テキサス・ホールデム
テキサス・ホールデム(Texas hold 'em、単にホールデムと呼ぶ場合もある)はポーカーの一種。各プレイヤーごとに配られる2枚の手札と、コミュニティ・カードと呼ばれる全プレイヤー共通のカード(最大5枚)を組み合わせてプレーする。アメリカ合衆国のカジノにおいては最もポピュラーなゲームのひとつである。ワールドシリーズオブポーカー(WSOP)のメインイベントでは賭け金無制限ルール(ノーリミット)によって行われる。
理論上は22名まで同時にプレーすることができる(23名の場合はバーン・カードを利用しないことが条件)が、通常は2名から10名で行われる。
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[編集] 歴史
いつ考案されたかは定かではないが、テキサス州立法府にはテキサス州ロブスタウンにおいて"1900年代初頭"に最初のプレイが行われたと記録されている。ラスベガスには1967年にテキサス州出身のギャンブラーとカードプレイヤーによってもたらされたが、その中には後に伝説的プレイヤーとなるクランデル・アディントン、ドイル・ブランソン、アマリロ・スリムらがいた。その後、このゲームは賭博の胴元業を行っていたテリー・ロジャースとリアム・フルッドによってヨーロッパに紹介された。
数年の間、ゴールデン・ナゲット・カジノが、ラスベガスにおいて唯一このゲームを開催しているカジノであった。この頃、そのポーカールームは“おがくずのたまり場”(sawdust joint)と呼ばれ、その名の通り、油まみれのおがくずで床が覆われているような部屋であった。そのような立地と内装ではこのポーカールームは決して金持ちに人気のある部屋とはならなかったため、プロのプレーヤーはよりよい環境を求めた。1969年、ポーカープロ達は当時ラスベガス中心部にあったデューンズ・カジノの入ってすぐの場所にテキサス・ホールデムをプレイ出来る場所を誘致した。この重要な立地に初心者が集まるようになった結果、プロのプレーヤーにとってテキサス・ホールデムはとても割のいいゲームになった。
1969年、トム・ムーアによってポーカートーナメントが開催され、テキサス・ホールデムを含む何種類かのゲームが行われた。1970年、この大会の後進としてベニー・ビニオンが1949年に開催された伝説のイベント、ワールド・シリーズ・オブ・ポーカーの名前を引き継ぐ形で開催。会場をラスベガスに彼の所有するカジノであるビニオンズ・ホースシュー・カジノに変更した。変更後の最初の大会で、ジャーナリストのトム・サックリーは、このトーナメントのメインイベントはノーリミット・テキサス・ホールデムであるべきだ、と指摘した。ビニオンはこれに同意し、以来この大会のメインイベントはノーリミットのテキサス・ホールデムになっている。このメインイベントに対する関心は以来20年を越えてますます増え続けた。1972年にわずか8業者であった参入者が、1982年には100以上、1991年には200業者を超えている。
この間、ドイル・ブランソンの書いた革命的なポーカー戦略本、『Doyle Brunson's Super System』の初版が発売された。1978年に100ドルで自費出版されたその本はそれにも拘らず、ポーカーをどうプレイするか、という点において革命を起こした。この本はテキサス・ホールデムについて語った最初期の本の一つであり、今日でもこのゲームについて語る際には最重要な本の一つとして位置づけられている。数年後、アルフレッド(アル)・アルヴァレズが初期のポーカー世界大会に関する本、『The Biggest Game in Town』(邦題『ザ・ギャンブラー』真野明裕訳)を出版した。その手の本としては最初の本であり、本には世界のプロ・ポーカー・プレイヤーとポーカー世界大会について書かれている。この本はまたポーカー文学の祖と位置づけられ、テキサスホールデム、そしてポーカー全般について、幅広い関心をもたらした。
ラスベガスのあるネバダ州以外でテキサス・ホールデムが普及するようになったのは1980年代以降である。カリフォルニア州には公認のポーカー店はあるものの、許可されているのはドローポーカーのみで、テキサス・ホールデムは「スタッド・ホース」を禁止する法令によって禁止されていた。しかし1988年、テキサス・ホールデムはスタッド・ホースとは別のゲームであるとして区別された。それとほぼ同時に、州内のポーカー店はテキサス・ホールデムを取り入れた。(この区別する決定はしばしば、テキサスホールデムが"技のゲーム"であると法的に認められた瞬間である、として語られているが、カリフォルニアの法が、ポーカーに関して運と技の区別にまで入り込んだものではない。)
[編集] 目的
特別に記述されていないところは、一般的なポーカーのプレイルールに則る。ポーカーの項も参照のこと。
このゲームの目的は、ポット(pot, 全員の賭け金を集めたもの)を獲得することにある。ポットを獲得するためには、ショーダウンの際に最も強い5枚のカードを持つか、中途のベットラウンドにおいて他のプレイヤーを勝負から降ろす(フォルドさせる)必要がある。
[編集] 賭ける際の注意
テキサス・ホールデムでは、スモール・ブラインドとビッグ・ブラインド、2人が強制ベットをするルールが採用されている。
ディーラー・ボタンは、ゲームに参加しているどのプレイヤーがディーラー位置にいるのかを示すために用いられる(カードを配ったりチップを扱いゲームを進行する「ディーラー」とは異なる)。ディーラー・ボタンは1ゲームごとに時計回りに移動し、ディーラーの位置及びブラインドベット対象者の変更が行われる。
スモールブラインドはディーラーボタン位置の左隣にいるプレイヤーが行い、その額は通常ビッグブラインドの半分である。ビッグブラインドはスモールブラインドの左隣が行い、その額は当該ゲームにおける最低ベット額である。
テーブルに残っている参加者が2名となった場合は、ボタンのないプレイヤーがビッグブラインドを、ボタンの置かれたプレイヤーがスモールブラインドをベット(ポスト)することになる。トーナメントルールにおいては、ブラインド・アンティの金額は一定時間ごとに増加していく。
[編集] 賭けに関するルール
テキサス・ホールデムにおける「賭け」のルールは、以下の3種類が主に用いられている。
- リミット
- リングゲーム(いつでもテーブルに入り、ゲーム終了直後にいつでも終了できるタイプのゲーム)においては、アメリカのカジノで一般的なルールである。例えば「$2-4のリミット」と言われた場合は、全4回ある賭けの機会(ベットラウンドと言う)のうち、最初の2回(場にカードのない状態&場に3枚開いた状態)では賭け金の単位はビッグブラインドと同額であり、後半の2回はビッグブラインドの倍額となる。
- ノーリミット
- テレビ中継を行うレベルのトーナメント、特に世界選手権メインイベントで用いられているのが代表格である。ノーリミットにおいては、プレイヤーは手持ち額全額までかけることが許される(全額賭けることを「オールイン」と呼ぶ。これについてはポーカーの項を参照)。
- ポットリミット
- 最大ベット額は、その時点での賭け金総額までとなる。
- ただし、「総額」とは、本人がこれからコールする分を含む。例えばポット$30で2名がプレー、手前の人間が$10をベットした場合、その時点でのポットは$40であるが、レイズする場合は本人のコール分$10を含むため、コール時点のポット$50を基準とし、レイズのリミットは$60(コールに要する$10+ポットリミットレイズ$50)となる。
[編集] ゲームの進行
各プレイヤーに2枚のカードが表を伏せた状態で配られてゲーム開始となる。この2枚のカードを「ホールカード」あるいは「ポケットカード」と呼ぶ。ゲームにおいてプレイヤーごとに配られるのはこの2枚のみであり、ショーダウンが行われる場合以外は他のプレイヤーに公開する必要はない。
カードが配られたら、ベットラウンドが開始する。このラウンドは「プリフロップ(フロップが開く前)」と呼ばれる。賭けはビッグブラインドの左隣から、時計回りに行う。ただし、ブラインドがない場合は、ディーラーボタンの左隣から行う。
プリフロップでの賭けが終わった段階で、2名以上プレイヤーが残っている場合はディーラーは3枚のカードを開く。フロップは、表向きに3枚のカードをテーブルに出す。これは全てのプレイヤーに共通のカードである。この先の賭けは、全てカードが配られた時点で、ディーラー・ボタンの左隣のプレイヤーから時計回りに行われる。
フロップのベットラウンドが終わると、ディーラーは更に1枚の共通カードを開く。このカードをターン(またはフォース・ストリート)と呼ぶ。
同様に、ターンにおけるベットラウンドが終了すると、ディーラーは最後の1枚となる共通カードを開く。このカードをリバー(またはフィフス・ストリート)と呼ぶ。
リバーにおける賭けが終了した時点で、残っているプレイヤーが2名以上いる場合、勝者を決めるためにショーダウンを行う。
各カードが出される際に、カードに印が付けられている可能性などを考慮して、見えている一番上のカードは配る前に伏せたまま場に放棄して利用しない。これをバーン・カードと呼ぶ。
[編集] ショーダウン
2名以上のプレイヤーが最後の賭けを終えて残っている場合は、ショーダウンを行う。ショーダウンとは、各プレイヤーにとって最も強くなる5枚のカードを、手元の2枚と場に出た5枚のコミュニティ・カード(「ボード」とも言う)の合計7枚の中から決定する。場のカード5枚だけで役をつくってもかまわない。
オールインプレイヤーが発生し、ゲームに参加しているアクティブプレイヤー(非オールインである者)が1名となった場合は、どの局面であってもホール(ポケット)カードをオープンするというルールを定めているトーナメントやカジノもある。
ポットを獲得する権利のある最も強い手が、複数のプレイヤーによって持たれた場合は、ポットのチップは均等に分けられて各プレイヤーに支払われる。この際、ゲームで利用している最低単位×対象人数に満たないチップについては、ディーラー・ボタンから遠いプレイヤー(つまり、最初にベットラウンドで意思表示を行わないといけないプレイヤー)から時計回りに優先される。
[編集] トーナメントルール
伝統的に、ポーカーというのは金銭をチップに両替して、ゲームに参加している当事者間でその得失を競うものであった。他方で、一定額の「参加料」を支払って全員が同量のチップを持ってゲームを行うトーナメント形式のルールも現在では多数行われている。
プレイヤーは、手持ちのチップを全て失った時点でトーナメントから離脱し(負け抜け形式)、最終的な順位によって、賞金を受けとる(あるいは賞金なし)形式である[1]。賞金総額は、プレイヤーが支払った参加料の総額から、主催者が数%の事務手数料を取ったものとなることが多い。なお、参加料は通常、賞金として還元される額と主催者が得る手数料に分けて表記されている事が多い。例えば$500+$30、$11+$1など。参加料の必要の無い、あるいはスポンサーが賞金を提供する場合は$0+$0や、$0+$1のような表記となる。
賞金を受け取れるのは参加プレイヤーの数%(世界選手権で約10%)のため、結果として、トーナメントにおける基本戦術は、リングゲームと大きく異なることになる。
[編集] バリエーション
テキサス・ホールデムはフロップ・ポーカーに分類される。フロップ・ポーカーにはテキサス・ホールデム以外にも、以下のようなバリエーションがある。
[編集] オマハ・ホールデム
テキサス・ホールデムと基本は同じである。ただし最初に手札として伏札4枚配られる。
テキサス・ホールデムと違い、場の5枚のうち3枚、手札の4枚のうち2枚を必ず使わなければいけない。
[編集] パイナップル
テキサス・ホールデムの変形ルール。最初に伏札2枚配るところを3枚配って、そのうち1枚を捨ててからベット開始するゲーム。テキサス・ホールデムよりは手役が高くなる場合が多い。
[編集] クレージー・パイナップル
パイナップルは最初に1枚捨てるが、それをフロップが出てから捨てることにしたゲーム。パイナップルよりさらに高い手役ができやすくなる。
[編集] ウォーターメロン
手札を伏札4枚配り、最初に1枚捨ててベット。フロップを見てからさらに1枚捨てるゲーム。パイナップルとクレージーパイナップルを合わせたようなルール。
[編集] レットイットライド
詳細は「レットイットライド」を参照
もともとはカジノ向けに開発されたルール。最初に伏札2枚配るところを3枚配って、しかも一枚捨てないで最後のショーダウンまで手札3枚でプレーする。
[編集] 脚注
- ^ ただし、序盤から中盤にかけてチップを失っても参加料を追加で支払うことによりチップを追加できるリバイ(Re-Buy)ルールや、一定時間経過後に1回に限り有償でチップを追加できるアドオン(add-on)ルールなども併用される場合がある