勿来発電所

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勿来発電所
勿来発電所
勿来発電所の位置(福島県内)
勿来発電所
福島県における勿来発電所の位置
正式名称 常磐共同火力株式会社勿来発電所
日本の旗 日本
所在地 福島県いわき市佐糠町大島20
座標 北緯36度54分39秒 東経140度48分51秒 / 北緯36.91083度 東経140.81417度 / 36.91083; 140.81417 (勿来発電所)座標: 北緯36度54分39秒 東経140度48分51秒 / 北緯36.91083度 東経140.81417度 / 36.91083; 140.81417 (勿来発電所)
現況 運転中
運転開始 6号機:1966年11月30日
7号機:1970年10月26日
8号機:1983年9月9日
9号機:1983年12月15日
10号機:2013年4月1日
運転終了 1、2号機:1983年
3~5号機1987年
事業主体 常磐共同火力
発電所
主要動力源 石炭(6号機を除く)
二次動力源 重油(7、8、10号機を除く)
三次動力源 炭化燃料、木質バイオマス
(6、10号機を除く)
発電機数 5基
熱効率 10号機:42.4%(LHV)
コンバインド
サイクル発電
10号機:IGCC方式採用
発電量
定格出力 総出力:187.5万kW
  6号機:17.5万kW
  7号機:25万kW
  8号機:60万kW
  9号機:60万kW
 10号機:25万kW
ウェブサイト
常磐共同火力株式会社
2013年4月1日現在
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勿来発電所(なこそはつでんしょ)は福島県いわき市佐糠町大島20にある常磐共同火力石炭石油火力発電所

概要

常磐炭田の低品位炭の活用を目的に東北電力東京電力および炭鉱会社の出資により常磐共同火力株式会社が設立され、1957年に1、2号機が運転を開始、7号機まで順次建設された。1983年には8、9号機を増設し、老朽化した1~5号機は1987年までに順次廃止した。

燃料は石炭(現在は海外炭)と重油のほか、7~9号機では下水汚泥を原料とした炭化燃料の試用を2007年から開始、1%程度混焼している。2011年3月からは木材を原料とした木質バイオマス燃料(木質ペレット)の使用も開始した[1]

1~5号機の跡地に株式会社クリーンコールパワー研究所により石炭ガス化複合発電(IGCC)の実証機が建設され、2007年9月から2013年3月まで運転試験が行われて[2]、2013年4月から10号機として商用運転が開始された。商用運転開始と同時に、株式会社クリーンコールパワー研究所は常磐共同火力株式会社に吸収合併された。

2014年5月15日、東京電力と常磐共同火力は、福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画として、当発電所構内及び隣接地に世界最新鋭の大型石炭ガス化複合発電(IGCC)設備を共同で建設する計画を発表した。

発電設備

  • 総出力:187.5万kW(2013年4月現在)[3]
  • 敷地面積:697,000m²
6号機(長期計画停止後、2012年4月21日運転再開)
定格出力:17.5万kW
使用燃料:重油(当時は石炭)
ボイラー形式:定圧貫流形
営業運転開始:1966年11月30日
7号機
定格出力:25万kW
使用燃料:石炭、炭化燃料、木質バイオマス
ボイラー形式:強制循環形
営業運転開始:1970年10月26日
8号機
定格出力:60万kW
使用燃料:石炭、炭化燃料、木質バイオマス
ボイラー形式:変圧貫流形
営業運転開始:1983年9月9日
9号機
定格出力:60万kW
使用燃料:石炭、重油、炭化燃料、木質バイオマス
ボイラー形式:変圧貫流形
営業運転開始:1983年12月15日
10号機
発電方式:1,200℃級石炭ガス化複合発電方式(IGCC)
定格出力:25万kW
 ガスタービン:12.42万kW × 1軸[4]
 蒸気タービン:12.58万kW × 1軸
使用燃料:石炭
ボイラー形式:二室二段噴流床方式
熱効率:42.4%(低位発熱量基準)
営業運転開始:2013年4月1日

計画中の発電設備

福島復興大型石炭ガス化複合発電設備実証計画(勿来)[5]
発電方式:石炭ガス化複合発電方式(IGCC)
定格出力:約54万kW
使用燃料:石炭
着工:2016年(予定)[6]
運転開始:2020年初頭(予定)

廃止された発電設備

  • 発電方式:汽力発電方式
1号機(廃止)
定格出力:3.5万kW
使用燃料:石炭、重油(当時は石炭専焼)
営業運転期間:1957年11月 - 1983年
2号機(廃止)
定格出力:3.5万kW
使用燃料:石炭、重油(当時は石炭専焼)
営業運転期間:1957年11月 - 1983年
3号機(廃止)
定格出力:7.5万kW
使用燃料:石炭、重油(当時は石炭専焼)
営業運転期間:1960年 - 1987年
4号機(廃止)
定格出力:7.5万kW
使用燃料:石炭、重油(当時は石炭専焼)
営業運転期間:1960年 - 1987年
5号機(廃止)
定格出力:7.5万kW
使用燃料:石炭、重油(当時は石炭専焼)
営業運転期間:1961年 - 1987年

東北地方太平洋沖地震による被害

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によって長期計画停止中の6号機、定期検査中の8号機、IGCC実証機を含めた全機と、石炭の陸揚げに使用していた小名浜港からの重油導管が被災した[7]

6月30日に9号機が運転を再開[8]、発電所構内への石炭コンベヤー、港からの送油導管も復旧した。7月17日には8号機[9]、7月28日にはIGCC実証機[10]、12月21日には7号機が運転を再開した[11]。2012年4月21日には長期計画停止中だった6号機も運転を再開[12]、これによりすべての発電設備が運転再開した。

石炭外航船の受け入れに使用していた小名浜港の7号埠頭は大きな被害を受けたが、従来東京電力が広野火力発電所向けに使用していた6号埠頭を交代で使用することで6月17日から受け入れを再開した[13]

参考文献

「50年のあゆみ 1955-2005 人と事業の記録」常磐共同火力株式会社(2005年)

出典

関連項目

外部リンク