アークトゥルス

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アルクトゥルス
Arcturus
星座 うしかい座
見かけの等級 (mv) -0.04
発見
発見方法 目視
位置
元期:J2000
赤経 (RA, α) 14h 15m 39.7s
赤緯 (Dec, δ) +19° 10' 56"
視線速度 (Rv) -5.2 km/s
固有運動 (μ) 赤経:1093.45 mas/yr
赤緯:1999.40 mas/yr
距離 36.7 ± 0.3 光年
(11.26 ± 0.09 パーセク)
絶対等級 (MV) −0.38
物理的性質
半径 太陽半径の15.9倍
質量 太陽質量の1~1.5倍
スペクトル分類 K1.5 IIIpe
光度 太陽光度の110倍
表面温度 4,300 K
色指数 (U-B) 1.22
色指数 (V-I) 1.24
金属量[Fe/H] 太陽の20~50%
年齢 4.6 × 109
他のカタログでの名称
Alramech, Abramech,
α Boötis, 16 Boötes,
HD 124897, HR 5340,
BD +19°2777, GCTP 3242.00,
GJ 541, LHS 48, and HIP 69673
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アルクトゥルスアークトゥルスアークトゥールスアルクツルスアークツルスとも。Arcturus)は、うしかい座にある恒星である。

概要

うしかい座α星で、学名はα Boötis(略称はα Boo)。フラムスチード名はうしかい座16番星。視等級は-0.04等で、太陽を除けば、地球から見てシリウスカノープスに次いで3番目に明るい恒星である。スペクトル型はK1.5IIIpe であり、表面温度は約4000Kで、オレンジ色をしている。太陽からの距離は、ヒッパルコス衛星によると36.7光年。直径が太陽の24倍、光度が太陽の100倍以上あり、絶対等級は約-0.3等である。現在では、8.3周期で0.04等とわずかに変光していることが知られている。

の夜空を代表する星として昔から親しまれている。おとめ座スピカが近くに輝いており、アルクトゥルスのオレンジ色とスピカの青白い色の対比から、アルクトゥルスとスピカは夫婦星と呼ばれる。アルクトゥルスが男性、スピカが女性である。

呼称

アルクトゥルスという名前は、ギリシア語で「熊を護るもの」を意味する Αρκτουρος (Arktouros ; アルクトゥーロス)に由来している[1]。これは、日周運動によって、おおぐま座の後を追いかけていくように見えることから来ている。

日本では、麦星、五月雨星、麦刈り星、麦熟れ星など多数の和名がある。このうち、麦星などは、麦が熟れる頃になるとアルクトゥルスが昇ってくることから名付けられている。

特徴

アルクトゥルスは、固有運動が大きい高速度星として知られる。1717年ハレー彗星の発見者でもあるエドモンド・ハレーは、自分が観測したアルクトゥルスの位置と、1800年前の古代ギリシャで観測された位置が、約1度(月の視直径2個分)ずれていることを発見した。これが、恒星の固有運動の発見となった。アルクトゥルスは、太陽系に対して秒速140kmでおとめ座の方向へ移動している。およそ50000年後には、アルクトゥルスとスピカが非常に接近して輝くという。

北斗七星の柄の部分のカーブを延長すると、アルクトゥルスを通ってスピカへたどり付く。これを春の大曲線という。また、アルクトゥルスとスピカ、それにしし座デネボラを結ぶと、大きな正三角形ができる。これを春の大三角という。

脚注