ジュニオール・ドス・サントス

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ジュニオール・ドス・サントス
基本情報
本名 ジュニオール・ドス・サントス・アルメイダ
(Júnior dos Santos Almeida)
通称 シガーノ (Cigano)
JDS
国籍 ブラジルの旗 ブラジル
生年月日 (1984-01-30) 1984年1月30日(40歳)[1]
出身地 サンタカタリーナ州カサドール[2]
所属 ブラック・ハウス
チーム・ノゲイラ
ノヴァウニオン
アメリカン・トップチーム
身長 193cm
体重 112kg
リーチ 200cm
階級 ヘビー級
バックボーン カポエイラ
ブラジリアン柔術 (黒帯)
ボクシング
テーマ曲 Gonna Fly Now
ビル・コンティ
総合格闘技戦績
総試合数 31
勝ち 21
KO勝ち 14
一本勝ち 2
判定勝ち 5
敗け 10
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ジュニオール・ドス・サントスJúnior dos Santos1984年1月30日 - )は、ブラジル男性総合格闘家サンタカタリーナ州カサドール出身。アメリカ合衆国フロリダ州在住。アメリカン・トップチーム所属。元UFC世界ヘビー級王者。

計量時のドス・サントス

来歴

幼少期に、アルコール中毒であった父親が蒸発したため母子家庭となり、貧困から家計を助けるために10歳から労働をした。10代の頃からカポエイラを経験している。

2005年にユーリ・カールトンの指導でブラジリアン柔術を始め、わずか6か月でバイーア州王者となる。その後、ブラジルの名ボクシングトレーナーのルイス・カルロス・ドレアを紹介されボクシングを始めた[2]

2006年にプロ総合格闘技デビュー。

UFC

2011年6月11日、UFC 131シェイン・カーウィン(左)と対戦するドス・サントス(右)

2008年10月25日、UFC初参戦となったUFC 90ファブリシオ・ヴェウドゥムと対戦し、開始から1分20秒に右アッパーでダウンを奪いパウンドでKO勝ちという、不利と見られていた戦前の予想を覆す番狂わせを起こし[3]、ノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[4]

2009年2月21日、UFC 95ステファン・ストルーフェと対戦し、右フックでダウンを奪い開始1分余りでTKO勝ち。

2009年9月19日、UFC 103ミルコ・クロコップと対戦。序盤から打撃で優勢に立ち、3Rに膝蹴りでぐらついたミルコをパンチで追撃し、戦意を喪失させギブアップ勝ち。この試合でドス・サントスは珍しく首相撲からの膝蹴りを多用した。

2010年3月21日、UFC on Versus: Vera vs. Jonesガブリエル・ゴンザーガと対戦し、ゴンザーガのミドルキックにカウンターの左フックを合わせてダウンを奪い、パウンドで1RKO勝ち。ノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[5]

2010年8月7日、UFC 117ロイ・ネルソンと対戦し、打撃で終始ネルソンを圧倒して、3-0の判定勝ち。キャリア初の判定決着となった[6]

2011年3月、リアリティ番組The Ultimate Fighter」のシーズン13ではブロック・レスナーとそれぞれのチームのヘッドコーチを務め、シーズン終了後のUFC 131で両者が対戦予定であったが、レスナーの疾病による欠場に伴いシェイン・カーウィンとの対戦へと変更された。6月11日のUFC 131ではカーウィンと対戦し、スピーディーな打撃とテイクダウンでカーウィンを翻弄して3-0の判定勝ち。ケイン・ヴェラスケスの持つヘビー級王座への挑戦権を獲得した[7]

UFC世界王座獲得

2011年11月12日、UFC on FOX 1のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで王者ケイン・ヴェラスケスに挑戦し、右オーバーハンドでダウンを奪い、追撃のパウンドで開始63秒のKO勝ちを収め王座獲得に成功。ノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[8]

2012年5月26日、UFC 146のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで挑戦者のフランク・ミアと対戦し、右ストレートでダウンを奪い、パウンドで2RTKO勝ちを収め王座の初防衛に成功した。当初は同大会でアリスター・オーフレイムと防衛戦を行う予定であったが、オーフレイムが薬物検査をクリアできなかったため対戦相手がミアに変更となった。

2012年11月13日、NIKEとスポンサー契約を交わした事を発表[9]。NIKEとスポンサー契約を交わした総合格闘家としてアンデウソン・シウバジョン・ジョーンズに次ぐ三人目となった。

2012年12月11日、ユーリ・カールトンからブラジリアン柔術黒帯を授与された。

世界王座陥落

2012年12月29日、UFC 155のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで挑戦者ケイン・ヴェラスケスと再戦。右ストレートでダウンを奪われるなど5Rに渡って終始圧倒され、0-3の5R判定負け。約1年越しのリベンジを許し、王座から陥落した。ドス・サントスは試合後に、トレーニングでハードに追い込みすぎたことで横紋筋融解症にかかっていたことを明かしている。

2013年5月25日、UFC 160でヘビー級ランキング9位のマーク・ハントと対戦。1Rにオーバーハンドでダウンを奪うなど序盤から打撃戦で優位に立ち、3Rに右バックスピンキックでダウンを奪いパウンドでKO勝ち。ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞し、タイトル挑戦権を獲得した。

2013年10月19日、UFC 166のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで王者ケイン・ヴェラスケスと3度目の対戦。序盤から一進一退の攻防を繰り広げるが、3Rに右フックでダウンを奪われ、その後ヴェラスケスの猛攻を2R耐え凌ぐも、5RにパウンドでTKO負けを喫し王座獲得に失敗した。ドス・サントスは試合の記憶の大部分を消失し、2RでKOされたと思い込むほどのダメージを負った。また、試合直後のジョー・ローガンからのインタビューでは、ローガンからの質問にしっかり受け答えていたが、その後にインタビューされた記憶がないことを明かしている[10]

2014年12月13日、約1年2カ月ぶりの復帰戦となったUFC on FOX 13でヘビー級ランキング4位のスティーペ・ミオシッチと対戦し、序盤から一進一退の攻防を繰り広げて、3-0の5R判定勝ち。ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した[11]

2015年12月19日、約1年ぶりの復帰戦となったUFC on FOX 17でヘビー級ランキング9位のアリスター・オーフレイムと対戦し、左フックからのパウンドで2RTKO負け。

2016年4月10日、UFC Fight Night: Rothwell vs. dos Santosでヘビー級ランキング4位のベン・ロズウェルと対戦。スピーディーな打撃でロズウェルを5Rに渡って圧倒して、3-0の5R判定勝ち。

2017年5月13日、UFC 211のUFC世界ヘビー級タイトルマッチで王者のスティーペ・ミオシッチと再戦し、右ストレートからのパウンドで1RTKO負けを喫し、リベンジを許すと同時に王座獲得に失敗した。

2017年8月18日、全米アンチドーピング機関(USADA)がドス・サントスにアンチ・ドーピング規則違反(禁止薬物ヒドロクロロチアジドの陽性反応)があったことを公表する。2018年4月24日、全米アンチドーピング機関(USADA)が、アンチ・ドーピング規則違反のあったドス・サントス、アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ、マルコス・ホジェリオ・デ・リマの3人が栄養サプリメントを購入していたブラジルの調剤薬局からサプリメントを取り寄せて分析した結果、ヒドロクロロチアジドやアナストロゾールなど複数の禁止薬物に汚染されたサプリメントを販売しているのを確認したことを発表。これによりアンチ・ドーピング規則違反が汚染サプリメントによるものと認められた3人は、出場停止期間が短縮され6カ月間の出場停止処分を受けた[12]

2018年7月14日、約1年2カ月ぶりの復帰戦となったUFC Fight Night: dos Santos vs. IvanovWSOFヘビー級王者のブラゴイ・イワノフと対戦し、打撃戦で終始優勢に立って、3-0の5R判定勝ち。

2018年12月2日、UFC Fight Night: dos Santos vs. Tuivasaでヘビー級ランキング11位のタイ・トゥイバサと対戦。1Rにローキックを効かされぐらつく場面があったものの、2Rにカウンターの右フックでダウンを奪い、パウンドでTKO勝ち。

2019年3月9日、UFC Fight Night: Lewis vs. dos Santosでヘビー級ランキング3位のデリック・ルイスと対戦。右オーバーハンドをヒットさせ、追撃のスタンドパンチ連打でダウンを奪い、パウンドで2RTKO勝ち。ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2019年6月29日、UFC on ESPN: Ngannou vs. dos Santosでヘビー級ランキング2位のフランシス・ガヌーと対戦。カーフキックでスリップダウンを奪ったものの、直後に右オーバーハンドを放ったところにカウンターの右フックを貰い、背を向けたところに再度右フックを受けダウンを奪われ、パウンドで1RTKO負け。

2019年11月9日、UFC Fight Night: Zabit vs. Kattarアレキサンダー・ヴォルコフと対戦予定であったが、大会3週間前に自身の足の細菌感染症で欠場した。

2020年1月25日、UFC Fight Night: Blaydes vs. dos Santosでヘビー級ランキング3位のカーティス・ブレイズと対戦。ブレイズの6度にわたるタックルを全て切ったものの、スタンドの攻防で劣勢となり、2Rに右アッパーを放ったところに右ストレートを合わされ、直後に膝蹴りとスタンドパンチ連打で追撃されTKO負け。自身初となる連敗を喫した。

2020年8月15日、UFC 252でヘビー級ランキング6位のジャルジーニョ・ホーゼンストライクと対戦し、パウンドで2RTKO負け。

2020年12月12日、UFC 256でヘビー級ランキング14位のシリル・ガーヌと対戦し、右肘打ちで2RTKO負け。4連敗となった。試合後、ドス・サントスはガーヌが放った右肘打ちが後頭部に当たったため反則だと主張したが、解説のジョー・ローガンダニエル・コーミエはリプレイを見て反則ではないとの見解を示した[13]

2021年3月3日、UFCからリリースされた[14]

Eagle FC

2022年3月9日、ハビブ・ヌルマゴメドフがプロモーターを務めるEagle FCと契約した。

2022年5月20日、Eagle FC 47でヨルガン・デ・カストロと対戦。スタンドの攻防で優勢に試合を進めたものの、3Rに右ストレートを放った際に右肩を負傷しTKO負け。

ファイトスタイル

ハイレベルのボクシングテクニックを有し、ヘビー級とは思えぬハンドスピードと、相手を一撃でノックアウトする右オーバーハンドを最大の武器としている。また、レスリングのバックグラウンドを持たない打撃系選手でありながら、UFC屈指のテイクダウンディフェンス能力を誇る。しかし、近年は年齢や怪我の影響などで、持ち味であるハンドスピードが急激に落ち、ラフな打撃が目立っている。また、打撃をガードではなくスウェーで交わす癖がある為、その際に打撃を被弾してしまうことが多くなっている。

人物・エピソード

  • 総合格闘家としてはアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラの直弟子にあたり、ドス・サントス自身はノゲイラのことをヒーローだと述べている。
  • 非常に温厚な人物として知られ、自身の試合に地元ブラジルに住む少年を招待したりしている。
  • 2017年に息子、2019年に娘を設けている。

戦績

総合格闘技 戦績
31 試合 (T)KO 一本 判定 その他 引き分け 無効試合
21 14 2 5 0 0 0
10 8 1 1 0
勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
× ヨルガン・デ・カストロ 3R 0:35 TKO(右肩の負傷) Eagle FC 47: dos Santos vs. De Castro 2022年5月20日
× シリル・ガーヌ 2R 2:34 TKO(右肘打ち→パウンド) UFC 256: Figueiredo vs. Moreno 2020年12月12日
× ジャルジーニョ・ホーゼンストライク 2R 3:47 TKO(左フック→パウンド) UFC 252: Miocic vs. Cormier 3 2020年8月15日
× カーティス・ブレイズ 2R 1:06 TKO(スタンドパンチ連打) UFC Fight Night: Blaydes vs. dos Santos 2020年1月25日
× フランシス・ガヌー 1R 1:11 TKO(右フック→パウンド UFC on ESPN 3: Ngannou vs. dos Santos 2019年6月29日
デリック・ルイス 2R 1:58 TKO(パウンド) UFC Fight Night: Lewis vs. dos Santos 2019年3月9日
タイ・トゥイバサ 2R 2:30 TKO(パウンド) UFC Fight Night: dos Santos vs. Tuivasa 2018年12月2日
ブラゴイ・イワノフ 5分5R終了 判定3-0 UFC Fight Night: dos Santos vs. Ivanov 2018年7月14日
× スティーペ・ミオシッチ 1R 2:22 TKO(右ストレート→パウンド) UFC 211: Miocic vs. dos Santos 2
【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
2017年5月13日
ベン・ロズウェル 5分5R終了 判定3-0 UFC Fight Night: Rothwell vs. dos Santos 2016年4月10日
× アリスター・オーフレイム 2R 4:43 TKO(左フック→パウンド) UFC on FOX 17: dos Anjos vs. Cowboy 2 2015年12月19日
スティーペ・ミオシッチ 5分5R終了 判定3-0 UFC on FOX 13: dos Santos vs. Miocic 2014年12月13日
× ケイン・ヴェラスケス 5R 3:09 TKO(スラム→パウンド) UFC 166: Velasquez vs. dos Santos 3
【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
2013年10月19日
マーク・ハント 3R 4:18 KO(左フックキック) UFC 160: Velasquez vs. Bigfoot 2 2013年5月25日
× ケイン・ヴェラスケス 5分5R終了 判定0-3 UFC 155: dos Santos vs. Velasquez 2
【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
2012年12月29日
フランク・ミア 2R 3:04 TKO(パウンド) UFC 146: dos Santos vs. Mir
【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
2012年5月26日
ケイン・ヴェラスケス 1R 1:03 KO(右フック→パウンド) UFC on FOX 1: Velasquez vs. dos Santos
【UFC世界ヘビー級タイトルマッチ】
2011年11月12日
シェイン・カーウィン 5分3R終了 判定3-0 UFC 131: dos Santos vs. Carwin 2011年6月11日
ロイ・ネルソン 5分3R終了 判定3-0 UFC 117: Silva vs. Sonnen 2010年8月7日
ガブリエル・ゴンザーガ 1R 3:53 TKO(左フック→パウンド) UFC on Versus: Vera vs. Jones 2010年3月21日
ギルバート・アイブル 1R 2:07 TKO(左フック→パウンド) UFC 108: Evans vs. Silva 2010年1月2日
ミルコ・クロコップ 3R 2:00 ギブアップ(右アッパー) UFC 103: Franklin vs. Belfort 2009年9月19日
ステファン・ストルーフェ 1R 0:54 TKO(右フック→パウンド) UFC 95: Sanchez vs. Stevenson 2009年2月21日
ファブリシオ・ヴェウドゥム 1R 1:21 TKO(右アッパー→パウンド) UFC 90: Silva vs. Cote 2008年10月25日
ジェロニモ・ドス・サントス 1R TKO(ドクターストップ) Demo Fight 3 2008年5月24日
× ホアキム・フェレイラ 1R 1:13 腕ひしぎ十字固め Mo Team League: Final 2007年11月10日
ジャイール・ゴンサウヴェス 1R 2:52 TKO(パンチ連打) Mo Team League 2 2007年9月29日
ホアキム・フェレイラ 1R終了時 TKO(棄権) XFC: Brazil
【ヘビー級トーナメント 決勝】
2007年4月29日
エジソン・パレダォン 1R 8:46 TKO(ドクターストップ) XFC: Brazil
【ヘビー級トーナメント 1回戦】
2007年4月29日
エドゥアルド・マイオリーノ 1R 0:50 ギロチンチョーク Minotauro Fights 5 2006年12月9日
ジャイウソン・シウバ・サントス 1R 2:58 KO(サッカーボールキック) Demo Fight 1 2006年7月16日

獲得タイトル

  • XFCヘビー級トーナメント 優勝(2007年)
  • 第16代UFC世界ヘビー級王座(2011年)

表彰

  • ブラジリアン柔術 黒帯
  • UFC ファイト・オブ・ザ・ナイト(3回)
  • UFC ノックアウト・オブ・ザ・ナイト(3回)

出演

映画

  • Like Water (2011)

CM

脚注

関連項目

外部リンク

前王者
ケイン・ヴェラスケス
第16代UFC世界ヘビー級王者

2011年11月12日 - 2012年12月29日

次王者
ケイン・ヴェラスケス