ジェフリー・エプスタイン
ジェフリー・エプスタイン | |
|---|---|
 2019年7月8日のエプスタイン | |
| 生誕 |
Jeffrey Edward Epstein 1953年1月20日 ニューヨーク市ブルックリン区 |
| 住居 |
ニューヨーク市 フロリダ州パームビーチ ニューメキシコ州スタンリー パリ アメリカ領ヴァージン諸島 |
| 国籍 | アメリカ合衆国 |
| 教育 |
クーパー・ユニオン ニューヨーク大学 |
| 職業 |
投資家 ジェフリー・エプスタインVI財団のオーナー |
ジェフリー・エドワード・エプスタイン（Jeffrey Edward Epstein、1953年1月20日 - ）は、アメリカ合衆国の実業家、投資家。
概要
エプスタインは1953年にニューヨーク市ブルックリン区でポーリーン（1918年–2004年）[1]とシーモア（1916年–1991年）[2]のユダヤ人の両親の下に生まれた[3]。親族の一部をホロコーストで失っている[4]。
1969年の16歳の時に、ラファイエット高等学校を2学年飛び級して卒業した[5]。1971年9月にニューヨーク大学のクーラント数理科学研究所に入学するが、1974年6月に中退している[5]。
投資銀行で成功
その後、富裕層の子弟を集めたニューヨークの名門校「ドルトン・スクール」で教職に採用され数学と物理学を教えた[6]。そのときの教え子に、大手投資銀行ベアー・スターンズ会長の息子がいた。1976年、エプスタインは教職を離れてベアー・スターンズに入社。そののちわずか４年でパートナーの地位に昇進する。
1981年に退社、翌1982年に独立して資産管理会社「J・エプスタイン・アンド・カンパニー」を設立した[7]。ベアー・スターンズを退社した理由は不明だが、富裕層を巻き込んだネズミ講に連座したことが発覚し解雇されたともささやかれる[6]。
謎の大富豪
以後さまざまな事業を手がけ、2000年代初頭までには富豪と目されるようになった[8]。しかしこの間、具体的にどのような手段でエプスタインが莫大な富を蓄積したかは不明な点が多い[9][10]。FX関連企業をはじめエプスタインは多くの会社・団体を運営していたが、アメリカの金融界で実際にエプスタインと仕事をしたことがあるという人物もほとんど表に現れなかった[6][11]。
そのため、「資産管理は表向きの事業で、実際は富裕層相手の恐喝を繰り返している」「富裕層をターゲットにした秘密のネズミ講が原資になった」「アメリカの諜報機関の手先として動いている」などといった噂が、繰り返しメディアで報じられた[6]。また正確な資産総額も不明で、2010年には『フォーブズ』誌は、彼の資産価値は見かけよりもはるかに少ないと断じる記事を掲載している[12]。
しかしきわめて富裕な暮らしが耳目を集めていたのは事実で、後段で触れる訴訟に関連して明らかになったエプスタインの資産には、６億ドル（約６００億円）超の不動産やプライベート・ジェット機、ニューヨークの超高級邸宅、カリブ海の無人島や、７６００エーカー（約３０００ヘクタール超）の広さを持つニューメキシコ州の牧場などが含まれている[13]。
エピソード
- エプスタインはビル・クリントン、ジョージ・ステファノプロス、ドナルド・トランプ[14]、ケイティ・クーリック、ウディ・アレン[15]、ハーヴェイ・ワインスタイン[16]などの著名人とパーティーで同席した。彼が交流関係を持つ者にはビル・ゲイツ[17][18]、ルパート・マードック、マイケル・ブルームバーグ、リチャード・ブランソン、マイケル・ジャクソン、アレック・ボールドウィン、ケネディ家、ロックフェラー家、ロスチャイルド家[19]、イスラエル首相エフード・バラック、イギリス首相トニー・ブレア、サウジアラビアの王太子ムハンマド・ビン・サルマーンが含まれていた[20][21][22]。とくに元大統領のビル・クリントンは、自家用機で若い女性とともに何度もエプスタインの別荘に出入りしている[23][24]。
- アリ・ベン＝メナシェは、エプスタインはイスラエル諜報特務庁の工作員だったと主張している[25]。スティーヴン・ホッフェンバーグは、エプスタインはネズミ講詐欺（ポンジ・スキーム）の主犯格であり、会社から1700万ドルを横領するも訴追されずに逃亡したと述べている[26]。
- トランスヒューマニズムや生命科学に強い関心を抱いており、「何者かに観察されているという感情を持つ粒子」の発見にも投資すると述べていた[27]。
- エプスタインは「ロリータ・エクスプレス」と呼ばれるプライベートジェット機のボーイング727を所有し、来客と共に年間600時間飛行していた[28][29]。
- 過去に交際相手が存在したが、エプスタインの死後に逮捕、起訴された。容疑は、エプスタインが所有していた居住地（ニューヨーク州アッパー・イースト・サイドの邸宅、フロリダ州パームビーチの邸宅、ニューメキシコ州サンタフェの農場）などに少女を誘い込んだ罪となっている[30]。
- ビル・ゲイツはエプスタインとの関係により、元妻のメリンダ・ゲイツと2021年5月3日に離婚した[18][17]。
詳細は「ビル・ゲイツ#ジェフリー・エプスタインとの関係」を参照
関連項目
- リトル・セント・ジェームズ島 - エプスタインが所有する島[31]
- グレート・セント・ジェームズ島
- バージニア・ロバーツ・ジュフリー
- ジャン＝リュック・ブルネル
外部リンク
- ジェフリー・エプスタイン: 権力と背徳の億万長者 2020年にNetflixでエプスタイン事件をテーマに制作・公開されたドキュメンタリー番組。
脚注
- ^ Dantus, Larry (2019年7月6日). “Pauline Epstein (Stolofsky)”. Gen. 2019年8月12日閲覧。
- ^ Volscho, Thomas (2019年7月13日). “Jeffrey Epstein Dodged Questions About Sex With His Dalton Prep-School Students”. The Daily Beast 2019年8月12日閲覧。
- ^ “Billionaire sex offender Jeffrey Epstein charged with sex trafficking”. The Jerusalem Post (2019年7月7日). 2019年8月12日閲覧。
- ^ Feldman, Ari (2019年7月15日). “What We Know About Jeffrey Epstein's Childhood”. The Forward 2019年12月8日閲覧。
- ^ a b Thomas Jr., Landon (28 October 2002). "Jeffrey Epstein: International Moneyman of Mystery". ニューヨーク・マガジン. 2019年12月8日閲覧。
- ^ a b c d Stieb, Matt (2019年7月9日). “How Jeffrey Epstein Made His Money: Four Wild Theories” (英語). Intelligencer. 2023年8月24日閲覧。
- ^ Barron, James (2019年7月9日). “Who Is Jeffrey Epstein? An Opulent Life, Celebrity Friends and Lurid Accusations” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2023年8月24日閲覧。
- ^ Stewart, James B. (2019年8月12日). “The Day Jeffrey Epstein Told Me He Had Dirt on Powerful People” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2023年8月24日閲覧。
- ^ Nast, Condé (2003年3月1日). “The Talented Mr. Epstein” (英語). Vanity Fair. 2023年8月24日閲覧。
- ^ “What was Jeffrey Epstein's job that made him so much money?” (英語). Cosmopolitan (2020年6月11日). 2023年8月24日閲覧。
- ^ Stewart, James B. (2022年4月22日). “Jeffrey Epstein, a Rare Cello and an Enduring Mystery” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2023年8月24日閲覧。
- ^ O'Connor, Clare. “Sex Offender Jeffrey Epstein Is Not A Billionaire” (英語). Forbes. 2023年8月24日閲覧。
- ^ Goldstein, Matthew (2022年1月28日). “Where Is Jeffrey Epstein’s Money Going?” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2023年8月24日閲覧。
- ^ Fisher, Marc (2017年3月21日). “Trump's Labor nominee Acosta cut deal with billionaire in underage sex abuse case”. The Washington Post. 2019年11月20日閲覧。
- ^ Harris, Paul (2011年3月12日). “Prince Andrew's link to sex offender Jeffrey Epstein taints royalty in US”. The Guardian
- ^ Jaeger, Max (2019年9月8日). “Jeffrey Epstein, Harvey Weinstein attended party for Prince Andrew's daughter”. New York Post. 2019年11月20日閲覧。
- ^ a b Nast, Condé (2022年3月3日). “Melinda Gates Says Bill Gates's Work with “Abhorrent” Jeffrey Epstein Led to Divorce” (英語). Vanity Fair. 2023年4月17日閲覧。
- ^ a b Nagasaka, Yoko (2022年3月4日). “メリンダ・ゲイツが告白 元夫ビル・ゲイツが性犯罪者J・エプスタインと会うのが「嫌だった」”. ELLE. 2023年4月17日閲覧。
- ^ Fisher, Marc (2019年7月9日). “Jeffrey Epstein, accused of sexually abusing teenage girls, surrounded himself with influential network of defenders”. The Washington Post
- ^ Farrell, Greg (2019年7月9日). “If You Flew Epstein's 'Lolita Express' Private Jet—the Feds Want to Talk to You”. 2019年11月20日閲覧。
- ^ Sommer, Allison Kaplan (2019年7月7日). “Netanyahu Trades Barbs With Barak Over Epstein Sex Trafficking Scandal”. Haaretz 2019年11月20日閲覧。
- ^ Stewart, James B. (2019年8月12日). “The Day Jeffrey Epstein Told Me He Had Dirt on Powerful People”. The New York Times. ISSN 0362-4331 2019年11月20日閲覧。
- ^ Levenson, Lauren del Valle,Eric (2021年11月30日). “Jeffrey Epstein's former pilot testifies Bill Clinton, Donald Trump, Prince Andrew flew aboard Epstein's private plane” (英語). CNN. 2023年8月31日閲覧。
- ^ “英王子から米大統領まで、少女性的搾取疑惑のエプスタイン被告に連なる紳士録”. フランス通信社 (2019年8月14日). 2019年8月15日閲覧。
- ^ “Book Claims Epstein Was Israeli Spy Who Blackmailed Politicians”. Newsmax (2019年12月5日). 2019年12月8日閲覧。
- ^ “Jeffrey Epstein cheated socialite friends, threatened to kill enemies: ‘Filthy Rich’ author”. New York Post (2020年5月30日). 2020年5月31日閲覧。
- ^ “【アメリカを読む】少女虐待の米富豪 ユニークな教師から転身 生命科学に「異様な関心」”. 産経新聞 (2019年7月13日). 2019年7月13日閲覧。
- ^ Ostler, Catherine (2015年1月29日). “Jeffrey Epstein: The Sex Offender Who Mixes With Princes and Premiers”. Newsweek 2019年11月20日閲覧。
- ^ Bryant, Nick (2015年1月22日). “Flight Logs Put Clinton, Dershowitz on Pedophile Billionaire's Sex Jet”. Gawker 2019年11月20日閲覧。
- ^ “エプスタイン被告の元交際相手を逮捕、少女の勧誘と虐待で”. CNN (2020年7月3日). 2020年7月3日閲覧。
- ^ “少女との乱交、不審な自殺とMITメディアラボ”. 日本ビジネスプレス (2019年9月11日). 2020年10月12日閲覧。
