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名古屋市交通局3000形電車 (鉄道)

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名古屋市交通局3000形
名古屋市交通局3000形
(2007年6月1日 / 上小田井駅)
基本情報
製造所 日立製作所日本車輌製造
主要諸元
編成 6両(6M)
軌間 1,067
最高運転速度 100km/h
名鉄線急行運用時110km/h
鶴舞線内は75
起動加速度 3.0
減速度(常用) 3.5
車両定員 制御電動車140人
自重 制御電動車39.1t
全長 20,000
全幅 2,746
全高 4,128
台車 S形ミンデン空気バネ台車
主電動機 分割界磁式直流直巻電動機
主電動機出力 135kW
編成出力 3,240kW
定格速度 49
制御装置 自動可変界磁式(AVF)電機子チョッパ制御
制動装置 回生ブレーキ併用
電気指令式空気ブレーキ
保安装置 CS-ATC 、M形ATS
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名古屋市交通局3000形電車(なごやしこうつうきょく3000がたでんしゃ)は、1977年昭和52年)に登場した名古屋市交通局名古屋市営地下鉄鶴舞線用の通勤形電車

名古屋鉄道犬山線豊田線三河線直通運転をしている。

車両概要

1977年昭和52年)3月18日、鶴舞線伏見 - 八事間開業とともに営業運転を開始した。

当初の編成組成は4両だった。車体は骨組を普通鋼製、外板をステンレス製としたセミステンレス構造で、両開きの客用扉を片側あたり4箇所に配した標準的な20 m通勤型車両(車体長19.3m)である。それまで全長15.5 m × 全幅2.5 m × 全高3.4 m が車両の標準寸法となっていた名古屋市営地下鉄にとっては初の大型車となった。車体全高および室内高(平天井構造)の寸法も一般的なものとなっており、同じ目的で同時期に製造された名鉄100系電車よりも高い。車体幅も外板間は2740mm、最大幅当初2805mmで、地方鉄道車両定規を超えていた(現在は2746mm)。車体長がJRなどの20m車よりも200mm短い関係で客扉間隔も50mm短く、扉間座席の1人当り占有幅は約443mmである。これは6000形、3050形や名鉄100系についても同様である。その他、運転台窓の平面ガラス構成のパノラミックウインドウや、側窓の天地が小さめで幕板の広い側面見付けに名鉄の影響がうかがえる。またこの車両から、先頭車両前部上段には名古屋市営地下鉄のシンボルマークが入るようになった。

名鉄豊田線(当時豊田新線)との相互直通運転のため、保安装置は鶴舞線内でのCS-ATCに加え、名鉄用のM形ATSも搭載している。

鶴舞線開業の5日前(13日)に開業した神戸市交通局神戸市営地下鉄西神・山手線1000形と同様に、自動可変界磁電機子チョッパ制御回生ブレーキ冷房装置が導入された。車両への冷房装置搭載は名古屋市営地下鉄では初めてである。このため初期の車両は客室側窓がHゴム支持による固定窓とされたが、1981年(昭和56年)以降の増備車は省エネルギー対策として約半数の側窓がサッシ付きの開閉式に変更された。室内化粧板は濃クリーム色である。

チョッパ制御装置は1C8M方式で、容量1,800kW、合成周波数486Hzである。主電動機の定格値は端子電圧375V、電流395A、出力135kW、定格回転数1,960rpm(80%界磁)、最弱め界磁率39%である。最長編成をMT比6M2Tの8両編成と設定したため、大出力の主電動機を採用した。

将来の8両編成化を前提として、車両番号は百の位の3 - 6(4両分)を欠番として付番されたが、後述する6両化は3050形の導入および本形式の組成変更により実施されたため、現行編成の車両番号下2桁は6両編成のうち中間の2両が他の4両と異なっている(さらに一部は側窓も異なる)ほか、すべての編成に先頭車が1両ずつ中間車代用として組み込まれている。

車内放送には自動放送装置を採用し、名鉄線内でも使用されている。また、名鉄線対応設備として中間車両にもドア開閉装置(車掌スイッチ)を設置している。これは名鉄線内において車内を巡回する車掌が任意の車両において扉扱いを行うために設置されていたが、同社の駅員無配置駅における出改札自動化(駅集中管理システム)の進展により、運用線区全線において原則的に車内改札を省略するようになったことから、豊田線以外での使用は少なくなった。

中間に3000形2両を挟んだ3050形3159F編成
(2006年2月2日 / 岩倉駅)

1993年平成5年)8月12日の全線開通と名鉄犬山線への直通運転開始に際して、6両編成に組成変更された。また、これにより余剰となった2両ユニット1本 (3706 - 3806) は、新造された3050形3159編成の中間に組み込まれ、同編成の3・4号車として運用されている。

2007年(平成19年)現在は6両編成15本(90両)と3050形編成に組み込まれた2両の計92両が在籍している。

当形式のうち、開業当初からの車両は車齢が30年を数えており、2006年(平成18年) - 2010年(平成22年)度の計画により順次廃車され新型車両に置き換わることが決定していたが、交通局の予算の関係上、鶴舞線への新型車両投入は2011年(平成23年)度に延期されることが明らかにされている。当初は3050形の増備を行う計画であったが、現在は新形式を導入する計画へと変更された。なお、3159編成に組み込まれている2両の置き換えについては未定である。

編成

← 豊田市・赤池
上小田井・犬山 →
3100 3200 3100 3200 3700 3800
3100 3200 3700 3800 3700 3800

現在の本形式はすべて6両編成だが、現在の編成組成には上表の通り2種類ある。

これは、元々全て以下のような組成であった4両編成の一部を、中間で2両ずつに分割してそれぞれ別の4両編成と組み合わせる、という手法で6両編成としたためである。また、この過程で3706+3806の2両1組が余ったため、3050形3159Fに中間車として組み込まれている。

← 豊田市・赤池
上小田井・犬山 →
3100 3200 3700 3800

営業区間

急行運転

2005年(平成17年)1月29日ダイヤ改正から、名鉄犬山線の線路容量の関係で当形式と3050形が初めての急行運転を開始した。また2007年(平成19年)6月30日のダイヤ改正では岩倉行きの急行を新設(普通から急行に格上げ)した。なお、2008年のダイヤ改正以降、急行運転の時は名鉄線内に入ると自動放送の使用を停止し、車掌が肉声で案内している。これは同改正時に急行が扶桑駅にも停車することとなったが、自動放送が更新されていないためである。

外部リンク

参考文献

  • 電気学会「チョッパ制御ハンドブック(第2版)」1980年1月15日発行