ARJ21

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ARJ21

離陸するARJ21

離陸するARJ21

ARJ21とは、中華人民共和国2007年に生産を開始した地域路線用ジェット旅客機である。ARJとは発達型地域ジェットの略称であり、計画遂行は中国商用飛機有限公司(COMAC)が担当する。なお当機は中国が自主開発する初めてのジェット旅客機(実験的な上海Y-10ジェット機は除く)である。一機当たりの値段は2700万~2900万ドル。「ARJ21」は現在、中国国内需要だけで数百機以上の注文を受けている。なお中国において当形式の愛称は"翔鳳"(英語:Flying Phoenix)という[1]

この計画はエンジン生産のGE・アビエーション[2]フライ・バイ・ワイヤシステムのハネウェル・エアロスペースアビオニクス生産のロックウェル・コリンズ[3]等を含むヨーロッパアメリカ合衆国の主要な19社が開発を支援する。

2008年11月28日上海大場空港で初めての試験飛行を行ない、62分間飛行した後無事着陸した。2009年7月1日には2号機の試験飛行を実施し、1号機と同様62分間飛行した後実験は無事終了した[4]。2009年7月15日、1号機が上海から西安まで初の都市間飛行を実施した[5]

開発の経緯[編集]

AVICIは以前から中国国内用の100席クラスの新型ジェット旅客機を開発しようとしており、1997年5月には欧州のエアバスシンガポールのSTPLとの3社で、エアバスA320よりも小さい機体を作るAE31X(AE316とAE317)を開発、生産する計画が合意していたが、ご破算になっていた。その後、大韓民国の航空機メーカーと共同開発する構想がすすめられていたが、その時点では58席のNRJ58と76席のNRJ76をひとつの基本設計から開発する構想であった。

しかし2001年にAVICIは中国国内の航空機メーカーだけで開発する方針に転換し、NRJよりもすこし大型にしたARJ21を開発することにした。

ARJ21は政府が管理するACAC コンソーシアムによって進められる重要な計画で、2002年に中国の第5次五ヵ年計画で開始された。当初の初飛行予定は2005年で、その18ヶ月後から実際に運行される予定だった[6]。 しかしながら設計作業の遅延により先行生産が2006年6月まで開始できなかった[7]。 最初の航空機(シリアルナンバー101)は2007年12月21日に完成し、当初、2008年3月に初飛行が予定された。[1]遅延により初飛行の計画は2008年9月21日に変更されたが、それでも間に合わず最終的に2008年11月28日に上海大場空港で初飛行が実施された[8]

2009年7月15日に上海から西安までの2時間19分の1300km以上に及ぶ長距離飛行を完了した。2機目のARJ21(シリアルナンバー102)は2009年8月24日に上海から西安までの飛行試験を完了した。

3機目のARJ21(シリアルナンバー103)は2009年9月12日に試験飛行を完了した[9]

この航空機は2010年末に成都航空へ納入され、運行が開始される予定である[10]

ACACコンソーシアムは2010年に11機のARJ21を量産し、2015年には毎年30機生産する予定である。2009年にコンソーシアムは再編され、中国商用飛機有限公司(COMAC)の一部となった[11]

しかし、2010年11月、ARJ21の主翼が地上試験中に目標とする負荷に達する前に破損したと報告された。中国民用航空局(CAAC)はこの主翼の失敗により、飛行試験計画中のフライトエンベロープを制限するように通達し、納入予定は2011年末に遅れる見込みと発表した[12][13]

2012年11月、中国商用飛機有限公司(COMAC)はARJ21の納入がさらに遅れる見通しであると発表した[14]

設計[編集]

ACACではARJ21を"中国によって設計される事によって完全に知的所有権を有する"[15][16][17]としているが実際にはマクドネル・ダグラスMD-90のライセンス生産で使用された生産設備を使用して生産すると見られる。

その結果、客室断面や先頭部の形状や尾翼等がDC-9シリーズと酷似している。ウクライナアントノフによって空力性能を向上する為に新開発されたウィングレットを備えた後退角25°の超臨界翼を備える[18][19][20]

アントノフはARJ21の構造体強度の幾何学的定量や積分解析でも計画を支援する [18]

ACACはさらに基本仕様と胴体延長仕様も長距離仕様、貨物仕様、ビジネスジェット仕様同様に計画している。

生産[編集]

航空機の開発に参加するACACコンソーシアムのメンバーは主要な部材の生産を予定する。

上海航空機研究所と西安航空機研究所も参加して設計を担当する。

機体の概要[編集]

AVICIでは、ARJ21を標準型で72席級(乗客78~90)とする700型と、胴体をおよそ3.78m延長して99席級(乗客98~105)とした900型の2タイプの旅客型と純貨物機のARJ21Fを開発するとしている。操縦席はグラスコックピットを採用し、エンジンと共にアメリカ製を採用するとしている。

また、アントノフが設計した主翼は低翼でウィングレットが付けられているほか、MD-90のライセンス生産で習得した技術をもとに、MD-90の治具を用いて製造されるダブルバブル胴体にはエコノミークラスを横に5列配置できる。機首もMD-90の治具を用いて製造され、さらにはエンジンはリアジェット方式で取り付けT字尾翼であるなど、洗練されたDC-9といったデザインである。

2002年に開発に着手し、2008年に初飛行、2009年に型式証明を取得、2010年末には引き渡しの予定であったが、予定は遅れており、 2013年5月に初の引き渡し機の組み立てが開始された[22]

ARJ21-700 ARJ21-900
操縦士 2名
座席数 90席 (1-クラス)
78席 (2-クラス)
105席 (1-クラス)
98席 (2-クラス)
全長 33.46メートル (109 ft 9 in) 36.35メートル (119 ft 3 in)
主翼幅 27.28メートル (89 ft 6 in)
主翼面積 79.86平方メートル (859.6 ft²)
主翼後退角 25°
全高 8.44メートル (27 ft 8 in)
室内幅 3.143メートル (10 ft 3.7 in)
室内高 2.03メートル (6 ft 8 in)
座席横間隔 0.483メートル (19.0 in)
座席幅 0.455メートル (17.9 in)
非積載時重量 24,955キログラム (55,020 lb) 26,270キログラム (57,900 lb) STD
26,770キログラム (59,000 lb) ER
最大離陸重量 40,500キログラム (89,000 lb) STD
43,500キログラム (96,000 lb) ER
43,616キログラム (96,160 lb) STD
47,182キログラム (104,020 lb) ER
最大積載時航続距離 1,200海里 (2,200 km; 1,400 mi) STD
2,000海里 (3,700 km; 2,300 mi) ER
1,200海里 (2,200 km; 1,400 mi) STD
1,800海里 (3,300 km; 2,100 mi) ER
最大運行速度 マッハ 0.82
MTOWでの滑走距離 1,700m(5,600ft) STD
1,900m(6,200 ft) ER
1,750m(5,740ft) STD
1,950m(6,400 ft) ER
巡航高度 11,900メートル (39,000 ft)
エンジン (2x) ゼネラル・エレクトリック CF34-10A
エンジン推力 17,057 lbf 18,500 lbf
  • 注記: データは出典による. STD = 航続距離標準型, ER = 航続距離拡大型
  • 出典: ARJ21 シリーズ[23]

発注状況[編集]

309機(確定)+20機(オプション)

背景が桃色の部分は発表のみであり、正式な製造契約には至っていない。

日付 航空会社 納入予定 機種
ARJ21-700 ARJ21-900 ARJ21F ARJ21B TBA オプション 権利
2003年9月 中華人民共和国の旗 上海航空[24] ? 5
中華人民共和国の旗 山東航空[24] ? 10
中華人民共和国の旗 深州ファイナンシャルリース[24] ? 20
中華人民共和国の旗 上海ファイナンシャルリース[24] ? 30
2004年3月 中華人民共和国の旗 厦門航空[25][26] ? 6
2007年12月 中華人民共和国の旗 鯤鵬航空[27][28] ? 100
2007年12月 ラオスの旗 ラオス国営航空[29][30] 2011年 2
2008年3月 アメリカ合衆国の旗 GECAS[31](航空機リース会社) 2013年 5 20
中華人民共和国の旗 幸福航空[32] ? 50
2009年10月 中華人民共和国の旗 成都航空[33] ? 30
2010年5月 インドネシアの旗 Merkukh エンタープライズ[34] ? 9
2011年6月 ミャンマーの旗 ミャンマー国際航空 ? 2
2012年2月 インドネシアの旗 メルパチ・ヌサンタラ航空[35] 2014年 40
309 0 0 0 0 20 0
合計 309 受注 20

6機のARJ21が製造されたがどれも運用には入っていない。

メディアの報道[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b “'ARJ21(Flying Phoenix)'は中国の2番目の自主開発の民間機で1番目は上海_Y-10だった。”. Associated Press. TheRecord.com. http://news.therecord.com/Business/article/286248 2007年12月24日閲覧。 
  2. ^ ACAC selects General Electric to power ARJ21”. GE Aviation. 2002年11月4日閲覧。
  3. ^ Rockwell Collins announces first delivery for ARJ21”. Rockwell Collions. 2006年7月27日閲覧。
  4. ^ “中国国産旅客機「翔鳳」、2号機が試験飛行に成功―上海市”. レコードチャイナ. (2009年7月2日). http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=33004 2011年2月14日閲覧。 
  5. ^ “中国開発のジェット旅客機ARJ21が初の都市間飛行”. サーチナ. (2009年7月15日). http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0715&f=business_0715_074.shtml 2011年2月14日閲覧。 
  6. ^ China-Made ARJ21 Feeder Plane to Appear at Zhuhai Aviation Show”. People's Daily. 2002年11月4日閲覧。
  7. ^ Self-developed jet to fly maiden trip”. XINHUA. 2006年6月1日閲覧。
  8. ^ China's ARJ21 Regional Jet made first flight”. Huanqiu. 2008年11月28日閲覧。
  9. ^ Third Chinese ARJ-21-700 takes off (in Spanish)”. CCTV. 2009年9月14日閲覧。
  10. ^ China's United Eagle renamed Chengdu Airlines”. 2009年閲覧。...
  11. ^ information on COMAC's website (Chinese)
  12. ^ 主翼の問題に起因する遅延は情報 (English)を参照
  13. ^ airliners.netでのARJ-21 の主翼問題Information (English)
  14. ^ COMAC、ARJ21のデリバリー さらに遅れる見込みとなっている。”. 2012年11月26日閲覧。
  15. ^ Xinhua - English”. News.xinhuanet.com (2006年6月1日). 2010年6月2日閲覧。
  16. ^ 我国已具备生产大型民用飞机的能力”. News.eastday.com (2007年3月30日). 2010年6月2日閲覧。
  17. ^ 中国首架自主知识产权新支线飞机-上海频道-东方新闻-东方网”. Sh.eastday.com. 2010年6月2日閲覧。
  18. ^ a b Website "Antonov": News”. 2010年閲覧。...
  19. ^ ARJ21-A”. AINonline. 2006年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2006年6月23日閲覧。
  20. ^ Chinese ARJ21-700 Airliner Roll-Out”. 2010年閲覧。...
  21. ^ COMAC ARJ21 - program supplier guide”. Airframer.com. 2010年6月2日閲覧。
  22. ^ ARJ-21完成最高难度试飞 首架生产型开始总装”. news.qq.com (2013年5月18日). 2013年6月12日閲覧。
  23. ^ ARJ21 Series page”. 2010年閲覧。...
  24. ^ a b c d “Three carriers place ARJ21 orders”. Flight International (Reed Business Information). (2003年9月23日). http://www.flightglobal.com/Articles/2003/09/23/171605/Three+carriers+place+ARJ21+orders.html 2006年7月3日閲覧。 
  25. ^ “ARJ21 orderbook climbs to 41 as Xiamen signs up”. Flight International (Reed Business Information). (2004年8月3日). http://www.flightglobal.com/Articles/2004/08/03/185359/ARJ21+orderbook+climbs+to+41+as+Xiamen+signs+up.html 2006年7月3日閲覧。 
  26. ^ Although the Xiamen order for six was reported in some press as firm, ACAC's own web site still shows them as "options".
  27. ^ “Ceremony inaugurates Chinese jet”. Flight International (Reed Business Information). (2007年11月21日). http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/7155452.stm 2008年1月2日閲覧。 
  28. ^ AVIC announced a new order for 100 planes from Kunpeng Airlines, a Sino-US joint venture, raising the total number of orders to date to 170.
  29. ^ “Building a future: The AVIC I ARJ21-700 programme”. Flight International (Reed Business Information). (2007年8月7日). http://www.flightglobal.com/articles/2007/08/24/216287/building-a-future-the-avic-i-arj21-700-programme.html 2009年4月8日閲覧。 
  30. ^ By: K.K. Chadha. “China lays plans for ARJ21-900”. AINonline. 2010年10月25日閲覧。
  31. ^ “GE Commercial Aviation Services Announces Purchase of Five ARJ21-700ER Regional Jet Aircraft from Commercial Aircraft Corporation of China, LTD (COMAC); Options for Additional 20 Aircraft”. R. (2008年11月21日). http://www.gecas.com/news20080511.asp 2010年7月20日閲覧。 
  32. ^ “China Eastern, AVIC I launch Joy Air”. Flight International (Reed Business Information). (2008年4月1日). http://www.avbuyer.com.cn/e/2008/22420.html 2008年4月1日閲覧。 
  33. ^ 成都鹰联航空引进30架中国商用ARJ21飞机”. 新華社. 2013年6月12日閲覧。
  34. ^ China exporting ARJ21s and other aircraft to Indonesia”. Flightglobal.com. 2010年6月2日閲覧。
  35. ^ Merpati Nusantara Airlines inks MOU for 40 ARJ21s”. ATWOnline. 2013年6月12日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]