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日本語のタバコの直接の語源は[[スペイン語]]や[[ポルトガル語]]の「{{lang|pt|tabaco}}」である。「NOVO DICIONARIO DA LINGUA PORTUGUESA」によると[[タイノ族]]のtabacoに由来する語で、インディオのY字型の喫煙具のことを意味した<ref>[http://rp-kumakendai.pu-kumamoto.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/1861/1/5310_baba_120%281%29_111%2810%29.pdf 馬場 良二「ポルトガル語からの外来語」] 熊本県立大学、2020年12月29日閲覧。</ref>。 |
日本語のタバコの直接の語源は[[スペイン語]]や[[ポルトガル語]]の「{{lang|pt|tabaco}}」である。「NOVO DICIONARIO DA LINGUA PORTUGUESA」によると[[タイノ族]]のtabacoに由来する語で、インディオのY字型の喫煙具のことを意味した<ref>[http://rp-kumakendai.pu-kumamoto.ac.jp/dspace/bitstream/123456789/1861/1/5310_baba_120%281%29_111%2810%29.pdf 馬場 良二「ポルトガル語からの外来語」] 熊本県立大学、2020年12月29日閲覧。</ref>。 |
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スペイン語の"tabaco"自体の由来についてははっきりしない<ref>『日本国語大辞典』第2版「たばこ」の語誌に載せられた諸説を参照</ref>。伝統的に行われている説としては、[[カリブ海]]で話されていた[[アラワク語族]]の言語の一種(おそらく[[タイノ語]])でタバコの葉またはパイプを意味する語を借用したというものがあるが、tabacoの語は[[大航海時代]]以前の1410年ころからすでにスペインやイタリアで使われており、[[アラビア語]]で一種の薬草を意味した{{unicode|ṭabbāq}}または{{unicode|ṭubbāq}}に由来するともいう<ref>{{citation|chapter=tobacco|title=Chambers Dictionary of Etymology|year=1988|editor=Robert K. Barnhart|publisher=Chambers|isbn=0550142304|pages=1146-1147}}</ref>。 |
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日本ではポルトガル語の音に近い「タバコ」として広まった。[[漢字]]の[[当て字]]としては「多巴古」、「佗波古」、「多葉粉」、「莨」、「淡婆姑」などが用いられる事があるが、「煙草」と書かれる事が最も多い。[[中国語]]では「香煙」と呼ぶ。なお、山口県の一部地域には「煙草谷」(たばこたに)という姓がある。 |
日本ではポルトガル語の音に近い「タバコ」として広まった。[[漢字]]の[[当て字]]としては「多巴古」、「佗波古」、「多葉粉」、「莨」、「淡婆姑」などが用いられる事があるが、「煙草」と書かれる事が最も多い。[[中国語]]では「香煙」と呼ぶ。なお、山口県の一部地域には「煙草谷」(たばこたに)という姓がある。 |
2021年4月13日 (火) 05:09時点における版
タバコ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Nicotiana tabacum L. | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
タバコ | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
cultivated tobacco common tobacco |
タバコ(たばこ、煙草、Nicotiana tabacum)は、ナス科タバコ属の熱帯地方原産の植物[1]。栽培種としては一年草として扱われているが、原産地では多年草の植物である[1][2]。葉の成分として、強い嗜癖性があるニコチンを含む[3]。以下、植物のタバコ(カタカナで表記)について解説する[注 1]。
名称・語源
日本語のタバコの直接の語源はスペイン語やポルトガル語の「tabaco」である。「NOVO DICIONARIO DA LINGUA PORTUGUESA」によるとタイノ族のtabacoに由来する語で、インディオのY字型の喫煙具のことを意味した[5]。
スペイン語の"tabaco"自体の由来についてははっきりしない[6]。伝統的に行われている説としては、カリブ海で話されていたアラワク語族の言語の一種(おそらくタイノ語)でタバコの葉またはパイプを意味する語を借用したというものがあるが、tabacoの語は大航海時代以前の1410年ころからすでにスペインやイタリアで使われており、アラビア語で一種の薬草を意味したṭabbāqまたはṭubbāqに由来するともいう[7]。
この単語がフランス語では"tabac"、ドイツ語では"Tabak"、英語では"tobacco"となった。
日本ではポルトガル語の音に近い「タバコ」として広まった。漢字の当て字としては「多巴古」、「佗波古」、「多葉粉」、「莨」、「淡婆姑」などが用いられる事があるが、「煙草」と書かれる事が最も多い。中国語では「香煙」と呼ぶ。なお、山口県の一部地域には「煙草谷」(たばこたに)という姓がある。
生物的特徴
タバコはナス科タバコ属(Nicotiana)の南アメリカの熱帯原産の植物である[1]。栽培種としては一年草として扱われているが、原産地ではもともと多年草である[1]。
タバコ属には約50の種が含まれるが、大規模に栽培される種は、タバコの他とNicotiana rustica(ルスティカタバコ、マルバタバコ)の2種に限られる。 Nicotiana tabacumはシルベストリス(N-sylvestris)という野生種と、トメントシフォルミス (N-tomentosiformis) など、トメントーサ節の野生種とを祖先とする複二倍体である[8]。
タバコの種子の形状は回転楕円体である。質量は約50 μg。植物の種子が発芽するためには、適切な温度、湿度が必要である。また種によっては太陽光が当たらなければならない。タバコの種子は光を感知するため発芽には太陽光が必要である。発芽温度は25℃である。
成長すると茎は直立して草丈はおよそ 2 mになる[1]。茎は繊維質で、薪などの代わりとして炊事などに利用されてきたが、電気やガスの普及に伴い利用価値は無くなっており、そのまま次期の肥料として畑に廃棄される。
葉は約30 cmの大きさの楕円形[1]。葉は30枚から40枚が着生し、このうち、葉たばことして採取するのは約6割である。これは位置によってニコチンの含有量が異なるためである。日本国内では葉を5種類に区別し、上から上葉・本葉・合葉・中葉・下葉と呼ぶ。上葉は6%程度、下葉は1%程度のニコチンを含む。葉の長さは20 cmから60 cm、幅は10 cmから30 cm程度である。葉の表面には液を分泌する細胞があり、特有の臭気を帯びる。また、葉には腺毛が多数あり、空気中のポロニウム210を吸着することが知られている[9]。
花は夏期に総状花序で茎の先端部分に付く[1]。花冠の形状は漏斗に似ており先端が五裂する[1]。色は種類によって異なるが、栽培種では基部が白く、先端は淡紅色のものが多い[1]。果実1つ当り3000粒程度の種子を含む。
毒性
全草にニコチンを含んでおり、誤食すると嘔吐や下痢などの症状を起こす[1]。また、誤食により筋肉のけいれんや麻痺といった症状が現れることがある[1]。
関連する名前
葉がタバコに似ているところから名付けられたものに以下のようなものがある。
葉タバコの生産と栽培
葉タバコは紙巻きたばこなどの原料であり世界各地で生産されている。
葉たばこ生産量
FAOの統計によると、全世界の葉たばこの生産量は、635万トン (2002年) であり、全体の3割以上を中国1国で生産している。中国国内では、雲南省・貴州省・河南省・湖南省・四川省の順に生産が多い。雲南省の生産量は66万トンと、世界2位のブラジルよりも多い。
大陸別の生産量はアジアが6割、南北アメリカがそれぞれ1割ずつ、ヨーロッパとアフリカが1割弱という比率になる。たばこで有名なキューバの生産量は3.2万トンと数量としては多くない。日本の生産量は約5万トン。主な産地は黄色種が南九州、バーレー種が北東北であり、2004年における生産量の上位は宮崎県・熊本県・岩手県・鹿児島県・青森県の順である。
- 中国 - 239万トン (37.7%)
- ブラジル - 65万トン (10.3%)
- インド - 58万トン (9.1%)
- アメリカ合衆国 - 40万トン (6.4%)
- ジンバブエ - 17万トン (2.7%)
- トルコ
- インドネシア
- イタリア
- アルゼンチン
- ギリシャ
1991年時点の生産量は766万トンであり、約10年間で葉たばこの生産量が100万トン以上減少したことが分かる。当時の生産国を生産量順に並べると、中国・アメリカ合衆国・インド・ブラジル・トルコ・イタリア・ジンバブエ・ギリシャ・インドネシアとなる。最も生産が減少したのは中国の70万トン、次にアメリカの35万トン、トルコの10万トンが続く。上位10カ国のうち、生産が増加したのは、唯一ブラジルであり、約25万トン増えた。アルゼンチンも生産量が増加している。
紙巻たばこ生産量と対比
国際連合の統計資料「United Nations Industrial Commodity Statistical Yearbook 2001」によると、2001年の全世界の紙巻たばこの生産本数は5兆4710億本である。葉たばこの最大生産国である中華人民共和国が、紙巻たばこにおいてもシェア 3割を超える最大の生産国となっている。
葉たばこの生産量と比較すると、アメリカ合衆国・ロシア・日本・北欧諸国が原料の輸入国であること、インドネシア・ギリシャ・トルコは農業生産と国内の加工業までが一貫していることが分かる。
- 中国 - 1兆7000億本 (31.1%)
- アメリカ合衆国 - 5800億本 (10.6%)
- ロシア - 3740億本 (6.8%)
- 日本 - 2372億本 (4.3%)
- インドネシア - 2300億本 (4.2%)
- ドイツ
- トルコ
- イギリス
- オランダ
- ブラジル
日本での栽培
歴史
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慶長6年 (1601年) に肥前国平戸(長崎県平戸市)に来航したフランシスコ会員ヒエロニムス・デ・カストロが、平戸藩主松浦鎮信にタバコの種子を贈呈している(これを記念して平戸城跡である亀岡神社には「日本最初 たばこ種子渡来之地」の石碑が建てられている)[10]。慶長10年 (1605年) には長崎の桜馬場で、初めてタバコの種が日本に植えられた[11]。
制度
日本ではタバコの栽培は自由化されたものの、葉たばこを原料とした「製造たばこ」の製造はたばこ事業法8条により日本たばこ産業 (JT) 以外には禁止されている。原料用国内産葉たばこの生産に際しては同法3条の定めによって葉たばこを全てJTに売り渡す予定の耕作者とJTがあらかじめ契約をし、契約農家にはJTから種子が無償で配付される。また、たばこ事業法は原料として使用できないものを除き、農家が売り渡す葉たばこ全量の購入をJTに義務づけている。
なお、JTと栽培農家の契約では取引価格体系の違いによって、黄色種は第1黄色種から第4黄色種、バーレー種は第1バーレー種と第2バーレー種に区分されている。
日本各地に、主に栽培農家が信仰するたばこ神社(葉たばこ神社)がある。
品種
日本では、ブライトエロー・バージニア・コーカー・MC・つくばなどの黄色種と、バーレー21・たいへい・みちのくなどのバーレー種が栽培されている。両切りたばこや刻みたばこの時代に主流を占めていた在来種は現在、熊本県を中心とする九州山地一帯、福島県、栃木県、茨城県、徳島県で、5品種が僅かに栽培される程度である。
黄色種はバージニア・ブレンドと呼ばれるタイプの製品で、たばこの味や香りの主体となるものである。また、バーレー種は、アメリカン・ブレンドと呼ばれるタイプの製品で、香料を吸着保持してたばこのブランドイメージを作り出す重要な役割を担う。その他、特殊な加工を施した原料が、弾力性や香り、味を調和させるために使われている。
耕作
葉たばこは畑に種子を播いて育てるのではなく、種は親床と呼ばれる育苗施設に蒔かれ、長さ2 - 3センチの葉が3 - 4枚に成長した段階で、さらに子床と呼ばれる苗床に仮に移植され、その後約1カ月成長を続けた後に初めて畑に移植される。種まきの時期は沖縄県の12月に始まり、順次北上して東北地方では3月となる。畑への移植時期は沖縄の2月上旬に始まり、九州では3月、東北では5月が一般的である。
成長に伴い4月から6月に花芽が現れるが、開花直後に芯止めと呼ばれる摘芯作業を行い、花芽は摘み取られる。これはわき芽の除去とともに、原料として利用する葉の成熟にとっては欠かせない、重要な作業である。また、品種によってはこの時期にニコチン成分の少ない下葉を除去して、上葉から中葉の熟成を促す栽培法を取る農家もある。
芯止め作業と前後して最初の収穫作業が始まる。葉はニコチン成分の少ない下葉から上位の着位の葉に向かって成熟が進むため、成熟した順に葉の着位ごとに区分をして収穫してゆく。黄色種では本葉と上葉8から10枚程度を最後まで残して、十分に成熟が進んだ時点で一斉に収穫する、総がきという収穫作業が行われるが、農家によっては畑毎の成長差や天候状況などにより、順次収穫・乾燥している場合も多い。
黄色種は、断熱パネルで構成された面積2 - 6坪 (6.6 - 19.8 m2) 程度のコンテナ状のバルク乾燥機に吊込まれ、石油バーナーで加熱した温風〜熱風を循環させて約1週間をかけて乾燥(正確には脱水過程としての Drying ではなく、内容成分の熟成を伴う Curing)させ、選別、圧縮を経て7月から10月頃にJTへと出荷される。
バーレー種は、ハンガー・バインターや連縄に挟んだ葉を、遮光したビニールハウスや屋内に吊って、約3週間から1カ月かけて自然乾燥する乾燥方法が一般的であるが、本葉と上葉を幹ごと刈り取って幹ごと35℃から40℃に保たれた乾燥室に吊り下げる幹干しと呼ばれる乾燥方法が行われている地域もある。幹干しは、JTが農家の労力削減のために一時期推奨したこともあって普及したが、幹がついたまま収穫しなくてはならないため、高齢化が進むたばこ農家にとっては重労働であるとして、普及率は下がっている。
農家からJTへの出荷は、以前はすべての葉を一度に出荷していたが、現在は早い時期に収穫・乾燥が済んだ葉を先に出荷する早期買入(販売)を行い、その後収穫した葉をもう一度出荷する方法が一般的である。
ナス科の植物なので同じ畑で連続して栽培すると連作障害を起こし収量が減る。
タバコ屑
タバコの葉の屑は、窒素 (N) 1%、リン酸 (H3PO4) 1%、カリウム (K) 5%程度を含み肥料として使われることがある。園芸店やホームセンターで「たばこくず肥料」などの商品名で扱われ、普通に購入可能である。ただし養蚕においては桑の施肥中にタバコ屑が加えられると桑にニコチンが残りカイコの飼育に悪影響が出る可能性が富山県告示第244号「肥料取締法第21条の規定に基づく肥料の施用上の注意等の表示命令について」などに示されている。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g h i j k 佐竹元吉 監修『日本の有毒植物』<フィールドベスト図鑑> 学研教育出版 2012年、ISBN 9784054052697 p.192.
- ^ 田中正武. “タバコ(煙草)”. 日本大百科全書(ニッポニカ)(コトバンク). 2019年5月26日閲覧。
- ^ Tobacco Facts
- ^ 法文上「たばこ」とは、「タバコ属の植物」全体ではなく、そのうち農作物として耕作し「葉たばこ」を得、それを原材料として「製造たばこ」を得る基盤となる「タバコ属の植物」である。
- ^ 馬場 良二「ポルトガル語からの外来語」 熊本県立大学、2020年12月29日閲覧。
- ^ 『日本国語大辞典』第2版「たばこ」の語誌に載せられた諸説を参照
- ^ Robert K. Barnhart, ed. (1988), “tobacco”, Chambers Dictionary of Etymology, Chambers, pp. 1146-1147, ISBN 0550142304
- ^ 川床邦夫『中国たばこの世界』<東方選書> 東方書店 1999年、ISBN 9784497995681 pp.2-4.
- ^ “タバコに放射性物質含有、製造企業は事実公表せず、厚労省が検証へ…体内被ばくや発がんも”. サイゾー. (2014年5月16日) 2014年5月19日閲覧。
- ^ NPO法人平戸観光ウェルカムガイド『平戸検定公式テキストブック』49〜50ページ。
- ^ 日本たばこ産業 (JT) ウェブサイト内 たばこ旅日和 「長崎県『煙草初植地の石碑』」
関連項目
外部リンク
- 『タバコ』 - コトバンク
- たばこと塩の博物館・たばこの歴史と文化 (日本語)