マーガレット (衛星)

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マーガレット
Margaret
仮符号・別名 S/2003 U 3
Uranus XXIII
分類 天王星の衛星
発見
発見日 2003年8月29日[1][2]
発見者 スコット・S・シェパード
デビッド・C・ジューイット
軌道要素と性質
平均公転半径 14,345,000 km[3][4]
離心率 (e) 0.6608 (平均)[4]
公転周期 (P) 1687.01 日[4]
軌道傾斜角 (i) 57° (黄道に対して)[3]
天王星の衛星
物理的性質
平均半径 10 km[3]
表面積 1,256.64 km2[1]
体積 4,189 km3[1]
質量 5.5×1015 kg[5]
平均密度 1.3 g/cm3 (仮定値)[5]
表面重力 ~0.0023 m/s2
脱出速度 ~0.005 km/s
アルベド(反射能) 0.04 (仮定値)[5]
表面温度
最低 平均 最高
~65 K (推定)
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マーガレット (Uranus XXIII Margaret) は、天王星の第23衛星である。発見されている天王星の不規則衛星の中では唯一、順行軌道を持つ衛星である[1]

発見と命名[編集]

マーガレットは、2003年8月29日にスコット・S・シェパードデビッド・C・ジューイットによって、すばる望遠鏡を用いた観測で発見された[6][7][8]。発見は10月9日に国際天文学連合および小惑星センターのサーキュラーで公表され、S/2003 U 3 という仮符号が与えられた[6]

その後2005年12月29日に、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『空騒ぎ』の主人公の侍女に因んで命名され、Uranus XXIII という確定番号が与えられた[9]

軌道[編集]

天王星の不規則衛星の軌道要素、横軸は天王星からの距離、縦軸は軌道傾斜角である。中心の横線より上が順行衛星、下が逆行衛星。マーガレットだけが順行衛星である

マーガレットは天王星の外側を回る不規則衛星の中で唯一順行している。右図はマーガレットを含む天王星の不規則衛星の軌道要素を示したものである。点のサイズは衛星の大きさを示している。横軸が天王星からの距離で、黄色の線は近点遠点を結ぶ線であり、線分の長さが軌道離心率の大きさを表している。縦軸は軌道傾斜角であり、図の中心に引かれた線より上が順行の衛星、下が逆行の衛星である。表の一番上にある衛星がマーガレットであり、マーガレットの特異性をよく表している。また黄色の線分が長いことから、軌道離心率が非常に大きいことも分かる。

マーガレットの軌道傾斜角は 57° であり、これは軌道安定性の限界に近い。天王星の周りでは、軌道傾斜角 i が 60° < i < 140° の中間的な値を持つ衛星は古在メカニズムを介した軌道不安定を起こすため、天王星の衛星でこの間の軌道傾斜角を持った衛星は発見されていない[3]。この不安定領域に衛星があった場合、遠点における太陽からの摂動によって軌道離心率が増加するため、1000万年〜1億年の間に衝突を起こすか天王星系からはじき出されてしまう。マーガレットの近点移動の周期はおおよそ160万年である[4]。マーガレット自身も遠い将来には天王星系からはじき出されてしまう可能性がある[10]

2019年現在のマーガレットの軌道離心率は0.812である[11]。これは太陽系内の衛星の中で最も大きな値であるが、平均の軌道離心率では海王星の衛星ネレイドの方が大きい。

出典[編集]

  1. ^ a b c d In Depth | Margaret – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空宇宙局 (2017年12月5日). 2019年1月17日閲覧。
  2. ^ Planet and Satellite Names and Discoverers”. Planetary Names. 国際天文学連合. 2015年1月11日閲覧。
  3. ^ a b c d Sheppard, Scott S.; Jewitt, David; Kleyna, Jan (2005). “An Ultradeep Survey for Irregular Satellites of Uranus: Limits to Completeness”. The Astronomical Journal 129 (1): 518–525. arXiv:astro-ph/0410059. doi:10.1086/426329. ISSN 0004-6256. 
  4. ^ a b c d Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  5. ^ a b c Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  6. ^ a b Daniel W. E. Green (2003年10月9日). “IAUC 8217: S/2003 U 3; 157P; AG Dra”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2019年1月17日閲覧。
  7. ^ Brian G. Marsden (2003年10月9日). “MPEC 2003-T58 : S/2003 U 3”. 小惑星センター. 2019年1月17日閲覧。
  8. ^ 天王星・海王星に新しい衛星”. 国立天文台・天文ニュース. 国立天文台 (2003年10月22日). 2019年1月17日閲覧。
  9. ^ Daniel W. E. Green (2005年12月29日). “IAUC 8648: Sats OF URANUS; 2005mf, 2005mg; C/2005 U7, C/2005 U8, C/2005 Y1”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2019年1月17日閲覧。
  10. ^ Brozovic, M.; Jacobson, R. A. (2009-03-04). “The Orbits of the Outer Uranian Satellites”. The Astronomical Journal 137 (4): 3834–42. Bibcode2009AJ....137.3834B. doi:10.1088/0004-6256/137/4/3834. http://iopscience.iop.org/article/10.1088/0004-6256/137/4/3834/meta. 
  11. ^ IAU-MPC Natural Satellites Ephemeris Service”. IAU: Minor Planet Center. 2008年1月26日閲覧。 (「Just the following Uranian outer irregular satellites」を選択、「Uranus XXIII (Margaret)」にチェックを入れ、「Orbital Elements」にチェックを入れて軌道要素取得)