国体の本義

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国体の本義
國體の本義
著者 文部省 編纂
発行日 1937年(昭和12年)3月30日
発行元 文部省
ジャンル 思想
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 パンフレット
ページ数 156頁
公式サイト NDLJP:1156186
NDLJP:1219377
NDLJP:1880826
NDLJP:1111807
コード ISBN 4-8205-8837-0
ISBN 978-4-284-30618-8
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国体の本義』(こくたいのほんぎ)とは、1937年(昭和12年)に、「日本とはどのようなか」を明らかにしようとするために、当時の文部省学者たちを結集して編纂した書物である。神勅万世一系が冒頭で強調されており、国体明徴運動の理論的な意味づけとなった。

概要[編集]

大日本帝国は、万世一系の天皇皇祖の神勅を奉じて永遠にこれを統治し給ふ。これ、我が万古不易の国体である。」と国体定義した上で、共産主義無政府主義を否定するのみならず、民主主義自由主義をも国体にそぐわないものとしている。また共産主義ファシズムナチズムなどが起こった理由として個人主義の行き詰まりを挙げている。

『国体の本義』の「万世一系」論[編集]

(旧字旧仮名版)

第一 大日本國體
一、肇國
 大日本帝國は、萬世一系の天皇皇祖の神勅を奉じて永遠にこれを統治し給ふ。これ、我が萬古不易の國體である。而してこの大義に基づき、一大家族國家として億兆一心聖旨を奉體して、克く忠孝の美徳を発揮する。これ、我が國體の精華とするところである。この國體は、我が國永遠不變の大本であり、國史を貫いて炳として輝いてゐる。而してそれは、國家の發展と共に彌〻鞏く、天壤と共に窮るところがない。我等は先づ我が肇國てうこくの事實の中に、この大本が如何に生き輝いてゐるかを知らねばならぬ。 — 文部省、國體の本義、9頁

(新字新仮名版)

第一 大日本国体
一、肇国
 大日本帝国は、万世一系の天皇皇祖の神勅を奉じて永遠にこれを統治し給ふ。これ、我が万古不易の国体である。而してこの大義に基づき、一大家族国家として億兆一心聖旨を奉体して、克く忠孝の美徳を発揮する。これ、我が国体の精華とするところである。この国体は、我が国永遠不変の大本であり、国史を貫いて炳として輝いている。而してそれは、国家の発展と共に弥々鞏く、天壌と共に窮るところがない。我等は先づ我が肇国ちょうこくの事実の中に、この大本が如何に生き輝いているかを知らねばならぬ。 — 文部省、國體の本義、9頁

天皇機関説への批判[編集]

(旧字旧仮名版)

天皇は統治權の主體であらせられるのであつて、かの統治權の主體は國家であり、天皇はその機關に過ぎないといふ說の如きは、西洋國家學說の無批判的の蹈襲といふ以外には何らの根據はない。天皇は、外國の所謂元首・君主・主權者・統治權者たるに止まらせられるお方ではなく、現御神あきつみかみとして肇國以來の大義に隨つて、この國をしろしめし給ふのであつて、第三條に「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」とあるのは、これを昭示せられたものである。外國に於て見られるこれと類似の規定は、勿論かゝる深い意義に基づくものではなくして、元首の地位を法規によつて確保せんとするものに過ぎない。 — 文部省、國體の本義、132-133頁

(新字新仮名版)

天皇は統治権の主体であらせられるのであって、かの統治権の主体は国家であり、天皇はその機関に過ぎないという説の如きは、西洋国家学説の無批判的の踏襲という以外には何らの根拠はない。天皇は、外国の所謂元首・君主・主権者・統治権者たるに止まらせられるお方ではなく、現御神あきつみかみとして肇国以来の大義に随って、この国をしろしめし給うのであって、第三条に「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」とあるのは、これを昭示せられたものである。外国に於て見られるこれと類似の規定は、勿論かかる深い意義に基づくものではなくして、元首の地位を法規によって確保せんとするものに過ぎない。 — 文部省、國體の本義、132-133頁

(旧字旧仮名版)

 明治以來の我が國の傾向を見るに、或は傳統精神を棄てて全く西洋思想に沒入したものがあり、或は歷史的な信念を維持しながら、而も西洋の學術理論に關して十分な批判を加へず、そのまゝこれを蹈襲して二元的な思想に陷り、而もこれを意識せざるものがある。又著しく西洋思想の影響を受けた知識階級と、一般のものとは相當な思想的懸隔を來してゐる。かくて、かゝる情態から種々の困難な問題が發生した。曾て流行した共產主義運動、或は最近に於ける天皇機關說の問題の如きが、徃々にして一部の學者・知識階級の問題であつた如きは、よくこの間の消息を物語つてゐる。 — 文部省、國體の本義、149-150頁

(新字新仮名版)

 明治以来の我が国の傾向を見るに、或は伝統精神を棄てて全く西洋思想に没入したものがあり、或は歴史的な信念を維持しながら、而も西洋の学術理論に関して十分な批判を加えず、そのままこれを踏襲して二元的な思想に陥り、而もこれを意識せざるものがある。又著しく西洋思想の影響を受けた知識階級と、一般のものとは相当な思想的懸隔を来している。かくて、かかる状態から種々の困難な問題が発生した。嘗て流行した共産主義運動、或は最近に於ける天皇機関説の問題の如きが、往々にして一部の学者・知識階級の問題であった如きは、よくこの間の消息を物語っている。 — 文部省、國體の本義、149-150頁

書誌情報[編集]

  • 『國體の本義』 文部省 編、文部省、1937年3月30日NDLJP:1156186
  • 『國體の本義』 文部省 編、文部省、1937年3月30日NDLJP:1219377
  • 『國體の本義』 文部省 編纂、内閣印刷局、1937年5月31日NDLJP:1880826
  • 『國體の本義』 文部省 編、大阪府立泉尾高等女学校白百合会、1938年3月30日NDLJP:1111807
  • 『國體の本義』 文部省 編纂、呉PASS出版、2015年

関連文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]