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神の雫

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神の雫』(かみのしずく)は、原作:亜樹直、作画:オキモト・シュウによる日本漫画作品。

概要

2004年に『モーニング』(講談社)で連載を開始。2012年2月現在、単行本は32巻まで刊行されている。2009年1月から3月まで、日本テレビ火曜ドラマ』枠で連続ドラマ化された[1][2]

様々なテロワール、幻の醸造法、驚異のビンテージワインが彩る本作は従来のワイン表現方法に則らない、ワイン初心者にも分かり易い独自の表現が受け入れられ人気作となる。ゴルフより必須のビジネスツールとして日本国外でも人気が高く、特に韓国では200万部を売り上げ、韓国国内のワインブームの火つけ役ともされており、2009年の秋 - 冬にはドラマ化が予定されていた[1][2][3](後に諸事情により白紙化)[4]。また、ワインの本場であるフランスでも「フランス人にとっても知らなかった知識が出てくるマンガ」と絶賛されており[5]アングレーム国際漫画祭2009年公式セレクションにも選定されている[6]

この漫画が原因で、シャトー・ル・ピュイというボルドー・ワインの価格が高騰し、出荷元が出荷を停止する事件に発展した[7]

2009年7月、料理本のアカデミー賞と言われるグルマン世界料理本大賞の最高位の賞である"殿堂"をパリで受賞した[8]

2010年1月、フランスのワイン専門誌「ラ・ルビュー・ド・バン・ド・フランス」が「今年の特別賞」(最高賞)に原作者の亜樹直と作画のオキモト・シュウを選出。ワインの宣伝に貢献したとして評価された。最高賞に日本人が選ばれたのは初めて[9]

あらすじ

ボルドーのグレートヴィンテージである1982年から22年が経った[10]2004年、フランス料理店でソムリエ見習いとして働く紫野原みやびは、ワインの知識に関する間違いを指摘したことで客の機嫌を損ねてしまった。だが、その客の連れとして来ていた青年が、「ソムリエーヌ デキャンタを」と叫び、神業のようなデキャンタージュによってみやびの窮地を救った。

翌日この青年、神咲雫は営業部から新設のワイン事業部への異動を命じられた。父親が世界的なワイン評論家であることを会社に見込まれたからであったが、雫はそんな父親に反発していたため、デキャンタージュの腕とは裏腹に、実はワインに関してはまったくの素人であった。

そんな時、突然の父親の訃報。彼はある遺言を残していた。それは、彼が選んだ12本の偉大なワイン『十二使徒』と、その頂点に立つ『神の雫』と呼ばれる幻の1本が何年作の何というワインなのかを、彼の心象風景で綴られた遺言状を手がかりに、1年という期限ですべて当てた者に遺産の全てを譲渡するというものであった。そこに豊の養子として迎えられた遠峰一青が現れ、雫は遺産相続をめぐり、豊の選んだワインを探すだけでなく、風景や人物、美術作品などに例えて表現する勝負に挑むこととなった。

テロワール[11]を極めるために、ブルゴーニュの畑の土をブラインドテイスティングするトレーニングを行い、果実味を補うために行う補糖のような醸造法を許さない真摯なワイン評論家である遠峰と戦うこととなったワイン素人の雫は、一期一会の表現を心がけたいので、試飲することなくワインを探すために、開封されたコルクに染み付いた香りや、通気性のよいコルクを通過するワインの香り、幼い頃に食べたブドウの味の記憶を頼りに十二使徒を探すことになった。

登場人物

神咲 雫(かんざき しずく)
主人公。ビール会社・太陽ビールの営業マン。ワイン事業部に異動になる。幼い頃から父親にワインの英才教育を受けてきたが、そんな父親に嫌気が差しビール会社に就職した。未開封のワインの中身を判別できるほど嗅覚は敏感で、表現力と感覚は父親譲りだが、ワインに関する知識はほとんど持たない。ワインの知識豊富なみやびを頻繁に「頭でっかち」呼ばわりするなど、知識のある人を軽視している。
人生で初めて飲んだワインはシャトー・モン・ペラである。[12][13]
二枚目で複数の女性から好意を寄せられるものの、女心には超鈍感なため常に女性側の一人相撲となる。
使徒探しにおいては、特に努力しなくても使徒の鍵を握る人物と偶然知り合ってしまう強運の持ち主である。
紫野原 みやび(しのはら みやび)
仏料理店で働くソムリエーヌ。極めて正確にワインに使われるブドウの品種を識別する能力をもつが、資格試験にはなかなか合格できないでいる。後に、アドバイザーとして太陽ビールに契約社員として雇用される。
ワインの知識に乏しい雫をサポートしている。
酔っ払うと男を部屋に連れ込む癖があり、作中では、度々セクシーショットが披露されている。
神咲 豊多香(かんざき ゆたか)
雫の父親。世界的なワイン評論家。世界有数のワインコレクターで、所有するワインの市場価格の総額は20億円相当と言われる。膵臓癌で死亡し、ある遺言を残す。
作中ではロバート・パーカーに並ぶ世界的ワイン評論家とされており、ワイン関連の著作もあり、市場価格にも影響を及ぼしていた。また、評論家の枠にとどまらず、リリース前のワインのテイスティングノートを書く天才的味覚・嗅覚を生かしてワイン醸造のコンサルティングも行っていた。
若い頃にワインの先物取引(先物価格でワインを購入し、価格が上がったら転売して利ざやを稼ぐ投機的ワイン売買)で財産を築く。
遠峰 一青(とおみね いっせい)
若きカリスマワイン評論家。神咲豊多香のワインコレクションが欲しいがために、養子縁組をし、雫とともに遺言を受ける。雫のライバル。
非常にプライドが高く度々傲慢な態度をとるが、日夜テイスティングの腕を磨き続ける努力家でもある。また、ワインのためとあらば類まれなる行動力を発揮し、「ワインへの渇望」を高めるためにタクラマカン砂漠に行ったり、遺言状の記述を理解するために遊園地を一つ借り切るなど常人の理解が及ばない行動をとる。
別れのワインに、二次発酵前に糖分添加されないシャンパンを贈るロマンチスト。
実は仄香と豊多香の間に生まれた私生児であり、雫の異母兄に当たる。しかし、この事を知っているのは、豊多香と仄香と一青とロベールと村越だけである。
クリストファー・ワトキンス
アメリカ人。父親の命により、第九の使徒より参戦する。第一から第八までの使徒を遺言状の記述を聞いただけで中てられる程の才能を持つが、第九の使徒の決選場で、豊多香の記述をなぞっただけという点をロベールに指摘され、自分探しの旅に出る。
霧生 涼子(きりゅう りょうこ)
弁護士。神咲豊多香の遺言作成にも立ち会い、氏の残したワインの管理と相続に関する全てを任されている。
藤枝 史郎(ふじえだ しろう)
ワインバー『モノ・ポール』のオーナーソムリエ。みやびの師匠。
「オーパス・ワン」や「カロン・セギュール」などの高級ワインをおごりで客に出すなど、非常に気前が良い。
若い頃は共産主義に傾倒し、学生運動にのめり込んでいた。
美島 壮一郎(みしま そういちろう)
みやびの勤めるレストランチェーンのオーナー。
在庫を抱えないために高級ワインのオーダーが入ったら近所の酒屋に買いに行くよう指示したり、ひたすら利益を追求するタイプの経営者で周囲からはビジネスの鬼と評されていた。
過去の恋人とよりを戻したことをきっかけに穏やかで寛大な性格となる。
西園寺 マキ(さいおんじ マキ)
西園寺コーポレーション・SAIONトレーディング社長。ワインインポーター。一青のパトロンである。
雫が使徒勝負から降りるよう罠にはめたり、ローランを一青から引き離そうと画策するなど、目的のためなら手段を選ばない性格だが、ワインに関する貴重な情報を持つ。一青の心をも手に入れようとしている。
土肥 ロベール(どい ロベール)
日仏ハーフ。神咲豊多香の旧友で、氏に最も信頼されていた。現在はいわゆるホームレスで、公園のダンボールハウスに『シャトー・ロベール』と名付けて住んでいる。住んでいる公園は私設のもので、ダンボールハウスで暮らしてはいるものの、数十億円の資産があるらしい。雫と一青の戦いの立会人。
口癖は「それもまたワインじゃ」。
セーラ
売れっ子モデル。一青の異父妹。日仏ハーフ。5歳で初めてワインを飲み、12歳で普通に飲むようになり、14歳でワインの虜になり、ワインの知識も豊富。みやびから「マダム・ルロワのよう」と評される。
太陽ビールのCMモデルに採用され、雫とも交流するようになるが、一青の妹であることは隠し、使徒探しの進行状況などを密かに探っては一青に報告している。
河原毛(かわらげ)
ワイン事業部の部長。
常にまったりしており存在感が薄いが、ワインへの愛情と知識には並々ならぬものがあり、部下からの信頼は厚い。
ワイン事業部は河原毛の上層部への熱心な働きかけによって発足した。
本間 長介(ほんま ちょうすけ)
ワイン事業部の一員。昔フランス人女性に振られたことが原因で、イタリアワイン一辺倒になる。
筋金入りのワインオタクであり、自宅マンションのスペースのほとんどをワインの保管に当てている。
父と母はすでに他界している。
モデルはシニアワインアドバイザーの本間敦[14]
木戸 竜介(きど りゅうすけ)
ワイン事業部の一員。一番の年下。元々は宣伝部希望だった。最初はワインを馬鹿にしていたが、それは研修後に配属となった部署で教育係を担当した年上の女性社員への苦手意識からだった。しかし、次第にワインの美味さと奥深さにのめり込み、件の女性社員ともうまくいくようになった。そして、今はフランスやイタリア以外でも安くて美味いワインを数多く日本に広める事が夢となっている。
石河 順也(いしかわ じゅんや)
みやびの中学校・高校時代の友達。入院中の父親に代わりワインショップを営む。一橋大学卒。双子の兄。ワインは生産者で決まる、がポリシーだった。
石河 健也(いしかわ けんや)
同上。双子の弟。優秀な兄と違い元暴走族で、高校も中退した。ワインは畑で決まる、がポリシーだった。
高杉(たかすぎ)
みやびの中学時代の同級生で、初恋の相手。実家のスーパーが急成長したため、名家の子息が通う学校に転校した。しかし、そこで価値観を否定されるほどの衝撃的な体験をし、ブランド至上主義に傾倒した。だが、みやびと雫達ワイン事業部の力により嘗ての自分を取り戻した。実家のスーパーの中国進出を社長である父親から任され、同級生の妹である田中萌黄に共に中国に行ってくれとプロポーズし、快諾される。
キルギス・ローラン[15]
第2の使徒探しの際、一青がタクラマカン砂漠で出会った中国・新疆ウイグル自治区出身の女性。名前の由来は楼蘭で、母親が日本人。ワインに関しては無知だが、砂漠に埋もれていたワインを見つけるなど大変優れた嗅覚を持つ。一青に日本へ招かれ、一青の使徒探しに協力する。しかし、西園寺マキの策略により、一青と別れてしまった。
遠峰仄香(とおみね ほのか)
一青とセーラの母親。フランス有数のワインテースターで航空会社の取締役夫人。一青と雫の勝負では中立の立場に身を置いている。一青が幼い頃、雪山で彼を殺そうとした。

『十二使徒』の正体

生産者 生産国・地域・格付 銘柄・生産年
第一の使徒 ジョルジュ・ルーミエ フランス ブルゴーニュ地方シャンボール・ミュジニー村 1級畑 レ・ザムルーズ 2001年
第二の使徒 フランス ボルドー地方マルゴー村 3級 シャトー・パルメ 1999年
第三の使徒 ドメーヌ・デュ・ペゴー フランス ローヌ地方 シャトーヌフ・デュ・パプ キュヴェ・ダ・カポ 2000年
第四の使徒 フランス ボルドー地方ポムロール地区 (格付制度なし) シャトー・ラフルール 1994年
第五の使徒 ミシェル・コラン・ドレジェ フランス ブルゴーニュ地方ピュリニー・モンラッシェ村 特級畑 シュヴァリエ・モンラッシェ 2000年
第六の使徒 ルチアーノ・サンドローネ イタリア ピエモンテ バローロ・カンヌビ・ボスキス 2001
第七の使徒 マンフレッド・クランクル アメリカ カリフォルニア オーク・ビュー シネ・クア・ノン ザ・イノーギュラル・イレブン・コンフェッションズ・シラー 2003
第八の使徒 ジャック・セロス フランス シャンパーニュ キュヴェ・エクスキーズ NV
第九の使徒 ポッジョ・ディ・ソット イタリア ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2005

登場するワインについて

原作者の好みにより、紹介されるワインの大半はフランスワインである。次いでイタリアワインを中心としたヨーロッパ産ワインの登場頻度が高い。新世界(アメリカ、オーストラリア、チリなど)のワインはあまり紹介されない。原作者が実際に飲んだワインのみ登場させている。

関連商品

『神の雫〜ワインと音楽のマリアージュ〜』(イメージアルバム)
2007年11月7日発売、作品の世界観を忠実に表現したアルバム。原作者・亜樹直の監修により、クラシックジャズ・民俗音楽など、様々なジャンルから20曲が選曲された。
単行本第13巻でCD付きの限定版が発売された。

テレビドラマ

神の雫
ジャンル テレビドラマ
原作 亜樹直
脚本 渡辺雄介
演出 中島悟石尾純
出演者 亀梨和也
田辺誠一
仲里依紗
製作
プロデューサー 桑原丈弥秋元孝之
制作 日本テレビ
放送
音声形式ステレオ放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間2009年1月13日 - 2009年3月10日
放送時間毎週火曜 22:00 - 22:54
放送枠火曜ドラマ (日本テレビ)
放送分54分
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概要

2009年1月13日から3月10日まで毎週火曜日の22:00 - 22:54 (JST)に日本テレビで放送。ハイビジョン制作

キャッチコピーは「神は、人類に想像力とワインを与えた。」。

初回は、15分拡大の23:09までの放送。番組制作費の節減に伴い、本作が火曜ドラマ枠最後の作品となり、1973年4月スタートの「火曜劇場」(途中、火曜サスペンス劇場DRAMA COMPLEX火曜ドラマゴールドと2時間ドラマ枠を25年半挟む)以来36年間続いた火曜ドラマの歴史に幕を降ろす。

日刊スポーツの主催するドラマグランプリ冬部門において、作品・主演男優・助演男優・助演女優の四部門を制した[16]

キャスト

スタッフ

主題歌

サブタイトル

各話 放送日 サブタイトル 原作 演出 視聴率
第1話 2009年1月13日 遺産対決究極の味 1巻 - 3巻 中島悟 10.3%
第2話 2009年1月20日 第一の使徒登場! 4巻 - 6巻(第一の使徒) 7.3%
第3話 2009年1月27日 父が教えた団欒の味 6巻・7巻・10巻・11巻(第三の使徒) 6.2%
第4話 2009年2月3日 遂に悲劇の幕が開く 4巻・7巻・8巻・11巻(第二の使徒) 5.0%
第5話 2009年2月10日 暴かれた出生の秘密 7巻・8巻・11巻(第二の使徒) 石尾純 6.0%
第6話 2009年2月17日 雪上の弟と沈黙の兄 16巻 - 18巻(第五の使徒) 中島悟 4.9%
第7話 2009年2月24日 隠された遺言状の謎 単行本未収録(第六の使徒) 石尾純 4.7%
第8話 2009年3月3日 初恋の詩に秘めた謎 13巻 - 15巻(第四の使徒) 中島悟 4.9%
第9話
(最終回)
2009年3月10日 決着! 父から子へ ドラマオリジナル 5.4%
平均視聴率6.2%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)
日本テレビ 火曜ドラマ
前番組 番組名 次番組
オー!マイ・ガール!!
(2008.10.14 - 2008.12.09)
神の雫
(2009.01.13 - 2009.03.10)
廃枠
日本テレビ系列 火曜22時台
オー!マイ・ガール!!
神の雫
【これまで火曜ドラマ枠】
魔女たちの22時
【ここからバラエティー枠】

関連項目

脚注

  1. ^ a b 毎日.jp. “神の雫:亀梨主演でドラマ化 ヨン様の韓国版と対決? 人気ワインマンガ”. 2008年11月13日閲覧。[リンク切れ]
  2. ^ a b スポーツ報知. “22年モノ!大人の亀梨を召し上がれ…人気漫画「神の雫」ドラマ化”. 2008年11月13日閲覧。[リンク切れ]
  3. ^ Chosun Online. “アジアにワインブームを起こした『神の雫』主人公”. 2008年10月24日閲覧。[リンク切れ]
  4. ^ SANSPO.COM. “ヨン様の次回作、「神の雫」韓国版が白紙化”. 2010年1月5日閲覧。[リンク切れ]
  5. ^ NHK海外ネットワーク2008年10月13日付特集「日仏の新しい関係〜修好150周年を見る」より
  6. ^ フランス アングレーム候補作品に「神の雫」「ドラえもん」等、アニメ!アニメ!、2008年11月1日
  7. ^ http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/europe/452110/
  8. ^ 朝日新聞. “「神の雫」、グルマン世界料理本大賞の最高位受賞”. 2009年7月2日閲覧。
  9. ^ [1][リンク切れ]
  10. ^ 『神の雫』1巻pp84-86
  11. ^ ワインの個性を決める葡萄畑の性質。唐辛子を育てた畑の隣で育てられたブドウは、唐辛子と相性のよいワインになったり、牡蠣殼がたくさん含まれた土地で作られたシャルドネが牡蠣と相性がいいのは、このテロワールのおかげである。
  12. ^ 第1巻P97-100ページ。
  13. ^ ただし厳密には24巻P32-P35ではワインをシャーペットにして食べていた。
  14. ^ グラスはワインの“大きさ”に合わせて選ぶ 「神の雫」作者のノムリエ日記 2010年5月31日付
  15. ^ フルネームは、第12巻87ページで判明。
  16. ^ 第12回ドラマGP 冬投票 「神の雫」が4冠[リンク切れ]

外部リンク