スキンヘッド

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スキンヘッド

スキンヘッド(skinhead)は、反体制的な思想を持ち、意図的に剃髪した団体(およびその構成員)のことを指す[1]日本においては単に頭髪を全て剃り上げたスタイルという意味で用いられることも多いが、英語本来の意味とは異なる誤用である。

もともとこの髪型は黒人運動や反体制の象徴であったが(SHARPRASHARAといった団体がこれらを継承させている)、異民族に暴力行為を働くネオナチにこのスタイル(+野戦服の上着にジーパン姿、靴は軍用半長靴)を好む者が多いため、近年では極右・ネオナチのシンボルとされている。こうした若者集団を「スキンヘッド(skinhead)」(複数形でスキンヘッズ skinheads)と呼ぶ。

ファッションとしてのスキンヘッド[編集]

1970年代後半のパンク・ロックシーンにおいて、オイ!と呼ばれるジャンルが極右思想を持つネオナチ、スキンヘッズに支持されたことから、日本でもパンクファッションのひとつとして認識され、スキンヘッドという言葉が一般に使われるようになった。

日本において「スキンヘッド」は、「髪のない"頭"」というヘアスタイルを指して用いられることが多いが、英語の skinhead は頭自体を示さず、「意図的に髪をゼロにした人間」と、人物(およびその思想)を示すことになる。日本語の「私はスキンヘッドです」を英語にすると、"I am bald(―headed)."または、"I have a bald head" になる。"I am a skinhead." と言うと反社会的集団の構成員であると言っているのと同じことになる。

髪を剃り上げたスタイルを意味する英語は、「シェイブドヘッド(shaved head)」、「シェイブンヘッド(shaven head)」(剃り上げた頭)または「ボールドヘッド(bald head)」(はげ頭)である。シェイブドヘッド・シェイブンヘッドは、髪を剃るという作業を施した頭を指し、少し髪がのびてきてもよい。ボールドヘッドは、基本的に自然と髪が抜けたために髪が無い頭を指すが、完全に抜け切らなくても用いられる。

反社会性のない、単なるファッションとして髪をゼロにしている場合は、シェイブドヘッド・シェイブンヘッドを用いる。アジア人が剃った場合は毛根により剃り跡が青く見えるが、白人や黒人は、肌の色と髪の色が近いことも多く、見た目だけでは剃ったかどうか分かりづらいため、ボールドヘッドの方がより広い意味で用いられている。

思想的な意味での反社会性以外にも、麻薬常用者が髪の毛から薬物の使用状況を調べられることを防ぐ[2]、スポーツ選手がドーピングの事実を隠すといった、実用面での反社会性目的でスキンヘッドにするケースもある。

反社会的な意図ではなく髪を剃る・剃られる例[編集]

以下のような事例は「スキンヘッド」とは呼ばない。

宗教的理由
仏教の多くの宗派では剃髪僧侶の標準的なスタイルとされているため、坊主頭(ぼうずあたま)と呼ばれることも多い(「丸刈り」も参照)。仏教では髪を剃ることで、俗界との縁を断つという意味合いを持たせている。また、インドには老若男女問わず、信者の髪を剃り落とすというヒンドゥー教の寺院がある。剃り落とされた髪は主につけ毛の材料として売られる。キリスト教ではカトリック修道僧に、剃髪によって特徴的な髪型にする「トンスラ」という習慣があったが今は廃止されている。
刑罰
髪を剃ることは刑罰の一種としても使われており、17世紀のフランスでは売春婦は髪を剃られた上で、追放された。また古代中国ではこの刑罰を髠刑(こんけい、髠は「髪の友を九に変えたもの」)と呼んだ。
私刑
坊主頭にされるのは屈辱であり、特に「女性は髪が長くあるべきだ」という価値観がある地域で坊主頭にされるのは、女性にとってより強い痛みになる。このため、暴力や私刑の一環として髪を剃られることがある。第二次世界大戦のドイツの占領から解放されたフランスではドイツ軍相手の売春婦が髪を剃られたという事例がある。ただこうした女性に対する暴力のほとんどはバリカンによる丸刈りであり、剃刀などで剃られることはめったにない。
謝罪
日本社会には、自主的に髪を剃ることで反省の意を示す風習が存在する。一般的には丸刈り程度で十分であるが、より深い反省を表現するために剃髪を選択する場合もある。
薄毛
頭髪の脱落が進み、若くして頭皮が露出するような状態になった人が、髪に対する執着を断ち切る意味で潔く剃髪するケースは多い。
治療・医療
治療薬塗布や外科手術や頭部に患部を持つ怪我や病気の症状への治療上の必要性から、他の患部同様頭部を剃毛し、それを治療中継続維持する場合も多い。頭部の皮膚炎汗疹等治療時に治療薬塗布する場合にも実施される場合もある。また、脱毛症の解決法の一つでもある。
髪フェティシズム
江戸時代には熊野比丘尼など、姿で春を売った遊女がいたように、髪を切る・切られる女性を見て性的興奮を覚える者にとって、剃髪はフェティシズムの対象となる。現代でもこのような者向けに女性の断髪の課程を収録したビデオが販売されている。
スポーツ関係
水泳選手がタイムの短縮を目的として競技会前に剃髪することがある。野球部などの一部部活動でも髪を剃るケースがある[3]

脚注・出典[編集]

  1. ^ Brown, Timothy S. (2004). "Subcultures, pop music and politics: skinheads and "Nazi rock" in England and Germany". Journal of Social History, 2005.
  2. ^ 清原和博、スキンヘッドは“薬物検査”対策!? テレビ露出増加も「麻取がマーク解かない」ワケ - CYZO Woman・2015年10月16日
  3. ^ 中・高体連など、大きな体育大会に出る直前が中心。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]