アナゴ
| アナゴ科 | |||||||||||||||||||||
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| 学名 | |||||||||||||||||||||
| Congridae Kaup, 1856 |
アナゴ(穴子[1]、海鰻、海鰻鱺[2])は、ウナギ目アナゴ科に属する魚類の総称[3]。ウナギによく似た細長い体型の海水魚で、食用や観賞用で利用される種類を多く含む。30属に200種以上が知られる。好みの環境や水深は種類によって異なり、砂泥底、岩礁域、浅海、深海と、様々な環境に多種多様な種類が生息する。
マアナゴ、ゴテンアナゴ、ギンアナゴ、クロアナゴ、キリアナゴ、チンアナゴなど多くの種類があるが、日本で「アナゴ」といえば浅い海の砂泥底に生息し、食用に多く漁獲されるマアナゴ Conger myriaster を指すことが多い。
分類
[編集]アナゴ科はチンアナゴ亜科、ホンメダマアナゴ亜科、クロアナゴ亜科の3つに分けられる[4]。ここでは和名のある種を挙げる。
- クロアナゴ亜科 Congrinae
特徴
[編集]体型はウナギに似た細長い円筒形だが、鱗がない点で異なる。成魚の全長は30cmほどのものから1mを超えるものまで種類によって異なる。ホンメダマアナゴ亜科は目が大きく、背鰭は胸鰭の上から始まる。クロアナゴ亜科では背鰭は胸鰭より後ろから始まる。チンアナゴ亜科は口が小さくて吻も短いが、目は大きい。体は細長く、体色は種類によって変異に富む。
分布
[編集]生態
[編集]夜行性で夕方以降に獲物を探す。食性は肉食性で、小魚、甲殻類、貝類、頭足類、ゴカイなどの小動物を捕食するが、チンアナゴ類はプランクトンを捕食する。
昼間は海底の砂泥中や岩石のすき間にひそむ。チンアナゴなど砂泥底に生息する種類は集団を作り、巣穴から頭だけ、もしくは半身を海中に乗り出している。和名の「アナゴ」はこの生態に由来する[5]。
産卵は小卵多産で、浮遊卵を産卵する。卵から生まれた稚魚はレプトケファルスの形態をとり、海中を浮遊しながら成長する。変態して細長い円筒形の体型になると底生生活に移り、各々の種類に適した生息域に定着する。
利用
[編集]漁獲
[編集]食用となる種類が多く、特にマアナゴは日本各地で多く漁獲される。その他の種類も魚肉練り製品の材料などにされる。また、レプトケファルス(通称ノレソレ、一部地方ではハナダレとも)はシラス漁で混獲されるなどして食用となる高級魚である。アナゴを対象とした日本の代表的な漁法は底びき網である[要出典]が、漁期によっては小さなアナゴが逃げるように網目を大きくする資源管理の方法が試みられている。網によらない漁獲方法としては、ポリ塩化ビニルなど合成樹脂製で、入り口に「かえし」がついた筒に餌となる魚(主にカタクチイワシ)の肉を入れ、アナゴをおびき寄せて閉じ込める筒漁(一種の罠)がある。アナゴと同じく魚体が細長いウツボやヌタウナギも混獲されることがある。東京湾では幼魚が脱出できるように、水抜き穴の大きさを13ミリメートル以上と定めている[6]。
食材
[編集]日本料理において、マアナゴはウナギと同様に開き、天ぷら、蒲焼、煮穴子、寿司種、八幡巻(牛蒡をアナゴの身で巻いたもの)などで食べられている。蒲焼では、たれの状況次第では、より高価なウナギとアナゴは味が区別できない場合もあるという。一本丸ごと揚げた天麩羅は天丼や天ぷらそばなどに乗せると丼からはみ出す様が見栄えがし、価格も手ごろなため、名物としている店も多い。
江戸時代から東京湾の羽田沖で捕れたものが江戸前の本場物とされ、現在でも東京湾岸各地で漁場となっている。また、瀬戸内海で捕れたものなども地元や関西地方で珍重されている。
岡山県の郷土料理として生の幼魚(ノレソレ)をポン酢で食べる「ベタラ」がある[1]。
広島県の廿日市市宮島・宮島口では穴子の蒲焼を飯に載せた「あなご飯」が名物である。山陽本線宮島口駅の駅弁として考案されたのが元祖で、宮島名物として定着した。千葉県富津市ではアナゴのことを「はかりめ」と呼ぶ[7]。はかりめ丼も参照。
鑑賞魚
[編集]特にチンアナゴ類は集団で巣穴から半身を乗り出す様が愛らしいとされ、体色が多彩なこともあり、観賞魚として人気がある。
アナゴと付く別の生物
[編集]- マルアナゴ (Ophichthus remiger )[8] - アナゴの代用魚として南米ペルー沖などで捕れる「マルアナゴ」が食用される。マルアナゴはウナギ目アナゴ亜目ウミヘビ科に属するアナゴ近縁種であるが基本的に別種である。ウミヘビ科という名前は姿が蛇に近い事から命名されたものであり、爬虫類ではなく、魚類である。関西の激安寿司店などで使われる場合が多い[9]。
- アナゴ - 秋田県の男鹿地方や新潟県の中越地方の方言で、「アナゴ」という場合には、クロヌタウナギ(旧称、メクラウナギ)という深海魚を指すことが多い。干して棒状にしたもの(棒あなご)を焼いて、「焼きアナゴ」と称して食べる。新潟県では生のまま、串焼きにする場合もある。ヌタウナギは、韓国でも古くから食べられている[10]。
脚注
[編集]- ^ a b 講談社編『魚の目利き食通事典』講談社プラスアルファ文庫 p.24 2002年
- ^ フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.45 1988年 永岡書店
- ^ “魚介類の名称表示等について(別表1)”. 水産庁. 2013年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月29日閲覧。
- ^ Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2025). "Congridae" in FishBase. December 2025 version.
- ^ フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.46 1988年 永岡書店
- ^ 習性生かしたやさしい「筒漁」『朝日新聞』朝刊2018年9月7日(第2東京面)2018年9月9日閲覧。
- ^ 富津市商工会
- ^ 水産庁『魚介類の名称のガイドラインについて』(PDF)(レポート)2007年、13頁。2024年5月23日閲覧。
- ^ おさかなシート17 - マルアナゴ おさかなシート17-2 - マルアナゴの利用例。
- ^ 【仰天ゴハン】棒あなご(秋田県男鹿地方)「化石」を珍味に 漁師も粘る『読売新聞』朝刊2018年9月30日(別刷り「よみほっと」1面)。
- ^ 尚学図書(編)『日本方言大辞典』小学館、1989年、81頁。
- ^ 尚学図書(編)『日本方言大辞典』小学館、1989年、80頁。