ならずもの国家

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ならずもの国家 (rogue state, rogue regime) とは、「世界平和に対する脅威を画策する国家(あるいは体制)」という意味合いでしばしば用いられる表現である。

概要[編集]

ある種の基準、すなわち人権抑圧を常とする独裁的政治体制の維持、テロリズムに対する支援、あるいは大量破壊兵器の拡散などを行うとされる国家がこの「ならずもの国家」との形容を受ける。

アメリカ合衆国はこの「ならずもの国家」の表現を公式声明中においても最も積極的に用いており、米国の外交政策に反対の立場をとる者はこの表現に対しても批判を行っている[要出典]よくなされる批判は、この「ならずもの国家」という表現は米国に対して友好的でない全ての国家を指し、しばしば現実の脅威を伴わない場合にも用いられる傾向があることに対するものである[要出典]国民に対し圧制を敷いていても親米であるか、消極的であってもアメリカを批判しない限りは「ならずもの」と名指しはされない[要出典])。アメリカの外交問題評論家ウィリアム・ブルムのように、「ならずもの国家」なるレッテルはアメリカ合衆国自身に対してこそふさわしい、とする論者もいる[1]

クリントン政権の任期終盤半年ほどの期間において、この「ならずもの国家」という表現は「懸念される国家」 (state of concern) なる表現に置き換えられる傾向がみられたが、続くジョージ・ウォーカー・ブッシュ政権では再び「ならずもの国家」を積極的に用いている[要出典]同政権はこうした国家群からもたらされる脅威を、自らの外交政策、軍事的積極策(例えばミサイル防衛)を正当化するものとみなしており、それはこれら国家の行動が相互確証破壊の概念によって影響されない、とする仮定に基づいている。[要出典]1990年代末において、米国政策担当者は北朝鮮イラクイランアフガニスタンおよびリビアを「ならずもの国家」と認識していた。2001年10月からのアフガニスタン紛争に伴い同国は「ならずもの国家リスト」から除外され、2003年3月からのアメリカを中心とした多国籍軍イラク戦争によって、イラクも同リストから外れた。一方、リビアは外交交渉および、その後のアラブの春におけるカダフィ政権の崩壊によって、現在では米国の「ならずもの」認定からは除外されたと考えられている。

「ならず者」という訳語について[編集]

ならずもの国家 (rogue state) という概念が提唱された当初、日本ではこの概念を試訳として「ごろつき国家」としていた。しかし、「ごろつき」という語感が報道向きではない(卑語である・中立的でない)という意見もあり、「悪漢国家」や「悪党国家」という訳を経て「ならずもの国家」という比較的中立的な訳語に行き着いたという経緯がある。そのため、現在でも rogue state が必ずしも「ならずもの国家」と訳されないことがある。ちなみに、 rogue は「集団に馴染まず暴力的な(人物)」を意味する言葉で、日本語の「奉ろわぬ民」に近い。なお産経新聞は無法国家、日本の外務省は違法国家、無責任国家と意訳している。

参考書籍[編集]

  • William Blum (2000). Rogue State: A Guide to the World's Only Superpower. Common Courage Press. ISBN 1567511945. 
  • Noam Chomsky (2000). Rogue States: The Rule of Force in World Affairs. South End Press. ISBN 0896086119. 

出典[編集]

  1. ^ Blum(2000)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]