ミランダ (衛星)

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ミランダ
Miranda
Miranda.jpg
仮符号・別名 Uranus V
分類 天王星の衛星
軌道の種類 天王星周回軌道
発見
発見日 1948年2月16日
発見者 ジェラルド・カイパー
発見方法 直接観測
軌道要素と性質
元期:1980 Jan. 1.0 T.T
軌道長半径 (a) 12万9900 km[1]
離心率 (e) 0.0013[1]
公転周期 (P) 1.413479 [2]
軌道周期 4.338°[1]
近日点引数 (ω) 68.312°[1]
昇交点黄経 (Ω) 311.330°[1]
天王星の衛星
物理的性質
三軸径 480 × 468.4 × 465.8 km
半径 235.8 ± 0.7 km[3]
表面積 700,000km2
体積 54,835,000 km3
質量 6.59 ± 0.75 ×1019 kg[4]
平均密度 1.20 ± 0.15 g/cm3[4]
表面重力 0.079 m/s2
脱出速度 0.193 km/s
自転周期 1.413479
公転と同期
絶対等級 (H) 15.79 ± 0.04[5]
アルベド(反射能) 0.32 ± 0.03[5]
赤道傾斜角
(天王星の赤道に対する)
表面温度
最低 平均 最高
 ? ~60 K[6] 84 ± 1 K
大気圧 なし
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ミランダ(英語: Miranda)とは天王星の第5衛星。他の天王星の大型衛星と同じように、天王星の赤道面に近い軌道で公転している。しかし、天王星が横倒しで自転しているため、太陽、あるいは黄道に対しては横倒しで公転している事になる。そのため、ミランダは天王星と同様に極端な季節変化がある。ミランダの直径はわずか470kmで、太陽系の衛星の中でも静水圧平衡を満たす、最小級の衛星の一つである。静水圧平衡を満たす最小の衛星は土星ミマス(直径約400km)である。

ミランダには、太陽系の中で最も極端かつ多様な地形を持つ。高さ5kmから10kmで、太陽系最大の落差を誇るヴェローナ断崖が有名で、金星にも見られる、コロナと呼ばれている地殻変動の痕跡も残されている。この多様な地形の起源と進化については、完全に解明されておらず、ミランダの形成についても複数の仮説がある。

ミランダは1948年2月16日マクドナルド天文台で観測を行っていたジェラルド・カイパーによって発見された。ミランダという名は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「テンペスト」に登場するプロスペローの娘の名前に由来する[7]

2016年現在、ミランダに接近した画像を撮影したのはボイジャー2号のみで、1986年1月にフライバイによる接近観測を行った。その間、ミランダは南半球を太陽に向けていたため、その部分の観測しか成功していない。

発見と名前[編集]

ミランダは、1948年2月16日に、マクドナルド天文台にある口径82インチ(2080ミリメートル)のオットー・シュトルーベ望遠鏡で観測を行ったジェラルド・カイパーによって発見された[7][8]。同年3月1日に、天王星の周りを公転している事が確認された[7]。ミランダはここ100年間に発見された衛星では、最初に発見された衛星である。カイパーは、テンペストの登場人物からMirandaと命名された。それまで発見されていたアリエルウンブリエルチタニアオベロンはウィリアム・シェイクスピアかアレクサンダー・ポープの作品の登場人物から命名される。しかし、これら4つの衛星は、全て精霊の名前が由来になっている[9]が、それに対してミランダは、人間の名前が由来になっている。その後、発見された衛星は、精霊か人間か関わらず、全てシェイクスピアの作品から命名されている。

軌道要素[編集]

天王星の5大衛星のうち、ミランダは最も天王星に近い、12万9900kmの距離を公転している。これは、天王星の環の外縁にあたる距離である。公転周期はわずか34時間で、潮汐力によって自転周期は公転周期と同期している。そのため、ミランダはのように、天王星に対して同じ面を向き続けている。ミランダの軌道傾斜角(4.34°)は、他の天王星の規則衛星と比較すると、10倍以上も傾いている。なぜ、これほど軌道が傾いているかは分かっていない。ミランダは、他の衛星との間と軌道共鳴を起こしていない。 天王星系では、惑星の扁平率が比較的小さい事と、相対的な衛星の大きさが大きいため、衛星が天王星の重力圏から脱出する事は、木星土星よりもはるかに簡単である[10][11]

物理的特徴[編集]

1986年1月ボイジャー2号が撮影した、ヴェローナ断崖の拡大画像。高さは推定5kmとされている[12][13]

密度は約1.2 g/cm3で、ミランダは天王星の衛星でも、最も低密度の天体である。そのうちの60%以上はによるものとされている[14]。ミランダの表面は、ほとんどが低密度の氷や水から成り、内部はメチル基を含む有機化合物珪酸塩岩によって構成されている。

ミランダの表面には、深さ20km以上に及ぶ巨大な渓谷が縦横無尽に走っており、過去に破壊的な地殻変動があったことを示している。また、高さ5kmのヴェローナ断崖は、既知の太陽系の天体で、最も大規模な崖である。

ミランダの南半球には、競馬場のように、内部に溝が走ったコロナと呼ばれる地形が長さ200kmに渡って、3つも連なっている。深さは約20kmもあり、シェイクスピアの劇中の登場人物より、それぞれアーデン、エルシノア、インヴァネスと命名されている。これらは、地下深部からの上昇する物質によって、地殻の岩石が破壊されたり、もち上げられてできたドーム状の地形、ダイアピールである可能性がある[13][15][16][17]。画像があまり得られていない南半球の地域にも、同じような地形が存在する事がコンピュータモデルで占められている[18]


現在、ミランダがウンブリエルと軌道共鳴状態にある際、潮汐加熱により、表面で地質活動が生じたと考えられている[19]。共鳴により、軌道離心率は増加していたであろう。仮に、天王星のからの潮汐摩擦の影響を受けると、内部の温度が上昇する原因となったであろう[10][11]

また、ミランダはアリエルと5:3の軌道共鳴状態にあった可能性があり、それもミランダの潮汐加熱に影響を及ぼすはずである。しかし、それはウンブリエルによるものより、約3倍弱いとされている[19]

ボイジャー2号の観測から、ミランダはの地形は、ミランダ自身が一度破壊され、粉々になり、再び凝集して再形成されたことにより作られた可能性が示された[13]

天王星で2007年12月7日に起きた、ミランダによる日食

観測と探査[編集]

ミランダの表面を再現した立体映像。

ミランダの視等級は、約16.6等で、小型望遠鏡で捉える事はほぼ不可能である[20]。ミランダの詳細な性質のほとんどは、1986年に天王星をフライバイしたボイジャー2号の探査によって得られたものである。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. ジェット推進研究所(JPL). 2016年9月21日閲覧。
  2. ^ Uranian Satellite Fact Sheet”. NASA. 2016年9月21日閲覧。
  3. ^ Thomas, P. C. (1988). “Radii, shapes, and topography of the satellites of Uranus from limb coordinates”. Icarus 73 (3): 427–441. Bibcode 1988Icar...73..427T. doi:10.1016/0019-1035(88)90054-1. 
  4. ^ a b Jacobson, R. A.; Campbell, J. K.; Taylor, A. H.; Synnott, S. P. (June 1992). “The masses of Uranus and its major satellites from Voyager tracking data and earth-based Uranian satellite data”. The Astronomical Journal 103 (6): 2068–2078. Bibcode 1992AJ....103.2068J. doi:10.1086/116211. 
  5. ^ a b Planetary Satellite Physical Parameters”. ジェット推進研究所(JPL). 2016年9月21日閲覧。
  6. ^ Hanel, R.; Conrath, B.; Flasar, F. M.; Kunde, V.; Maguire, W.; Pearl, J.; Pirraglia; Samuelson, R. et al. (4 July 1986). “Infrared Observations of the Uranian System”. Science 233 (4759): 70–74. Bibcode 1986Sci...233...70H. doi:10.1126/science.233.4759.70. PMID 17812891. 
  7. ^ a b c Planet and Satellite Names and Discoverers”. Planetary Names. 国際天文学連合. 2015年1月11日閲覧。
  8. ^ Otto Struve Telescope”. MacDonald Observatory (2014年). 2014年10月21日閲覧。
  9. ^ S G Barton. “The Names of the Satellites”. Popular Astronomy 54: 122. 
  10. ^ a b Tittemore, William C.; Wisdom, Jack (March 1989). “Tidal evolution of the Uranian satellites: II. An explanation of the anomalously high orbital inclination of Miranda”. Icarus 78 (1): 63–89. Bibcode 1989Icar...78...63T. doi:10.1016/0019-1035(89)90070-5. 
  11. ^ a b Malhotra, Renu; Dermott, Stanley F. (June 1990). “The role of secondary resonances in the orbital history of Miranda”. Icarus 85 (2): 444–480. Bibcode 1990Icar...85..444M. doi:10.1016/0019-1035(90)90126-T. ISSN 0019-1035. 
  12. ^ PIA00044: Miranda high resolution of large fault”. JPL, NASA. 2016年12月31日閲覧。
  13. ^ a b c Chaikin, Andrew (2001年10月16日). “Birth of Uranus' Provocative Moon Still Puzzles Scientists”. Space.com. Imaginova Corp.. 2008年7月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月31日閲覧。
  14. ^ B. A. Smith (4 July 1986). “Voyager 2 in the Uranian System: Imaging Science Results”. Science 233: 55. Bibcode 1986Sci...233...43S. doi:10.1126/science.233.4759.43. PMID 17812889. 
  15. ^ Pappalardo, Robert T.; Reynolds, Stephen J.; Greeley, Ronald (1997-06-25). “Extensional tilt blocks on Miranda: Evidence for an upwelling origin of Arden Corona”. Journal of Geophysical Research 102 (E6): 13,369–13,380. Bibcode 1997JGR...10213369P. doi:10.1029/97JE00802. 
  16. ^ Bizarre Shape of Uranus' 'Frankenstein' Moon Explained
  17. ^ Uranus Miranda - Teach Astronomy
  18. ^ Bizarre Shape of Uranus' 'Frankenstein' Moon Explained”. space.com. 2016年11月9日閲覧。
  19. ^ a b Tittemore, William C.; Wisdom, Jack (June 1990). “Tidal evolution of the Uranian satellites: III. Evolution through the Miranda-Umbriel 3:1, Miranda-Ariel 5:3, and Ariel-Umbriel 2:1 mean-motion commensurabilities”. Icarus 85 (2): 394–443. Bibcode 1990Icar...85..394T. 
  20. ^ Doug Scobel (2005年). “Observe the Outer Planets!”. The University of Michigan. 2016年12月31日閲覧。

外部リンク[編集]