ソウル特別市地下鉄公社4000系電車 (2代)

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ソウル特別市地下鉄公社4000系電車
4080系電車
基本情報
製造所 現代精工大宇重工業現代ロテムタウォンシス宇進産電(予定)
製造年 1993~1995年(1・2次車)
2020年(3次車)
2022年~2024年(4次車、予定)
2024年~2025年(5次車、予定)
製造数 530両
主要諸元
編成 10
軌間 1435 mm
電気方式 直流1,500V(1~5次車)/交流25,000V (60Hz)(1(交直流車),2(交直流車),3,4次車)
最高運転速度 80 km/h
設計最高速度 100 km/h
起動加速度 3,0 km/h/s
減速度(常用) 3,5 km/h/s
減速度(非常) 4,5 km/h/s
編成定員 1048人(立席)+528人(座席)=1576人
車両定員 148(48(座席)+100(立席))人(先頭車)
160(54(座席)+106(立席))人(中間車)
車両重量 33,1t(Tc)、42,24t(M)、26,5t(T1)、32,0t(T2)
編成重量 362,4t
全長 20,000 mm
全幅 3,200 mm
全高 4,480(パンタグラフ折り畳み時) mm
車体高 3,750(5次車) mm
床面高さ 1,150 mm
車体 3,120 mm
車輪径 860 mm
主電動機 かご形三相誘導電動機(1 - 4次車)
全閉自冷式永久磁石同期電動機(5次車)
主電動機出力 三菱電機製:200 kW(持続定格)/ 230 kW(1時間定格)
GECアルストム製:220 kW
駆動方式 WN駆動方式
歯車比 1・2次車 101/16=1:6.31
3/5次車 99/14=1:7.07
4次車 不明
制御方式

VVVFインバータ制御(1C4M)

  • GTO素子(401~426、452~462、464~465、468、469編成)
  • IGBT素子(更新車 · 3次車 · 4次車,451、463、466、467、470、471、481~485編成、新450~470編成(予定))
制御装置

GTO素子

  • 三菱電機製
    • 交直流両用車:
      MAP-204-A25V41
    • 直流車:
      MAP-204-15V42[注 1]
  • GECアルストム製
    • 交直流両用車:
      32SA025B2(コンバータ)、32RA025B2(インバータ)
    • 直流車:
      32RA025B2
IGBT素子:型式不明
保安装置 ATS(安山線区間)/ATC(ソウルメトロ4号線, 果川線区間)
備考
  1. ^ この型番には議論があり、MAP-204-D15V41という説がある
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ソウル特別市地下鉄公社4000系電車(ソウルとくべつしちかてつこうしゃ4000けいでんしゃ)は、ソウル交通公社(旧:ソウル特別市地下鉄公社→ソウルメトロ)の通勤形電車首都圏電鉄4号線で使用される。

概要[編集]

直流専用車は、榛接線ソウル交通公社4号線の直流区間のみ(ただし、実際は折り返し設備のある舎堂駅までの運行となり、南泰嶺駅までは運転しない)の運行である。

1994年までに製造された編成方向幕を装備していたが、後年発光ダイオード(LED)による表示器に交換されている。方向幕の装置の技術日本小糸工業によるものである。当車両の定期検査(重修繕)は3号線紙杻車両基地において行われる。

車両形態概要[編集]

1次車[編集]

1993年に現代精工にて製造された。直流電化専用の401~409編成(9編成)、交直流両用の451編成~463編成(13編成)が該当。ソウル特別市地下鉄公社では初となるVVVFインバータ制御ステンレス製の車体を採用した。インバータ装置は三菱電機製のものが導入されているが、451編成のみ後述の機器更新工事によりタウォンシス製のものが導入されている。

2次車[編集]

1994年に大宇重工業にて製造された。直流電化専用の410編成~426編成(17編成)、交直流両用の464編成~471編成(8編成)が該当。インバーター装置はGECアルストム製のものに変更されたが、一部の編成は後述の機器更新工事により東芝の技術供与を受けた宇進産電製の制御装置に交換されている編成がある。

3次車[編集]

2020年に、現代ロテムにて製造された。榛接線開業のため3次車5編成(481~485編成)が追加導入され、2022年に営業運用が開始した。この編成は全て交直流両用である。外観は2号線の新2000系4次車とほぼ同一となっており、千鳥配置で扉上部に2画面の液晶ディスプレイを搭載している点や、側面も帯の配色を除き同一となっているが、2号線とは異なり交流電化区間を走行することから主要機器や制御装置は韓国鉄道公社341000系5次車と同様の機器が採用されている。また、新2000系4次車で採用された車内の貫通扉上部に設置されていたLED案内表示器は設置されていない。3次車以降は、座席幅を480mmに拡幅し7席から6席に変更され、プラスチック製となった。この車両は4080系や4000系80番台と称されることもある。また、2000系4次車と同様の独特の前面形状は、現地の鉄道ファンから「炊飯器」などと比喩されている。

4次車[編集]

2023年7月12日に第1編成となる450編成が営業運用を開始した。2023年から2024年にかけてタウォンシスが4次車21編成(450編成~470編成)を製造し、1993年と1994年に導入された交直流両用の1次車と2次車を置き換え予定。なお、車内の液晶ディスプレイは、5号線5000系4次車や7号線7000系4次車と同様ROMとなっている。なお電装品は従来とタウォンシス車と同じく日立製作所の素子をベースとしたタウォンシス製IGBT素子VVVFインバーターを、電動機はスイスのABBで製造されたものを搭載しているため、同社で製造された他の車両とは異なり甲高い励磁音が特徴的である。車両番号は1次車・2次車との混合を避けるため、現在は頭文字にD(Dawonsys)を付けて区別化されている。

5次車[編集]

2024年から2025年にかけて宇進産電が5次車26編成(401編成~426編成)を製造し、1993年、1994年に導入された直流区間専用の1次車と2次車を置き換え予定。外観のデザインは3つの案の中からソウル市民に調査し、票が一番多かった3つ目の案に決定した。引き続き同社製の車両で採用例のある東芝の全閉自冷式永久磁石同期電動機を採用。外観は5号線5000系4次車、7号線7000系4次車、8号線8000系3次車に類似しているが、こちらは車体高(屋根)が150mm高い。2024年5月に401編成が宇進産電を出場している。車両番号は1次車・2次車との混合を避けるため、現在は頭文字にW(Woojin)を付けて区別化されている。

この車両の導入により、1次車・2次車はすべて消滅となる。

6次車[編集]

混雑緩和のため2026年より4編成が導入される予定。

編成表[編集]

ソウル交通公社の編成番号は、4桁の車号のうち号車を意味する百の位を除く3桁で表現する。(例:1号車が4001である編成=401編成)

  • 現行
 
榛接
 
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 製造年 制御装置
形式 4000形 4100形 4200形 4300形 4400形 4500形 4600形 4700形 4800形 4900形
区分 Tc M M T M T1 T M M Tc
搭載機器 SIV,CP,BT CI,Mtr CI,Mtr CI,Mtr SIV,CP,BT CI,Mtr CI,Mtr SIV,CP,BT
車両番号 4001 4101 4201 4301 4401 4501 4601 4701 4801 4901 1993年 三菱電機GTO素子
4002 4102 4202 4302 4402 4502 4602 4702 4802 4902
4003 4103 4203 4303 4403 4503 4603 4703 4803 4903
4004 4104 4204 4304 4404 4504 4604 4704 4804 4904
4005 4105 4205 4305 4405 4505 4605 4705 4805 4905
4006 4106 4206 4306 4406 4506 4606 4706 4806 4906
4007 4107 4207 4307 4407 4507 4607 4707 4807 4907
4008 4108 4208 4308 4408 4508 4608 4708 4808 4908
4009 4109 4209 4309 4409 4509 4609 4709 4809 4909
4010 4110 4210 4310 4410 4510 4610 4710 4810 4910 1994年 GECアルストムGTO素子
4011 4111 4211 4311 4411 4511 4611 4711 4811 4911
4012 4112 4212 4312 4412 4512 4612 4712 4812 4912
4013 4113 4213 4313 4413 4513 4613 4713 4813 4913
4014 4114 4214 4314 4414 4514 4614 4714 4816 4914
4015 4115 4215 4315 4415 4515 4615 4715 4815 4915
4016 4116 4216 4316 4416 4516 4624 4725 4814 4916
4017 4117 4217 4317 4417 4517 4617 4717 4817 4917
4018 4118 4218 4318 4418 4518 4618 4718 4818 4918
4019 4119 4219 4319 4419 4519 4619 4719 4819 4919
4020 4120 4220 4320 4420 4520 4620 4720 4820 4920
4021 4121 4221 4321 4421 4521 4621 4721 4821 4921
4022 4122 4222 4322 4422 4522 4622 4722 4822 4922
4023 4123 4223 4323 4423 4523 4623 4723 4823 4923
4024 4124 4224 4324 4424 4524 4616 4724 4824 4924
4025 4125 4225 4325 4425 4525 4625 4716 4825 4925
4026 4126 4226 4326 4426 4526 4626 4726 4826 4926
4050 4150 4250 4350 4450 4550 4650 4750 4850 4950 2022年 タウォンシスIGBT素子
4051 4151 4251 4351 4451 4551 4651 4751 4851 4951 2023年
4052 4152 4252 4352 4452 4552 4652 4752 4852 4952
4053 4153 4253 4353 4453 4553 4653 4753 4853 4953
4054 4154 4254 4354 4454 4554 4654 4754 4854 4954
4055 4155 4255 4355 4455 4555 4655 4755 4855 4955
4056 4156 4256 4356 4456 4556 4656 4756 4856 4956
4057 4157 4257 4357 4457 4557 4657 4757 4857 4957
4058 4158 4258 4358 4458 4558 4658 4758 4858 4958
4059 4159 4259 4359 4459 4559 4659 4759 4859 4959
4060 4160 4260 4360 4460 4560 4660 4760 4860 4960
4061 4162 4261 4361 4461 4561 4661 4761 4861 4961 1993年 三菱電機GTO素子
4062 4161 4262 4362 4462 4562 4662 4762 4862 4962
4063 4163 4263 4363 4463 4563 4663 4763 4863 4963
4064 4164 4264 4364 4464 4564 4664 4764 4864 4964 1994年 GECアルストムGTO素子
4065 4165 4766 4365 4465 4565 4665 4765 4865 4965
4066 4166 4266 4366 4466 4566 4666 4265 4769 4966 宇進産電IGBT素子
4067 4167 4267 4367 4467 4567 4667 4767 4867 4967 GECアルストムGTO素子
4068 4169 4869 4368 4469 4568 4668 4768 4868 4968
4069 4168 4269 4369 4468 4569 4669 4866 4268 4969
4070 4170 4270 4370 4470 4570 4670 4770 4870 4970 宇進産電IGBT素子
4071 4171 4271 4371 4471 4571 4671 4771 4871 4971
4081 4181 4281 4381 4481 4581 4681 4781 4881 4981 2020年 現代ロテムIGBT素子
4082 4182 4282 4382 4482 4582 4682 4782 4882 4982
4083 4183 4283 4383 4483 4583 4683 4783 4883 4983
4084 4184 4284 4384 4484 4584 4684 4784 4884 4984
4085 4185 4285 4385 4485 4585 4685 4785 4885 4985

凡例[編集]

配属[編集]

全編成倉洞車両事業所朝鮮語版に配属されている。

改造工事[編集]

落成後、以下の改造工事が行われている。

10両編成化[編集]

交直流型の50番台の一部は6両編成で落成したが、安山線および果川線の10両編成化に伴い1993年から456~468編成に中間車を増結し、10両編成化した。

台車の交換[編集]

電動台車(大宇重工業製)の一部に構造的な欠陥が発見されたことから、2001年に新造品と交換された。

内装の不燃化改造[編集]

2003年2月に発生した大邱地下鉄放火事件を受けて、2004年から2005年にかけて全編成を対象に内装の張り替え(不燃化改造)が実施された。同時に火災警報器と非常通報装置が設置された。

自動放送装置の交換[編集]

落成当初の車内自動放送装置(ROM方式)が老朽化したことから、2008年2月に新品(MP3方式)に交換され、車内放送の高音質化が図られた。

交直切替器の自動化[編集]

50番台に搭載されている交直切替器は当初、運転士が手動で操作していたが、2008年から装置が交換され自動で切り替えられるようになった。

側面方向幕の使用停止[編集]

ホームドアの設置に伴い、車体側面に設置されていた方向幕は不要となったことから使用が停止され、ソウル交通公社のロゴが張られている。 当初は直流区間専用の0番台のみが対象であったが、直通先の安山線と果川線においてもホームドアの設置が完了したことから、交直流型の50番台も側面方向幕の使用が停止された。

前面方向幕および列車番号表示器のLED化[編集]

2016年以降、先頭車前面の方向幕および7セグメント方式の列車番号表示器はLEDによる表示器に交換されている。2021年5月までに休車車両を除く全車両がLED表示器に換装された。

自転車搭載スペースの設置[編集]

2009年、451~455編成の先頭車を対象に、自転車を搭載するためのスタンドが設置された。

インバータ装置の更新工事[編集]

2013年に451編成と466編成のVVVFインバータ装置が老朽化した為、451編成はタウォンシス製、466編成は宇進産電(東芝)製の装置に更新された。いずれも、素子にIGBTを採用した。また、2017年にも一部編成を機器更新工事が行われた。2018年より故障も多発している為、2019年より1次車と2次車の全編成を対象に機器更新工事を行う予定であったが、継続する状態不良車の発生により機器更新を断念し、新車導入に計画を変更した。

休車[編集]

2018年より故障が頻発している416、465および468編成が休車となり、中間車の一部が他編成の状態不良車両と差し替えられている。また、一部の状態不良車両は廃車されている。

休車[編集]

編成/車両 休車理由 休車開始時期(廃車時期) 代替車両
416編成/4016号~4516号,4916号 不明 2019年頃 -
414編成/4814号 台車の亀裂 不明 416編成4816号
424編成/4624号 台車の亀裂 不明 416編成4616号
425編成/4725号 台車の亀裂 不明 416編成4716号
461編成/全車(4161号除く) 上渓駅追突事故による破損 2020年6月頃 -
462編成/4162号 台車の亀裂 2020年6月以降 461編成4161号
465編成/全車 台車の損傷,重故障など 2017年頃(2021年2月中旬) -
466編成/4766号,4866号 老朽化 不明 465編成4265号,469編成4769号
467編成/4267号,4467号 老朽化 不明 465編成4865号,4465号
468編成/4168号,4268号,4468号 車体材亀裂 不明 469編成4169号,4469号,4869号
469編成/4069号以外の全車両 倉洞車両基地構内追突脱線事故 2020年頃(2021年2月中旬) -

ギャラリー[編集]

関連項目[編集]