アルタイル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
アルタイル
Altair
NASAによるアルタイルの写真
NASAによるアルタイルの写真
仮符号・別名 わし座α星[1]
星座 わし座
視等級 (V) 0.76[1]
変光星型 たて座δ型[1](DSCTC)[2]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α) 19h 50m 46.99855s[1]
赤緯 (Dec, δ) +08° 52′ 05.9563″[1]
赤方偏移 -0.000089[1]
視線速度 (Rv) -26.60km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: 536.23 ミリ秒/年[1]
赤緯: 385.29 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 194.95± 0.57ミリ秒[1]
距離 16.72 ± 0.05光年[注 1]
(5.13 ± 0.02パーセク)[注 1]
絶対等級 (MV) 2.210[注 2]
物理的性質
半径 1.63 - 2.03 R
質量 1.79 M
自転速度 242 km/s[3]
自転周期 6.5 - 10.4 時間
スペクトル分類 A7Vn[1]
光度 10.7 L
表面温度 6,900 - 8,500 K
色指数 (B-V) +0.22[3]
色指数 (U-B) +0.08[3]
色指数 (R-I) +0.14[3]
金属量[Fe/H] -0.2
200 %(太陽比)
年齢 ~109
別名称
別名称
牽牛、彦星
わし座53番星[1]
BD +08 4236[1], FK5 745[1]
HD 187642[1], HIP 97649[1]
HR 7557[1], SAO 125122[1]
LTT15795[1]
■Project ■Template

アルタイル: Altair[注 3])は、わし座α星わし座で最も明るい恒星で全天21の1等星の1つ。七夕彦星ひこぼし牽牛星(けんぎゅうせい)とも)としてよく知られている。こと座ベガはくちょう座デネブとともに、夏の大三角を形成している。

概要[編集]

大きさの比較
太陽 アルタイル
太陽 Exoplanet

シリウスに似ているが、アルタイルは非常に若い恒星(おそらくは数億歳)であるため、水素核融合反応によって生じたヘリウムが中心核を形成し、35億歳前後で赤色巨星へと変化して最終的に白色矮星になると考えられている。

アルタイルは非常に高速で自転(毎秒240キロ、8.9時間で一周)しているため、楕円となっている。そのため赤道の直径は極の直径より14パーセント膨らんでいる。

周期約1.5時間のたて座δ型変光星であるという論文が2005年に発表されている[4]

1983年、森本雅樹平林久によりスタンフォード大学のアンテナからメッセージが送られた。これは日本人による初のMETI (Messaging to Extra-Terrestrial Intelligence) = Active SETI(能動的な地球外知的生命体探査)である。

ハッブル宇宙望遠鏡を使用した調査では、アルタイルの周囲に観測可能な大きさの木星型惑星は確認されていない。

伴星[編集]

アルタイルは3個の伴星を持つ4重星であり、主星はWDS 19508+0852Aと名づけられている。3つの伴星はそれぞれ WDS 19508+0852B、WDS 19508+0852C、WDS 19508+0852D と呼ばれており、このうち少なくともB星は物理的にはA星と遠く離れている。

WDS 19508+0852
アルタイル星系 (J2000)
- 赤経 赤緯 主星
との
間隔
主星
からの
方位
実視等級
B 19h 50m 40.5s +08°52′13″ 192.1″ 287° 9.82
C 19h 51m 00.8s +08°50′58″ 189.6″ 107° 10.3
D - - 31.7″ 97° 11.9

名称[編集]

固有名のアルタイルは、アラビア語で「飛翔する鷲」の意味である「النسر الطائر an-nasr aṭ-ṭā’ir (アン=ナスル・ッ=ターイル)」が短縮されたもの[5][注 4]で、実際のアラビア語でもアルタイルをلنسر الطائرと呼ぶ。2016年6月30日に国際天文学連合の恒星の命名に関するワーキンググループ (Working Group on Star Names, WGSN) は、Altair をわし座α星の固有名として正式に承認した[6]

日本での名称[編集]

和名類聚抄には「比古保之(ひこぼし)」の名と共に「以奴加比保之(いぬかいぼし)」の名前が伝えられている[7]。これは、β星γ星を両脇に従えた様子を、犬を引き連れている姿に見立てたものと考えられている[7]福岡市で「いんかいぼし」、枕崎市で「いんこどん」、宇土市で「いぬひきどん」「いぬひきほしサン」など、九州地方の各地で同様の呼び名が残っていた[7][8]

俗信[編集]

東洋
天の川を挟んで向かい合うこと座ベガ(織姫星)とともに、彦星として七夕の伝説を形成する。
西洋
西洋占星術では爬虫類による危害を表すとされた。

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。有効桁小数第3位
  3. ^ 英語発音: [ˈaltɛː] ルテア
  4. ^ 「アルタイル」の直接の語源となったالطائر aṭ-ṭā’ir(アッターイル)の部分は「飛んでいる」という意味の形容詞طائرに定冠詞が付いたものである。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t SIMBAD Astronomical Database”. Results for V* alf Aql. 2016年11月14日閲覧。
  2. ^ GCVS”. Results for alf Aql. 2015年10月26日閲覧。
  3. ^ a b c d 輝星星表第5版
  4. ^ Buzasi et al. 2005 The Astrophysical Journal 619, 1072
  5. ^ 近藤二郎 (2012). 星の名前のはじまり. 誠文堂新光社. p. 130. ISBN 978-4-416-21283-7. 
  6. ^ IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2016年11月14日閲覧。
  7. ^ a b c 野尻抱影 『日本星名辞典』 (七版) 東京堂出版1986年4月10日、65-67頁。ISBN 978-4490100785 
  8. ^ 原恵 『星座の神話 - 星座史と星名の意味』 恒星社厚生閣、2007年2月28日、新装改訂版第4刷、169-170頁。ISBN 978-4-7699-0825-8

関連項目[編集]

外部リンク[編集]