伊藤愛里

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伊藤 愛里 Portal:陸上競技
選手情報
フルネーム いとう あいり
ラテン文字 Airi Ito
国籍 日本の旗 日本
競技 陸上競技 (ハードル)
種目 100mハードル
所属 住友電工
大学 関西大学
生年月日 (1989-07-05) 1989年7月5日(34歳)
出身地 愛媛県松山市
身長 165cm
体重 49kg
引退 2017年度
成績
地域大会決勝 アジア選手権
100mH 8位 (2011年)
国内大会決勝 日本選手権
100mH 2位 (2011年, 2014年)
自己ベスト
100m 12秒39 (2012年)
200m 24秒92 (2011年)
100mハードル 13秒27 (2011年, 2013年)
400mハードル 59秒76 (2013年)
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伊藤 愛里(いとう あいり、1989年7月5日 - )は、愛媛県松山市出身の元陸上競技選手。専門はハードル競走100mハードルで、13秒27の自己ベストを持つ西日本学生記録保持者。2011年アジア選手権日本代表住友電工所属。

経歴[編集]

小学生時代まで[編集]

愛媛県松山市出身。血液型はB型[1]

バスケットボールドッジボールなどといった球技を経験。小学生時代から足は速く、バスケの試合でもドリブルをすれば周りは追いつけず、運動会のリレーでも最下位から他の走者をごぼう抜きしたことがあったという(母親談)。習い事では水泳ソロバン習字日本舞踊なども経験。

中学・高校生時代[編集]

松山市立西中学校に進学当初はテニスウェアが可愛いという理由からテニス部へ入部しようと考えていたが、部活動見学で陸上部へ行った際に先輩から飴を貰い、それがきっかけとなり陸上部へ入部。入部してしばらくは100m1500m走幅跳などに取り組んだが、ハードルを綺麗に跳ぶ他校の先輩の姿を見たのをきっかけに、1年の秋から100mハードルに取り組み始めた。なお、初めて走った100mジュニアハードルは17秒17だった[2]。3年時には四国大会への出場を決めたが、当時の実力は本人曰く「予選落ち」だった。しかし、グラウンドが家の近所という済美高校の練習に参加させてもらうと、成果があったのか四国大会では6位に入った。中学時代は全国大会を経験したことがなく、これが最高成績となった[1]

高校は家に近いということもあり、練習にも参加した済美高校に進学した。中学校は陸上に力を入れているところではなかったため、高校に入って陸上の基礎を学ぶと、1年時からインターハイ国民体育大会といった全国大会を経験。2年時にはインターハイで4位入賞を果たしたが、その年の冬から数々の故障に苦しみ[1]、3年時のインターハイは腰痛の影響もあって準決勝で敗退。日本ジュニア選手権では5位に入るも、2年時の自己ベスト(14秒13)を更新することはできなかった[3]

大学生時代[編集]

大学は地元の愛媛を離れて大阪の関西大学に進学した。当初は大学の職員を志望していたため、陸上より学業を優先することもあった。また、高校時代に引き続き腰痛にも悩まされ[2]、1年時は思うような結果を残せなかった。

2009年、高校時代の自己ベスト14秒13を3年ぶり更新して13秒台に突入し、インカレのタイトル(関西インカレ)も獲得した。

2010年、5月の関西インカレでは関西学生記録を15年ぶりに更新する13秒57(+1.0)で2連覇を達成[3]。9月の日本インカレでは自身の持つ関西学生記録を13秒50(+1.8)に更新したが、日本歴代9位(当時)の13秒28で優勝した木村文子に敗れ[4]、初の全国タイトルを逃した。

2011年、4月の織田記念国際予選で13秒30(+1.7)の西日本学生新記録・関西学生新記録(ともに当時)を樹立すると、決勝でも13秒33(+0.1)と2ラウンド連続の13秒3台で2位に入った。勢いは止まらず、5月の関西インカレでは日本歴代10位・日本学生歴代2位(ともに当時)・西日本学生新記録・関西学生新記録の13秒27(+0.4)をマークし、13秒26の日本学生記録(当時)に迫るタイムで大会3連覇を達成した。なお、この時のフィニッシュタイマーは13秒25と点灯したが、正式タイムは13秒27に修正された[2]。6月の日本選手権で初の表彰台(2位)に上ると、7月のアジア選手権では初めて日の丸を背負い8位、8月のユニバーシアードでは初めて世界大会を経験し準決勝まで進出した。9月の日本インカレでは初優勝を成し遂げるとともに、初の全国タイトルを獲得した。

社会人時代[編集]

大学で就職活動を始めた頃は「陸上は大学で終わりかな」と思っていたが、卒業後は住友電工に入社[5]

2012年、9月の全日本実業団選手権では木村文子を抑えて優勝し、社会人になって最初の全国タイトルを獲得。以降、2014年まで大会3連覇を達成した。

2013年、6月の日本選手権では13秒27(-0.6)の自己ベストタイをマークするも、モスクワ世界選手権の参加B標準記録(13秒10)を破った紫村仁美(13秒02)と木村文子(13秒03)に次ぐ3位に終わった。10月の東アジア大会では途中棄権に終わったが、1928年に創部された住友電工陸上部の歴史において日の丸をつけて国際大会に出場した史上初の選手となった[5]

2014年、6月の日本選手権では木村文子に及ばなかったものの、2011年大会に並ぶ過去最高の2位に入った。10月の国民体育大会では紫村仁美に0秒02差で競り勝ち初優勝を成し遂げた。

2015年、9月の全日本実業団選手権は紫村仁美に0秒01差で敗れ4連覇は逃したが、10月の国民体育大会は自己ベスト(13秒27)に迫る13秒34(+2.0)で2連覇を達成した。大会後は腰に違和感を覚えながらも、2年後の地元愛媛で開催される国民体育大会まで現役を続けることを決意した[6]

2017年、地元愛媛県で開催された10月の国民体育大会では、開会式で女子選手を代表し選手宣誓の大役を務めた。腰に複数の骨折を抱えるなど、万全の状態ではない中で出場した100mハードルは予選で敗退し、レース後に現役引退を表明した[6]

自己ベスト[編集]

  • 記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風、-は向かい風を意味する。
種目 記録 年月日 場所 備考
屋外
100m 12秒39 (+1.0) 2012年6月24日 日本の旗 鳥取市
200m 24秒92 (0.0) 2011年4月5日 日本の旗 大阪市
100mハードル 13秒27 (+0.4) 2011年5月12日 日本の旗 大阪市 日本学生歴代4位
西日本学生記録
関西学生記録
13秒27 (-0.6) 2013年6月8日 日本の旗 調布市
400mハードル 59秒76 2013年5月18日 日本の旗 尼崎市

主要大会成績[編集]

  • 備考欄の記録は当時のもの

国際大会[編集]

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2011 (大4) アジア選手権 日本の旗 神戸 100mH 8位 13秒55 (-0.9)
ユニバーシアード (en 中華人民共和国の旗 深圳 100mH 準決勝 13秒56 (-0.4)
2013 (社2) 東アジア大会 (en 中華人民共和国の旗 天津 100mH 決勝 DNF

日本選手権[編集]

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2009 (大2) 第93回 広島市 100mH 予選 14秒13 (-0.1)
2010 (大3) 第94回 丸亀市 100mH 7位 13秒99 (-2.0)
2011 (大4) 第95回 熊谷市 100mH 2位 13秒48 (-1.3)
2012 (社1) 第96回 大阪市 100mH 4位 13秒57 (-0.7)
2013 (社2) 第97回 調布市 100mH 3位 13秒27 (-0.6) 自己ベストタイ
横浜市 4x100mR 予選 46秒60 (1走)
2014 (社3) 第98回 福島市 100mH 2位 13秒46 (+1.6)
2015 (社4) 第99回 新潟市 100mH 7位 13秒67 (-0.2)
2016 (社5) 第100回 名古屋市 100mH 予選 13秒89 (+0.4)

その他[編集]

大会 場所 種目 結果 記録 備考
2005 (高1) インターハイ 千葉市 100mH 予選 15秒66
国民体育大会 岡山市 100mYH 準決勝 14秒73 (+1.6)
2006 (高2) 日本ジュニア選手権 出雲市 100mH 予選 14秒55 (-2.3)
インターハイ 大阪市 100mH 4位 14秒20 (-1.7) 準決勝14秒13 (0.0):自己ベスト
4x100mR 予選 49秒27 (2走)
2007 (高3) インターハイ 佐賀市 100mH 準決勝 14秒60 (-0.2)
4x100mR 予選 50秒38 (4走)
日本ジュニア選手権 大分市 100mH 5位 14秒37 (0.0)
2008 (大1) 関西インカレ 京都市 100mH 8位 14秒61 (+1.9)
4x100mR 予選 48秒73 (2走)
2009 (大2) 関西インカレ 京都市 100mH 優勝 13秒95 (+1.3) 自己ベスト
西日本インカレ 丸亀市 100mH 3位 14秒12 (+0.7)
4x100mR 予選 49秒92 (2走)
日本インカレ 東京都 100mH 準決勝 14秒26 (+0.5)
国民体育大会 新潟市 100mH 8位 14秒19 (-0.1)
4x100mR 予選 48秒66 (2走)
2010 (大3) 関西インカレ 大阪市
京都市
200m 準決勝 25秒43 (-0.3)
100mH 優勝 13秒57 (+1.0) 関西学生記録
大会記録
4x100mR 5位 48秒01 (4走)
トワイライト・ゲームス 東京都 100mH 3位 13秒86 (+0.3)
日本インカレ 東京都 100mH 2位 13秒50 (+1.8) 関西学生記録
スーパー陸上 川崎市 100mH 4位 13秒59 (-0.7)
国民体育大会 千葉市 100mH 5位 13秒54 (+0.5)
実業団・学生対抗 小田原市 100mH 3位 13秒67 (-0.4)
2011 (大4) 織田記念国際 広島市 100mH 2位 13秒33 (+0.1) 予選13秒30 (+1.7):西日本学生記録
関西インカレ 大阪市 200m 3位 24秒93 (+0.2)
100mH 優勝 13秒27 (+0.4) 西日本学生記録
4x100mR 9位 51秒06 (2走)
4x400mR 3位 3分46秒07 (2走)
日本学生個人選手権 平塚市 100mH 決勝 DNS 準決勝3組1着:13秒81 (+1.1)
西日本インカレ 岐阜市 100mH 優勝 13秒51 (-1.3) 大会記録
4x100mR 8位 49秒19 (2走)
日本インカレ 熊本市 100mH 優勝 13秒52 (-0.6) 初の全国優勝
4x100mR 予選 47秒93 (4走)
4x400mR 予選 3分49秒89 (2走)
国民体育大会 山口市 100mH 4位 13秒54 (+0.4)
2012 (社1) 織田記念国際 広島市 100mH 5位 13秒48 (+1.7)
ゴールデングランプリ川崎 川崎市 100mH 6位 13秒62 (+0.3)
関西実業団選手権 尼崎市 200m 4位 25秒59 (-1.0)
100mH 優勝 13秒87 (+0.7)
4x400mR 優勝 4分00秒18 (2走)
布勢スプリント 鳥取市 100m 7位 12秒48 (0.0)
100mH 優勝 13秒39 (+1.3)
全日本実業団選手権 福岡市 100mH 優勝 13秒51 (-1.7)
実業団・学生対抗 小田原市 100mH 優勝 13秒51 (+0.3)
2013 (社2) 関西実業団選手権 尼崎市 100mH 優勝 13秒85 (-0.2)
400mH 2位 59秒76 自己ベスト
4x100mR 優勝 46秒95 (3走) 大会記録
4x400mR 優勝 3分55秒21 (4走) 大会記録
布勢スプリント 鳥取市 100m 決勝 12秒45 (+1.6)
100mH 優勝 13秒74 (+1.1)
全日本実業団選手権 熊谷市 100mH 優勝 13秒56 (0.0) 2連覇
4x100mR 2位 46秒43 (1走)
2014 (社3) 織田記念国際 広島市 100mH 4位 13秒66 (+0.7)
ゴールデングランプリ東京 東京都 100mH 7位 13秒51 (+1.9)
布勢スプリント 鳥取市 100m 予選 12秒56 (+1.2)
100mH 2位 13秒64 (+0.5)
実業団・学生対抗 小田原市 100mH 優勝 13秒48 (+2.0)
全日本実業団選手権 山口市 100mH 優勝 13秒53 (-0.3) 3連覇
国民体育大会 諫早市 100mH 優勝 13秒52 (-1.8)
4x100mR 予選 48秒40 (2走)
2015 (社4) 静岡国際 袋井市 100mH 5位 13秒52 (+0.2)
ゴールデングランプリ川崎 川崎市 100mH 8位 13秒59 (+0.9)
ナイトオブアスレチックス ヒュースデン=ゾルダー 100mH 8位 13秒83 (+1.4)
全日本実業団選手権 岐阜市 100mH 2位 13秒41 (+1.7)
4x100mR 3位 46秒51 (1走)
国民体育大会 和歌山市 100mH 優勝 13秒34 (+2.0) 2連覇
4x100mR 予選 48秒60 (4走)
布勢スプリント 鳥取市 100mH 2位 13秒61 (+1.0)
2016 (社5) 関西実業団選手権 大阪市 100mH 2位 14秒13 (+0.2)
4x100mR 優勝 47秒36 (4走)
2017 (社6) 全日本実業団選手権 大阪市 100mH 予選 14秒28 (+0.5)
国民体育大会 松山市 100mH 予選 14秒55 (-0.1)

脚注[編集]

  1. ^ a b c 「マイプライバシー / 伊藤愛里(関大)」『月刊陸上競技』第45巻第13号、講談社、2011年12月号、221頁。 
  2. ^ a b c 「地区インカレ 2011ダイジェスト / 関西インカレ」『陸上競技マガジン』第61巻第12号、ベースボール・マガジン社、2011年7月号、50-51頁。 
  3. ^ a b 「関西インカレ」『陸上競技マガジン』第60巻第12号、ベースボール・マガジン社、2010年7月号、155頁。 
  4. ^ 「第79回日本インカレ」『月刊陸上競技』第44巻第12号、講談社、2010年11月号、114頁。 
  5. ^ a b 「実業団密着取材 住友電気工業株式会社」『月刊陸上競技』第48巻第6号、講談社、2014年5月号、84-91頁。 
  6. ^ a b 陸上 野本 風に乗り加速 成年男子110障害”. 愛媛新聞 (2017年10月10日). 2017年11月14日閲覧。

参考資料[編集]

外部リンク[編集]

記録
先代
松浦真枝
(13秒48)
1995年6月10日
女子100mハードル
西日本学生記録保持者
(13秒30 - 13秒27)

2011年4月29日 -
次代
未定
先代
浅田智美
(13秒71)
1995年7月8日
女子100mハードル
関西学生記録保持者
(13秒57 - 13秒27)

2010年5月14日 -
次代
未定