庶民院

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庶民院
The House of Commons
紋章もしくはロゴ
種類
種類 イギリスの議会下院
役職
議長 ジョン・バーコウ
(無所属)
2009年6月22日より現職
院内総務 アンドリュー・ランズリー
保守党
2012年11月4日より現職
影の院内総務 アンジェラ・イーグル
労働党
2011年10月7日より現職
構成
定数 650
House of Commons current.svg
院内勢力
  保守党 (303)
  労働党 (255)
  同盟党 (1)
  緑の党 (1)
  無所属 (3)
  議長・副議長 (4)
選挙
選挙制度 単純小選挙区制
前回選挙 2010月5月6日
議事堂
Houses.of.parliament.overall.arp.jpg
ウェストミンスター宮殿
ウェブサイト
House of Commons
イギリス
イギリス政府の紋章

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庶民院(しょみんいん、英語: House of Commons of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)は、イギリスの議会を構成する議院のひとつで、下院に相当する。

議院構成[編集]

貴族院(House of Lords)と共に両院制を構成している[1]

会期は1年1会期で、通年開会。ただし休会はある。

定足数は40人(400人の誤記ではない)。しかし以前から、定足数確認動議が禁止されているので、事実上は議長のほか、与野党1人ずつが出席すれば審議は開始できる。この点、貴族院並みとなった。

2議席以上を有する政党には、2000年より補助的な政党助成制度が導入され、政策開発助成金が支給されるようになった(en:Political Parties, Elections and Referendums Act)。ただし、議会での宣誓もしくは確約も要件にあるため、女王への宣誓を拒否しているシン・フェイン党は支給の対象外となっている[2]

定数[編集]

定数は650人(2010年選挙より)。法律で定められた定数には幅があり、その範囲内で境界委員会(Boundary Commission)が選挙区を制定するため、人口の増減などで変化する。2007年現在、議員一人当たりの人口は約9万4,000人。

選挙[編集]

選挙制度は、一選挙区・一当選・比較多数・一回投票で、いわゆる単純小選挙区制。労働党・保守党の二大政党制化しているが、近年ではかつての二大政党の一方であった自由党の後裔である自由民主党も議席を伸ばしている(イギリスのBBCの選挙報道でも、労働・保守・自民を並べて扱っている)。また、単純小選挙区制度では民意を正確に反映できないとして、比例代表制の導入など選挙制度の改革を求める声も出てきている。主に自由民主党が中心となり優先順位付連記投票の導入を目指したが、2011年5月5日に行われた国民投票で反対70%の大差で否決され、実現はしなかった[3][4]

またイギリスは連合王国であるため、王国の中心を占めるイングランドと、スコットランドウェールズ北アイルランドでは当選者の構成がかなり異なる。スコットランド、ウェールズでは、地域政党が無視出来ない勢力を持っており、北アイルランドに至っては地域政党のみで占められている。

選挙資格と被選挙資格[編集]

選挙資格及び被選挙資格同じで、法律によって定められる。

任期[編集]

任期5年だが、解散の場合には期間満了前に終了する。しかし、2011年7月に任期固定制議会法が成立し、議会からの不信任決議可決による解散権を除いて、首相は庶民院を自主的に解散する場合は、議会の3分の2以上の同意が必要となった[6]

院内勢力[編集]

院内勢力別所属議員数
院内勢力 議員数 政党(議員数) 議席率 House of Commons current.svg
与党 0360 保守党 (303) 046.62%
自由民主党 (57) 008.77%
野党 0285 労働党 (255) 039.23%
民主統一党 (8) 001.23%
スコットランド国民党 (6) 000.92%
シン・フェイン (4) 000.62%
プライド・カムリ (3) 000.46%
社会民主労働党 (3) 000.46%
同盟党 (1) 000.15%
緑の党 (1) 000.15%
リスペクト (1) 000.15%
無所属 (3) 000.46%
正副議長 0004 議長 (1)、副議長 (3) 000.62%
欠員 0001 欠員 (1)[7] 000.15%
合計 0650 100.00%
庶民院構成別議席数(2012年5月現在)

議院組織[編集]

役員[編集]

議長[編集]

議長は「スピーカー」(Speaker of the House)と呼ばれる。議事運営の殆どを司り、金銭法案の認定権を握るなど、権限は大きいが、中立公平を貫き先例に従って慎重に行使するべきとされている。

政府と野党の中立公平を守るために、大臣経験者ではなくあまり政府に関わりの無かった重鎮議員が好まれる。任期は庶民院解散までであるが、総選挙後の新議会でも希望する限りは全会一致で再度選出される習わしである。従って政権が交代したとしても議長は交代せず、また政府与党と議長の出身政党は必ずしも一致しない。総選挙の際には議長の選挙区には対立党(主に保守、労働、自由民主の主要政党)は候補を出さないなどの配慮がなされる。地域政党やミニ政党が議長の選挙区に対抗馬を立てることはあり、選挙戦が行われる事はある。

議長の引退や死去によって新たな議長を選出する際には、従来は二大政党からそれぞれ一人ずつ候補が出され、両名のうちから記名投票で選出していた。しかし2000年の選挙英語版では与野党とも党内での候補者の絞り込みが行われず、13名の候補者(そのうち1名辞退)が出馬した。その際、従来の方法に習ったため、2名の候補者から1名を選ぶ投票を11度繰り返し、他のすべての候補に勝利したマイケル・マーティン英語版が最終的に選出された。翌年に制度が改正され、2009年の選挙英語版 は、全候補者を対象とする無記名投票を行い、過半数を獲得する候補が現れるまで、得票最少の候補と得票率5%未満の候補を除いて投票を繰り返す方法で行われた。出馬には12名以上の議員の推薦が必要であるが、そのうち3名以上は候補者と異なる政党に属していなればならない。また複数候補への推薦かけもちは認められない。

副議長[編集]

副議長の定員は3名で、歳入委員長と歳入副委員長を兼務する。

議員6人以上10人以下の推薦が必要で、単記移譲式投票で選出する[8]

院内総務[編集]

与党の院内総務は内閣閣僚の一員で、首相により任命される。

議事運営[編集]

法案は三読会制。伝統的に本会議(ないし全院委員会)審議を重視してきたが、最近は案件別(日本米国のような所轄省庁別ではなく)常任委員会の設置など、委員会制度化へ向けての取り組みも見られる。ただ、やはり庶民院審議の花が、与野党対面の議席にて首相と野党党首が最前列で差し向かいに対決する本会議であることは、今も変わりないだろう。金曜日を除き8時間を超えるロングラン本会議である。しかも会期中平日は毎日開会されている。

その上、終了間際に延会動議が提出され、それの審議のためと称してさらに30分ほど審議を続行する。この30分間は毎日一人ずつの議員が、自分の選挙区の問題や社会の関心を集めている問題について政府に質問し対応を求める時間として使われており、特に無名の平議員にとっては活躍のチャンスとなる。

議事日程[編集]

一般的な議事日程は以下の通りである(11:30開始の場合)

  • 11:30 -
    • 祈祷(Prayers) - 司祭により行われ、議長が着席する
    • 諸手続
  • 11:35
    • 口頭質問(Oral Questions) - 大臣に対する質問
  • 12:00
  • 12:30 以降は討論(Debate)の時間となる。
    • 政府報告 - 政府の方針や重要事項などがあれば大臣が発表
    • 政府提出法案(Public Bill)の討論と採決
    • 緊急討論(Emergency Debate)
  • 19:00
    • 延会討論(Adjournment Debate)
  • 19:30 延会

基本的な開会時間は以下のとおり。ただし、開会時間は基本的なもので、自由に変更できる。

  • 月曜 - 14:30-22:30
  • 火曜 - 14:30-22:30
  • 水曜 - 11:30-19:30
  • 木曜 - 10:30-18:30
  • 金曜 - 9:30-15:30(ただし金曜に開会することは少ない)

庶民院の優越[編集]

1911年に制定された議会法イギリスの憲法の一)によって、庶民院の優越が定められている。

連続2会期(つまり足かけ2年)、庶民院で可決した法案は、貴族院が否決・修正しても、庶民院案のまま法律となる。貴族院は成立を13か月引き延ばせるだけということになる。金銭法案[9]であると庶民院議長が認定した法案は、貴族院で1か月しか成立を遅らせることができない。

貴族院で不信任されても首相は辞職の必要はないが、庶民院が不信任した場合、首相及び内閣は国王に庶民院を解散するよう助言し庶民院を解散するかまたは総辞職しなければならない。首相信任への優越は憲法的習律(慣習法)である。

歴史[編集]

庶民の召集される議会の誕生[編集]

かつて王会(キュリア・レジス、Curia Regis)から発展した英国議会「The Parliament」は貴族国王が中心だったが、1254年シモン・ド・モンフォールが反乱を起こし、1265年に彼が招集した議会では各州を代表する2名の騎士と各特権都市を代表する2名の市民(ブルジョワ)が選ばれて招集された。註:ここで言う庶民(Commoner)とは、貴族(Peer)ではないという意味で、選ばれるのは騎士とブルジョワであり、いわゆる一般庶民ではない。

その後、1295年エドワード1世がこの方式を採り入れて招集した議会は「模範議会」と呼ばれ、後世の議会召集のモデルとなった。

庶民院の独立と発展[編集]

当初は庶民は貴族たちと一緒に会議を開いていたが、貴族の前では自由に発言しづらかったため、エドワード3世の頃に、本会議から分かれて協議をするようになった。その後国王と貴族が待つ本会議へ一同出向き、議長が代表して庶民の決議を伝えた(議長を「speaker」と呼ぶのは、これに由来する)。

こういう歴史的経緯から、議長は国王の不興を買いやすかったため、議長が選ばれた際には、新しい議長はその危険な職務を嫌がる仕草を見せ、それをまわりの議員が無理矢理議長席に連れて行くというパフォーマンスが儀式となって残っており、ジェフリー・アーチャーの小説『めざせダウニング街10番地』でも、この儀式が描写されている。

脚注[編集]

  1. ^ 英国議会は、二院制ではなく国王を含めた三院制であるとする古い法律学説もある。この点は、イギリスに於ける庶民院の発展史・学説史をたどる際に、想起すべき知識である。
  2. ^ 間柴泰治 「2000年政党、選挙及び国民投票法」の制定とイギリスにおける政党助成制度
  3. ^ “英国民投票:下院の選挙制度改革を否決、連立政権内で緊張の兆し”. ブルームバーグ. (2011年5月7日). http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aolG2F8abi8Q 2011年5月7日閲覧。 
  4. ^ “英下院の選挙制度変更、国民投票で大差の否決”. 読売新聞. (2011年5月7日). http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110507-OYT1T00644.htm 2011年5月7日閲覧。 
  5. ^ 主要国の議会制度
  6. ^ イギリス連立政権と解散権制限立法の成立%20-%20小松浩
  7. ^ 定数は650議席だが、候補者死亡を理由に投票が延期された選挙区が一箇所あるため、5月8日時点では649議席。
  8. ^ イギリス下院議事規則の改正
  9. ^ 歳入や歳出を決定する法案。イギリスには統一的な「予算」はない。各税法等や各支出法の総体が、その年の財政の現況であるにすぎない。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]