オーディオブック

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オーディオブック(英語:audiobook, audio book)は、主に書籍を朗読したものを録音した音声コンテンツの総称。日本では媒体によってカセットブックカセット文庫CDブックなどと呼ばれることもある。インターネットの普及により、音声ファイルをダウンロード販売するサービスも複数登場しており、これらのサイトで提供されているものも一般にオーディオブックと呼称する。CDブック(カセットブック)には書籍の付属品としてCDがついているもの(もしくはその逆)もあるが、この項では主に書籍なしのオーディオブック、およびインターネット上で配信されるオーディオブックについて説明する。

日本内外の市場[編集]

アメリカの市場[編集]

アメリカでは、移動の際に乗用車を使用することが多く、CDやカセット等の持ち運びが容易であったため、早期から大きな市場が確立した。2009年度のオーディオブックの売上は、約9億ドルに達していると推定されている[1]グラミー賞にはオーディオブック部門(Field19:Best Spoken Word Album)が存在し[2]、人気作品や発売されたばかりの作品がオーディオブックとして販売されることからも伺えるように、アメリカではオーディオブックは広く認知され、日常的に利用されている。また、かつてはオーディオブック売り上げの大部分がCDでの販売であったが、インターネットの普及と一般市民のリテラシーの向上により、ダウンロード販売も次第に拡大している。2009年度にはオーディオブックの売上のうち、ダウンロード販売が約20%を占めているという調査もある[3]

日本の市場[編集]

日本のオーディオブック市場は、欧米に比べて小規模なものにとどまっている。日本では1980年代後半に、特に新潮社を中心として、カセットブックが流行した。有名俳優による小説の朗読や著名人の講演、落語漫談怪談等のライブ録音が多数カセットブック化されたほか、ライトノベル漫画をオーディオドラマとして新規に録音された作品(現在でいうところのドラマCD)も登場し始めた。一部の書店やCdショップのほか、通信販売によるパッケージ販売も行われたが、車社会でCDやカセットが喜ばれたアメリカに比べ、電車等の公共交通機関による移動が多い日本では、市場規模はなかなか拡大しなかった。

しかし近年、iPodWALKMANなどのデジタルオーディオプレーヤーや、iPhoneなどのスマートフォンが普及し、CDやカセットを持ち歩かなくても気軽に音声コンテンツを楽しむことができる環境が整ったことにより、インターネット上で購入するダウンロード販売が急速に拡大している。2008年の株式会社アイシェアの調査では、iPodMP3プレーヤーなどの携帯音楽プレーヤーを持っていると回答した人が56.3%に達した[4]

ダウンロード販売の事例として、iTunesには「ミュージック」に加えて「オーディオブック」というカテゴリが加えられ、iTunes Storeでオーディオブックをダウンロードすることができるようになったほか、日本語のオーディオブック大手の「FeBe」では、約7,000タイトルのオーディオブックをダウンロード配信している[5]

なお、物理メディアによる販売方法としては、主にアニメやゲームなどのストーリーをドラマ化した「ドラマCD」が製作され、書店等で流通し、現在でも一定の人気を誇っている。

関連項目[編集]

  • 録音図書 - 視覚障害者に対するボランティア活動の一環に書籍の朗読があり、ライブだけでなく録音した媒体を寄贈または貸与している。朗読内容は一般図書に限らず、新聞、雑誌、地域広報誌、自治体広報物、選挙公報、パンフレットなどなどさまざまである。
  • iTunes Store - アップルが運営しているコンテンツ配信サービス。
  • Audible - 英語オーディオブック大手[6]。書籍保有数は80,000タイトルに及ぶ。
  • FeBe(フィービー) - 日本語オーディブック大手[7]
  • LibriVox - 約10000のオーディオブックを無償で製作・配信しているオンラインプロジェクト。英語が多いが他の言語での朗読もある。
  • アウディ賞 - 優れたオーディオブックの作品に対して贈られる。2011年にはOscar Wildeの世界的な名作文学から、映画監督Woody Allenが自ら朗読したオーディオブックまで、幅広いジャンルのオーディオブックが受賞している[8]
  • でじじ - パンローリング株式会社が運営するオーディオブック制作・流通・販売ブランド。あらゆるジャンルのオーディオブックを提携出版社100社以上、1,100タイトル以上出版。発売媒体はCD、MP3、playwalk、iPhoneアプリ版などさまざま。ダウンロード版は国内の大手取り扱い販売サイト全てに供給。
  • 自炊代行いまいく書籍電子化 - 株式会社いまいくが運営するオーディオブック制作サービス。所有する本を取り込み音声合成ソフトで読み上げ、MP3に変換する。本の電子化(PDF化)サービスのオプションとして提供。

脚注[編集]

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  1. ^ Audio Publishers Associationより
  2. ^ grammy.comより
  3. ^ Audio Publishers Associationより
  4. ^ japan.internet.comより
  5. ^ Podcast journal 2011年5月27日より
  6. ^ TechCrunchの2008年1月31日付ニュース(英語)
  7. ^ 「フィナンシャル ジャパン」2011年5月号(ナレッジフォア)より
  8. ^ theaudies.comより