交響曲第89番 (ハイドン)

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交響曲第89番ヘ長調 Hob.I:89は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン1787年に完成させた交響曲。ハイドンの交響曲の古い分類方式に従って、「W字」とも呼ばれることがある。

概要[編集]

前曲の交響曲第88番とのカップルとして1787年に作曲された。第88番が演奏されることが多いが、対してこの第89番は演奏されることが極めて少ない。ハイドンは第88番をかなり手間をかけて構想を書き上げたといわれ、そのために、第89番を作曲する時間がなかったものであると考えられている。

また、この第89番の第2楽章と第4楽章が、前年の1786年にナポリ王のために作曲したリラ協奏曲 ヘ長調(Hob.VIII-5)の第2楽章と第3楽章を自由に転用したものになっていることや、第1楽章と第3楽章が他の交響曲と比べて、かなりおざなりに作曲されたものとなっている。こうしたことで、多くのハイドンの研究家たちはこの交響曲第89番を高く評価せず、著名な指揮者でさえもこの交響曲を演奏会でとりあげていない。

楽器編成[編集]

フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、チェンバロ弦楽五部

楽章構成[編集]

標準的な4楽章制による。演奏時間は約23分。

第1楽章 ヴィヴァーチェ(Vivace
  • ハイドンには珍しく、序奏を置かず、そのままヴィヴァーチェで開始する。簡明なソナタ形式による。なお第1楽章冒頭のテーマは童謡『証城寺の狸囃子』(作曲:中山晋平)の節に酷似している。
第2楽章 アンダンテ・コン・モート(Andante con moto)
  • 3部形式による楽章。ハ長調で、柔らかい抒情性を醸し出しているが、時折激しさも見せる。なお3部形式ではあるものの変奏曲に近く、中間部では短調で第1部の変奏のように構成されている。ここでは最後に結尾が付く。
第3楽章 メヌエット.アレグレット(Menuetto. Allegretto)
  • アレグレットのメヌエット楽章。中間部のトリオは素朴な民族舞曲風である。
第4楽章 フィナーレ.ヴィヴァーチェ・アッサイ(Finale. Vivace assai)
  • ロンド形式による楽章。形として「A-B-A-C-A」と単純なものとなっている。これは原曲であるリラ協奏曲によるものとされる。

外部リンク[編集]