ハイライト (たばこ)
ハイライト(hi-lite)は、日本たばこ産業(JT)が製造・販売しているたばこの銘柄である。
日本の大衆向けたばこの代表的な銘柄である。JTの前身である日本専売公社が1960年に発売して以来のロングセラー。
オリジナルのハイライトは現在はタール17ミリグラム (mg)、ニコチン1.4mg。現行JT製たばこの中では重い部類に入る。香料にラム酒フレーバーを使用。
かつては非常に柔らかいフィルターが特徴だったが、2007年8月以降は消費者の意見に基づき硬いものへと変更された。なお、このフィルターはセブンスターのものと似ているが、流用されているわけではない。
歴史[編集]
日本初のロングサイズ(8.0cm)のたばことして1960年に発売された。当初からフィルター付きでフィルムパッケージも施されており、一般の紙巻きたばこといえば両切のフィルターなしでセロハン包装が施されていない当時としては革新的な銘柄であった。
それまでの大衆たばこの定番だったフィルターなしの「しんせい」「いこい」に代わり、1960年代から1970年代にかけて日本での人気銘柄となった。
発売後2週間で4億本も売れ、1968年には売り上げ世界第1位を記録するなど、発売当初から爆発的な人気を呼んだ銘柄だった。1960年代当時、日本専売公社内で行われた喫煙銘柄アンケートによると、職員に最も吸われていたのがハイライトだった。葉巻党で有名だった元内閣総理大臣・吉田茂(1967年没)も、晩年には葉巻よりは軽い味であるハイライトを吸っていたという。
歌謡曲でもハイライトは扱われ、井上順之「お世話になりました」、アリス「狂った果実」などの歌詞中に登場するなど高度経済成長期を象徴するアイテムであったことが窺える。しかし、その後、市場の嗜好はさらに軽い味のセブンスター系に移行し、2000年代以降の現在ではもっぱら高年齢層に好まれる銘柄となっている。
著名な紙巻きたばこの銘柄「マールボロ」の日本国内生産は、メーカーのフィリップモリスに対し、当時の専売公社がハイライトとの技術交換を提示して実現した(そのため、アメリカでフィリップモリスによりハイライトが発売されていた時期があった)。
意匠・商品名[編集]
hi-liteと言うのは俗語で、「陽の当たる場所」という意味。また、ロングサイズで当時最もタールが軽いたばこであったので、high(長い)-light(軽い)という造語にしたという説もあるが、当時の専売公社のパンフレットから見るに前者が正しい。
発売以来続くパッケージはコバルトブルーの地にhi-liteの白文字、上部には黒線8本が放射状にデザインされている。このブルーはハイライトブルーとも称された。デザインしたのは、のちに著名なイラストレーターとなった和田誠で、彼が青年時代に手がけたモダン・デザインの代表作である。その後、企業や政府の宣伝広告や、観光地や祭りなどの内容(観光たばこ)を配したパッケージも登場した[注 1]。
1960年代は後年に比べ喫煙率が高かったこともあり、ハイライトのパッケージは大衆に馴染み深いもので、ここから配色を着想したという事例も伝えられている。
- 1964年10月開業の東海道新幹線0系電車の車体色は、当時、配色に頭を悩ませていた国鉄職員が、会議室でハイライトの箱を見て決めた[1]。
- 同年12月開業の営団地下鉄(当時、現・東京メトロ)東西線のラインカラー(路線色)・スカイブルーも、当時の理事の指示によりハイライトの色から取られたと伝えられる[2]。
- 越後交通の路線バスの旧塗色は、白地に青基調のカラーリングから、社内外で「ハイライトカラー」と呼ばれている[要出典]。
また物の大きさを示す際にも、1970年代まで「ハイライト」を横に置き比較対象とする例が多くみられた。
歴史・変遷[編集]
- 1960年(昭和35年)6月20日 - ハイライト発売。70円。
- 1960年(昭和35年) - ハイライトの製造が世界第1位になる。
- 1968年(昭和43年) - ハイライトの売上が世界第1位になる。
- 1970年(昭和45年)3月15日 - たばこ税増税にて、80円へ値上げ。
- 1974年(昭和49年) - 当時の計測で、タール20mg、ニコチン1.6mg。
- 1975年(昭和50年) - タール19mg、ニコチン1.5mgに変更。
- 1975年(昭和50年)12月18日 - たばこ税増税にて、120円へ値上げ。
- 1980年(昭和55年)4月22日 - たばこ税増税にて、150円へ値上げ。
- 1983年(昭和58年)5月1日 - たばこ税増税にて、170円へ値上げ。
- 1985年(昭和60年) - 日本専売公社から日本たばこ産業株式会社へ民営化。
- 1986年(昭和61年)5月1日 - たばこ税増税にて、200円へ値上げ。
- 1990年(平成2年) - 煙草側面の警告文が「健康のため吸いすぎには気をつけましょう」から「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」へ変更。
- 1993年(平成5年)- 220円へ値上げ。
- 1997年(平成9年) 4月1日 - たばこ税増税にて、230円へ値上げ。
- 1998年(平成10年)12月1日 - たばこ特別税施行にて250円へ値上げ。
- 2001年(平成13年) - 国内煙草販売実績上位20銘柄でランキング15位。
- 2002年(平成14年) - 国内煙草販売実績上位20銘柄でランキング16位。
- 2003年(平成15年)7月1日 - たばこ税増税にて、270円へ価格改定。
- 2003年(平成15年) - 国内煙草販売実績上位20銘柄でランキング19位。
- 2004年(平成16年)1月7日 - ラム酒フレーバーとメンソール感を両立した「ハイライト・メンソール」を発売。
- 2004年(平成16年) - 国内上位20銘柄から姿を消す。
- 2004年(平成16年) - たばこ事業法39条により、警告文表示改定。それに伴いハイライトブルーと称されていたパッケージ色が薄くなる。
- 2006年(平成18年)7月1日 - たばこ税増税に際して1本1円値上し、290円に価格改定される。
- 2010年(平成22年)10月1日 - たばこ税増税にて、410円へ価格改定。
- 2012年(平成24年)5月14日 - 稲妻を思わせる強いメンソール感を実現した「ハイライト・イナズマ・メンソール(8mg/1mg)」を発売。
- 2014年(平成26年)4月1日 - 消費税増税にて、420円へ価格改定。
- 2018年(平成30年)10月1日 -たばこ税増税にて、450円へ価格改定。
- 2019年(令和元年)10月1日 - 消費税増税にて他銘柄の価格が改定される中、ハイライトの価格は450円に据え置き。
- 2020年(令和2年)10月1日 - たばこ税増税にて、490円へ価格改定。
- 2021年(令和3年)10月1日 - たばこ税増税にて、520円へ価格改定。
製品一覧[編集]
現行販売製品[編集]
製品名 | 発売年月日 | 価格 | 本数 | タール | ニコチン | 販売地域 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ハイライト | 1960年6月20日 | 520円 | 20本 | 17mg | 1.4mg | 全国 | |
ハイライト・メンソール | 2004年1月7日 | 520円 | 20本 | 10mg | 0.8mg | 全国 | [注 2] |
日本以外では、アラブ首長国連邦において『ハイライト・スペシャル(タール6mg/ニコチン0.5mg)』というトルコ製のアメリカンブレンド製品が販売されている。
販売終了製品[編集]
製品名 | 価格 | 本数 | 発売年月日 | 廃止年月 | タール | ニコチン | 販売地域 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ハイライト・ウルトラマイルド・ボックス | 270円 | 20本 | 1999年6月2日 | 2004年8月 | 3mg | 0.3mg | 北海道 | |
ハイライト・マイルド | 270円 | 20本 | 1988年3月20日 | 2004年8月 | 11mg | 0.8mg | 全国 | 当時は、ハイライトに反してタールが軽かったので、ヤングハイライトと呼ばれた。 |
ハイライトデラックス(黒) | 100円 | 20本 | 1967年 | |||||
ハイライトデラックス(茶) | 100円 | 20本 | 1968年 | 1972年 | ||||
ハイライトエキスポート | 120円 | 20本 | 1971年6月 | 1976年 | 20mg | 1.3mg | 初のキングサイズで金色のパッケージ。またハイライトのロゴも全く異なり、サンセリフのHI-LITE表示であった。 | |
ハイライト(25本入り) | 100円 | 25本 | 1970年 | 20mg | 1.6mg | 大阪万博会場内の自販機用に作られた。自販機で釣銭を出さなくて済むようにするために、100円で25本入りにした。 |
ブランド名変更製品[編集]
旧製品名 | 発売年月日 | 変更年月日 | 新製品名 |
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ハイライト・イナズマ・メンソール8・ボックス | 2012年5月14日 | 2013年11月 | ウィンストン・XS・イナズマメンソール・8・ボックス |
ハイライト・イナズマ・メンソールワン・ボックス | 2012年5月14日 | 2013年11月 | ウィンストン・XS・イナズマメンソール・ワン・ボックス |