ワカサギ

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ワカサギ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: キュウリウオ目 Osmeriformes
: キュウリウオ科 Osmeridae
: ワカサギ属 Hypomesus
: ワカサギ H. nipponensis
学名
Hypomesus nipponensis McAllister, 1963
和名
ワカサギ (公魚、鰙、若鷺)
本文参照
英名
Japanese smelt
Wakasagi smelt

ワカサギ(公魚、鰙、若鷺、学名 Hypomesus nipponensis)は、キュウリウオ目キュウリウオ科魚類の一種。日本の内湾やに生息する冷水性の硬骨魚で、食用魚でもある。

名称

別名 アマサギ(山陰地方[1]、オオワカ、コワカ、サイカチ、サギ、シラサギ、シロイオ、メソグリなど

漢字で「公魚」と書くのは、かつての常陸国麻生藩が徳川11代将軍徳川家斉年貢として霞ヶ浦のワカサギを納め、公儀御用魚とされたことに由来する[2]

分布

天然分布域は、太平洋側は千葉県或いは茨城県霞ヶ浦)以北、日本海側では島根県宍道湖)以北の北日本北海道で、日本以外ではロシア連邦ハバロフスクのウスリー川、オホーツク海に注ぐサハリンの河川、ベーリング海に注ぐアナジリ川[1]カリフォルニア州にも分布する。

人為放流

水質が悪い状況や低水温や塩分に対して広い適応力があり、食用魚としての需要も高いことから、日本各地の湖やダムなどでも放流された個体が定着している。1910年代[3]に水産動物学者の雨宮育作が、霞ヶ浦のワカサギを山中湖諏訪湖へ移植し、各地の湖沼に普及した経緯がある。今や、南西諸島と伊豆・小笠原諸島を除く全国に分布域を広げている。鹿児島が南限とされている。

形態

成魚の全長は15cmほど[4]。体は細長く、各ひれは小さい。背びれの後ろには小さなあぶらびれがある。また、背びれは腹びれより少しだけ後ろについていることで近縁種のチカと区別できる。あぶらびれの大きいイシカリワカサギという近縁種もいる[4]

生態

成長期に降海する遡河回遊型(両側回遊型)[5]と、生涯を淡水で生活する河川残留型(陸封型)が存在する。なお、同一水域内でも降海型と残留型が存在することが網走湖小川原湖で報告されている[1]。遡河回遊型は孵化後降海するが、一定期間を汽水域で過ごす。従って、生息域は内湾(沿岸海域)、汽水域河川などである。産卵の為に河川を遡上する際は淡水順応を行わず、一気に遡上し、産卵、降海までを2時間程度で行っているとする研究がある[6]

地域にもよるが産卵期はからにかけてで、この時期になると大群をなして河川を遡り、淡水中の水草や枯れ木などに付着性の卵を産みつける。卵の直径は1mmほどで、1匹の産卵数は1000粒から2万粒[7]にも達する。寿命は1年で、産卵が終わった親魚は死んでしまうが、北海道野尻湖仁科三湖など寒冷な地域では2年魚、3年魚も見られる。

食性肉食性で、ケンミジンコヨコエビなどの動物プランクトン魚卵稚魚などを捕食する。 一方、魚食性の大型魚類(オオクチバスコクチバスニジマスヒメマスなど)や水辺を生息域とするサギなど鳥類に捕食されている。

富栄養化などの水質汚濁に対する適応力が高く、そのような湖沼でふつうに見られる。水質良好であることを表現する意図で「ワカサギが棲める○○湖(沼)」といった解説がなされることがあるが、むしろ「ワカサギしか棲めない」とみる方が妥当な場合もある。

利用

漁業

琵琶湖、小川原湖、山中湖、霞ヶ浦、北浦、宍道湖、諏訪湖など各地の湖沼で漁業者による漁が行われ流通している。また、他水域へ放流する際は卵で行われるため、採卵用の親魚の捕獲も行われている[8]

宍道湖では1994年を境に漁獲量が大きく減少した[9]が、夏期の高水温が原因と考えられている[1]

漁・釣り

ワカサギの穴釣り(群馬県前橋市大沼

冬期(10月から3月程度)が漁期で、釣り刺し網地引網、氷上の穴釣りなどで多く漁獲される。 特に脂が乗る旬は、桃の節句の前後という。ワカサギは一年中釣れる。

一本釣りまたは、サビキ釣りで釣られる。胴突きのサビキを用いた釣り方が主流になりつつある。餌は、サシ赤虫がよく使われる。

「氷上の穴釣り」は、結氷した湖面にアイス・ドリルという専用の道具、またはつるはし等で直径15-20cmほどの穴をあけ、その穴からワカサギを釣り上げるもので、日本の冬の風物詩のひとつともされる[10]。既に昭和初期には、信州(長野県)の松原湖野尻湖山梨県山中湖などで、釣りを趣味とする人々により「氷上の穴釣り」が行われていたと記録されている。

ドーム船

長野県の野尻湖や諏訪湖山梨県の山中湖、河口湖などでは、ストーブを備えた「ドーム船」とよばれる船に乗りこみ、船底に開いた穴(双胴船に準ずる構造で、浸水はしない)から釣る遊漁も行われている。

事故 : ドーム船や氷上のテントでは度々酸欠事故が発生している。乗客一酸化炭素中毒で緊急搬送されており[11][12]、2012年山中湖ドーム船連絡協議会や山中湖漁協は石油ファンヒーターを使用しないように要請した。

料理

成長した親魚では骨が太くて硬いが、小ぶりなものは骨も細くて柔らかく、丸ごと食べられる。鮮度が悪くなると腹が破れやすい。味が繊細なため味付けを薄めにする事がある。天ぷらフライから揚げマリネ南蛮漬けなどの揚げ物のほか、佃煮甘露煮にして保存食ともする。新鮮なものは刺身でも食べられる。

脚注

  1. ^ a b c d 耳石 Sr:Ca と採集調査から推定された宍道湖産ワカサギの回遊パターン 水産増殖 Vol.62 (2014) No.1 p.1-11
  2. ^ 土浦商工会事務所』土浦商工会誌、国立国会図書館1937年、241~242頁
  3. ^ 諏訪湖各種移航魚貝類の放流年次と各種の年間漁穫物量順位の推移 信州大学環境科学研究会 環境科学年報3:7-13(1981)
  4. ^ a b 木村義志『フィールドベスト図鑑 日本の淡水魚』学習研究社、2000年8月4日。ISBN 4-05-401120-9 
  5. ^ 網走湖産ワカサギ降海移動期の発育段階と栄養状態 北海道立水産孵化場研究報告 第64号, 2010
  6. ^ 岩手県閉伊川における遡河回遊型ワカサギの回遊履歴 日本水産学会誌 Vol.72 (2006) No.5 P924-926
  7. ^ ワカサギの抱卵数に就いて 日本水産学会誌 Vol.13 (1947-1948) No.4 P150-152
  8. ^ わかさぎに関するご案内 諏訪湖漁業協同組合
  9. ^ 宍道湖におけるワカサギ資源の変動 島根県水産試験場研究報告第8号(平成6年10月発行) (PDF)
  10. ^ 大橋青湖 『釣魚夜話』、1942年、氷上の公魚釣り(96~97頁)
  11. ^ “ワカサギ釣り船で小学生3人CO中毒 山梨・山中湖”. 産経新聞. (2012年12月24日). http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/121224/dst12122413100002-n1.htm 2013年1月3日閲覧。 
  12. ^ “ワカサギ釣りでCO中毒”. 大分合同新聞. (2013年1月3日). http://www.oita-press.co.jp/worldSociety/2013/01/2013010301000776.html 2013年1月3日閲覧。 

関連項目

外部リンク