モシン・ナガン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
モシン・ナガン
Mosin Nagant series of rifles.jpg
モシン・ナガン シリーズ
モシン・ナガン
種類 ボルトアクション・ライフル
製造国 ロシア帝国の旗 ロシア帝国
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
設計・製造

設計:セルゲイ・イワノビッチ・モシン、エミール・ナガン、レオン・ナガン

製造 :トゥーラ造兵廠、イジェフスク造兵廠、セストロレック兵器廠、、フランス国営兵器工場、SIGスイス)、ステアーオーストリア)、レミントンアメリカ合衆国)、ウェスティングハウス(アメリカ合衆国)など多数
仕様
口径 7.62mm
銃身長 80.2cm
使用弾薬 7.62mm×54R(ラシアン)
7.62mm×53R(フィンランド)
装弾数 5発(箱型弾倉・クリップ)
作動方式 ボルトアクション
全長 130.5cm
重量 4,370g
銃口初速 810 m/秒
歴史
設計年 1891年
製造期間 1891年 - 1920年代
配備期間 1891年 - 1950年代
配備先 ロシア帝国軍
ソ連軍
東側諸国
関連戦争・紛争 義和団の乱
日露戦争
第一次世界大戦
ロシア革命
ロシア内戦
フィンランド内戦
トルコ革命
スペイン内戦
第二次世界大戦
国共内戦
朝鮮戦争
ベトナム戦争
その他多数の内戦・紛争
バリエーション バリエーションを参照
製造数 3000万挺以上
テンプレートを表示

モシン・ナガンロシア語Винтовка Мосина (Vintovka Mosina), Мосин-Наган (Mosin-Nagant))は、ロシア帝国陸軍大佐セルゲイ・イワノビッチ・モシンベルギーの銃器メーカーであるエミール・ナガン、レオン・ナガンのナガン兄弟が設計したボルトアクション小銃

1891年にロシア帝国の制式小銃M1891として採用される。

概要[編集]

弾薬はM1891と同時に開発された7.62mm×54Rを使用する。

リアサイト(照門)はタンジェントサイトで、距離表尺の標示には、ロシア帝国独自の単位であるアルシン[1]が使われていた。

全長は約130cmで、世界各国の同世代の小銃と比べて最も長い。

銃剣はスパイク型を使用。第二次大戦中のソ連軍では、銃剣は着剣状態で携行するため、鞘が付属しておらず、銃剣状態で射撃することが基本とされていた。照準も着剣状態に合わせて調整しているため、銃剣を外して撃つ場合、改めて調整し直さなければならなかった[2]

歩兵用の小銃の他、騎兵用に10cmほど短くなったドラグーン・ライフル、ドラグーン・ライフルと同じ長さだが着剣できない、コサック・ライフルの3種類があった。

歴史[編集]

採用直後はロシア帝国の依頼により、フランスの国営兵器工場、スイスのSIGオーストリアステアーなどで生産された[2]。のちに国産化され、トゥーラ造兵廠、イジェフスク造兵廠、セストロレック兵器廠などの兵器工場で本格的に生産が開始。

1900年に起きた義和団の乱で、初めて実戦投入される。

1904年日露戦争時には380万丁のライフルが納入された。

第一次世界大戦でも主力小銃として使われているが、この時も生産が追い付かず、アメリカ合衆国レミントンウェスティングハウスに生産を発注している[2]

ロシア内戦などでも多数使用され、ロシア帝国からソビエト連邦移行後の1920年代まで生産され続けた。

しかし、改良は行われており、1924年には、E.カバコフとI.コマリツキーが、剣留めをスプリング式リングに変更してグラつきを無くした。パンシンは照星覆いを開発し、装弾クリップも単純化し、照尺も頑丈なものに変更された。

1930年4月28日には、距離表尺の標示をメートル法にし、コストダウンを施したM1891/30が採用され、生産を開始した[2]。既存のM1891も多数がM1891/30へと改修された。

M1891/30が登場後に勃発した第二次世界大戦でも主力小銃として大量に使用され、ドイツ国防軍も多数鹵獲したM1891に独自の名称を与えた。ただし、標示にアルシンが使われていたため、自軍では使用していなかったが、ドイツ本国が危うくなった1944年から国民突撃隊に交付されるようになった[2]

第二次世界大戦終結直前の1945年に、半自動カービンのSKSがソ連軍の主力小銃として採用され、置き換えが開始された。1949年には、革新的な自動小銃であるAK-47への更新が進められ、1950年代になるとSKS共々、第一線の歩兵部隊では使用されなくなっていった。

なお、第二次世界大戦後も民生用小銃としての生産は各種派生型を含めて続いている。

バリエーション[編集]

  • M1891 - ロシア帝国時代から使われている小銃、第二次大戦時もほとんどが現役。ドイツ軍の呼称名はGew252(r)
  • M1891 ドラグーン・ライフル - M1891の騎兵用モデルで10cmほど短い。前床・後床の側面にスリングを通す穴が空いている。
  • M1907 - カービンモデル。前床・後床の側面にスリングを通す穴があり、銃身全体を木部で覆っている。着剣不可。
  • M1891/10 - M1891の改良型。主な変更点は、照準器と強化ボルト、トリガーガード後方にあるフィンガーレストの除去、新型バレルバンド交換を容易にするため、スロットタイプ・スリングマウントの導入。スリングスイベルを弾倉下と前床下に設置していたものを、前床・後床の側面にスリングを通す穴を空けた。また、銃身上部が剥き出し前床を、銃身全体を木部で覆うようになった。
  • M1891/10 ドラグーン・ライフル - M1891/10の騎兵用モデル。
  • M1891/30 - M1891の改良型、M1910を基に機関部の簡略やコストダウンが図られ、照尺の表示がメートル法に改められた。狙撃銃としても使用された。ドイツ軍の呼称名は小銃型がGew254(r)であり、狙撃銃型は7.62mm ZielGew256(r)
  • M1938 - M1891/30のカービンモデル、着剣装置廃止。ドイツ軍の呼称名はKar453(r)。.
  • M1944 - M1938に折りたたみ式スパイク銃剣を装備した改良型。ドイツ軍の呼称名はKar457(r)
フィンランドの旗 フィンランド
  • M/91
  • M/91rv - M1891 ドラグーン・ライフルのフィンランド生産型
  • M/24 - 初めて国内で設計されたライフル。7.62mmx53R弾を使用する。国内では非常に著名であり、フィンランド白衛軍に配備された。
  • M/27 - 初めて独自設計
  • M/27rv - M27の騎兵隊カービン銃バージョン。
  • M/28 - フィンランド白衛軍向け小銃。シモ・ヘイヘスロ・コルッカが使用。
  • M/28-30 - M28のアップグレード版。
ポーランドの旗 ポーランド
  • wz.1891 - ポーランド生産型。
  • Karabinek wz. 91 - 騎兵用モデル。
  • Karabinek wz. 91/98/23 - 使用弾は7.92x57mmモーゼル弾になっており、モーゼルGew98のストリップ式クリップがそのまま使用できる。略称はwz. 91/98/23
  • Karabinek wz. 91/98/25 - Karabinek wz. 91/98/23の改良型。装着できる銃剣がGew98のSeitengewehr 98になっている。略称はwz. 91/98/25
  • Karabinek wz. 91/98/26 - Karabinek wz. 91/98/25の改良型。略称はwz. 91/98/26
  • wz.1891/30 - wz.1891の近代改修型。
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
  • U.S.ライフル 7.62mm モデル1916 - ロシア国内産業の疲弊で、自国で武器を生産できずにアメリカに製造を委任した時期に生産されたもの。

脚注・出典[編集]

  1. ^ 1アルシンは約71.12cm。
  2. ^ a b c d e ガリレオ出版『グランドパワー』1月号別冊 第2次大戦 ソ連軍陸戦兵器

登場作品[編集]

8巻に登場。

関連項目[編集]

リンク[編集]