トリックテイキングゲーム

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トリックテイキングゲームは、トランプを初めとするカードゲームの、遊び方の一分類である。

タロットがもともとトリックテイキングゲームを遊ぶために作られたカードであるように、トリックテイキングゲームにはカードゲームとほぼ同じ長さの歴史が存在する。

目次

[編集] 最も簡単なルール

トリックテイキングゲームの歴史はとても長い為、トリックテイキングゲームには様々な変種がある。 そこでまずトリックテイキングゲームの中で最も簡単なルールを説明する。 これは後述の分類でいう「切り札のないの狭義トリックテイキングゲーム」にあたるものである。

トリックテイキングゲームではまず、各プレイヤーに同じ枚数の手札を配る。(ディールする、という)。 何枚くばるのかは遊戯毎に違う。 札をディールし終わったら、札が無くなるまでトリックと呼ばれるミニゲームを繰り返し、ミニゲーム毎に勝者を決める。 勝ったトリックの数が最も多い人がゲームの勝者になる。

各トリックでは、以下を行う。まず定められた一人が任意のカードを一枚、場に表向きに出す(カードをリードするという)。 そしてその後左周りに順々に各プレイヤーがカードを場に一枚ずつ表向きに出してゆく。 ここでリードされたスート(=マーク)と同じスートの札を出す事をフォローするといい、そうでない事をディスカードするという。 フォローできるときは必ずフォローしなければならない(マストフォロー・ルール)。

リードされたスートと同じスートの札(すなわち、リードした札もしくはフォローした札)の中で最もランクが高い札を出した人がそのトリックの勝者になる。 (多くのゲームではランクはA>K>Q>…>3>2の順 )。よってカードをディスカードしたプレイヤーは、どんなに高いランクの札を出そうが、決してそのトリックで勝つ事ができない。特に誰一人フォローしなかった場合はリードした人が自動的にそのトリックの勝者になる。

トリックの勝者が次のトリックでカードをリードする。 なおトリック中に場に出した札はゲーム中、二度と使用しない。トリックが終わったら裏返して場の端に置いておく。

ゲームの最初に行なうリードをオープニング・リードという。どのプレイヤーがオープニング・リードを行なうのかは、どの遊戯を行うかによってルールが異なる。

[編集] 切り札のあるルール

多くのトリックテイキングゲームでは、事前に切り札スートと呼ばれているスートが決まっていて、切り札スートの札(切り札)は他のスートのカードよりも強い。 切り札スートの決め方は遊戯毎に異なる。 なお英語では切り札の事をトランプという。日本語ではカード52枚を全てトランプというが、これは誤訳が定着したものである。 (カード52枚は正しくはプレイング・カード)。 切り札スートのないルールを切り札スートのあるルールと区別する為、切り札のないルールをノートランプ・ルールという。

切り札スートの決まっているトリックテイキングゲームでも基本的な流れは切り札なしのトリックテイキングゲームの場合と同じで、各プレイヤーにあらかじめ同じ枚数の手札をディールし、札をディールし終わったら札が無くなるまでトリックと呼ばれるミニゲームを繰り返す。 勝ったトリックの数が最も多い人がゲームの勝者になる。

各トリックでは、以下を行う。まず一人がカードをリードする(切り札でもよい)。 そしてその後左周りに順々に各プレイヤーがカードを場に一枚ずつ表向きに出してゆく。 前回同様、リードされたスートと同じスートの札を出す事をフォローするという。

フォローできるときはフォローしなければならない(マストフォロー・ルール)が、そうでないときは任意の札を出す。 そして「切り札スート>リードされたスート」の順でトリックの勝者を決める。 より正確に言うと、以下のルールで札を出し、勝者を決める。

  • 切り札以外がリードされた場合
    • リードされたスートと同じスートの札があれば、たとえ切り札を持っていても、リードされたスートの札を任意に選んで出す。
    • リードされたスートと同じスートの札がなければ、切り札を出してもその他の札を出してもよい。切り札以外の札を出す事をディスカードするという。
    • 切り札スートが場に出ていれば、切り札スートで一番高いランクの札を出した人がトリックの勝者。
    • 切り札スートが場に出ていなければ、リードされたスートで一番高いランクの札を出した人がトリックの勝者。
  • 切り札がリードされた場合
    • リードされたスートと同じスートの札があれば、リードされたスートの札を任意に選んで出す。リードされたスート=切り札スートなので、もちろん切り札を出してもよいし、出さねばならない。
    • リードされたスートと同じスートの札がなければ、任意の札を出す。(ディスカードするという)。リードされたスート=切り札スートなので、ここで切り札が出る事はありえない。
    • 切り札スート=リードされたスートで一番高いランクの札を出した人がトリックの勝者。

前回同様、カードをディスカードしたプレイヤーは、どんなに高いランクの札を出そうが決してそのトリックで勝つ事ができない。

[編集] トランプ狩り

切り札(=トランプ)のあるゲームの基本戦略として、トランプ狩りが知られている。 これは、切り札を多く持っているプレイヤーが切り札を何度もリードする、という戦略である。 リードには可能なら必ずフォローしなければならないので、切り札をリードされると他のプレイヤーは可能なら必ず切り札を出さねばならない。 よって切り札リードを繰り返すうちに他のプレイヤーの切り札が全て無くなり、切り札を持っているのは自分だけという状況を生み出す事ができる。

プレイヤーがさらにA、K、Qのような高位の切り札を一人締めしてるときはトランプ狩りがしやすい。 というのも高位の切り札から順にリードしていくと、毎回自分がトリックで勝利して次のトリックのリード権を獲得し、切り札の連続リードが可能になるからである。

[編集] 勝敗の決め方の変種

上ではトリックに勝利すると1点が入り、ゲーム終了時に合計点数が高いプレイヤーがそのゲームの勝者になるルールを紹介した。 これを「狭義のトリックテイキングゲーム」もしくは「プレイン・トリックテイキングゲーム」という。

それに対しポイントトリックゲームではトリックに勝利しても1点も入らないが、特定の札(例えば絵札)を取ると点が入り、ゲーム終了時に合計点数が高いプレイヤーがそのゲームの勝者になる。(例:スカート、日本式ナポレオン)。 遊戯によっては、札ごとに得点が違う。

ものによっては、特定の札を取ると逆にマイナス点が入るものがある(例:ハーツ)。 これをトリックアボイダンスゲームという。もちろん、マイナス点が最も少ない人が勝ちである。

その他にも次のような変種がある:

  • トリックアンドメルド:トリックテイキング+札の組み合わせ(メルドという。例えばAAAのスリーカード)で点がつく(例:ピノクル)
  • クァジトリック:いわゆる「トリック」のルールを崩したもの。たとえばマストフォロー・ルールがない。

なお、以上の分類名はデービット・パーラット「Oxford dictionary of the Card Game」より。

[編集] スコアリングとビディング

札を配って(トリックテイキング)ゲームを行い、全ての札が無くなって勝敗がつくまでをディールという。(なお、札を配る行為もディールと呼ばれる。) 多くのトリックテイキングゲームでは、複数のディールを行い、スコアをつけ、全てのディールのスコアの合計値によりゲーム全体の勝敗を決める。 しかし、各ディールでの得点(=勝ったトリックの数)がそのままスコアに反映するとは限らず、例えばディールの勝ち数の合計値によりゲーム全体の勝敗を決める場合もある。

多くのトリックテイキングゲームでは、各ディールでカードが配られたらビディングを行なう。各プレイヤーは自分が今回のゲームで獲得できると思う点数を宣言(ビッド)していく。最も高いビッドをしたプレイヤーがその回のディクレアラーになる。多くの遊戯ではビディングはディーラーから順に左回りに行われ、前の人より低い宣言をする事は許されない。

ビディング終了後は、「ディクレアラー1人」対「他の人全て」になる。ディクレアラーの目標は宣言を達成する事で、残りの人の目標はそれを阻止する事である。

ビディングのあるゲームでは、各ディールでディクレアラーが獲得した点数はあくまで「仮の」点数で、ディクレアラーのスコアに本当に点数が入るのは宣言を達成した場合のみである。 たとえばディクレアラーの宣言が「7」である場合、ディクレアラーが7トリック以上勝利したときのみディクレアラーのスコアに7点が入り、そうでなければディクレアラーのスコアには1点も入らない。

なお、宣言が「7」であるのにディクレアラーが8トリック以上勝利しても7点しか入らない。したがって高得点を取るには、勝率を考えながら可能なかぎり高い宣言をしておく必要がある。 またディクレアラー以外の人はディクレアラーが宣言を達成しようがしまいが、1点も入らない。したがって点数を取るにはディクレアラーになるしかない。 遊戯によって差位はあるが、多くのトリックテイキングゲームのビディングはこれに類似した特徴を持つ。

遊戯によっては特定の宣言を達成するとボーナス点が入る。典型的なのはスラムを宣言した場合で、これは「最高得点を達成する」という宣言である。 これはトリックが点になるゲームなら「全てのトリックで勝利する」という意味だし、特定のカードを取ると点が入るゲームでは「全ての得点カードを取る」という意味である。 この手のボーナス点もあらかじめ宣言していた場合のみ入る。スラムを宣言しなかったのに偶然最高得点が達成された場合はスラム・ボーナスは入らない。 なおハーツでは特定の札を集めればあつめるほどマイナスが増えていくが、全てのマイナス札を集めたときだけ例外的にプラス点が入る。これもスラムと呼ばれる。

また遊戯によってはミゼール(ヌルとも)を宣言できる場合がある。 これは通常と逆で「1トリックも勝利しない」という宣言である。1トリックでも勝ってしまったら、そのディールはディクレアラーの負けである。

多くの遊戯では切り札スートはディクレアラーが決める。 ノートランプを宣言できる場合ある。 これは前述の「切り札無し」のルールでトリックテイキングを行う、という宣言である。

遊戯によっては宣言時に、獲得できると思う点数のみならず、自分が指定したい切り札スートも宣言する。 この際スートに順番がついていて、同じ点数の宣言ならスートの順番が高い宣言の方が高い宣言とみなされる。 たとえばコントラクトブリッジでは、スートの順番は\spadesuit\heartsuit\diamondsuit\clubsuitの順。 スートの順番はビディング中のみ有効で、スートの順番はトリックの勝敗とは無関係である。

スコアリングの例:

  • コントラクトブリッジ:最も多くのトリックを取れると宣言した者が、宣言した以上のトリックを取れた場合に、宣言したトリック数に応じた点数を手にする。
  • オークションブリッジ:最も多くのトリックを取れると宣言した者が、宣言した以上のトリックを取れた場合に、取ったトリック数に応じた点数を手にする。
  • ゴニンカン: 手札にジョーカーを持っていたものが、絵札を9枚以上取った場合に勝ちとなる。
  • (日本式)ナポレオン: 各スートの10、J、Q、K、A全20枚のうち、最も多くの枚数を取れると宣言した者が、指名した副官とともに宣言した以上の枚数を取れた場合に勝ちとなる。ただし、すべて取ってしまった場合は負けとなる。
  • ブラックレディ:ビディングはなし。ハート(各1点)とスペードのQ(13点)を取らされただけ罰点を受ける。

[編集] パートナーシップ

遊戯によっては他のプレイヤーとパートナーを組む。 典型的なのはコントラクトブリッジで、この遊戯は2対2のパートナー戦である。(向い側の人とパートナーを組む)。 この遊戯ではパートナーがゲーム中に変わる事はなく、完全なチーム戦で、「15トリック勝つ」という宣言は「パートナー2人分を合計して15トリック勝つ」の意味である。 ただし遊び方によっては、全てのパートナーの組み合わせでチーム戦を順に行い、それらのチーム戦の得点の合計値で個人の勝敗を決める。

遊戯によっては、各ディール毎にディクレアアラーがそのディール限りのパートナーを決めるものがある。 決め方は遊戯毎に様々だが、例えばディクレアアラーが指定した札を持っている人がディクレアアラーのパートナーになるというルールがある。 こうした遊戯では多くの場合、指定した札を持っている人は自分がパートナーである事を皆に明かす。 しかし、5人版ファイブハンドレッドや日本式ナポレオンでは、自分がパートナーである事を誰にも明かさず、影でこっそりとディクレアアラーを助ける。

[編集] 特殊カード

ゲームによっては特殊カード(役札)がある場合がある。 スペイン・ポルトガルのゲームにはマタドールと呼ばれる特殊札があるものが多い。 例えばスペードのエース(スパディール)は最強のマタドールで、これは切り札のAよりもさらに強い。

なお、スパディールは(スペードであるにも関わらず)、切り札スートに属しているとみなされる。 よって切り札スートがリードされたときにスパディールを出す事ができるし、切り札スートがリードされたときにスパディール以外の切り札がなければスパディールを出さねばならない。 こうしたルールはファイブハンドレッドの特殊カードなどでも同様だが、日本の遊戯では日本式ナポレオンツーテンジャックのように特殊カードはもとのスートに属しているとみなされる。

ナポレオンのような日本の遊戯には、日本固有の特殊カードも多い。(セイム・ツーなど)。 詳細はナポレオンを参照。

[編集] 関連項目