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富士見ミステリー文庫(ふじみミステリーぶんこ、Fujimi Mystery Bunko)は2000年11月から2009年3月まで富士見書房が刊行していた日本のライトノベル系文庫レーベル。
概要
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既存のミステリー小説とは異なるキャラクター・ミステリーという新ジャンルの確立を目指し、富士見ファンタジア文庫から派生して創刊。富士見ヤングミステリー大賞というレーベル独自の新人賞を持っていたが、第8回をもって終了している。
2000年に創刊し、2002年からはヤングミステリー大賞の候補者の作品が刊行され始めた。ミステリー&ホラーをメインにしており、女神転生のノベライズも取り扱った。2003年12月より、いわゆるミステリー(本格推理小説)という固定観念からの脱却を図り、大幅にリニューアルされた。カバーイラストの占有量が増加し裏表紙にまで至り(凡そ表紙と一枚続きの絵である)、黒を基調としていた背表紙もパステル調に改められた。内容面も恋愛要素を多分に取り入れ、その一端は帯に大きく印字された「L・O・V・E!」の文字に象徴されており、「LOVE寄せ」などと表現された[1]。一方で殺人事件などは基本的に御法度とされ、一部の作家にのみ「殺人許可証」が与えられる、と言われた。この恋愛偏重の編集方針への転換[2] により、幾つかの作品が事実上の打ち切りとなるなどの影響を生じたが、「GOSICK」シリーズなどが刊行され、レーベル自体は概ね好調であり、本レーベルで「ライトノベル」として刊行された『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が、一般文芸書籍としてハードカバー化される(2007年2月)など話題も呼んだ。
しかしながら「ミステリーという枠にとらわれない」という定義付けは、富士見ファンタジア文庫が既にあるなかでの存在理由に齟齬を生じ、読み切り短編を積極的に刊行する「初体験Project」(2006年6月~)[3]、発売日の20日への変更(2008年4月)[4] などをおこなうも、次第に刊行数を減らしていった[5]。2008年頃から富士見ファンタジア文庫への移籍も開始され[6]、2009年3月、人気シリーズ「ROOM NO.1301」「SHI-NO」両シリーズの終了を以て刊行を停止、事実上の廃刊となる。なお富士見ファンタジア文庫へ移植された作品のほか、他社ライトノベルレーベルや、角川文庫、ハードカバーなど一般書籍として新装版・続刊の刊行に至った作品も一部存する[7]。
キャッチフレーズを「ナゾ・解ク・愉シミ」としながらもジャンル外の作品(大まかに言うなればミステリー以外にアクション、恋愛、ファンタジー設定)も扱い、リニューアル後には「富士見ミステリー文庫はあなたに恋をさせます。」と明らかに迷走していたが、正統派の作品も多く存在している[8]。
富士見ミステリー文庫作品一覧
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ら行
脚注
- ^ 新井輝が自身のブログ(2005.01.04付)にて「富士見ミステリー文庫用語」として紹介したのが最初とされている。以後、各所で使用される様になり、「ネコのおと リレーノベル・ラブバージョン」など、(あくまでフィクションとしての)富士見書房を描いた他作家の作中にも見られるなど定着した。
- ^ 編集方針の変化は装丁のリニューアルにやや先んじて生じており、編集者の原稿のチェックの重点が、ミステリーそのもの(謎解き)よりも登場人物の恋愛関係の方に置かれる様になった、との作家の回想もある。
- ^ 新井輝『さよなら、いもうと。』・田代裕彦『セカイのスキマ』・水城正太郎『すてるがかち!』など、既に本レーベルでシリーズを持っている作家の新作のほか、鈴木大輔『空とタマ』・岩久勝昭『うれしの荘片恋ものがたり』など、新たな作家の起用もおこなった。なお正確には、「初体験」と「Project」の間にハートマークが入る。
- ^ 当初、富士見ミステリー文庫の発売は毎月20日であったが、2003年4月、発売日が10日に変更された。これは書店への通知文書から、電撃文庫との共生を狙ったもの(一緒に新刊として陳列される)とされている。しかし実際には、刊行数・人気作の豊富な電撃文庫が平積みされるなか、スペースの関係から棚の隅へ追いやられる結果となった。
- ^ 看板作のひとつであった「GOSICK」シリーズも、2007年4月以降、レーベル存続中に新刊を出すことがなかった(後、角川文庫への既刊移植・新刊刊行が発表された)。また、富士見ミステリー文庫の短編を多く掲載していた『ファンタジアバトルロイヤル』(月刊ドラゴンマガジン増刊号)の休刊(2007年5月号)、「富士見ヤングミステリー大賞」が第8回(2007年12月31日締切)を以て終了するなど、縮小傾向が見られる。
- ^ 「夜想譚グリモアリス」シリーズは2008年5月より「幻想譚グリモアリス」、「さよならトロイメライ」シリーズは同年6月より「放課後トロイメライ」と改題して富士見ファンタジア文庫で続編を刊行。また「Dクラッカーズ」シリーズも2007年のうちに富士見ファンタジア文庫への移植を完了している。
- ^ 「ルーク&レイリア」シリーズは一迅社文庫アイリスへ、『菜子の冒険 猫は知っていたのかも。』はハードカバーとして講談社より刊行された。また初期の段階で、いわゆる「LOVE寄せ」によって打ち切りとなった作品(本格的なミステリ作品が多い)では、「レンテンローズ」シリーズが幻狼ファンタジアノベルス(幻冬舎)で、「激アルバイター・美波の事件簿」シリーズが創元推理文庫での復刊を果たしている。
- ^ 結果としては推理要素が主題ではなくなってしまったとはいえ、当時の富士見ファンタジア文庫からは主だって提供されていなかった分野を扱っていた。後の富士見ファンタジア文庫が継承したためレーベル性に少なからず影響を与えた
関連項目
外部リンク
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