ペルディータ (衛星)

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ペルディータ
Perdita
S/1986 U 10 がペルディータ
S/1986 U 10 がペルディータ
仮符号・別名 Uranus XXV
S/1986 U 10
分類 天王星の衛星
発見
発見日 1999年5月18日
1986年1月18日 (画像撮影日)[1]
発見者 Erich Karkoschka
ボイジャー2号
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 76,417 km[2]
離心率 (e) 0.0116[2]
公転周期 (P) 0.638 日[2]
軌道傾斜角 (i) 0.470°[2]
(天王星の赤道に対して)
近日点引数 (ω) 253.925°[2]
昇交点黄経 (Ω) 309.376°[2]
平均近点角 (M) 192.405°[2]
天王星の衛星
物理的性質
直径 26 km[3]
質量 1.8×1016 kg[3]
平均密度 1.3 g/cm3[3] (仮定値)
自転周期 同期回転[4]
アルベド(反射能) 0.070 ± 0.006[5]
表面温度
最低 平均 最高
~64 K
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ペルディータ (Uranus XXV Perdita) は、天王星の第25衛星である。

発見[編集]

ペルディータの発見の経緯は若干複雑である。ペルディータの最初の画像は、1986年1月18日にボイジャー2号が天王星をフライバイした際に撮影されていたが、10年以上にわたって新しい衛星であるとは認識されないままであった[6]

1999年5月18日になって、公開されていたボイジャー2号の観測データの中から Erich Karkoschka によって発見が報告され[7]S/1986 U 10 という仮符号が与えられた[4][6]。発見報告が1999年であるにも関わらず仮符号に「1986」と付いているのは、発見の元になった画像が撮影されたのが1986年だからである。しかし、この時にはペルディータの実在を確認する画像が撮影できなかったため、2001年にこの「新発見」は却下されていた[7][8][9]

その後2003年8月25日に、ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測で Mark R. Showalter と Jack J. Lissauer によってペルディータの画像が取得され、予想される位置にペルディータが存在するのが確認された[10]。この観測では、1986年に同じくボイジャー2号で発見されたもののその後検出が確認されていなかったオフィーリアも再発見されている[10]

命名[編集]

上記の通り、発見報告後には S/1986 U 10 という仮符号が与えられた。その後2005年12月29日に、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『冬物語』のレオンテスとハーマイオニーの娘に因んで命名され、Uranus XXV という確定番号が与えられた[11][1]

物理的特徴[編集]

ペルディータは、測光的特徴や軌道要素がよく似たビアンカクレシダデズデモーナロザリンドポーシャジュリエットベリンダジュリエットとともに、ポーシャ群を形成している[5][12]。ペルディータの幾何アルベドは 0.08 と測定されている[5]

軌道[編集]

ペルディータの軌道は、ベリンダパックの軌道の間にある。ハッブル宇宙望遠鏡での観測により、ペルディータの天王星の周りでの公転運動はケプラーの法則からずれていることが分かっている。これは付近の衛星との軌道共鳴によって動きが乱されていることが原因であり、すぐ内側を公転するベリンダとは 43:44 の軌道共鳴を起こしている。またロザリンドとは 8:7 の軌道共鳴に近い関係にある[4][13]

出典[編集]

  1. ^ a b Planet and Satellite Names and Discoverers”. Planetary Names. 国際天文学連合. 2015年1月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  3. ^ a b c Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  4. ^ a b c Karkoschka, Erich (2001). “Voyager's Eleventh Discovery of a Satellite of Uranus and Photometry and the First Size Measurements of Nine Satellites”. Icarus 151 (1): 69–77. Bibcode2001Icar..151...69K. doi:10.1006/icar.2001.6597. 
  5. ^ a b c Karkoschka, Erich (2001). “Comprehensive Photometry of the Rings and 16 Satellites of Uranus with the Hubble Space Telescope”. Icarus 151 (1): 51–68. Bibcode2001Icar..151...51K. doi:10.1006/icar.2001.6596. 
  6. ^ a b Daniel W. E. Green (1999年5月18日). “IAUC 7171: S/1986 U 10; C/1999 J2; V1333 Aql”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年12月25日閲覧。
  7. ^ a b In Depth | Perdita – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空宇宙局 (2017年12月5日). 2018年12月25日閲覧。
  8. ^ Foust, Jeff (2001年12月31日). “Moon of Uranus is demoted”. Spaceflight Now. 2012年1月26日閲覧。
  9. ^ 天王星の衛星一個の確認取り消し (NAOニュース)”. アストロアーツ (2002年1月10日). 2019年1月17日閲覧。
  10. ^ a b Daniel W. E. Green (2003年9月3日). “IAUC 8194: Sats OF URANUS; C/2002 VQ_94”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年12月25日閲覧。
  11. ^ Daniel W. E. Green (2005年12月29日). “IAUC 8648: Sats OF URANUS; 2005mf, 2005mg; C/2005 U7, C/2005 U8, C/2005 Y1”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年12月25日閲覧。
  12. ^ Scott S. Sheppard. “Uranus Satellite and Moon Data”. Carnegie Science. 2018年12月25日閲覧。
  13. ^ Showalter, M. R. (2006). “The Second Ring-Moon System of Uranus: Discovery and Dynamics”. Science 311 (5763): 973–977. doi:10.1126/science.1122882. ISSN 0036-8075.