アクアポニックス

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小型のアクアポニックスシステム。アクアポニックスという用語は、養殖(aquaculture)と水耕農業(hydroponic agriculture)からの造語。

アクアポニックスは従来の養殖水耕栽培を組み合わせたシステムのことで、巻き貝、魚、エビなどの飼育と水耕栽培とで共生環境を形成することを特徴としている。

アクアポニックスの栽培方式には、メディアベッド、DWC(Deep Water Culture system)、NFT(Nutrient Film Technique)の3つの基本方式が採用されている。


アクアポニックスの基本原理

アクアポニックスの基本原理は、魚(水生生物を総称してここでは魚と記述します。)の糞尿及び残餌に由来する魚毒性の強いアンモニア、亜硝酸を魚毒性の少ない硝酸まで微生物及びエアレーションによって酸化することで閉鎖環境の中で魚を長期間生存あるいは増殖させることを目指している。一方で、時間の経過とともに硝酸が水中に蓄積してくるため、その硝酸を系から定期的に引き抜くことが必要となるが、この引き抜きの役割を硝酸を肥料として利用できる植物で行っている。この時、利用する植物に蔬菜や果菜を用いることで水産物と農産物の両方を生産しようとすることがアクアポニックスの一つの特徴である。

 アクアポニックスは一般的にはアンモニアを亜硝酸から硝酸まで酸化する硝化のプロセスと硝酸が植物が利用しやすい窒素肥料として一般的であることを組み合わせたシステムとして理解されているが、実際には、より複雑で柔軟性のあるシステムであることを理解することがアクアポニックスシステムを上手に活用する上で有益である。

好アンモニア性植物と好硝酸性植物の利用

好アンモニア性植物と好硝酸性植物という概念を取り入れたアクアポニックスの新しい基本モデル。栽培植物の選定、硝化機能の低下する冬季に適した植物の選定が容易など従来よりもより利用度の高いモデルとなっている。

例えば、植物には、アンモニア、亜硝酸、硝酸をそれぞれ、直接肥料成分として利用できるものがある。作物分類の中では、好アンモニア性植物好硝酸性植物という分類がある。好アンモニア性植物には、イネ、チャ、クランベリー、ブルーベリー、サトイモ、パイナップルなどがあり、アクアポニックスでよく利用されるレタスは好アンモニア性植物である。

 一方好硝酸性植物としてはトマト、タバコ、トウガラシ、アズキ、ジャガイモ、エンドウ、ソラマメ、カブ、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、カラシナ、ビート、ホウレンソウ、キュウリ、タマネギ、ライムギ、ソバ、ワタなどがあり畑作物の多くは好硝酸性植物である。

 レタスを栽培に使うことは、硝酸を吸わせているというより糞尿から発生するアンモニアを直接レタスに吸収させていると理解する方が適切である。従って好アンモニア性植物と好硝酸性植物を知っていれば栽培に用いる作物の選定や水質の効果的な管理に利用することができる。また、硝化前のアンモニアを直接植物に吸わせることは硝化に必要なエネルギーを少なくすることにつながる。水温の低下する季節や環境では、硝化細菌の働きが極端に低下するため好アンモニア性植物の利用を理解することは特に重要である。

 好アンモニア性植物と好硝酸性植物に関しては、アクアポニックスではほとんど用いられていない知識だが、これらの知識を知ることで、より深くアクアポニックスシステムを活用できるようになる。

 アクアポニックスに好アンモニア性植物と好硝酸性植物という植物分類を組合せるという考え方は、飯島朗(飯島アクアポニクス)島田敏(島田設備株式会社)が国内では初めて提唱したものである。飯島らが2018年に第17回世界湖沼会議(いばらき霞ヶ浦2018)において配布資料として作成した小冊子 AQUAPONICS TECHNIQUE  BOOKLET ~Further  Aquaponics  Technique~つくば3Eフォーラム バイオマスタスクフォース 研究プロジェクト 飯島アクアポニクスチーム)で紹介している。