ホーリー祭

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ホーリー祭で色粉を掛け合うクリシュナと愛人ラーダと牛飼いの娘たち、19世紀の絵画

ホーリー祭(Holi)とは、インドネパールヒンドゥー教春祭り。春の訪れを祝い、誰彼無く色粉を塗りあったり色水を掛け合ったりして祝う。

理由[ソースを編集]

ホーリー祭はもともと豊作祈願の祭りであったが、その後クリシュナ伝説などの各地の悪魔払いの伝説などが混ざって、現在みられる形になった。ホーリー祭の特徴である色粉や色水を掛け合う由来は、カシミール地方の伝承でこの日に人家に押し入ってくる悪鬼ビシャーチャを追い払うため泥や汚物を投げつけたのが始まりとされる[1]。そのため黄色は尿、赤は血、緑は田畑を象徴すると言われている。色水は色粉を水に混ぜて作る。

祭りの内容[ソースを編集]

ホーリー祭で使われる色粉
色粉だらけになった女性

インド暦第11月の満月の日(太陽暦では3月に当たる。 祭りは2日間に渡って行われ、1日目をホーリー、2日目をドゥルヘンディと呼ぶ[2]。 2016年は3月24日、2017年は3月13日)の午前中がクライマックスであるが、前日から色粉の掛け合い等を始めることもある。祭りの前週から繁華街には色粉や水鉄砲(主に子供が使う)を販売する露店が多数出る。人々は色粉等を購入して準備する。当日は他のヒンドゥー教の祭りと異なり特定の神に対する祭礼は無く、地域の人達が集まって祭りが始まる。

初日の祭りは日没から始まる。男女のグループに別れ、ファグアーと呼ばれるヒンドゥー教の神々や現実の男女の愛情を表現する歌を掛け合いで歌う。また、ホーリカー・ダーハと呼ばれるホーリカーの神話にちなんだ焚き火(ホーリー・ジャラーナー)を燃やし、悪霊を焼き幸福を祈願する[2]

2日目は泥水や色水の掛け合いを行う。祭りが始まると友人知人はもとより通りがかった見知らぬ人にまで顔や身体に色粉を塗りつけたり、色水を掛け合ったりする。地域によって男性が女性に掛けるなど、決まりに則って行われる地域もある[2]

色粉を塗りあった後は「ハッピー・ホーリー」と言いながら抱き合うことも多い。最初は特定の色を額に塗る程度だが、次第にエスカレートして顔全体や体中が色だらけになってしまう。また ヒンドゥー教徒は比較的飲酒を忌避するが、ホーリー当日だけは盛大に飲む人が多く、昼頃には芝生や木陰で酔いつぶれている人をよく見かける。

社会的影響[ソースを編集]

ホーリー祭は多くの企業や商店が休みとなるのが一般だが、祭りが落ち着く夕方以降は開ける店も多い。またバスやトラックの運転手も祭りに参加しているので、当日の道路は閑散としている。

パルダー制カーストによって日頃は交流のない人々も、ホーリー祭の期間中は一種の無礼講となり、一緒に祭りを楽しむことができる[2]。家族間の序列に関しても同様の現象が起きる。

研究[ソースを編集]

ホーリー祭に関して民俗学者による複数の報告があるが、その祝い方はインドの北と南などの地域差、また社会階層によって大きな違いがある[2]小西正捷は各地の事例をまとめ、ホーリー祭を構成する6つの共通する要素をあげた。

  1. 祝火(ホーリー・ジャラーナー)およびそれをめぐるさまざまな儀礼や習俗
  2. 色の粉や色水、もしくは泥や泥水をかけあうこと
  3. 性的標徴の開示およびそれに伴う放埒、ないしは無礼講
  4. 模擬戦もしくはそれに類する儀礼
  5. なんらかのかたちで「ぶらんこ」とかかわる儀礼
  6. 「ホーリー王」の演出・行進

脚注[ソースを編集]

  1. ^ 森本達雄著 ヒンドゥー教 中公新書 2003年 56頁
  2. ^ a b c d e 八木 1991, pp. 65-91.

参考文献[ソースを編集]

  • 八木祐子「ファグアー:春をよぶホーリー祭の歌声」、『儀礼と音楽 II』、東京書籍、1991年ISBN 4487752558

関連項目[ソースを編集]

  • ソンクラーン -タイの新春行事。水を掛け合う。
  • ホリカ -ホーリー祭の元になった説話でアスラと呼ばれるグループの神(女神)。