすりむいてしまう。それが元で珠彦に大きな胸を見られてしまう。
女学校時代の親友、美鳥とは度々親交があり、卒業後も文通をやりあう仲。その中で美鳥の妊娠と九州への引っ越しを知り、一度会いに東京に向かう。久しぶりの親友とのひと時を楽しむが、関東大震災に遭い、身重の美鳥を瓦礫から庇って意識不明になってしまう。千葉から徒歩でやってきた珠彦に抱えられ、珠介の元に連れてこられても目覚めないため、衰弱死を心配される。眠る意識の底では、珠彦への募る想いがあり、想いを伝えられなかったことを後悔していたことが判明する。目覚めてすぐ眼前に珠彦の顔があった際は、声を上げて泣きながら想いを伝えた。
ジャンプSQ.19』vol.18掲載の読み切り版では、ルックスとキャラクターが連載版とは異なり、少し美形な顔つきで大きな胸に対するコンプレックスもなく(サラシを使用していない)、少し下世話な娘に描かれている。この下世話な姿勢は両親の影響(話を聞いた珠彦は「好色漢な父上」と表現)によるものだが、結婚するまで貞操を守ろうとする姿勢は連載版と同じ。
第3話では家事をしながら歌う姿が描かれている。話中では「青い眼の人形(大正10年)」、「靴が鳴る(大正8年)」の2曲を歌っていたが、どちらも当時(大正11年1月)の流行歌であることから、女学校時代は割りとミーハーだったようである。また、『ヤングジャンプ』(集英社)2016年20号に掲載された特別編では、曲名を思い出せない珠彦の鼻歌から「星の界」だと気づき歌い出す。
赤ん坊のころ、姉を病気(鼠咬症)で亡くしている。

志磨家の人々[編集]

志磨 珠子(しま たまこ)
明治四十四年二月一日生マレ。五尺五寸(165センチメートルくらい)。女学校に通う珠彦の「血の繋がった」妹(次女)。12歳(第7話時点)ながら高身長で、夕月よりも遥かに大人びた美貌を持つ。久しぶりに再会した珠彦だけでなく、初対面の夕月にも悪態をつきまくる悪女だが、その裏で長兄と長姉から受ける扱いに寂しさを感じていた。
駅から珠彦の住む家(志磨家の別荘)まで何十里も荷物持ちに運ばせ、一人5円(10万くらい)ずつ払った世間知らず。
とある出来事がきっかけで夕月を「ユヅ姉様」と慕うようになり、珠彦に対しては以前よりもいわゆるツンデレ寄りな態度を見せている。
夕月の看病を行った後、一念発起し医者になることを目指し、神戸の叔父の元へ向かう。
志磨 珠義(しま たまよし)
志磨家の当主、珠彦の父。七人兄弟の長男。独特のくずし字を使う。
志磨 珠樹(しま たまき)
志磨家の長男、珠彦の兄。震災で重傷を負い、療養中だったが間もなく死亡。葬式の後、帰りの電車に揺られていた珠彦の夢に現れる。
志磨 珠代(しま たまよ)
志磨家の長女、珠彦の二歳上で腹違いの姉。1話の珠彦の回想では非情で気が強い性格だったが、22話では上品でおっとりとしながらも被災した街や負傷の身内でさえも嘲笑う冷血な性格となっている。6歳の珠子に芋虫の“活け造り”をさせ、恐怖で失禁した様を見て楽しんだりと、狂気的な一面もある。
志磨 珠央(しま たまお)
志磨家の三男、珠彦の弟。
曲直部 珠介(まなべ たますけ)
珠義の弟、珠彦の叔父。七人兄弟の末弟。39歳。神戸在住の外科医(入り婿)。珠子の留学先。

その他の人物[編集]

綾(りょう)
明治三十八年七月十七日生マレ。村はずれに住み、酒浸りの父親を見て育った。第11話で登場し、「人喰い志磨家」に身売りされた夕月が幸せそうに暮らす姿を見て二人の間を裂こうと画策する。18歳(第10話時点)。3人の弟を母親代わりに面倒をみている。得意料理は太巻き。
その後、二人との関係が良好となると、夕月不在のあいだ珠彦の生活を支える。
綾太郎(りょうたろう)
綾のすぐ下の弟。尋常小学校卒業後、東京の大店へ奉公に出ることになり村から離れる。出発にあたって珠彦を「先生」と呼び慕う。算数が苦手。
美鳥(みどり)
夕月の女学校時代の親友であり、珠彦と住むようになってからも文通を続けている。第15話で登場し、当時は東京在住。夕月のもとに妊娠したので結婚して九州に行くとの手紙が届き、会える内に会っておこうと夕月が東京へ向かうきっかけとなる。
白鳥ことり(しらとりことり)
明治三十八年七月七日生マレ。今をときめく19歳の歌手。ギターの弾き語りが老若男女問わず人気があり、夕月や珠子も大ファン。震災後、被災した村を回って即興ライブをしたことが新聞に載り、世間に疎い珠彦も存在を知る。
白鳥策(しらとり はかる)
ことりの双子の兄。五尺七寸弱(170センチメートルくらい)。眼鏡をかけた陽気な青年で、珠彦と同じ学校に転校してくる。

書誌情報[編集]

読み切り[編集]

  • 大正処女御伽話(第1話、第2話。本作のプロトタイプ) - 『ジャンプSQ.19』Vol.18掲載。
    • タイトルの漢字表記は同じだが、振られているルビは「タイショウヲトメおとぎばなし」になっている。
    • あらすじは連載版第1話、第2話と同じだが、夕月のキャラクターがかなり異なる。2017年6月現在、単行本には収録されていない。
  • 春ノ嵐ト黒百合 - 『ジャンプSQ.CROWN』2016SUMMER掲載。コミック第3巻に「番外編」として収録。
    • 珠子の夕月に対する付き合い方の変化が時系列に描かれた第7話から第9話のエピソードにおいて、第8話と第9話の間に位置する短編。
    • 第9話で三人が川の字に寝るコマにおいて、珠子と夕月の会話をキャッキャとオノマトペがつけられているが、本短編を読むことで珠子が夕月に懐いた理由が判る。このためか、コミック第1巻は第8話の後に本短編が収録され、第2巻は第9話から始まるようになっている。
  • 春ノ夜 星ノ界[3] - 『ヤングジャンプ』2016年第20号掲載。コミック第2巻に「特別編」として収録。
    • 作中に大正11年3月とあるが、第5話、第6話に明確な月の記述がないため、正確な各話間のつながりは不明。
    • ただし、本短編中に「死人のように暮らしている」の表現があること、第5話で父からの速達を読むまでは「のうのうと暮らしていた」の表現があること、第5話と第6話は2話掲載(ジャンプSQ.2015年10月号)であったこと、第7話で再会直後の珠子が「死人のくせに」と罵ることから、第6話と第7話の間に位置するものと推察する。
    • あらすじとしては、落ち込む珠彦を夕月が歌で慰めるというもの。作中には「春の小川」、「めえめえ児山羊」、そして「星の界星の世界)」を歌うシーンが描かれている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 「大体5000万前後」の注釈あり。
  2. ^ 「8,000万〜1億くらい」の注釈あり。
  3. ^ 「春ノ夜 星ノ界」の読みは「ハルノヨ ホシノヨ」。

出典[編集]

以下の出典は『集英社BOOK NAVI』(集英社)内のページ。書誌情報の発売日の出典としている。

外部リンク[編集]