謎本
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謎本(なぞぼん)は漫画・アニメ・テレビドラマ・小説といったフィクション作品内の謎や疑問に対する考察を行う本のジャンルである。
[編集] 概要
謎本のルーツとしては、欧米における推理小説『シャーロック・ホームズシリーズ』を考察するシャーロキアンの活動が挙げられる。小説の登場人物であるシャーロック・ホームズを実在の人物のように扱い、その事跡について考察した彼らの研究の数々は、単なるパロディの域を超えた思考ゲームとして楽しまれている。
日本では1991年に発売された『ウルトラマン研究序説』(SUPER STRINGSサーフライダー21著/中経出版)が本格的な謎本としては初のケースと思われる。これは特撮番組『ウルトラマン』をテーマとし、ウルトラマンや怪獣、対怪獣組織「科学特捜隊」に関する経済学者や法律学者、物理学者といった面々による専門的な考察が行われていた。
その後1992年に発売された漫画『サザエさん』の研究本『磯野家の謎』(東京サザエさん学会編/飛鳥新社)が爆発的ヒットとなり、後追いの形で1993年に発売された『サザエさんの秘密』(世田谷サザエさん研究会著/データハウス)もヒットしたことから、中小の出版社より様々な作品をテーマとした類似の研究本が多数発売されるブームとなった。「謎本」という呼び名が生まれたのもこの時期である。
『サザエさん』を扱った両書は原作の版権元である姉妹社より版権許諾が取れなかったため原作の図版は一切使用していないが、それでもヒットしたことから、「謎本では原作の図版を一切使わない」というのが慣例として定着している。これは版権許諾を受けると版権元から内容の修正を求められる場合があることと、謎本の出版元が小規模ゆえに版権許諾によって支払うコストの負担が大きいことが影響していると思われる。また本来漫画についても、その内容や画風の分析などの目的で文章側に対して主従関係が成り立つのであれば謎本の中で図版を引用することが可能であるが、謎本ブームの当時は業界の慣習として「漫画の引用は一切不可」という認識が広がっていたことも影響した(ゴーマニズム宣言#小林と上杉聰による著作権を巡る裁判も参照のこと)。
書名はブームのきっかけとなった2冊を踏襲した『○○の謎』や『○○の秘密』といった題が定番で、推理漫画では『○○の推理ミス』としてトリックや証拠の問題点(悪く言えば粗捜し)などを論じている場合が多い。作者名も「○○学会」や「○○研究会」といったその本だけで使われる実体の無いグループ名にするのが慣例となっている。
元々は作品を深く理解するファンが独自の考察を発表するための場として生まれた謎本であるが、謎本ブーム以降に発売された物の中には、原作の内容やそのテーマをよく知らないライターがいい加減な知識を元に執筆したと思しき謎本も多く(『鉄腕アトム』の謎本でバンアレン帯を手塚治虫の創作とする記述さえあった)、粗製濫造によってブームは沈静化することとなった。しかし、ファンの間でも長い間忘れ去られていた設定を再発見するといった後に残る功績も少なからずあった。

