名古屋市交通局3000形電車 (鉄道)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
名古屋市営地下鉄3000形電車
Nagoya-Municipal-Subway Series3000-3120.jpg
3000形電車
(2019年7月14日 上小田井駅
基本情報
運用者 名古屋市交通局
製造所 日本車輌製造
日立製作所笠戸事業所
製造年 1977年 - 1984年
製造数 23編成92両
運用開始 1977年3月18日
投入先 鶴舞線
主要諸元
編成 4両編成(登場時)
6両編成(廃車直前)
軌間 1,067 mm(狭軌
電気方式 直流1,500 V(架空電車線方式
最高運転速度 75 km/h(鶴舞線)
100 km/h(名鉄線)
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 3.0 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.0 km/h/s
車両定員 先頭車130人(48席)
中間車140人(54席)
自重 先頭車38.0 t・39.1 t
中間車36.4 t・37.9 t
長さ 20,000 mm
2,746 mm
高さ 先頭車4,128 mm
中間車4,023 mm
車体 ステンレス鋼製(内部は普通鋼製)
台車 S形ミンデン空気ばね台車
住友(現・日鉄)製FS394
主電動機 分割界磁式直流直巻電動機
主電動機出力 135 kW × 4
駆動方式 WNドライブ
編成出力 3,240 kW × 4
定格速度 49 km/h
制御方式 AVF式チョッパ制御
制御装置 回生ブレーキ付き
制動装置 MBS-R形デジタル演算電気指令式電空併用ブレーキ
耐雪ブレーキ付き
保安装置 車内信号ATC(地下鉄線内)
M式ATS(名鉄線内)
テンプレートを表示

名古屋市交通局3000形電車(なごやしこうつうきょく3000がたでんしゃ)は、1977年昭和52年)から2023年令和5年)にかけて鶴舞線で使用される名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)の通勤形電車である。

鶴舞線のほか、名古屋鉄道犬山線豊田線三河線直通運転をしている。ただし、三河線では、梅坪 - 豊田市間以外、営業運転内での直通は行われていない。

概要[編集]

冷房化推進と庄内緑地公園 - 浄心 - 伏見 - 八事 - 赤池間開業に際し、1977年(昭和52年)[注釈 1]から1984年(昭和59年)にかけて4両組成23本(92両)が導入されたセミステンレス製のAVF式チョッパ制御車。

従来長さ15.5 m × 幅2.5 m × 高さ3.4 mが車両の標準寸法となっていた名古屋市営地下鉄で初めて冷房装置と回生ブレーキが導入、固定と2連窓と7人掛け座席が採用、荷物棚が設置、つり革が客用ドア付近に増設された。

両開きの客用ドアを片側あたり4箇所に配した標準的な20 m通勤形車両(全長19.3 m)であり、車体全高および室内高(平天井構造)の寸法も一般的なものとなっており、同じ目的で同時期に製造された名鉄100系よりも高い。全幅も外板間は2740 mm、最大幅当初は2805 mmで、地方鉄道車両定規を超えていた(現在は2746 mm)。全長がJRなどの20 m車よりも200 mm短い関係で、客用ドア間隔も50 mm短く、客用ドア間座席の1人当り占有幅は443 mmとなっている。これは桜通線6000形3050形や名鉄100系についても同様である。また、運転台の平面窓ガラス構成のパノラミックウインドウや客室窓の天地が小さめで、幕板の広い側面見付けに名鉄の影響が伺えるほか、本形式からは、名古屋市営地下鉄のシンボルマークが正面上段に入るようになった。

制御装置は1C8M方式で、容量1,800 kW、合成周波数486 Hzである。主電動機の定格値は端子電圧375 V、電流395 A、出力135 kW、定格回転数1,960 rpm(80%界磁)、最弱め界磁率39%である。最長編成をMT比6M2Tの8両編成と設定したため、大出力の主電動機を採用した。

名鉄豊田線(当時豊田新線)との相互直通運転のため、自動列車保安装置は鶴舞線内での車内信号ATCに加え、名鉄線内でのM式ATSも搭載している。

車内放送には自動放送装置を採用し、名鉄線内でも使用されている。また、名鉄線対応設備として中間車にも車掌スイッチを設置している。これは名鉄線内において車内を巡回する車掌が任意の車両においてドア扱いを行うために設置されていたが、同社の駅員無配置駅における出改札自動化(駅集中管理システム)の進展により、運用線区全線において原則的に車内改札を省略するようになったことから、豊田線区間での車内巡回以外では利用されていない。

製造時期による差異[編集]

  • 1976年度末 - 1978年度初頭竣工の3101編成 - 3113編成はHゴム支持による固定窓で、1981年度竣工の3114編成以降は約半数が金属支持によるバス窓に変更され、客室窓が異なる。
  • 1976年度末 - 1981年度竣工の3101編成 - 3117編成はHゴム支持で、1984年度竣工の3118編成以降は金属支持に変更され、客用ドアおよび正面の窓ガラス押さえが異なる。

車体[編集]

  • 1976年度末竣工の3101編成 - 3109編成は曲線で、1978年度初頭竣工の3110編成以降は直線に変更され、乗務員室扉のバス窓枠下部の角形状が異なる。
  • 1976年度末 - 1978年度初頭竣工の3101編成 - 3113編成はポリエステルコーティングで、1981年度竣工の3114編成以降はポリ塩化ビニル屋根に変更され、屋根の絶縁体が異なる。
  • 1976年度末 - 1978年度初頭竣工の3101編成 - 3113編成はキーストーンプレートで、1981年度竣工の3114編成以降はステンレス鋼に変更され、床板が異なる。
  • 1976年度末 - 1981年度竣工の3101編成 - 3117編成はHゴム支持で、1984年度竣工の3118編成以降は金属支持に変更され、方向幕の窓ガラス押さえが異なる。
  • 1978年度初頭竣工の3110編成以降は正面貫通路部の厚みが減少している。
  • 1981年度竣工の3114編成以降は標識灯兼尾灯カバーが大型化、助士側乗務員室扉右側の手すりの長さが短縮されている。

車内[編集]

  • 1976年度末 - 1981年度竣工の3101編成 - 3117編成と1984年度竣工の3118編成以降では客用ドア床面の滑り止めの形状が異なる。
  • 1978年度初頭竣工の3110編成以降は車端部妻面に掲出されている禁煙プレートが若干小型化され、角が若干丸くなっている。

乗務員室[編集]

  • 1976年度末竣工の3101編成 - 3109編成は上開きで、1978年度初頭竣工の3110編成以降は下開きに変更され、前面方向幕蓋の開き方が異なる。
  • 1976年度末 - 1981年度竣工の3101編成 - 3117編成は前面方向幕蓋で、1984年度竣工の3118編成以降は正面方向幕蓋下部に変更され、覗き窓の位置が異なる。
  • 1976年度末竣工の3101編成 - 3109編成と1978年度初頭竣工の3110編成以降では前面貫通扉の窓ガラス位置が異なる。
  • 1976年度末 - 1978年度初頭竣工の3101編成 - 3113編成と1981年度竣工の3114編成以降では乗務員室扉下部構造が異なる。
  • 1978年度初頭竣工の3110編成以降は車掌スイッチを乗務員室扉横に移設している。
  • 1978年度初頭竣工の3110編成以降は前面方向幕蓋の覗き窓が拡大されている。
  • 1981年度竣工の3114編成以降は前面方向幕蓋が大型化されている。

編成[編集]

登場時[編集]

← 豊田市・赤池
上小田井 →
製造時期
形式 3100 3200 3700 3800
区分 Mc1 M2 M1 Mc2
車両番号 3101 3201 3701 3801 初期
3113 3213 3713 3813
3114 3214 3714 3814 後期
3123 3223 3723 3823

6両編成化後[編集]

3100形と3200形を中間に組み込んだパターン
← 豊田市・赤池
上小田井・犬山 →
省令対応
形式 3100 3200 3100A 3200 3700 3800
区分 Mc1 M2 M1 M2 M1 Mc2
車両番号 3101 3201 3104 3204 3701 3801 非対応
3107 3207 3105 3205 3707 3807
3111 3211 3103 3203 3711 3811
3112 3212 3106 3206 3712 3812
3113 3213 3109 3209 3713 3813 対応済
3114 3214 3119 3219 3714 3814
3118 3218 3117 3217 3718 3818
3122 3222 3121 3221 3722 3822
3700形と3800形を中間に組み込んだパターン
← 豊田市・赤池
上小田井・犬山 →
省令対応
形式 3100 3200 3700 3800A 3700 3800
区分 Mc1 M2 M1 M2 M1 Mc2
車両番号 3102 3202 3703 3803 3702 3802 非対応
3108 3208 3705 3805 3708 3808
3110 3210 3704 3804 3710 3810 対応済
3115 3215 3709 3809 3715 3815 非対応
3116 3216 3717 3817 3716 3816 対応済
3120 3220 3719 3819 3720 3820
3123 3223 3721 3821 3723 3823
3159編成
← 豊田市・赤池
上小田井・犬山 →
備考
形式 3150 3250 3700 3800A 3750 3850
区分 Mc T M1 M2 M Tc
車両番号 3159 3259 3706 3806 3759 3859 中間2両

廃車時期の延期と計画の変更[編集]

竣工から約30年が経過し、車体と機器類の老朽化が進んでいることから、3159編成中間車と1次車のみで構成される編成(2次車と3115編成に組み込まれた1次車を除く)の廃車時期に差し掛かったため、2006年から2010年にかけて3050形が再増備される予定だったが、東山線5000形の廃車時期に差し掛かった予算制約の関係上、本形式の廃車時期は2011年に延期、計画は3050形の再増備からN3000形の導入に変更された。

改造[編集]

新造の3050形(3159編成)に組み込まれた2両
(2006年2月2日 / 岩倉駅
発車予告ベルから発車予告ブザーへの交換

当初は発車予告ベルだったが、後に発車予告ブザーに交換された。そのため、他形式とは発車予告音が大きく異なる。

先頭車16両の中間車化と組成変更

上小田井 - 庄内緑地公園間開業と名鉄犬山線への相互直通運転開始に際し、1993年8月12日に先頭車16両の中間車化が行われ、うち30両は前後4両と車番下2桁(一部は客室窓)の異なる6両編成を組成し、余剰となった2両は新造の3050形(3159編成)に組み込まれたが、前照灯と標識灯兼尾灯はそのまま残された。

前照灯と標識灯兼尾灯の撤去

2003年から2004年にかけて元先頭車16両に前照灯と標識灯兼尾灯の撤去が行われた。

パンタグラフの撤去

離線による回生失効対策のため、2004年から2008年にかけてMc車およびM車のパンタグラフが1両当たり2基のうち1基撤去された。

車内信号式ATC更新

機器類の老朽化対策のため、2009年から2011年にかけて残る6編成に車内信号式ATC更新が行われた。

省令対応改造

2012年には、車内信号式ATC更新車6編成に省令対応改造が行われた。

客用ドア横の路線ステッカー更新

2015年8月から10月にかけて3159編成中間車と3118編成・3122編成・3123編成に客用ドア横の路線ステッカー更新が行われた[1]

省令対応追加改造

2016年6月の省令対応期限に間に合わせるため、4月から5月にかけて3110編成・3113編成に省令対応追加改造が限定的に行われた。

車端部妻面貫通路上部のWi-Fiアンテナ取付

名古屋市交通局では、桜通線6050形6152編成を皮切りに、2017年1月から2月にかけて残る2両と6編成に車端部妻面貫通路上部のWi-Fiアンテナ取付が行われた。

乗務員室内助士側からの旧式非常はしご撤去と乗務員室内貫通扉前の手すり付き非常はしご追加搭載

2018年2月には、残る6編成に乗務員室内助士側からの旧式非常はしご撤去と乗務員室内貫通扉前の手すり付き非常はしご追加搭載が行われた。なお、当初より専用カバーが掛けられたが、3050形N3000形上飯田線7000形とは固定方法が異なる。

廃車[編集]

2012年3月16日からN3000形の営業運転が開始され、3月30日から2019年9月26日にかけて1次車[注釈 2]、2015年5月末から2017年9月7日にかけて2次車が廃車され、2016年6月25日から後期車も廃車が進み、2023年3月を最後に引退、形式消滅する予定。2015年8月30日に東山線5000形も本形式より先に引退したことにより、名古屋市営地下鉄のチョッパ制御車は消滅し、全車両がVVVF車となる見込み。

営業区間[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 実際には第一陣の落成は1976年内で、鉄道趣味誌では12月に運用開始した名鉄6000系と同じ号で紹介されている。
  2. ^ 一方、鶴舞線に乗り入れている名鉄100系も2021年時点で経年が約40年を超えているが、処遇は発表されていない。

出典[編集]

  1. ^ 地下鉄鶴舞線3000形 車体外観 | まるはち交通”. www.maruhachi-kotsu.com. 2021年4月16日閲覧。

参考文献[編集]

  • 電気学会「チョッパ制御ハンドブック(第2版)」1980年1月15日発行

関連項目[編集]

外部リンク[編集]