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ルノー・25

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ルノー・25
フェーズ I
フェーズ II
概要
販売期間 1983年 - 1992年
ボディ
乗車定員 5名[1]
ボディタイプ 5ドアハッチバック/リムジン
駆動方式 FF
パワートレイン
変速機 5速MT[2]/3速AT[1]
前 ダブルウィッシュボーン
後 マクファーソンストラット[3]
前 ダブルウィッシュボーン
後 マクファーソンストラット[3]
車両寸法
ホイールベース 2,725mm[4]
全長 4,640mm[4]
全幅 1,770mm[4]
全高 1,400mm[4]
車両重量 1,290kg[4]
系譜
先代 ルノー・20および30
後継 ルノー・サフラン
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ルノー・25(Renault 25,R25)は、フランスの自動車製造会社であるルノーが製造したハッチバック型の乗用車である。フランス語では「25」を「ヴァンサンク」(: vingt-cinq)と読む。

概要

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1983年11月[5]にルノーの最高級車20、および30の後継型として発売された。シートを本革であつらえ、専用スーツケースを備えた高級バージョンの「バカラ」(Baccara[6]も用意されるなど、名実ともにフランスの最高級車であった。空気抵抗はCd値0.28と極めて低い[7]。加えてこの数値は、当時最新の凹凸を極限まで抑えたフラッシュサーフェイスボディの成果で、アウディ・100を凌ぐ[8]

後席スペース拡大のためホイールベースを227mm延長したリムジン(Limousine )も生産され、標準車と同様の後席の他、2人がけ電動リクライニングシートの設定があった。これらは当時のフランス大統領専用車(フランソワ・ミッテラン大統領時代)や駐日フランス特命全権大使公用車としても採用された。

1988年に外装を中心に大規模な変更を受けてフェーズIIとなったが1992年に生産を終了、後継モデルのサフランに引き継がれた。

エンジン

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フェーズI J7T型 フェーズII J7R型
フェーズI J7T型
フェーズII J7R型

駆動方式は縦置きFFのみで、前からエンジン、デフトランスミッションと並び、エンジンがフロントオーバーハングにかかるレイアウトを採る。

フェーズIでは、ルノー、プジョー、ボルボが共同開発したPRVエンジンのZ7V型V型6気筒SOHCボアφ88.0×ストローク73.0mmで2,664cc、インジェクション[9][10]で144PS/5,500rpm、22.4kgm/3,00rpm[4]を筆頭に、直列4気筒J7T型2,165cc123PS[11]とJ6R型1,995cc103PS[11]ガソリンエンジンと、J8S型4気筒2,068cc64PS[11]自然吸気ターボ付きのディーゼルエンジンがラインナップされ、1985年アルピーヌ・V6 ターボ用とほぼ共通のV型6気筒・2.5L(Z7U型2,458cc)ガソリンターボが追加された。

V型6気筒モデルで1985年のデータでは最高速201km/h、0-100km/h10秒[7]、1986年のデータでは最高速196km/h、0-100km/h11.3秒[11]

フェーズIIではV6がZ7W型2,849ccに変更、自然吸気のディーゼルが廃止され、1989年に直列4気筒1,995ccガソリンエンジンが12バルブのJ7R型120PSに切り替わった。

ボディ

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フェーズIIバカラ
フェーズIIバカラのインテリア

ボディサイズは全長4,650mm×全幅1,770mm×全高1,405mm、ホイールベース2,725mm(リムジンを除く)、1,290kg(2,664cc、V6)。ボディ形状はこの車格では珍しく5ドアのハッチバックのみであった。これはルノー 16に始まり、20および30から引き継がれたもので、後継モデルのサフラン、ヴェルサティスも同じであることから、ルノー製高級車の伝統と言える。

内装はマルチェロ・ガンディーニスタイリングしており、ダッシュボードの特徴的な造形が目を引く。

日本への輸入

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当時のインポーターであったジヤクス・カーセールス(JAX)により、1984年夏にV型6気筒エンジンを搭載した25V6iが3ATの仕様で導入された。

フェーズIIへの移行は1989年式からで、V型6気筒エンジンを搭載した25V6iと、2,165ccの直列4気筒エンジンを搭載した25GTXが輸入された。

1990年から25バカラが輸入された。

関連モデル

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ダッジ・モナコ
1990 - 1992

アメリカでは当時ルノーと提携していたクライスラーから、ジョルジェット・ジウジアーロのスタイリングによって寸法を拡大し、4ドアボディにモディファイされたモデルがカナダアメリカン・モーターズ(AMC)の工場で生産され、イーグル・プレミア及びダッジ・モナコの名で販売された。

脚注

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  1. ^ a b 『外国車ガイドブック1987』p.217。
  2. ^ 『外国車ガイドブック1988』p.164
  3. ^ 『外国車ガイドブック1987』p.205。
  4. ^ a b c d e f 『外国車ガイドブック1987』p.204。
  5. ^ 『外国車ガイドブック1987』p.173。
  6. ^ ガラスメーカーのバカラBaccarat )とは無関係。
  7. ^ a b 『外国車ガイドブック1985』p.167。
  8. ^ 80年代輸入車のすべて- 魅惑の先鋭 輸入車の大攻勢時代. 三栄書房. (2013). pp. 65. ISBN 9784779617232 
  9. ^ 『外国車ガイドブック1985』p.167は自社製ルニックスとする。
  10. ^ 『外国車ガイドブック1986』p.211、『外国車ガイドブック1987』p.173、『外国車ガイドブック1988』p.197はボッシュ製Kジェトロニックとする。
  11. ^ a b c d 『外国車ガイドブック1986』p.165。

関連事項

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外部リンク

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参考文献

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  • 『外国車ガイドブック1984』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1985』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1986』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1987』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1988』日刊自動車新聞社
  • 『外国車ガイドブック1989』日刊自動車新聞社
  • 『輸入車ガイドブック1990』日刊自動車新聞社
  • 『輸入車ガイドブック1991』日刊自動車新聞社
  • 『輸入車ガイドブック1992』日刊自動車新聞社
  • 『輸入車ガイドブック1993』日刊自動車新聞社
  • 『輸入車ガイドブック1994』日刊自動車新聞社
ルノー ロードカータイムライン 1980年代-
タイプ 1980年代 1990年代 2000年代 2010年代 2020年代
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3
コンパクト トゥインゴ トゥインゴII トゥインゴIII
5/7 シュペール5 クリオI クリオII クリオIII クリオIV クリオV
シンボルI シンボルII
モデュス
カングー カングーII カングーIII
14 9/11 19 メガーヌI メガーヌII メガーヌIII メガーヌIV
フルエンス メガーヌIVセダン
パルス
スカラI スカラII
ミドル 18 21 ラグナI ラグナII ラグナIII
20/30 25 サフラン ヴェルサティス ラティテュード/サフラン
アッパー タリスマン(中国向け)
タリスマン
ミニバン セニックI セニックII セニックIII セニックIV
エスパスI エスパスII エスパスIII エスパスIV エスパスV エスパスVI
クーペ フエゴ アヴァンタイム ラグナクーペ
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