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: しかし、帝国宰相と帝国軍三長官(軍務尚書・統帥本部総長・宇宙艦隊司令長官)を兼任し帝国の実権を掌握した[[ラインハルト・フォン・ローエングラム|ラインハルト]]が独裁体制を確立して各種の改革を実行に移す中、逆に同盟は帝国領侵攻作戦における大敗や救国軍事会議のクーデターに伴う内戦によって著しく疲弊し、両国の国力バランスがフェザーンの力をもってしても調整不可能なほどに大きく帝国側に傾いたことを見てとると本来の路線を変更して「再生を果たしつつある帝国と連携して同盟を滅亡させ、来たるべきローエングラム朝銀河帝国に於いて経済的な面での実権を握る」というものにシフトさせる。彼の中では地球教との訣別も視野に入れた上での決断であったが、地球教との決別を決意するも実行には移せないままに終わった。
: しかし、帝国宰相と帝国軍三長官(軍務尚書・統帥本部総長・宇宙艦隊司令長官)を兼任し帝国の実権を掌握した[[ラインハルト・フォン・ローエングラム|ラインハルト]]が独裁体制を確立して各種の改革を実行に移す中、逆に同盟は帝国領侵攻作戦における大敗や救国軍事会議のクーデターに伴う内戦によって著しく疲弊し、両国の国力バランスがフェザーンの力をもってしても調整不可能なほどに大きく帝国側に傾いたことを見てとると本来の路線を変更して「再生を果たしつつある帝国と連携して同盟を滅亡させ、来たるべきローエングラム朝銀河帝国に於いて経済的な面での実権を握る」というものにシフトさせる。彼の中では地球教との訣別も視野に入れた上での決断であったが、地球教との決別を決意するも実行には移せないままに終わった。
: そのために帝国と同盟の間に決定的な楔を打ち込むべく、補佐官[[#ルパート・ケッセルリンク|ケッセルリンク]]を介して亡命してきた旧帝国の残党を使嗽して幼帝[[銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国#エルウィン・ヨーゼフ2世|エルウィン・ヨーゼフ2世]]を[[銀河英雄伝説の登場勢力#自由惑星同盟|自由惑星同盟]]内へと誘拐・亡命させ、同国に於いて「[[銀河英雄伝説の登場勢力#銀河帝国正統政府|銀河帝国正統政府]]」を樹立させるなどの謀略を巡らせる。この計画自体は成功し帝国軍による同盟領への大規模な侵攻に発展するが、最終段階に於ける[[銀河英雄伝説の用語#弁務官|弁務官]][[#ニコラス・ボルテック|ボルテック]]の失敗により帝国によるフェザーン占領・同回廊通過による[[銀河英雄伝説#イゼルローン要塞|イゼルローン要塞]]の戦略的無力化に繋がる。この結果、自身に取って代わろうとした息子ルパートを射殺し、彼自身も地下への潜伏を余儀なくされることとなる。
: そのために帝国と同盟の間に決定的な楔を打ち込むべく、補佐官[[#ルパート・ケッセルリンク|ケッセルリンク]]を介して亡命してきた旧帝国の残党を使嗽して幼帝[[銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国#エルウィン・ヨーゼフ2世|エルウィン・ヨーゼフ2世]]を[[銀河英雄伝説の登場勢力#自由惑星同盟|自由惑星同盟]]内へと誘拐・亡命させ、同国に於いて「[[銀河英雄伝説の登場勢力#銀河帝国正統政府|銀河帝国正統政府]]」を樹立させるなどの謀略を巡らせる。この計画自体は成功し帝国軍による同盟領への大規模な侵攻に発展するが、最終段階に於ける[[銀河英雄伝説の用語#弁務官|弁務官]][[#ニコラス・ボルテック|ボルテック]]の失敗により帝国によるフェザーン占領・同回廊通過による[[銀河英雄伝説#イゼルローン要塞|イゼルローン要塞]]の戦略的無力化に繋がる。この結果、自身に取って代わろうとした息子ルパートを射殺し、彼自身も地下への潜伏を余儀なくされることとなる。
: 潜伏後は、帝国内務省の[[銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国#ハイドリッヒ・ラング|ラング]]内国安全保障局長の統帥本部総長[[オスカー・フォン・ロイエンタール|ロイエンタール]]元帥への個人的怨恨を巧みに利用し走狗と為し、新帝国中枢部に於ける内部分裂を生ぜしめようと画策する。またフェザーンに於いて爆弾テロを起こさせ、その首謀者として[[#ニコラス・ボルテック|ボルテック]]を逮捕させ獄中に於いて毒殺させるなどの陰謀も用いた。この帝国中枢での内部離間策は偶然も得て奏を功し、複数回の新領土(ノイエ・ラント)総督ロイエンタールへの冤罪を契機に大規模な叛乱に発展。反乱は同元帥の親友でもある宇宙艦隊司令長官[[ウォルフガング・ミッターマイヤー|ミッターマイヤー]]元帥自らの手により鎮定し、爆弾テロ事件に於いて負傷した[[コルネリアス・ルッツ|ルッツ]]上級大将による憲兵総監[[ウルリッヒ・ケスラー|ケスラー]]上級大将への捜査依頼によりルビンスキーとの通謀が明るみとなったラングは逮捕・処刑され、彼の計画は結果的には失敗に終わる。
: 潜伏後は、帝国内務省の[[銀河英雄伝説の登場人物・銀河帝国#ハイドリッヒ・ラング|ラング]]内国安全保障局長の統帥本部総長[[オスカー・フォン・ロイエンタール|ロイエンタール]]元帥への個人的怨恨を巧みに利用し走狗と為し、新帝国中枢部に於ける内部分裂を生ぜしめようと画策する。またフェザーンに於いて爆弾テロを起こさせ、その首謀者として[[#ニコラス・ボルテック|ボルテック]]を逮捕させ獄中に於いて毒殺させるなどの陰謀も用いた。この帝国中枢での内部離間策は偶然も得て功を奏し、複数回の新領土(ノイエ・ラント)総督ロイエンタールへの冤罪を契機に大規模な叛乱に発展。反乱は同元帥の親友でもある宇宙艦隊司令長官[[ウォルフガング・ミッターマイヤー|ミッターマイヤー]]元帥自らの手により鎮定し、爆弾テロ事件に於いて負傷した[[コルネリアス・ルッツ|ルッツ]]上級大将による憲兵総監[[ウルリッヒ・ケスラー|ケスラー]]上級大将への捜査依頼によりルビンスキーとの通謀が明るみとなったラングは逮捕・処刑され、彼の計画は結果的には失敗に終わる。
: この頃から悪性の脳腫瘍を患い、次々と経済テロを企てるものの目的ははっきりとせず、自暴自棄の様相を呈している。遂には余命幾許もなくなったため、自らの頭蓋に低周波爆弾の制御装置を埋め込んで自らの死を利用したテロリズムに走ることとなる。ルビンスキーの衰えと策略の浅薄さを愛人のドミニクは感じ取り、嘲りすら含む態度を取るようになる。皇帝ラインハルトの爆殺をも企図したこの企みは後世の歴史に於いて「[[銀河英雄伝説の戦役#ルビンスキーの火祭り|ルビンスキーの火祭り]]」とも呼ばれるほどの惨事を齎すが、ラインハルト自身は辛くも脱出を果たし無事に生還している。
: この頃から悪性の脳腫瘍を患い、次々と経済テロを企てるものの目的ははっきりとせず、自暴自棄の様相を呈している。遂には余命幾許もなくなったため、自らの頭蓋に低周波爆弾の制御装置を埋め込んで自らの死を利用したテロリズムに走ることとなる。ルビンスキーの衰えと策略の浅薄さを愛人のドミニクは感じ取り、嘲りすら含む態度を取るようになる。皇帝ラインハルトの爆殺をも企図したこの企みは後世の歴史に於いて「[[銀河英雄伝説の戦役#ルビンスキーの火祭り|ルビンスキーの火祭り]]」とも呼ばれるほどの惨事を齎すが、ラインハルト自身は辛くも脱出を果たし無事に生還している。
: [[道原かつみ]]版の漫画では、本作の女性登場人物の少なさを解消するため、スキンヘッドの女性として描かれており、名前は「アドリアーナ・ルビンスカヤ」。
: [[道原かつみ]]版の漫画では、本作の女性登場人物の少なさを解消するため、スキンヘッドの女性として描かれており、名前は「アドリアーナ・ルビンスカヤ」。

2017年11月17日 (金) 03:23時点における版

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銀河英雄伝説の登場人物・その他(ぎんがえいゆうでんせつのとうじょうじんぶつ・そのた)は、田中芳樹の小説、およびそれを原作としたアニメ『銀河英雄伝説』に登場する、架空の人物の内、銀河帝国/自由惑星同盟のいずれにも所属・分類されない人物の一覧である。

フェザーン自治領

アドリアン・ルビンスキー(Adrian Rubinsky)
(声:小林清志
第5代にして最後のフェザーン自治領主。スキンヘッド。自治領主になったのは帝国暦482年。その頃の手腕から「曲者」として帝国内に知られていた模様。「黒狐」と呼ばれる野心家。地球教と手を結んで武力によって互いに食い合い疲弊していく帝国と同盟の間を巧みに泳ぎ回り、"恐怖されるほど強からず、侮りを受けるほど弱からず"というフェザーンの微妙なバランスを維持することを基本姿勢としている。
しかし、帝国宰相と帝国軍三長官(軍務尚書・統帥本部総長・宇宙艦隊司令長官)を兼任し帝国の実権を掌握したラインハルトが独裁体制を確立して各種の改革を実行に移す中、逆に同盟は帝国領侵攻作戦における大敗や救国軍事会議のクーデターに伴う内戦によって著しく疲弊し、両国の国力バランスがフェザーンの力をもってしても調整不可能なほどに大きく帝国側に傾いたことを見てとると本来の路線を変更して「再生を果たしつつある帝国と連携して同盟を滅亡させ、来たるべきローエングラム朝銀河帝国に於いて経済的な面での実権を握る」というものにシフトさせる。彼の中では地球教との訣別も視野に入れた上での決断であったが、地球教との決別を決意するも実行には移せないままに終わった。
そのために帝国と同盟の間に決定的な楔を打ち込むべく、補佐官ケッセルリンクを介して亡命してきた旧帝国の残党を使嗽して幼帝エルウィン・ヨーゼフ2世自由惑星同盟内へと誘拐・亡命させ、同国に於いて「銀河帝国正統政府」を樹立させるなどの謀略を巡らせる。この計画自体は成功し帝国軍による同盟領への大規模な侵攻に発展するが、最終段階に於ける弁務官ボルテックの失敗により帝国によるフェザーン占領・同回廊通過によるイゼルローン要塞の戦略的無力化に繋がる。この結果、自身に取って代わろうとした息子ルパートを射殺し、彼自身も地下への潜伏を余儀なくされることとなる。
潜伏後は、帝国内務省のラング内国安全保障局長の統帥本部総長ロイエンタール元帥への個人的怨恨を巧みに利用し走狗と為し、新帝国中枢部に於ける内部分裂を生ぜしめようと画策する。またフェザーンに於いて爆弾テロを起こさせ、その首謀者としてボルテックを逮捕させ獄中に於いて毒殺させるなどの陰謀も用いた。この帝国中枢での内部離間策は偶然も得て功を奏し、複数回の新領土(ノイエ・ラント)総督ロイエンタールへの冤罪を契機に大規模な叛乱に発展。反乱は同元帥の親友でもある宇宙艦隊司令長官ミッターマイヤー元帥自らの手により鎮定し、爆弾テロ事件に於いて負傷したルッツ上級大将による憲兵総監ケスラー上級大将への捜査依頼によりルビンスキーとの通謀が明るみとなったラングは逮捕・処刑され、彼の計画は結果的には失敗に終わる。
この頃から悪性の脳腫瘍を患い、次々と経済テロを企てるものの目的ははっきりとせず、自暴自棄の様相を呈している。遂には余命幾許もなくなったため、自らの頭蓋に低周波爆弾の制御装置を埋め込んで自らの死を利用したテロリズムに走ることとなる。ルビンスキーの衰えと策略の浅薄さを愛人のドミニクは感じ取り、嘲りすら含む態度を取るようになる。皇帝ラインハルトの爆殺をも企図したこの企みは後世の歴史に於いて「ルビンスキーの火祭り」とも呼ばれるほどの惨事を齎すが、ラインハルト自身は辛くも脱出を果たし無事に生還している。
道原かつみ版の漫画では、本作の女性登場人物の少なさを解消するため、スキンヘッドの女性として描かれており、名前は「アドリアーナ・ルビンスカヤ」。
ドミニク・サン・ピエール(Dominique Saint-Pierre)
(声:平野文
アドリアン・ルビンスキーの愛人。初登場はイゼルローン要塞陥落後、ルビンスキーが帝国の駐在高等弁務官レムシャイド伯爵に同盟の侵攻を知らせた時。原作小説では、この時に使われた別荘の持ち主がルビンスキーの情人の1人(名称は不明)だと記述されているが、アニメ版ではドミニク・サン・ピエールが姿を現している。女優、ダンサー、歌手などの多彩な経歴を持ちそれに伴う聡明さを兼ね備えている。
ルビンスキーのプライベートな時間の多くに登場するが、当初は同居していなかった。そのため、ルパート・ケッセルリンクがドミニクの家を訪ねてデグスビイ司教の懐柔やルビンスキーに対する背信を持ちかけることが出来た。しかし、ドミニクはケッセルリンクの策謀をルビンスキーに報告し、その結果としてケッセルリンクはルビンスキーに殺害される。その直後、ドミニクはルビンスキーと共に逃亡、ルビンスキーが逮捕される寸前まで隠れ家で同居している場面が描かれている。
基本的にはルビンスキーの手助けをする役回りだったが、ルビンスキーに対して辛らつな言葉を向けたり、独断でデグスビイのフェザーン脱出やエルフリーデ・フォン・コールラウシュをロイエンタールの元に送り届けるなどの行動も起こしており、単なる手足ではない言動を表している。ルビンスキーとの会話のやり取りも恋愛関係にある男女のものとはとても思えず、周囲の者が呆れるほど散文的なものであった。
新帝国暦3年6月に発生した"ルビンスキーの火祭り"の際憲兵隊に逮捕され、旧フェザーン自治政府や地球教に関する幾つかの情報を自白したが、オーベルシュタインが質問したエルフリーデ・フォン・コールラウシュの行方は話さなかった。知らなかったか、或いは言いたくなかったかは不明である。2か月後、起訴猶予で釈放された後に消息を絶った。
なお、道原かつみの漫画版では未登場のままとなった。
ルパート・ケッセルリンク(Rupert Kesselrink)
(声:鈴置洋孝
ニコラス・ボルテックが高等弁務官として帝国に赴任した後ルビンスキーの補佐官に就任した。大学院を出たばかりの年齢に於いての異例の抜擢である。実際その期待に違わぬ辣腕ぶりを示し、自由惑星同盟のヘンスロー弁務官を利用してヤンをイゼルローンから引き離すようにしむけたり、皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世誘拐を元駐フェザーン帝国高等弁務官レムシャイド伯爵に提案したり、その実行役としてレオポルド・シューマッハとランズベルク伯爵を用意したりするなど、ルビンスキーの意思の実現化にかなり寄与していた。
実はルビンスキーが自らの栄達のために捨てた女が産んだ庶子。本人曰く「その日の暮らしにも困る貧家の娘」ということで、少年時代は相当悲惨なものであったろうことを匂わせる部分もある。その所為であろうか、母親を捨てたルビンスキーを憎悪し復讐を企んでいる。そのため、ドミニクと密通・共謀しデグスビイ司教を手駒にしようと画策したが、結果的に失敗に終わっている。帝国軍がフェザーンに進駐した日、ルビンスキーの暗殺を図って逆にそれを予期していたルビンスキーの返り討ちに遭い死亡する。
旺盛な野心とそれに伴う実行力と生まれ持った資質は高かったが、それを実現化するのに必要な経験と器量に於いて及ばず、ルビンスキーとドミニクが繋がっていることを見抜けずに根拠もなく勝ち誇るも結局は父親による息子殺しの犠牲となった。
道原かつみの漫画版でも、ほぼ原作小説の描写通り母親に変更されたルビンスカヤの手によって殺害されるが、父親が誰かについては不明のままである。
ニコラス・ボルテック(Nikolas Boltik)
(声:仁内建之
ルビンスキーの補佐官だったが、帝国駐在弁務官として銀河帝国首都オーディンに派遣され、ラインハルトの動きを探る。しかし、逆にラインハルトによってフェザーン侵攻の手駒の一つとして利用される。ボルテック自身、当初はルビンスキーの命に忠実であったがラインハルトとの取引の失敗を契機にルビンスキーの追い落としを画策するようになり、結果的に利害が一致。帝国軍によるフェザーン進攻後は取引どおりフェザーンの代理総督となる。その後ラングによってシルヴァーベルヒが爆殺されたテロの容疑者として冤罪逮捕され、獄中自殺[1]する。この件によりルッツに不審に思われ、ラングも逮捕された。
グラズノフ(Glazunov)
(声:西村知道
アニメオリジナルキャラクター。帝国駐在フェザーン高等弁務官オフィス一等書記官で、ボルテックの部下。皇帝誘拐の交渉でローエングラム公に主導権を握られた時、ランズベルク伯とシューマッハ大佐を闇に葬ってご破算にすべきとボルテックに進言するが、「もはや退いては意味がない、退けない」と一蹴された。わざとではないのだが、帝国産だとランズベルク伯が浸ってもフェザーンのものだと暴露して彼の気分を害しており、幼児誘拐計画を瓦解させかねない失言を繰り返しシューマッハに責められた。
エルウィン・ヨーゼフ2世を誘拐した二人を迎えに行く際、VHS版・DVD版ではスーツ姿だったが、リマスター版では迷彩服を着用している。
ボリス・コーネフ(Boris Konev)
(声:安原義人
登場時は民間独立宇宙商船「ベリョースカ号」を擁するフェザーンの交易商人。帝国暦460年生まれで、ヤンより2歳年下。「自由の民」「自由な船乗り」を標榜し「コーネフ家は200年、犯罪者と役人を身内から出していない」ことを自慢としていた。軍人や公務員に対して否定的な見解を持っている。ヤン・ウェンリーの幼馴染。交友は2 - 3ヶ月程度だが、OVA版ではヤンの父タイロンの葬式にも出席した。幼少期は「悪たれのボリス・キッド」と呼ばれた悪童で、当時を知るマリネスクの述懐によれば「優秀な共犯者(ヤン)がいたため悪戯の数々は実効を挙げた」というほどヤンとは親しかった。このことをルビンスキーに知られたため、半ば強制的にハイネセンの弁務官オフィスでの情報工作員を任じられるが、肝心のヤンがイゼルローン要塞に赴任したままだったので幸いにも活動の機会は皆無だった。従兄弟イワン・コーネフとは面識がないまま永遠の別れを迎えた。
その後、帝国によるフェザーン占領とそれに関連したユリアンらの脱出作戦により留守にしていたベリョースカ号が撃沈されてしまい、ハイネセンに帰還したヤンに援助を求めた。キャゼルヌの工作によって新品の軍事輸送船を手に入れることが出来たため、ヤンが「親不孝(アンデューティネス)号」と名づけたその船でユリアンとマシュンゴ、そして途中で寄港したダヤン・ハーン基地で乗りこんだポプランを連れて地球に向かう。
成り行きでワーレン艦隊に協力して地球教本部を壊滅させ、オーディンを経由してヤンのいるエル・ファシルまでユリアン一行を送り届けた後はヤン一党とフェザーン商人達の橋渡し並びに情報・物資の調達を引き受ける。ヤン暗殺計画の連絡が遅れてヤンの命を救えなかったことを無念に思っており、ヤンの死後もユリアンら革命軍に協力を続ける。トリューニヒトに関する帝国の人事は原作では港湾施設の点検中だったユリアンを司令室のアッテンボローが呼び戻してニュース映像を見ることで革命軍が知ることとなったが、OVA版では「第88話 辺境にて」でボリスが収集した情報としてイゼルローンに齎されたことに変更された。
なお、リップシュタット戦役時、通信回線でキルヒアイスと対面している。その際に「気の毒に。いい人は長生きしない」とキルヒアイスの死を予兆する台詞を残している。但し、事務長のマリネスクによれば必要もない時に格好いい台詞を言いたがるのは「船長の悪い癖」であり、彼のこの台詞は発言した時は思いっきり外していた。
マリネスク(Marinesk)
(声:緒方賢一
民間独立宇宙商船「ベリョースカ号」の事務長。小太り。帝国占領下のフェザーンで逃亡中のユリアン達から脱出する手段を依頼された。ユリアンと意気投合し、献身的に支度を整え脱出に成功するが、途中で「ベリョースカ号」を偽装撃沈することになる。だが、代わりに乗っ取った帝国駆逐艦の所有権を主張するなど、したたかな商人としての面を持ち合わせている。ハイネセンでボリス・コーネフと再会し、カーレ・ウィロックとともに親不孝号に乗りこみ、以後はボリス・コーネフ達と行動を共にする。潜伏時、自分達に支払われる金銭はヘンスロー弁務官のものなのは事実だが、脱出しようと行動するのはユリアンとマシュンゴであるため、不要に威張るヘンスローを言い負かしては遊んでいた。その一方で、脱出を焦るユリアンを優しく諭した。
カーレ・ウィロック(Karle Wiloc)
(声:大塚芳忠
フェザーンの宇宙船パイロットで、帝国軍によるフェザーン占領後に登場する。マリネスクにスカウトされ、ボリス・コーネフが留守の「ベリョースカ号」に乗り込み、ユリアン達の脱出行で操船を担当する。ユリアンに対しては最初から好意的で、新帝国成立後も引き続き「親不孝号」のパイロットとして、ボリスやマリネスクと行動を共にする。
自由交易商人であることに誇りを持っているが故に、事有るごとに演説や扇動をしたがる傾向がある。行きつけの酒場「ドラクール」でも仲間に演説を述べていた。この点については、発言の内容が同盟の滅亡を避けようのない既定路線としていることもあり、聞いているユリアンを辟易させたようである。
道原かつみの漫画版での初登場はコミックス8巻。鼻髭にサングラスという風貌で、リップシュタット戦役の頃は自前の宇宙船を持っていた。原作通りに帝国軍の占領下にあるフェザーンからユリアンらを脱出させるため「ベリョースカ号」のパイロットに雇われたが、ウィロック自身の宇宙船がどうなったのかは明記がない。

フェザーン自治領・その他

プレツェリ(Pletzerri)
(声:龍田直樹
ハイネセンに赴任しているフェザーンの弁務官。同じくハイネセンに赴任しているボリス・コーネフの上司。同盟政府とのリベート操作や談合などで暗躍する悪徳商人の典型といったキャラクターだが、相応の洞察力も持ち合わせており、査問会におけるネグロポンティの失敗をアイランズから聞かされた時は、政治家の在り様に関して鋭く冷笑的な見解を示してアイランズを閉口させた。その反面、フェザーンが帝国軍に占領された時は落ち着きのない態度でハイネセンの事務所から有価証券等を持ち出そうと躍起になっており、ボリス・コーネフを呆れさせた。
ナポレオン・アントワーヌ・ド・オットテール(Napoleon Antoine de Hottetaire)
(声:宮田浩徳
親不孝号の乗組員。ユリアン達とともに地球教本部に潜入したが、資料室に入ったところで正気を失っている地球教徒に刺殺された。
ボーメル(Bawmel)
(声:島香裕
皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世及びその一行の亡命に使用された商船「ロシナンテ号」の船長。密航の手引きをしていた少年を今上皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世と知らず、随行員だったランズベルク伯に「山猫の類を乗せるようにはできていない」と手厳しいことを言った。のちに「癇癪持ちの男の子」が皇帝陛下だと知り、愕然となった。

地球教

総大主教(グランド・ビショップ、Grand Bishop)
(声:大宮悌二(本物:第1期~第2期)/笹原大(偽物:第4期))
地球教の最高権力者。地球を再び宇宙の中心とするという考えにとりつかれている老人。フェザーンに対し強い影響力を持っており、ルビンスキーの前のフェザーン自治領主・ワレンコフの死に関係があるらしい。ルビンスキーにも裏切らないように釘を刺している。帝国軍の地球教本部攻撃の際、教団本部に大量の爆薬を仕掛けて大勢の信徒達と共に大聖堂で生き埋めとなったが、長らくその死はド・ヴィリエにより隠蔽されていた。
ド・ヴィリエ(De Villier)
(声:銀河万丈
地球教団の大主教で、総書記代理。地球に官僚機構が存在していればその頂点を極めたであろう人物で、地球教団に所属しているのも、官僚機構が存在しない地球で自らが栄達するためにすぎない。策謀家であり、帝国による地球教本部壊滅後も陰謀の限りを尽くす。ヤン・ウェンリー暗殺、オスカー・フォン・ロイエンタール叛乱などを成功させるが、最後はオーベルシュタインの仕掛けた罠にかかって、臨終間近のラインハルト暗殺を直接実行しようとして失敗、その場に居合わせたユリアンによって射殺される。ユリアンに射殺される寸前、地球教および反帝国勢力の情報提供と引き換えに助命をたくらむなど、他の教徒(おそらく総大主教も含めて)と違い、純粋な信仰心や狂信的兆候はない。
デグスビイ(Degsby)
(声:納谷六朗
主教。フェザーンでルビンスキーの監視と地球教との連絡を担当していた。少なくとも表面的には戒律を守る禁欲的な宗教家だったが、ケッセルリンクの自らを手駒とせんが為の強引な策略により堕落させられた。帝国軍のフェザーン占領に伴いドミニク・サン・ピエールの手配でベリョースカ号に乗ってフェザーンを脱出。船内で知り合ったユリアンに、ルビンスキーとケッセルリンクの確執と地球教に秘密があるということを教えた後、ハイネセンに到着する前に死亡した。死因は記述されていないが、末期には薬物中毒の兆候が描かれている。
ゴドウィン(Godwin)
(声:なし)
大主教。地球教オーディン支部長。新帝国暦1年7月6日のキュンメル事件の際、支部がラフト准将率いる武装憲兵隊に制圧され、自身も服毒自殺の寸前に逮捕される。取調べの段階で舌を噛み切ろうとして失敗し、更に自白剤を6度注射された後に尋問室の壁に頭を打ち付けて死亡した。

歴史上の人物

脚注

  1. ^ 事実上ラングによる殺害、OVA版では食事に毒を盛られたように描かれていた。