微熱少年

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微熱少年』(びねつしょうねん)は、松本隆のエッセイ集・小説、同名小説を原作とした日本映画

概要[編集]

エッセイ集[編集]

1975年1月1日、ブロンズ社より「エッセイ集 微熱少年」発行(2006年1月26日、立東舎文庫より文庫化)。
歌謡曲の詞論、プロデューサーとしてかかわった作品のレコーディングの様子を伝えるエッセイ、リズム論など綴られている。“恋歌”の歌詞20編も収録。また、イラストを担当したますむらひろしの絵とのコラボレーション“春街スケッチ”(風街ではなく春街)も瑞々しく描かれている。イラスト:ますむらひろし、デザイン:羽良多平吉。帯の推薦文は吉田拓郎[1]

小説[編集]

1985年11月1日、新潮社より発行。SONYよりカセットブックも発売されている(ナレーション:森本レオ)。
松本自身が感じていた“熱血少年ではない、しかし冷めているわけでもない『微熱』を秘めていた少年時代”を振り返り、松本自身の経験を元に綴ったという自叙伝的作品。
1987年に実写映画化。松本が自ら監督を務めた。なお、小説と映画ではエンディングへの流れや設定が異なっている。2020年10月25日、歌謡ポップスチャンネルの『松本隆作詞家生活50周年記念特集』企画内で、本作品を放送[2]。その際、フィルム映像をテレビジョン信号に変換するテレシネを施したニューマスター版を制作している[3]
2014年2月7日 - 9日に東京芸術劇場が主催したリーディング企画『芸術+トーク 朗読「東京」(第二回)』の2日目の演目に採用された。出演は俳優の加治将樹石橋穂乃香[4][5]

あらすじ[編集]

ビートルズが来日する年、何かが変わりそうな予感を抱いていた。今まで経験したことがない音楽、もどかしい恋愛、少年から大人への階段を上がらなければならない不安。熱血には遠く、冷めるにはまだ早い「微熱」を宿した男子高校生・健の視点から描いた青春作品。

映画[編集]

微熱少年
監督 松本隆
脚本 筒井ともみ
製作 堀威夫
金森美弥子
出演者 斉藤隆治
西山由美
広田恵子
関口誠人
音楽 松本隆
主題歌 REBECCAMONOTONE BOY
撮影 藤井秀男
編集 山地早智子
製作会社 ホリプロダクション
(制作協力:フジテレビジョン
配給 東宝
公開 日本の旗 1987年6月13日
上映時間 109分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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松本が自ら監督を務め、1987年6月13日に公開された。ホリプロダクション製作、東宝配給。

主演に斉藤由貴の実弟で、新人の斉藤隆治、エリー役に新進女優の西山由美(現:由海)、吉田役にC-C-B脱退を表明したばかりの関口誠人を起用したキャスティングでも話題となった。

松本と音楽上の付き合いのある吉田拓郎財津和夫森山良子広石武彦米米CLUB爆風スランプなど、普段は俳優として活動していないミュージシャンが多く出演したことも注目された。

劇中音楽も、松本が作詞提供しているミュージシャン・アイドルが数多参加した。

キャスト[編集]

他、米米CLUB爆風スランプBARBEE BOYSTHE 東南西北、加藤役の宮城宗典が所属するヒルビリー・バップスなどがエキストラ・端役として参加している。

スタッフ[編集]

サウンドトラック[編集]

微熱少年 MOVIE SONGS
微熱少年コンピレーション・アルバム
リリース
ジャンル ロック
レーベル CBS・ソニー
プロデュース 松本隆
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微熱少年 MOVIE SONGS』(1987年4月22日発売)

  1. Monotone Boy / REBECCA
    作詞:松本隆/作曲:土橋安騎夫/編曲:REBECCA
  2. Brusing / 鈴木茂
    作曲・編曲:鈴木茂
  3. くずせるものなら、くずしてごらん -Movie Version- / CLAXON
    作詞:松本隆/作曲:得能悟/編曲:CLAXON
  4. 君の名前を呼びたい / The東南西北
    作詞:松本隆/作曲:久保田洋司/編曲:村松邦男/ストリングス編曲:渡辺蕗子
  5. Do You Feel Me / 杉真理
    作詞:松本隆/作曲・編曲:杉真理
  6. 空飛ぶ電車 / 細野晴臣
    作曲・編曲:細野晴臣
  7. 恋するカレン / 大滝詠一
    作詞:松本隆/作曲:大滝詠一/編曲:多羅尾伴内
  8. 雪のファンタジー / 松田聖子
    作詞:松本隆/作曲・編曲:大村雅朗
  9. 夢見るナタリー / 関口誠人
    作詞:松本隆/作曲:関口誠人/編曲:鈴木茂
  10. GIRL / 南佳孝
    作詞:松本隆/作曲:南佳孝/編曲:清水信之
  11. 長い髪のMaria / CLAXON
    作詞:松本隆/作曲:越智昭/編曲:CLAXON

映像作品[編集]

  • 「微熱少年」(1987年9月30日、ポニーキャニオン) ASIN: B00005FWP3
  • 「ANOTHER SIDE OF 微熱少年」(1987年、CBSソニー) - メイキングビデオ。レーザーディスクでもリリース[注 1]

ロケ地[編集]

関連項目[編集]

  • 東京都港区青山乃木坂麻布六本木渋谷
    • 松本が生まれ育ち、多くの感性を培った地域。特に、青山・渋谷・麻布(地図上で三地点を結ぶと現れる三角形を成すエリア)を「風街」と呼び、その雰囲気やイメージを本作をはじめ多くの作品に反映させている。
  • カネボウ化粧品
    • 映画のスポンサーの一社であり、また、劇中でエリーをモデルとして起用した化粧品会社。実際に1987年・夏のキャンペーンガールにエリー役を務めた西山を起用している(夏用ファンデーション「サンセラミィ」など)。CMソングは、映画のイメージソング「くずせるものなら、くずしてごらん。」(CLAXON)を採用。キャッチコピーにも同タイトルを使用している。また、本作品が公開される前年の1986年には優子役の広田が「カネボウ・スイムウエアイメージモデル」に選ばれている[注 2]
  • 大前田りん
    • 漫画家。1993年4月に講談社より本作品を漫画にした単行本を発表。

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 単行本には「あいつの言葉は、そんなに強烈ではないけれど、なんだか履下はきおろしの運動靴のようにいつも新しいんだ。そして、そのことは、ひとつの言葉を生みだす人間のこの上ない才能だと思っている。誰れの代弁者でもない松本隆にぼくは強く魅かれている。 吉田拓郎」と印刷された帯が付いている。
  2. ^ 松本隆 作詞生活50周年記念特集”. 歌謡ポップスチャンネル. 2020年10月6日閲覧。
  3. ^ シネフィルDVD公式Twitter 2020年9月15日付
  4. ^ 芸劇+トーク 朗読「東京」(第二回)”. 東京芸術劇場. 2022年4月15日閲覧。
  5. ^ 石橋穂乃香 朗読劇で仕事復帰!2・8「東京」を読み、語る”. SponichiAnnex. 2022年4月15日閲覧。
  6. ^ スギモト☆ファミリー X(旧Twitter) 2021年11月7日付

注釈[編集]

  1. ^ ビデオディスク表記でリリース。
  2. ^ 広田の次女・鈴木瑛美子は歌手として活動しており、2021年に日本武道館で行われた「松本隆 作詞活動50周年記念オフィシャル・プロジェクト『風街オデッセイ2021』」に出演した。その際、広田も楽屋を訪れ、34年ぶりに松本と再会した[6]

外部リンク[編集]