行政機関

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Doraemonplus (会話 | 投稿記録) による 2012年6月1日 (金) 22:56個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (行政庁という意味では、administrative agencyが適切かと思う。)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

行政機関(ぎょうせいきかん、administrative agency)とは、政策の執行や行政の事務や行政権の行使にたずさわる、国や地方公共団体の、機関[※ 1]のことである。分かりやすくするために「行政組織」と言われることもある。

立法機関立法府)、司法機関裁判所)と対比される。

主にの行政事務を担当する機関を指すが、地方公共団体自治行政の事務を担当する機関を含めることもある。国と地方公共団体の行政機関を総称して行政庁(下記の講学上の概念とは異なる)ともいう。

概説

行政は、国・地方公共団体などの法人が「行政主体」となり、その名(名義)と責任において実施する。この行政主体は法人であるため、実際にその手足となって行為する機関を設け、自然人をその機関の職にあてて職務を行わせなければならない。行政主体のために、その手足となって職務を行う機関を「行政機関」という。

行政機関には、法律により、一定の権限と責任が割り当てられる。行政機関が、その割り当てられた範囲内で行った行為の効果は、法律上もっぱら行政主体に帰属する。行政機関そのものには帰属しない。このように、行政機関の行為の効果が行政機関に帰属しないことを、法律学の言葉遣いで「行政機関には人格がない」と表現する[要出典]。人格(法人格)は行政主体(国など)にある[要出典]

「行政機関」概念には、講学上の行政機関概念と、国家行政組織法上の行政機関概念がある[要出典]

講学上の行政機関概念

講学上の行政機関とは、行政の事務を担当する機関のことである。この行政機関は、その機能から次の6種に分類され[要出典]、それぞれが行政機関とされる。

  1. 行政庁 - 行政主体の法律上の意思を決定し、外部に表示する権限を持つ機関。公権力の行使の場面で用いられる。特に国の行政庁を行政官庁という。行政庁や行政官庁という語は、一般的な用法では組織や建物を指すが、法律学上は法律により権限を与えられた自然人(独任制)または自然人の合議体(合議制)を指す。
    独任制:各省大臣都道府県知事市町村長など。刑事法廷における検察官は、一人で当該事件に関する国の意思を決定し、外部に表示する権限を持つため、独任制の行政官庁である。
    合議制:国における行政委員会(公正取引委員会人事院など)、会計検査院、地方公共団体における教育委員会選挙管理委員会公安委員会 など。
    法令の適用による法人またはその機関 例:弁護士法第56条(懲戒事由及び懲戒権者)。
  2. 諮問機関 - 行政庁から諮問を受けて、審議、調査し、意見を具申する機関。
    各種の審議会調査会(公務員制度調査会)など。
    諮問機関の意見に法的拘束力は無いが、できるだけ尊重されるべきとされている。
  3. 参与機関- 行政庁の意思を法的に拘束する議決を行う行政機関。
    電波監理審議会電波法94条に基づく総務大臣の決定を拘束する)
    検察官適格審査会検察庁法23条に基づく法務大臣の決定を拘束する)
    労働保険審査会など。
  4. 監査機関 - 行政機関の事務や会計の処理を検査し、その適否を監査する機関。
    会計検査院監査委員など。
  5. 執行機関 - 行政目的を実現するために必要とされる実力行使を行う機関。(注:地方自治法では、議会を「議決機関」とし、その対比として知事部局を「執行機関」と定める。講学上の言葉遣いとは異なるので注意を要する。)
    自衛官警察官海上保安官徴税職員消防職員など。
  6. 補助機関 - 行政庁その他の行政機関の職務を補助するために、日常的な事務を遂行する機関。
    内閣官房事務次官大臣政務官、局長、課長から一般職員の多く。

国家行政組織法上の行政機関概念

日本

国家行政組織法学上の「行政機関」は、委員会など、事務配分の単位としての官署そのものを指す。例えば、総務省なら総務省で一つの行政機関であり、法務省なら法務省で一つの行政機関である。国家行政組織法上、「内閣の統轄の下における行政機関で内閣府以外のもの」を「国の行政機関」とし、同法により組織の基準が定められる。内閣の統轄下にありながら同法の適用を受けない内閣府人事院などは、同法にいう「国の行政機関」ではないものの、「行政機関」であることはいうまでもない。

また、会計検査院も行政機関であるが、これは内閣から独立した地位が保障された憲法機関であり、行政府たる内閣および内閣官房・内閣府・人事院・各省庁や委員会などの内閣のすべての下部組織のみだけでなく、司法府(最高裁判所を含むすべての裁判所およびその機関)・立法府(衆議院参議院およびその機関のみならず、両院をもって組織される弾劾裁判所裁判官訴追委員会等の機関も含まれる)などをも会計検査権限の行使対象とする点で、他の行政機関と異なる特質がある。

講学上の行政官庁は、「行政機関の長」とする。省の長は大臣であり、委員会の長は委員長、庁の長は長官である。省は「内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関」として置かれる。委員会と庁は、省にその外局として置かれる。なお、会計検査院の長は「会計検査院長」であり、人事院の長は「人事院総裁」である。

アメリカ合衆国

現在存在する行政機関(英語:executive departments)は以下のとおりである。

各法律での行政機関

脚注・出典

脚注

  1. ^ ここで言う「機関」とは、何らかの目的のため、あるいは役割を果たすために設けられた組織、といった意味の言葉である。

出典

参考文献

関連文献(読書案内)

  • Barber, J. D. 1977. Presidental character. Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall.
  • Bass, B. M. 1981. Stogdill's handbook on leadership. New York: Free Press.
  • Blondel, J. 1980. World leaders. London and Los Angeles: Sage Publications.
  • Blondel, J. 1982. The organization of governments. London: and Los Angeles: Sage Publications.
  • Blondal, J. 1985. Government ministers in the contemporary world. London and Los Angeles: Sage Publications.
  • Blondal, J. 1987. Political leadership. London and Los Angeles: Sage Publications.
  • Burns, J. McG. 1978. Leadership. New York: Harper & Row.
  • Castles, F. C. ed. 1982. The impact of parties. London and Los Angeles: Sage Publications.
  • Cronin, T. E. 1975. The state of the presidency. Boston: Little, Brown & Co.
  • Finer, S. E. 1962. The man on horseback. London: Pall Mall Press.
  • Headey, B. 1974. British cabinet ministers, London: Allen & Unwin.
  • Heclo, H. 1977. A government of strangers. Washington, D.C.: Brookings Institution.
  • Hook, S. 1955. The hero in history. Boston: Beacon Press.
  • Kellerman, B. ed. 1984. Leadership. Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall.
  • Neustadt, R. 1960. Presidental power. New York: John Wiley.
  • Rose, R. 1984. Do parties make a defference? London: Macmillan.
  • Verney, D. V. 1959. the analysis of political systems. London: Routledge & Kegan Paul.

関連項目