銀河英雄伝説の歴史上の人物

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「銀河英雄伝説の歴史上の人物(きんかえいゆうてんせつのれきしじょうのじんぶつ)」では、田中芳樹の小説、およびそれを原作としたアニメ『銀河英雄伝説』に登場する、架空の人物の内、歴史上の人物について記述する。なお、凡例は銀河英雄伝説の登場人物#凡例を参照のこと。

銀河帝国側人物[編集]

ゴールデンバウム王朝歴代皇帝(即位順)[編集]

  1. ルドルフ1世(大帝)
    声 - 大塚周夫
    帝国暦(以下同)元年即位。
  2. ジギスムント1世
    ルドルフ1世の長女カタリナの子。父は帝国宰相ヨアヒム・フォン・ノイエ・シュタウフェン公爵。42年、25歳にして即位。当初は父の補佐を受けながら反乱勢力を鎮圧し、一方で良民には善政を行うという巧みな施政を行い帝国の基礎を固める。なお、ジギスムント1世即位の時点でゴールデンバウム王朝における皇祖ルドルフ大帝の男系子孫は途絶えてる。
  3. リヒャルト1世
    ジギスムント1世の長男。帝国の支配体制が安定するなか、政治よりも美女と狩猟と音楽に没頭したが、専制君主として足を踏み外すことなく無難な一生を終える。
  4. オトフリート1世
    リヒャルト1世の長男。禁欲的で散文的で「灰色の皇帝」と呼ばれる。当時と未来の人々を退屈させるという点では比類ない人物。趣味もなく、自発的に読んだ本は「始祖・ルドルフ大帝の回想録」と「家庭医学書」のみであると伝えられている。陰気な保守主義者でスケジュールを神聖視し、その日のスケジュール通りにこなす事が目標ともいえる程であった。軍の施設で爆発事故が発生し、1万人以上の将兵が死亡した事件の報告を「そんな報告を聞く予定はない」と冷たく対応したと言われる。しかし、本人はスケジュールを自分で立案する能力はなく、政務秘書官エックハルトの専横を招く。
  5. カスパー1世
    オトフリート1世の子。123年即位。父よりも祖父に内面が似ており、芸術などを好んだ。同性愛者であり、カストラートのフロリアン少年を寵愛。自分の娘を皇妃にしようと目論んだエックハルトはフロリアンを殺そうとするが逆に皇帝の意を受けたリスナー男爵に誅殺される。騒動の後、退位宣言書を玉座に残して幾ばくかの宝石を持ってフロリアン少年と駆け落ちし、以後は完全に行方不明になった。在位わずか1年。
    初代皇帝ルドルフは同性愛者を社会の害悪と見做し、大量殺戮していたが、その子孫が同性愛者であったという歴史の皮肉とされた。
  6. ユリウス1世
    先帝カスパーの叔父で、先々帝オトフリート1世の弟。124年、76歳にして即位。先帝の逐電による130日の空位の後の即位であった。彼自身よりむしろその息子フランツ・オットー大公の才覚が期待され、中継ぎとしての即位であったが、周囲の期待に反して長生きし、ついには息子フランツ・オットー大公の方が75歳で先に病死してしまう。
    144年、96歳で急死。皇太曾孫カール大公による暗殺だったことが公表されるのはゴールデンバウム朝滅亡後のこととなる。ゴールデンバウム王朝初の暗殺された皇帝。あまりの在位期間の長さに重臣たちはうんざりしており、その葬儀は盛大ながら心のこもらぬものとなったと伝えられている。施主は皇太曾孫カール大公。
  7. ジギスムント2世(痴愚帝)
    先帝ユリウスの皇太子であったフランツ・オットー大公の次男の息子。つまり、ユリウスの曾孫である。元ブローネ侯爵。従兄弟で、本来の皇位継承者である皇太曾孫カール大公を宮廷工作の末追い落とし、144年即位。「史上最悪の黄金狂」であり、国庫は皇帝個人のものでなければならず、それを民衆に使うなどあり得ないという思考の元に、帝国の富を個人で独占しようとして徴税権の売却や金銭による免罪に走り国政を大混乱させる。159年に豪商三百人を無実の罪で一族諸共皆殺しにして財産を没収したことをきっかけに、皇太子オトフリートによって廃位・軟禁された。
  8. オトフリート2世(再建帝)
    ジギスムント2世の子。159年、浪費を繰り返し、財政を破綻せしめた父帝を軟禁し即位。国政の立て直しに精勤し、おそらくは過労のため6年後、165年前後に早世。
    特に独創的な改革を実施したわけではなく、時計の針を父ジギスムント2世の即位前に逆回転させただけだが、それだけで名君と称されており、先帝の治世がどれほど凄まじかったかをうかがい知る事ができる。
    なお、アーレ・ハイネセンら共和主義者が流刑星アルタイル第7惑星からの脱出に成功したのはこの頃にあたる。
  9. アウグスト1世
    先帝の死を受け、165年前後に即位。節度ある統治者と放蕩な私生活の2つの顔を持つ「後宮の凡君、国政の名君」。女性の長髪に偏執し、寵姫の死を悼むあまりその髪を食べ、これが胃壁に刺さって大騒ぎになったこともある。
  10. エーリッヒ1世
  11. リヒャルト2世
  12. オットー・ハインツ1世
  13. リヒャルト3世
    後述のアウグスト2世の父帝。247年没。
  14. アウグスト2世(流血帝)
    リヒャルト3世の子。247年即位。ゴールデンバウム王朝史上最悪の暴君とされ、ルドルフのような信念からではなく、単なる保身と快楽のために実母から皇族、臣民、民衆まで無差別に虐殺を行なった。犠牲者の数は最大2億〜最低600万と言われている。自力で立って歩く事もできないほどの極度の肥満体で、「溶けかけたラードの塊」などと形容される。痛風を患っている。253年、エーリッヒ2世による叛乱の最中、部下に殺される。「アウグストの注射針」なる拷問方法を考案した。
  15. エーリッヒ2世(止血帝)
    先帝の従兄弟。元リンダーホーフ侯爵。アウグスト2世の出頭命令に対し253年にやむを得ず叛乱を起こすが、自軍への寝返りが相次ぎトラーバッハ星域会戦で皇帝軍を破り(皇帝軍はほぼ無抵抗であったため、事実上投降だった)、即位する。叛乱に従った者の中に当時のローエングラム伯爵がいた。先帝の恐怖政治の影を一掃し人心を安定させた。即位後の業績は不明。
  16. フリードリヒ1世
  17. レオンハルト1世
  18. フリードリヒ2世
  19. レオンハルト2世
    後述のフリードリヒ3世の伯父。自身の後継者をフリードリヒ3世に決めた経緯は皇后の強い働きかけがあったため、とされている。
  20. フリードリヒ3世(敗軍帝)
    330年前後即位。先帝の甥。先帝の皇后の勧めで先帝の養子となるが、その直後に先帝が急死したため、その暗殺と、皇后との不倫関係を疑われる。
    帝国が自由惑星同盟の存在を初めて知る事となった時の皇帝。自身の三男であるヘルベルト大公率いる大兵力を同盟領に差し向けるが、ダゴン星域会戦で自由惑星同盟軍に歴史的な大敗を喫してしまい、後世「敗軍帝」と呼ばれる。その後336年前後に没。死後、帝位争いが激しくなる。
    銀河帝国史上、もっとも腐敗が進み、皇帝暗殺などの陰謀が繰り返された「灰色の時代」の皇帝。
  21. マクシミリアン・ヨーゼフ1世
    336年前後に即位。フリードリヒ3世の兄弟。帝位争いの混乱を収拾するために一時的に帝位に就いた後、先帝の長男であるグスタフ1世に帝位を譲った。
  22. グスタフ1世(百日帝)
    フリードリヒ3世の長子。生まれつき病弱で、即位後まもなく暗殺された。在位期間は約三カ月。死の間際に、異母弟マクシミリアン・ヨーゼフ2世に帝位を譲る。
  23. マクシミリアン・ヨーゼフ2世(晴眼帝)
    フリードリヒ3世の庶子で、先帝の異母兄弟。出生順としては次男。有力貴族の後ろだてがなく、皇位継承争いからも自ら身を引いていたので、ヘルベルト大公からも敵視を受けてなかった。同名のマクシミリアン・ヨーゼフ1世は叔父である。337年即位。宮廷陰謀渦巻くなか暗殺未遂事件で毒を飲まされてほぼ失明するが、元侍女で皇后のジークリンデと司法尚書ミュンツァーに補佐されて善政を敷く。劣悪遺伝子排除法を有名無実化し、同盟への侵攻を行わず内政に専念し、帝国は最盛期を迎えた事からゴールデンバウム王朝きっての名君との評価も高い。また貴族社会の裏表に精通するグリンメルスハウゼンをして「御落胤騒ぎの起きない数少ない皇帝」と評するなど、私生活でも評価が高い。
  24. コルネリアス1世(元帥量産帝)
    350年代に即位。先帝マクシミリアン・ヨーゼフ2世の従兄弟であるが、その叔父であるマクシミリアン・ヨーゼフ1世の子であるかは不明。内政面では先帝の方針を引き継ぎ、なかなかの治績をおさめたが、名君と称される先帝の実績を超えるべく、359年、同盟領に対してゴールデンバウム王朝唯一の親征を企てるが失敗。知人・友人に実績お構いなしに元帥号を量産したことでも知られており、親征には58人の元帥を動員、うち35人が戦死、以後元帥号を授ける事はなくなった。もっとも、この親征についてはダゴン星域会戦の失敗を教訓とした強行偵察の実行と臣従を前提とした和平使節団派遣等の事前準備を入念に行い、第一次ティアマト会戦で同盟軍を破っている事から軍事面においても能力があったようであり、事実、親征の途上において帝都でクーデターが発生するまでは順調に侵攻を進め、同盟首都星ハイネセンに迫る勢いであった。
  25. マンフレート1世
  26. ヘルムート1世
  27. マンフレート2世(亡命帝)
    先帝の庶子。政争を逃れ、自由惑星同盟に亡命し、リベラルな空気の中で育てられた異例の経歴を持つ。398年に即位すると、幼少期の経験を基に同盟との融和政策を図り、戦争の完全停戦や対等外交が実現するかに思われたが、即位1年後の399年に暗殺され、帝国と同盟の関係は瞬く間に冷却化されてしまった。背後には反動派の貴族や戦争停止により既得権益を失うことを恐れたフェザーンが暗躍していたとされる。
  28. ウィルヘルム1世
  29. ウィルヘルム2世
  30. コルネリアス2世
  31. オトフリート3世
    皇太子時代は有能で人望もあり、帝国軍三長官を兼任して帝国軍最高司令官となり、更に帝国宰相をも兼任したが、相次ぐ宮廷陰謀に次第に猜疑心が強まり、皇后を三度替え、帝位継承者を五度替え、最後は毒殺を恐れるあまり食事をろくにとらなくなり衰弱死した。
  32. エルウィン・ヨーゼフ1世
  33. オトフリート4世(強精帝)
    5千人(一説には1万人)もの女性を後宮にかかえ、皇太子オットー・ハインツの他624人の庶子がいたと伝えられる。ベッドの上で頓死。在位5年。後宮に入れた女性の内、3分の1が処女のままであったと言われる。
  34. オットー・ハインツ2世
  35. オトフリート5世
    フリードリヒ4世の父。大変な吝嗇家で、イゼルローン要塞の建設費用が予定を大幅に超過したことに激怒し責任者に死を賜る。放蕩を重ねる次男フリードリヒを勘当同然にしていたが、他に帝位継承者がいなくなり後事を託す。456年没。
    オーベルシュタインの台詞において登場するルードヴィッヒ3世はエルウィン・ヨーゼフ2世から数えて先々帝となっているが、実際の先々帝はこのオトフリート5世である。アニメ版では、オーベルシュタインの台詞は「先々帝オトフリート5世〜」と修正されている。
  36. フリードリヒ4世
    先帝オトフリート5世の次男。456年即位、487年心臓発作で急逝。帝位に無縁で放蕩三昧だったが、有力な次期皇帝候補だった長兄と弟の潰し合いにより帝位に就いた。近年に無い長期にわたる在位期間を誇ったが、政治的な功績は特にない。この物語開始当初の皇帝であり、アンネローゼを後宮に入れたことでラインハルトとキルヒアイスが皇帝の座から引きずり降ろして相応の報いを与えようと憎悪した人物。
    OVA版では、銀河帝国(及び皇帝)を虚飾と虚像に彩られた無価値なものと考え、ラインハルトがこれを滅ぼすことを望んでいるかのような描写がある。
  37. エルウィン・ヨーゼフ2世
    先帝フリードリヒ4世の皇太子ルードヴィヒ大公の子。487年にわずか5歳で即位し、489年に門閥貴族残党によって「救出」(実質的には拉致)されたことで、わずか7歳で退位(廃位)。以後の消息は結局不明である。
  38. カザリン・ケートヘン1世
    489年即位、490年退位。ゴールデンバウム王朝最初で最後の女帝であり、最後の皇帝。皇族に連なるペクニッツ子爵の子。即位時は僅か生後7ヶ月であり、ラインハルトにより物心つく前に即位させられ退位させられた。ただし、退位宣言書に署名したのは実父のペクニッツ公爵。その後、存命の限り年間150万帝国マルクの年金が与えられることとなった。
ゲオルグ2世
ランズベルク伯爵の5代前の先祖に皇宮地下通路建設を命じたとされる人物。しかし、外伝1巻の皇帝名簿にはゲオルグの名はなく(ゲオルグ1世も存在しない)、詳細は不明。

皇族[編集]

エリザベート
ルドルフ1世の妻。ゴールデンバウム王朝初代皇后。名前のみ登場。
ルドルフとの間に4人の子供をもうけるが、全員が女子であり、後継者たる男子を得る事ができなかった。ルドルフの死後、長女カタリナの子ジギスムントが帝位を継ぐことになる。
マグダレーナ
ルドルフ1世の晩年の寵姫。ルドルフにとって待望の男児を出産するが、これは先天的障害児だったとされる。
これに関して帝国の公式記録は沈黙を守っているが、この後マグダレーナとその家族、さらには出産に立ち会った医師や看護婦ら関係者までもが死を賜った事から、巷に広まるこの噂はほぼ真実であろうとされる。それは、劣悪遺伝子排除法を発布し、自らの遺伝子の優秀性を信じて疑わなかった(にも関わらず障害児をもうけたということで)ルドルフをおおいに苦しめたとされる。
カタリナ
ルドルフ1世と妻エリザベートの間に生まれた長女。ルドルフの死後、自分の子ジギスムントがゴールデンバウム王朝第2代皇帝となった。
ヨアヒム・フォン・ノイエ・シュタウフェン
カタリナの夫でジギスムント1世の父。第2代皇帝として即位した息子を帝国宰相として補佐し、沈着冷静な指導力でルドルフの死に乗じた反乱勢力の蜂起を粉砕した。反乱に参加した5億人が処刑され、その親族など100億人が農奴階級に落とされたとされる。主にノイエ・シュタウフェン公ヨアヒムとも呼ばれる。
フランツ・オットー
ユリウス1世の嫡子。優れた能力と人望が次期皇帝として期待されるが、ユリウス1世が長命を保った結果「人類史上最年長の皇太子」として74歳で死去[1]。子供も亡くなっており、皇太子の地位は孫の(ユリウス1世からは曾孫の)カールに引き継がれた。
カール
フランツ・オットーの孫でユリウス1世の皇太曾孫。特に神秘主義的な人物ではなかったのだが、「物心ついた時にはもう老人で、現在も老人」なユリウス帝に恐怖を抱いて暗殺を謀る。それには成功するも事後処理の不手際から皇位継承はならず、ジギスムント痴愚帝に追い落とされる。以後宮廷の有力者たちから忘れ去られ、幽閉された精神病院で曽祖父に劣らぬ97歳の長寿を全うした。
ヘルベルト
フリードリヒ3世の三男。グスタフ1世、マクシミリアン・ヨーゼフ2世の弟。次期皇帝を目指し同盟領遠征軍総司令官となるが、傲慢な性格で幕僚の進言を無視しダゴン星域会戦で歴史的大敗北を喫する。帝都に帰還した後、皇族ゆえに罪には問われなかったが、離宮のひとつに精神病患者として幽閉される。その後も陰謀を弄して帝位を狙い当時の宮廷を混乱させた。
リヒャルト
フリードリヒ3世の四男。グスタフ1世、マクシミリアン・ヨーゼフ2世、ヘルベルト大公の弟。すぐ上の兄と性格も容姿もよく似ており、鼻がやや大きすぎることをのぞけば、まず美男子といってよく体格も姿勢も立派であったという。帝位継承を望み、それゆえにお互いに似すぎたヘルベルト大公と烈しく憎みあっていた。
ステファン・フォン・バルトバッフェル
フリードリヒ3世の異母弟で侯爵かつ帝国軍上級大将。優れた見識を持ち、ダゴン星域会戦に先立つ御前会議にて同盟への出兵を批判する直言をするが、その事が皇帝の忌避を買い軍を退役して宮廷からも退く事となり、爵位も男爵に下げられた上に領地の8割を没収され帝都への立ち入りも禁止されて、自領の山荘に引きこもり不遇の内に3年後病没した。彼の先見性が認められるようになるのは、ダゴン星域会戦の大敗北から1世紀近くが経過した後、帝国と同盟の勢力範囲の境界にイゼルローン要塞が建設されるようになってからであった。
ジークリンデ
マクシミリアン・ヨーゼフ2世の皇后。元は侍女であった。失明した夫を支えた名皇后として知られる。帝位継承の有力候補であったヘルベルト大公に言い寄られた際、彼に肘鉄を食らわせたエピソードや、皇后即位後は常に銃を携帯して夫をテロや暗殺から守ろうとしていたなど、気の強さを物語る逸話が数多く残されている。フリードリヒ4世の時代にまで至っても、その名を冠した恩賜病院の存在が確認されている。
アルベルト
ウィルヘルム2世の次男でコルネリアス2世の異母弟。ウィルヘルム2世の寵姫ドロテーアの子。15歳の時、侍従武官を従えて新無憂宮の地下迷宮の探索に出かけ行方不明となる。事件については、皇后コンスタンツェの憎悪を恐れた母ドロテーアが息子を自由惑星同盟に亡命させるために計画した、あるいは、コンスタンツェがアルベルトをそそのかし迷宮内で置き去りにして死なせるよう仕向けたといった伝説があり、真相は不明。アルベルトの失踪直後、ウィルヘルム2世の病没、生母ドロテーアの毒殺とおぼしき急死、皇后コンスタンツェの原因不明の熱病による狂死と、関係者はいずれも不審な死を遂げている。
偽アルベルト
上記のアルベルト大公失踪の20年後、コルネリアス2世が子をなさぬまま重病におちいった時、大公の名を騙った天才的詐欺師。巧みな弁舌やもっともらしい証拠によって多くの貴族を信用させ、さらに母コンスタンツェの犯行を疑っていたコルネリアス2世とも涙の対面を果たすにまで及んだ。次期皇帝の最有力候補と貴族たちから期待され、彼らから多大な援助を受けていたが、その最中、侍女の一人と5000万帝国マルク相当の宝石類を抱えて突然失踪した。多くの貴族が多額の金品をかすめ取られた上、彼の子供を身ごもっていた10人を超す貴族の令嬢のうち半数が不名誉な私生児を産み、またアルベルトという名を持つ貴族の中には、詐欺師と同名であることに耐えられず改名する者まで現れた等の一大喜劇を巻き起こした。このアルベルトを称した人物については、やはり本物のアルベルト大公だったのではないかという声もあるが、彼がその後二度と現れなかったため、正体は不明のままとなった。

貴族その他[編集]

エルンスト・ファルストロング
ルドルフ1世の腹心で、内務尚書。ゴールデンバウム王朝による恐怖政治の象徴である社会秩序維持局の初代局長。
帝国暦9年に悪法名高い劣悪遺伝子排除法が発布され、議会が永久解散された後、翌年ルドルフの命で内務省内に社会秩序維持局を創設し、その初代局長に就任。共和派を始めとする反体制派の弾圧、「遺伝的に優秀でない」人間の排除の指揮に辣腕をふるうが、それは局員の主観と暴力による事実上の大量虐殺だった。その犠牲者は40億人の多数に及んだが、「(当時の)人口3000億の1.3%に過ぎず、人類社会の安寧のために一握りの異分子を排除したに過ぎない」と強弁。
ルドルフが貴族階級を設けた時、功により伯爵号を与えられるが、直後に共和派のテロに遭い中性子爆弾で死亡(アニメでは爆殺された事が描かれている)。ルドルフはその死を悼み、容疑者として2万人を処刑して功臣の霊を慰めた。
アルブレヒト・フォン・クロプシュトック
ファルストロングとともにルドルフ1世の腹心で、クロプシュトック家初代当主。後に「クロプシュトック事件」を起こすウィルヘルム・フォン・クロプシュトック侯爵の始祖にあたる。
銀河連邦の議員時代からルドルフに与し、国家革新同盟の書記長として共和制打倒に貢献。銀河帝国成立後は内閣書記官長、財務尚書を歴任、ファルストロングの死後は内務尚書として「血のローラー」と呼ばれる共和派の粛清を行なった。
クレーフェ
ルドルフ1世の時の財務尚書。ルドルフが自分の身長と体重を基準に「カイゼル」単位を社会に導入しようとした時、単位の書換えにかかる膨大な経費を提示して、ルドルフにして最終的に施行を断念させる事になった。
しかしその見積もりは必要以上に過大だったとされており、これは温和なだけが取り柄とされた彼が、ルドルフ1世の際限のない自己神聖化に対して無言の抵抗を行なったのではないかという見方も、歴史研究者の間にはある。
エックハルト
子爵。当初はオトフリート1世の皇帝政務秘書官。その後枢密顧問官と皇宮事務総長、御前会議の書記を兼任。実質的に帝国のトップとなった。次の皇帝カスパー1世の時代には伯爵となり、追従者から「準皇帝陛下」と呼ばれていた。さらに皇帝に自分の娘を嫁がせようと企んだが、カスパーが同性愛者であった事から同意しなかった。その為カスパーの愛人であるカストラートのフロリアン少年を暗殺を企んだが、実行しようとした時、カスパーの意を受けたリスナーによって逆に射殺された。なお、原作小説では晩年には肥満し、結婚させようとした自分の娘も若い頃ではなく晩年の父親に似た容姿だと記述されているが、アニメ版では特に肥満してはおらず、娘も美少女と呼称される程度の容貌に描かれている。
リスナー
男爵。カスパー1世の意を受け、一隊を率いて、フロリアン少年を暗殺しようとするエックハルトとその兵士を野イバラの間で射殺した。
シャンバーク
「流血帝」アウグスト2世の腹心。近衛旅団長で階級は准将。皇帝の「直感」に従い、多くの人々を殺害するが、叛乱軍が優勢とみるや皇帝を殺害して投降する。その功績で大将に昇進するが、同時に虐殺の罪を問われて処刑された。
ゴットリーブ・フォン・インゴルシュタット
中将。ダゴン星域会戦でヘルベルト大公の補佐を務めた。有能と称せられる程度の戦闘指揮能力は持ち合わせており、同会戦においても巧妙な戦術でリン・パオ率いる同盟軍を苦しめ優勢に立ったこともあるが、それを過信したヘルベルト大公が勝手に兵力を動かしたため敗北。戦死は免れたが、皇族に罪は着せられず、すべての責任を取らされる形で銃殺された。
オスヴァルト・フォン・ミュンツァー
マクシミリアン・ヨーゼフ2世時代の司法尚書。ミュンツァーが持論とする「距離の暴虐」を容れた皇帝は自由惑星同盟への侵攻を破棄し、その後20年間は外征が行われなかった。
元は帝国軍中将。この当時、インゴルシュタットとは犬猿の仲とされており、ダゴン星域会戦敗北後の軍事法廷においてそれを理由にインゴルシュタットの弁護人に選ばれたが、ミュンツァーは選んだ人間の意図に反し、正論だが過激かつ権力者の利益を考慮しない言動で彼を弁護し、その結果辺境に左遷され、現地において事実上の流刑と言える予備役編入。後に「弾劾者ミュンツァー」と呼ばれる様になった。
マクリミリアン・ヨーゼフの登極に伴い司法尚書に抜擢され、以後ゴールデンバウム朝随一の名君と後に称えられる主君を補佐した。
マクシミリアン・ヨーゼフ2世の死後、元帥の濫造で知られる次代のコルネリアス1世からの元帥号授与を辞退し、上級大将のまま引退する。
ファルケンボルン
元帥。ダゴン星域会戦時の軍務尚書。自由惑星同盟の存在が発覚し、帝国の御前会議で「叛乱軍の不法占拠地」への遠征が決定された際に「これは大規模な狩猟以上のものではない」と発言している。自由惑星同盟の存在を軽視した発言であったが、これは帝国の重臣たちの共通する考えだった模様。しかし、ヘルベルト大公が最高司令官に任命されると「大規模な狩猟」から「史上空前の壮挙」という美称で呼ばれる事になった。
テレマン
帝国暦408年、揮下の兵士達に反乱を起こされた提督。「汚名」アニメ版によれば階級は中将。
バルドゥング
外伝2巻に名前だけ登場する。ユリアンの時代より70年前(宇宙歴727年頃)に参戦していた。帝国随一の猛将として同盟に恐れられていて、同盟軍情報部は彼を捕虜にするために2年がかりで艦隊航法士官を買収し、旗艦を同盟領に迷わせることに成功、捕縛した。高級士官用捕虜収容所にて厚遇されていたが、捕虜交換直前に死亡した。
セバスティアン・フォン・リューデリッツ
伯爵。オトフリート5世の治世にイゼルローン要塞建設を命じられるが、その建造費用があまりに高騰したために皇帝より自裁を命じられる。
「戦えば必ず負ける」と称されたが、本人にいわく「こちらが理論に則って兵を動かしているのに、敵が理論を知らないために負けてしまう」とのことで、ユリアンからは「帝国にも自分達のような変わり者がいたらしい」と評されている。前線では負け続けだったが、理論どおりに結果が出る作業(補給支援、要塞建設など)ではかなりの功績を上げたとされている。

第2次ティアマト会戦[編集]

マルティン・オットー・フォン・ジークマイスター
帝国暦373年(宇宙暦682年)、男爵家の分家という貴族社会の底辺出身。父親は内務省社会秩序維持局勤務で、共和主義者弾圧に己のアイデンティティを見出していた。帝国の現状と父親に対する反感とに失望し、父親が己の敵を知る為にわざわざ家に持ち込んだ共和主義思想の文献に接したことで共和主義者となる。父親の死後ミヒャールゼンとともに反国家的スパイ網を形成。
46歳、大将の階級の時に長年の憧れであった自由惑星同盟に亡命し、そこで諜報活動に従事するが、やがて同盟政治の現実にふたたび失望する。その後、アッシュビーを頂点とする730年マフィアに優先的に情報を渡して栄達させる事で同盟が改革される事を画策したが、第二次ティアマト会戦でアッシュビーが戦死した為に挫折し、人生に三度までも失望して引退、宇宙暦747年に肺炎で死亡。65歳。
クリストフ・フォン・ミヒャールゼン
帝国暦379年(宇宙暦688年)、伯爵家の次男として生まれる。自身も男爵号を有しているが、財産争い等から貴族社会に不信を感じた事と、芸術的喜びをもってジークマイスターとともに反国家的スパイ網を形成。ジークマイスター亡命の後は最高責任者として活動。帝国暦435年に、部下として赴任してきたケーフェンヒラーと知り合う。帝国暦442年、軍務省の自分の執務室で射殺体として発見される。63歳。死亡時の階級は中将。暗殺された当日、第二次ティアマト会戦の生き残りであるシュタイエルマルクと口論をしている。当日は非常に多くの軍人への人事が発令される日で、しかもいったん発令された人事が取り消されて再度発令されるという混乱状況にあったため、容疑者は特定されていない。
ケルトリング
声 - 豊川潤(螺)
元帥。会戦直前の時期の帝国軍務尚書。ウィルヘルム・フォン・ミュッケンベルガーの叔父(或いは伯父)。ヘルマンとカール・ハインツという二人の息子がいたが、両者ともブルース・アッシュビー率いる同盟軍との戦いで戦死しており、個人的にアッシュビーを憎悪していた。会戦に先立って病気にたおれ、見舞いに来たウィルヘルム・フォン・ミュッケンベルガーにアッシュビーの討伐を託して後に死亡。
本編に登場する「アッシュビーを倒せ」という演説(叱咤)自体は、原作小説では時期が特定されていないが、アニメ版では帝国暦433年の記録とされている。
ツィーテン
声 - 青森伸(螺)
元帥。第二次ティアマト会戦時の宇宙艦隊司令長官。軍務省や統帥本部での経験が長く、第二次ティアマト会戦で余程の失態が無ければ次期軍務尚書の座は確実視されていたが、ブルース・アッシュビーのために大惨敗することとなる。会戦後の消息は不明。
乗艦はアウドムラ。
ウィルヘルム・フォン・ミュッケンベルガー
声 - 川原和久(螺)
中将。帝国軍艦隊司令官の一人。会戦の前に病死したケルトリング軍務尚書の甥。グレゴール・フォン・ミュッケンベルガーの父親。軍人として有能という評価を得ているが、ケルトリング及びその二人の息子の敵討ちという個人的な事情を本会戦に持ち込んだことで、シュタイエルマルク中将らから批判された。帝国暦436年12月6日、突出してコープの第11艦隊を挟撃するも一歩及ばず、逆に同艦隊の反撃により乗艦していた旗艦クーアマルクが撃沈され戦死。妻の名はウィルヘルミナ。グレゴールの旗艦の名前でもある。
ハウザー・フォン・シュタイエルマルク
声 - 中村大樹(螺)
帝国軍艦隊司令官の一人。乗艦はヴァナディース。少壮の戦術家として知られた。開戦前にミュッケンベルガー中将の激励を批判し、諸将が私情で動く帝国軍の悪しき伝統を嘆く発言をする。多くの同僚が平民出のコーゼル大将を軽蔑の目で見る中、彼だけは偏見を抱いていなかったため、親交があった。
第二次ティアマト会戦時の艦隊司令官で唯一善戦、最後まで戦い、しんがりを務めた。戦後アッシュビーの死を知り、実名を堂々と公表して彼の死を悼む弔電を同盟軍に送ったが、そういう性格が軍幹部から忌避を買い、60歳で上級大将・軍務次官として退役、結局元帥にも帝国軍三長官にもなれなかった。
ミヒャールゼンが暗殺された時に彼と最後に対面した人物で、激しい口論を行っていたと言われるが真相は不明。
退役後に戦術に関する本を出版しており、ラインハルトもそれを読んでいる。
パウムガルトナー
声 - 小野了(螺)
少将。シュタイエルマルク艦隊参謀長。
スウィトナー
声 - 羽藤雄次(螺)
大尉。シュタイエルマルクの副官。
カイト
声 - 後藤哲夫(螺)
中将。帝国軍艦隊司令官の一人。第二次ティアマト会戦では麾下の艦隊に大損害を受け、自身も重傷を負う。先だって副司令官のバルヒヴィッツ少将も戦死していたため、艦隊そのものが壊走した。その後の消息は不明。乗艦はエムブラ。
バレンボイム
声 - 根岸朗(螺)
少将。カイト艦隊参謀長。副司令官のバルヒヴィッツ少将戦死を受けカイト中将に撤退を進言するも、直後にエムブラが被弾したため進言が実行されることはなかった。
バルヒヴィッツ
少将。カイト艦隊副司令官。カイトが負傷する直前に戦死。
カルテンボルン
声 - 堀部隆一(螺)
中将。帝国軍艦隊司令官の一人。第二次ティアマト会戦で繞回運動中に激発し、自艦隊のみで同盟軍へ吶喊するが阻止され、艦隊は大損害を受けて自身も戦死する。乗艦はダグダ。
シュリーター
大将。帝国軍艦隊司令官の一人。第二次ティアマト会戦で麾下の艦隊に大損害を受けて自身も戦死する。乗艦はベルゲルミル。「軍務省にとって涙すべき40分」で戦死した将官の1人。
コーゼル
声 - 坂口芳貞
大将。第二次ティアマト会戦に参加した、そして「軍務省にとって涙すべき40分」で戦死した帝国軍艦隊司令官の1人。当時にしては珍しい平民出身の大将であった。猛将としても知られており同盟軍からは警戒されていた。貴族嫌いではあったが、貴族出身のシュタイエルマルクとは仲が良く、彼の識見と能力を高く評価していた。
第二次ティアマト会戦直前、ケーフェンヒラーにミヒャールゼンについて問いただした。だが同盟軍の最後の攻勢でアッシュビー、そしてジャスパーとウォーリックの連携に抗し切れず戦死する。なお平民出で貴族社会にしがらみのない彼は、もし生還していたら上級大将に昇進・統帥本部次長に就任の上でジークマイスターとミヒャールゼンの、すなわち貴族たちのスパイ網問題に取り組む予定だった。そしてケーフェンヒラーは、彼がシュタイエルマルクにスパイ網に関して何かの手がかりを言い遺していた可能性を示唆している。乗艦はディアーリウム(ラテン語で「日記」の意)。
シュテッケル
少将。コーゼルの参謀の一人。「軍務省にとって涙すべき40分」で戦死した将官の1人。
マイヤーホーフェン
中将。軍務省人事局長。1万1400人に及ぶ大規模な人事異動を発表したが、直後に撤回、謝罪する。しかしその謝罪が尊大であったとして非難の対象となった。
フリートベルク
大佐。殺害されたミヒャールゼン中将の第一発見者。人事異動の確認のために軍務省に来ていたが、昇進を果たせず落胆、昇進に浮かれる一団に突き飛ばされる形でミヒャールゼンの執務室に入ってしまい、そこで射殺された中将を発見する。

自由惑星同盟側人物[編集]

長征1万光年[編集]

アーレ・ハイネセン
同盟建国の父。帝国の奴隷階級に生まれ、辺境の流刑地で強制労働をしていたが、ドライアイスで宇宙船イオン・ファゼカス号を作って40万人の人々と共に帝国から逃走。いったん無名の鉱物惑星に身を隠しつつ、そこで多数の外宇宙用宇宙船を建造。その後、長征1万光年(ロンゲスト・マーチ)の旅に出る。新天地(バーラト星系)を見つける前に事故死。彼の遺志はグエン・キム・ホアらによって継がれた。ようやく居住可能な惑星を見つけた時、その惑星の名前にはハイネセンとつけられた。
惑星ハイネセンには彼の巨大な像があったが、同盟滅亡後、ラインハルトによって取り壊された(なお、ラインハルトはハイネセンの墓所や記念館には不干渉であった)。
グエン・キム・ホア
アーレ・ハイネセンの親友で、事故死したハイネセンの遺志を受け継ぎ長征1万光年の旅を続ける。バーラト星系の惑星ハイネセンを見つけ、自由惑星同盟を建国。この時、40万人いた人々は16万人に減り、グエン・キム・ホアは失明していた。自由惑星同盟の建国後は、高齢と失明を理由に政府の要職などには就任せず(名誉職にのみついた様子)、静かに余生を過ごした。
彼の名前はグエン・キム・ホア広場に残っている。
イオン・ファゼカス
アーレ・ハイネセンの、ドライアイスの宇宙船を造って脱出するという発想のきっかけを作った少年(本人は純粋に遊んでいただけの様子)。ドライアイス船に名前が採用されたことから、彼もアーレ・ハイネセンたちと共に長征1万光年の旅に出たと思われるが、その後の消息については作中に記述がない。

ダゴン星域会戦[編集]

リン・パオ
登場時の階級は30代にして中将。ダゴン星域会戦における同盟軍の総司令官。旗艦はサンタイサベル。好色で酒豪で大食漢。関係した女性の数は4桁に上ると言われる強者。毒舌家で、お世辞にも人格者とは言い難く、同僚からも総司令官就任に対し不平不満のオンパレード状態であった(評議会議長らが彼らを連日なだめなければ、継戦意欲を失ったかもしれないとまで言われる)。しかしこと用兵にかけては天才的な人物で、ユースフ・トパロウルと共にダゴン星域の会戦で帝国軍を包囲撃破した。容姿に関しては、気難しいトパロウルをして悪くない方と言わしめるほどなので、かなりの美形だったと思われる。後に元帥にまで昇進するが、同盟軍の組織の中で馴染めず、孤立し、幸福とは言えない晩年であったと言われる。
彼の容姿はOVAでは、静止画(写真)のみで登場する。ビデオ/LD版では鋭い眼をした精悍な容姿であったが、DVDへのリマスター時には軽薄さが浮き出た容姿に修正されている。なお、氏名はヤン同様のE式(東洋式)で、中国語版では「林帕歐」という字が当てられている。
ユースフ・トパロウル
登場時の階級は中将。ダゴン星域会戦における同盟軍の参謀長。気難しい性格で、リン・パオと並ぶ毒舌家でさらに不平屋で、事あるごとに「なぜ俺だけがこんな苦労を強いられるのか」などとぼやくことから、ぼやきのユースフと呼ばれる。だが、前述のぼやきはまだ生易しいほうで、同時代人にとっては彼の毒舌と不平は、ぼやきで済ませるレベルではなく、リン・パオ同様に同僚の受けは良く無かった。同じ嫌われ者であるリン・パオと良いコンビと言われると、本気で怒ったと伝えられる。しかし事軍事面の才覚においては、呼吸する戦術コンピュータとも言われる緻密な理論家で、リン・パオと共にダゴン星域の会戦で帝国軍を包囲撃破する。女嫌いで有名であったが、交際していた女性がおり、通信のやり取りをしていた(あまりにも散文的な文章であったため、後年、その通信の内容を知ったヤンは「今週の努力目標」と称した)。リン・パオ同様に後に元帥に昇進し、そして同じく同盟軍に居場所が無く、幸福とは言えない晩年であった。
ネイスミス・ウォード
ダゴン星域会戦に参加した同盟軍の提督の1人。中将。有能な軍人であり、総司令官であるリン・パオに毒舌を以って応じる胆力の持ち主。
オレウィンスキー
ダゴン星域会戦に参加した同盟軍の提督の1人。中将。初戦で帝国軍に戦術的な敗北を喫したが、リン・パオは特に咎めなかった。
アンドラーシュ
ダゴン星域会戦に参加した同盟軍の提督の1人。中将。戦いの最終局面で、「一、突進せよ。二、突進せよ。三、ただ突進せよ!」と言う過激な命令を放ったことで有名。以後、慎重派と言われていた彼の名は、一転して猛将として知られることになった。
ムンガイ
ダゴン星域会戦に参加した同盟軍の提督の1人。中将。
ヒュー・エルステッド
ダゴン星域会戦に参加した同盟軍の提督の1人。少将。帝国軍の側面と後背をねずみ花火のように飛び回って攪乱した。
オルトリッチ
ダゴン星域会戦に参加した同盟軍の幕僚の1人。少佐。温和で公正な人柄で知られ、問題児とされるリン・パオ、ユースフ・トパロウルに対しても、客観的な評を下している。同盟において孤立した両者に何かとつくしたが、単なる個人レベルの努力に留まった。後に統合作戦本部長を務め、人材育成に努めた。回想録を残したことでも知られ、そこでは天才を組織内でどう扱うかの問題について述べている。
ビロライネン
ダゴン星域会戦時の統合作戦本部長。大将。帝国軍の侵攻に対し、リン・パオ、ユースフ・トパロウルの両名の起用をパトリシオ最高評議会議長に進言する一方、そのことに不服を抱く同盟軍諸提督を辛抱強くなだめる。また、後方勤務本部を設立して自らその初代本部長を兼任するなど、後方支援の充実に尽力した。
コーネル・ヤングブラッド
ダゴン星域会戦時の国防委員長。野心と行動力に満ちた若手の政治家。最高評議会議長選ではパトリシオと争って敗れたが、パトリシオから国防委員長への就任を要請されると、悪びれもせず引き受ける器量と胆力の持ち主。強力な指導者というイメージは、パトリシオよりもむしろ彼のほうにこそ強かった。しかしリン・パオとトパロウルを大胆に起用したのはパトリシオであり、ヤングブラッドは当初は懸念を表明していた。しかし納得して以降は精力的に活動し、彼にぼやきのユースフの説得役を命じられた国防委員のひとりはパトリシオ議長に洗脳されたと評した。
マヌエル・ジョアン・パトリシオ
ダゴン星域会戦時の最高評議会議長。温厚で冷静な人物として知られる。強力な指導者と言うタイプではなく、おそらく銀河帝国軍の侵攻という事態が事前にわかっていれば、議長選出は無かったであろうと言われる。かつての政敵であるヤングブラッドを閣僚として迎え入れる度量の大きさや、人の能力を的確に見抜く眼力の持ち主。リン・パオ、トパロウルの両者を問題児と知りつつも起用し、ダゴン星域会戦に勝利を収めた。
フロリンダ・ウェアハウザー
ダゴン星域会戦時、リン・パオと同棲していた女性。リン・パオの愛人の中で、最も有名と言われる5人の内の1人。結婚こそしなかったが、リン・パオの臨終を看取り、葬儀を行ったことで有名とされている。

第2次ティアマト会戦[編集]

ブルース・アッシュビー
声 - 風間杜夫(螺)
第2次ティアマト会戦における同盟側の宇宙艦隊司令長官。この時点での階級は大将。宇宙暦710年生まれ。同730年6月士官学校を首席卒業。同期の卒業生の優等生グループがそのまま彼の幕僚となった為、この一群を「730年マフィア」と呼ぶ場合がある。第2次ティアマト会戦の終盤に旗艦ハードラックの艦橋が被弾し死亡。35歳。死後、(生きていれば)36歳で元帥に昇進した。彼の戦死した12月11日は戦勝記念日としてハイネセンでは学校が休みになる[2]
アルフレッド・ローザスによると、戦機を見るのが比類ないほど巧みであった。後世から見ると、乏しい情報でよくもあれだけの戦術的判断を下したものだと評されている。戦争では連戦連勝を重ねたが、それらはあくまでも戦術上の功績によるものであり、戦略的、政略的に意義のある功績は無く、アッシュビーの活躍が帝国と同盟の関係に何らかの影響を及ぼしたとは言えないとされている。また、イゼルローン回廊に要塞を建設する構想があり、基本計画案を国防委員会に提出したことがあったが、艦隊の強化案と引き換えに要塞構想を破棄した(その後、帝国軍によって同回廊にイゼルローン要塞が建設された)。そのためローザスは「戦略家ではなく、戦術家」と評している。
帝国との長年にわたる戦争の中で出現した軍人の中でも、とりわけ英雄として扱われており、数々の伝記や映画が製作されている。アニメ版では、ヤンがコンピューター検索を実行した所、書籍で123件、テレビドラマと映画で12件が該当した事になっている。 かなり長身で均整の取れた外見を有しているとされている。具体的な数値は、原作小説では身長186センチ、とだけ記されているが、アニメ版ではヤンの見ているディスプレイに体重76キロ、瞳の色は青といったデータが表示され、頭髪は赤褐色であった。
天才ではあったが非常に尊大で態度の悪い性格だったようで、勝つたびに挑発的な電文を発しては帝国軍からの憎悪を招いた(個人的な憎悪を招くことで帝国軍幹部を挑発、理性的な対応をないがしろにさせていたとヤンは評している)。しかしその性格の悪さは味方にも向けられ、政府や軍上層部には評判が悪く、そして第2次ティアマト会戦直前においては730年マフィアの仲間たちでさえ我慢出来なくなっていた。
女性関係が派手で、2度結婚し、2度離婚している。その他、愛人や情人は一個中隊の人数ではきかないとされる。
外伝「螺旋迷宮」では、ブルース・アッシュビーが謀殺されたという投書があり、ヤンが調査を行ったがその矢先調査が中止になってしまう。一方、元帝国軍人で同盟の捕虜(そして本会戦の生き証人)のクリストフ・フォン・ケーフェンヒラー大佐は、独自の立場から単身調査を進めていた。その結果、大佐はアッシュビーが帝国軍内の秘密組織から情報を流してもらい、それを元に功績を立てていた可能性を突き止めた。アッシュビーは流れてきた玉石混淆、というより石の方が多い屑ネタの山から玉を見抜き、それを元に的確な判断を下す、情報という生き物を扱う名人だったという結論である。
しかし、その資料を見たヤンの見解は、あくまで大佐の仮説にすぎないという慎重なものであった。そして、結局すべてはB級重要事項として今後25年間封印されてしまった。
アッシュビーがアニメで初めて登場する『螺旋迷宮』の時点で主要な大御所声優はほとんどシリーズに出演していたため当初キャスティングは難航し、10数人を集めてオーディションまで行われたが、最終的に俳優として知名度・実力があり尚且つ『X-ファイル』の吹き替えなどで声優としての実績も兼ね揃えている風間が起用された[3]
アデレード
声 - 日野由利加(螺)
ブルース・アッシュビーの最初の結婚相手。アッシュビーと同い年で730年マフィアの他の提督たちとも旧知の間柄であった。23歳の時に結婚したが、26歳の時に離婚。離婚の理由はアッシュビーがアデレードに束縛されることを嫌がったことによるもので、アデレード本人はアッシュビーを深く愛していた。ローザスの仲介で離婚を承諾したが、調停の時にアッシュビーに向かって「あなたは必ず私のところに帰ってくる」と言い残して立ち去った。
宇宙暦796年には86歳で存命中。ヤンがユリアンに語った話では、自分が書き写した60年以上も前の夫の恋文を自分宛に差し出し、届いてくる手紙を読む毎日を過ごしているとのこと。
ルシンダ
ブルース・アッシュビーの二番目の結婚相手。アッシュビーが29歳の時に結婚し30歳の時に離婚。離婚後もアッシュビーの姓を名乗ったため、ブルース・アッシュビーと軋轢が生じている。ヤン・ウェンリーがブルース・アッシュビー謀殺説の調査を始めたきっかけとなった投書の差出人の名前だが、調査の時点(宇宙暦788年)ではルシンダは9年前に59歳で死亡しているとされる。
アルフレッド・ローザス
声 - 井上倫宏(青年時) / 瑳川哲朗(螺)
中将。同盟軍総参謀長。 730年マフィアの一員。本人の将才は「平均よりまし」程度だったが、個性的な幕僚の中にあって人心掌握と温和な人柄による仲裁役を自らに課す。OVA版では、アッシュビーと「ブルース」、「アルフレッド」と呼び合う仲。730年マフィアの同僚からは、公私にわたって幾度となくトラブル処理の手助けをしており、アッシュビーの最初の妻アデレードとの離婚時にも、不本意ながら仲介役を務めている。ただし孫のミリアムによると、「祖父はアッシュビーに功績を横取りされた」と評されている。
第2次ティアマト会戦の前に妻を亡くし、出征中のためその死を看取る事が出来なかったことで酒浸りの虚脱状態に陥り、1ヶ月ほど休職していた。しかし結局第2次ティアマト会戦の直前、アッシュビーの強い懇願により軍務に復帰、彼の最後の戦いに身を投じることとなる。アッシュビーの戦死時、自身は頭部に軽傷を負ったものの生き残り、彼の死を見届けた。
宇宙暦778年に回想録を発表、その回想録が同盟軍史上もっとも貴重な記録の一つとされている。宇宙暦788年、アッシュビー謀殺疑惑の件でヤンと面談した直後、睡眠薬の量を誤って死亡。享年78。当初は死因の不自然さにヤンもキャゼルヌも不審を抱いたが、孫のミリアム・ローザスに対し手紙を残しており[4]それによれば、半ば自殺(死ぬもよし死なぬもよしと、古くなった睡眠薬を大量服用)である事が判明しており、現実より回想の方が楽しくなってきたという理由から何年も前から死にたがっており、ヤンに自分達730年マフィアの話を聞かせたことで過去への旅に立つ気になったらしい。ミリアムは後にヤンにその事を手紙で伝えている。
死後、元帥号を追贈されることが決定し、これにより730年マフィアの全員が元帥号を得ることになった。
なお、ブルース・アッシュビー謀殺疑惑の心当たりの有無への回答は「ない。たとえあっても(死人に口なしでは不当だから)いうつもりはない」という「見えざる鉄壁の存在を感じさせる」ものであり、ローザスや730年マフィアの仲間たちが、アッシュビーが帝国軍の内部情報を入手していた可能性があることを知っていたかどうかは、結局不明なままであった。
フレデリック・ジャスパー
声 - 藤原啓治(螺)
中将。同盟軍第4艦隊司令官。旗艦はブリジット。730年マフィアの一員。ニックネームはマーチ(行進曲)・ジャスパー。勝つときは完勝、負けるときは完敗というわかりやすい戦績の持ち主で、彼の辞書に快勝はあっても辛勝は無く、惨敗はあっても惜敗は無いと言われた。2回勝つと次は必ず負けるというジンクスを有する。そのため彼の第四艦隊の将兵たちは勝率が五割を超えているため、半ば諦めの境地でこのジンクスに乗っていたが、負けの順番が来ると脱走を企てたり、遺書を書く兵士が後を絶たなかったとされる。なお第二次ティアマト会戦時は勝つ順番であった。
本会戦の後も仲間の中でもっとも長く軍にとどまりつづけた。749年に大将に昇進。753年に宇宙艦隊司令長官に就任。同じ730年マフィアのメンバーであったファン・チューリンとは、753年から754年の間は宇宙艦隊総参謀長として、755年から761年にかけては統合作戦本部長としてコンビを組み続けたが、私的な交遊は途絶えていた。その後も帝国軍を相手に勝敗を重ね、17年間にわたる宇宙艦隊司令長官の在任最長記録を作り、764年には元帥号を授与されている。770年には統合作戦本部長に就任するが、実戦畑の人であったことから、こちらは可もなく不可もなく程度の実績で終わる。翌年退役して妻と旧婚旅行に出かけ、宇宙船の事故で61歳で死去。
ウォリス・ウォーリック
声 - 小山力也(螺)
中将。同盟軍第5艦隊司令官。旗艦はルーガイラン。730年マフィアの一員。同盟の市民で、銀河帝国の貴族の出身ではないが「バロン(男爵)」の異名をもち、貴族的な容姿と気障で芝居がかった言動から周囲がつけたものであったが、本人も気に入っており、自己紹介のときに「バロン」と名乗るほどであった。このあだ名には「伯爵や公爵にはなれっこない。せいぜい男爵どまりさ」という揶揄も含まれているが、本人もそれで十分と諦念していた。
第2次ティアマト会戦では、「もうアッシュビー一人に武勲を独占させるのは飽きた」と独断で迂回攻撃を仕掛けるが、さらに大きく迂回してきたシュタイエルマルク艦隊に背後を取られて失敗。その失態とアッシュビーの態度に逆上して暴言を吐く姿も見せた(OVA版では喉元につかみかかりさえしている)。
本会戦の後、749年に大将に昇進し、751年には宇宙艦隊司令長官に就任。大きな戦役のないまま2年後に退役。大学の学長と生地である惑星パラスの知事を務めた後、中央政界に進出し、760年に国防委員長に就任。同時に元帥号を授与され、社交界でも名士として鳴らしたが、在任中に汚職事件が発生。事件自体に本人は関わっていなかったものの、責任を取って委員長の座を辞職せざるを得なくなった。国防委員長辞職後は自身の女性関係をめぐるスキャンダルが起こり、地位も名声も失って政界および社交界から完全に身を引くことになる。766年に心臓発作で死亡。56歳。
私人としては非常に多彩な芸をもっていたが、アルフレッド・ローザスは「何をやっても、一流の寸前まではいけた男」だったと評し、一流になろうとしなかった彼を惜しんでいる。ウォーリック本人も上手なアマチュアでいたいとの言葉を残しているが、この発言の真意は、アッシュビーを超えられないこと対する韜晦ではなかったかとヤンは推測している。
酒に対する強いアレルギーがあるジョン・ドリンカー・コープにいたずらで酒を飲ませ、蕁麻疹を起こさせ大騒動になったため、同盟軍内で唯一蕁麻疹を理由に始末書を書かされた提督となった。
ファン・チューリン
声 - 菅生隆之(螺)
中将。同盟軍第8艦隊司令官。旗艦はゴラ・ダイレン。730年マフィアの一員。ヤンと同様のE式(東洋式)の名前で、本作の中国語版では「方秋林」という字が当てられていた。
冗談を全く解さない、気難しく堅苦しい性格で、手堅くて大崩れしない戦い方を得意とする。OVA版では協調性や愛想もないような性格描写がされていた。その堅苦しい性格から上司にも部下にも人気はなかったが、アッシュビーが仲間の中で最も信頼していたのは彼ではないかという見方もある。
第2次ティアマト会戦では、アッシュビーから自艦隊のうち3000隻をアッシュビーの直属艦隊に割くよう命じられるものの、戦線維持を理由に「無理ですな」と素っ気なく拒絶し、アッシュビーの怒りと罵倒を招いている。口論の末に3000隻を割くことを承知し、そのような状況下にもかかわらず、帝国のシュタイエルマルク艦隊を側撃により潰走させ、アッシュビー艦隊の反撃まで帝国軍主力の猛攻をウォーリックとともに防ぎ続けるなどの活躍を見せた。
本会戦の後、750年に大将に昇進して宇宙艦隊総参謀長に就任。755年には統合作戦本部長に就任し、温かみはないが筋の通った人事と実務により、歴代の統合作戦本部長の中で名本部長の一人に数えられる評価を得た。761年に元帥号を授与されて退役。730年マフィアの一人で宇宙艦隊司令長官のジャスパーとは約6年間(宇宙艦隊総参謀長時代を含めると8年間)コンビを組んだが、私的な交遊は途絶えていたという。773年に肺塞栓症に倒れ63歳で死去。臨終時も医者に向かって「意識が混濁してきた。これ以上しゃべると、ろくなことを口にしそうにないから黙るぞ」という宣言とともに沈黙してから40分後に死亡が確認されるなど、冷厳な彼らしい死に方であった。
上記のような性格の為に730年マフィア以外の交友関係は皆無に等しく、妻とは離婚。子供には先立たれていたため退役後は公園で鳩に餌をやる毎日を送るという孤独な晩年をすごし、原作・OVA共に730年マフィアで彼を看取ったのは生き残ったローザスのみであった。ファン自身は死にあたって「葬儀も埋葬も不要」と言い残していたが、ローザスにより、遺体はコリント墓地に葬られ、その墓碑には、姓名と生没年とともに「信頼を裏切ることなき一生」の一文が記された。
ヴィットリオ・ディ・ベルティーニ
声 - 乃村健次(螺)
中将。同盟軍第9艦隊司令官。旗艦はトラウィスカルバンテクートリ。730年マフィアの一員。勇猛な戦闘指揮でその破壊力はアッシュビーにも勝るものであった。粗野な外見とは裏腹に気の優しい男で愛妻家。同僚の名前の付いた熱帯魚を飼っているという噂があった。
第2次ティアマト会戦では、アッシュビー直属艦隊による反撃の直前、帝国軍の攻勢から戦線を維持していた最中、旗艦が護衛艦の爆発に巻き込まれ誘爆したため戦死。享年35。僚友戦死の報を聞いたアッシュビーは一瞬傷心を表に出して「元帥昇進のさきをこされた」と呟いている。本来ならば戦死した彼には二階級特進による元帥号が授与されるはずであったが、直後に戦死したアッシュビーの英雄像を強固なものにしようとする同盟上層部の政治的な思惑から、ベルティーニの元帥授与は死後6年経った751年になってからだった。
原作では台詞がなく(出征直前に妻が水温調整を誤って熱帯魚を全滅させ、結婚して初めて彼女を怒鳴りつけてしまい、謝罪もままならないまま戦場に赴いた自責の念から、作戦会議の際は沈黙しつづけていた)、OVA版でも一度突撃を命じただけだった。
ジョン・ドリンカー・コープ(John Drinker Cope
声 - 佐古正人(螺)
中将。同盟軍第11艦隊司令官。旗艦はヴィヴァスヴァット。730年マフィアの一員。追撃戦の名手で、後退する敵を追撃して戦力を削ぐのが巧みであったと評される。名前とは裏腹にアルコールを一切受け付けない体質で、1滴でも飲むと倒れてしまう。このため悪戯で飲ませたウォーリックが処罰される羽目になった事もある。第2次ティアマト会戦までは黙々と的確に軍務をこなしていたが、本会戦直前の作戦会議で初めてアッシュビーに猛反発、730年マフィア解散の一端となる。
本会戦後750年に宇宙艦隊副司令長官に就任。翌年パランティア星域会戦でほぼ一方的に惨敗、戦死。41歳。会戦自体は、コープの戦死後に援軍を率いて到着したジャスパーが敵に一矢報いたが、ジャスパーには「功績を独り占めするためにわざとコープを見殺しにした」という疑惑がかかってしまい、それを信じたコープ未亡人がジャスパーを非難するなど、彼の名声を傷つける結果となってしまった。
フェルナンデス(Fernandez
少将。同盟軍宇宙艦隊総司令部付参謀。前線の連携の乱れが第9艦隊の危機を招いたことを報告した。
ヒース
声 - 上田日出春(螺)
少佐。同盟軍宇宙艦隊総司令部付参謀。ローザスと共にアッシュビーの戦死を見届ける。
コッパーフィールド(Copperfirld)
少将。ベルティーニが戦死した後の、最先任者。総司令部へベルティーニ戦死を報告した。

その他[編集]

マカドゥー
外伝2巻に名前だけ登場。70年前(宇宙歴727年頃)の統合作戦本部の情報参謀、大佐。帝国の猛将バルドゥングを誘拐するため、提督の航法士官を買収し、提督の旗艦を同盟領内に迷いこませて鹵獲することに成功した。

フェザーン[編集]

レオポルド・ラープ(Leopold Lape)
フェザーンの初代自治領主。地球出身。元は帝国に所属する商人だったが、貴族に膨大な額の金品を贈るなど「異様に熱心な」運動を展開し、フェザーン自治領を成立させる。後年、ユリアン達が地球から持ち帰ったコンピュータ・データ入りの光ディスクによって、その成立の裏に地球教が存在し、その後1世紀に渡って緊密な関係にあった事が判明した。またアニメ版では、その成立に際して使われた膨大な額の工作資金が、シリウス戦役の時に隠匿された地球の富であったとヤンが語っている。
ワレンコフ
フェザーン第4代自治領主。地球教のコントロールを嫌い独自路線を進もうとしたが、そのために地球教徒に暗殺されたとされる。
バランタイン・カウフ
フェザーンの商人。商売に失敗し破産寸前だったが、自殺直前の居酒屋で聞いた噂話から投機のきっかけをつかみ大逆転、大商人にのし上がり、今年のシンドバッド賞を受賞した。その後も運に恵まれ、生涯において4度「今年のシンドバッド賞」を受賞する。彼の息子たちには商才がなかったらしく、カウフ財閥は現存していないが、フェザーンにおける伝説的存在として語り継がれている。
オヒギンズ
カウフの友人。カウフの借金の保証人になっていたこともある。彼が財を成したとき、その半分を与えられる。それを商科大学の創設に用いた。

その他の人物[編集]

西暦時代[編集]

アントネル・ヤノーシュ(Antonel Janos)
西暦2360年に初めて超光速航行(ワープ)を実現して、全人類の英雄となった宇宙省技術陣のリーダー。ワープはその後も研究が続き、同2391年に実用化された。
ジャン・ピエール
詳細は不明だが、西暦時代に活躍した宇宙の放浪者。ポプランいわく「俺のように女にもててしょうがなかった」男。この男の終焉の地と主張する惑星が10以上ある。

シリウス政府[編集]

カーレ・パルムグレン(Karle Palmgrenn)
「ラグラン・グループ」の一員。
西暦2689年に発生した「ラグラン市事件」の時は25歳、立体TVの放送記者。検問にて所持品検査を拒否したため地球軍兵士からレーザー銃で乱打され失神し、液体ロケット燃料を掛けられて、他の死体と共に焼却される寸前に意識を取り戻し、脱出する。
西暦2691年、それまでの非公式な接触や会談を重ねた末に惑星プロセルピナに於いて後世「ラグラン・グループ」と呼称される組織を正式に結成、彼はその中で理性的な弁舌とカリスマ性により反地球派の糾合と市民の啓発に努め、巧みな指導力を以って理念的・精神的な象徴となる。
しかし、タウンゼントとフランクールの対立が徐々に深刻化していたシリウス戦役終結の2年後の西暦2706年、急性肺炎にて死去。41歳没。その急死はラグラン・グループの結束を、そして彼の下で築かれる筈だった新しい宇宙の秩序を急速に崩壊させていく(三か月も経たずにタウンゼントとフランクールの関係に致命的な亀裂が生じる)。その死を惜しむ声は強く、「彼のカレンダーにあと10年の月日があれば、宇宙歴の開始は90年早くなっていたであろう」とも評される。
病床に倒れた際にも信頼している医師に「今、私が倒れれば新体制は接着剤を失う。後五年、死神に待ってもらえたら」と話しており、現在のシリウス政府とラグラン・グループの内部対立を生前から危惧していた模様。
ウインスロー・ケネス・タウンゼント(Winslow Kenneth Townsend)
「ラグラン・グループ」の一員。
西暦2689年に発生した「ラグラン市事件」の時は23歳、金属ラジウム鉱山の会計係で労働組合の書記。自宅のアパートで地球軍の進行を眺めていたが、母親を酔った地球軍兵士に射殺された上、訴えを無視されたばかりか実母殺害の罪を着せられたため鉱山を利用して逃亡。シリウス戦役における反地球派の財政/行政面を担当。
戦役終結後はシリウス星系首相に就任。パルムグレンの死後に、地球の旧支配体制を支えていた巨大企業群「ビッグ・シスターズ」の処遇を巡って、解体を主張したフランクールに対して旧財閥の経済力を失う訳にはいかないとの立場から解体を拒否したため、対立が深刻化。クーデターを画策していたフランクールを暗殺し、さらに反逆の可能性があると考えてチャオを殺害。翌2707年、汎人類評議会首席を兼任に事実上の独裁権力を手中に収めた。しかし、同年、地上車に極低周波ロケット弾(OVAでは中性子爆弾)を撃ち込まれて死亡。
彼の死によりラグラン・グループは崩壊し、彼らによって支えられていた地球政府崩壊後の宇宙秩序を霧散させた。BFFはタウンゼントの手足になる様にBFF十提督の内、七名を殺害・投獄した影響で統制を失ったため、分裂と暴発を繰り返した暴走状態に陥っていく。
ジョリオ・フランクール(Joriot Francour)
「ラグラン・グループ」の一員。
西暦2689年に発生した「ラグラン市事件」の時は20歳、医科大学の付属施設で薬学を学んでいた。恋人を暴行した地球軍兵士を殴打(原作小説では薬草図鑑、アニメでは拳で)し、逃亡する(後に恋人は自殺)。
シリウス戦役における反地球勢力の実戦組織「ブラック・フラッグ・フォース(黒旗軍/BFF)」の総司令官。ヴェガ星域会戦以降84回の戦いに勝利した。地球攻略戦では地球に対する全面攻撃を強行的に主張した。戦役終結後はシリウス星系国防相に就任。パルムグレンの死後に、地球の旧体制を支えた巨大企業群「ビッグ・シスターズ」の処遇を巡りタウンゼントと対立。当初は合法的な政権獲得を目指したが、政財界の支持を持つタウンゼントに及ばなかったため、非合法手段による政権奪取を目論んでクーデターを画策した。しかし、その直前にフランクールに解雇されたことを恨んだ元部下がタウンゼントに密告したため、クーデターが露見。実行寸前に自室に踏み込んだ公安局員に「秒単位の差」で射殺される(クーデター開始の命令を伝える直前だったとされる)。
教条的革命家と称されており、地球政府の和平使者との対応や地球全面攻撃の強硬主張、地球の旧支配体制を支えた「ビッグ・シスターズ」の解体に拘っていた。
チャオ・ユイルン(Chao Yui-Runn)
「ラグラン・グループ」の一員。
西暦2689年に発生した「ラグラン市事件」の時は19歳、音楽学校で作曲を勉強していた。親代わりをしていた兄夫婦を地球軍兵士の一斉射で殺害され、甥のチャオ・フォンを連れてラグラン市を脱出し、逃亡。
私生活では買い物でお釣りをごまかす事の出来ない善良な小市民だが、謀略の才能・手腕は下級悪魔も鼻白むものと評され、シリウス戦役における反地球派の情報、謀略及び破壊工作を担当し、それにより数多くの地球の要人を陥れた。
戦役終結後は政治の第一線から退き、ラグラン市で音楽学校を設立して校長に就いたが、フランクールの死の1週間後、タウンゼントから叛意を疑われ、8名の司法省公安局の武装捜査官に殺害された(表向きには病気による急死とされた)。
中国語版では「查欧·尤伊鲁恩」という字が当てられている。
チャオ・フォン(Chao Fong)
チャオ・ユイルンの甥。「ラグラン市事件」では地球軍兵士の一斉射撃で、幼くして両親を失った。叔父のユイルンに抱かれて市を脱出、その後は叔父の下で成長したと思われる。タウンゼントが叔父を殺害しようとしている事を察知した際にはラグラン市からの脱出を進めたが、拒否されてしまう。タウンゼント暗殺事件の犯人は彼であると噂されており(フォンが公安の監視から逃れてから丁度一ヵ月後にダウンゼント暗殺が行われた)、叔父ユイルンの仇をとったとも言われているが、真相は不明。
マサーリック(Massarik)
ラグラン市事件が発生した時のラグラン市長。病身をおして地球軍の攻撃回避に奔走した。

地球統一政府[編集]

カーロス・シルヴァ(Carlos Silva)
地球統一政府五代目宇宙省長官。A.D.2180年の冥王星調査団進発にあたって「将来は地球を一部分とした大多数の天体により人類社会は成立する」との演説を行う。有能な実業家であったとされるが、想像力に優れた人物ではない。彼の演説は当時の人類の未来図を描いた一般論と共通認識を述べたに過ぎないとされる。しかしこの発言が実現したのは、7世紀後の地球政府崩壊後であった。
ジョシュア・リューブリック(Joshua Leubric)
27世紀の地球統一政府与党の国民共和党書記長。汎人類評議会でスピカ星系代議員が富の地球への偏在を是正する様に求めた際に「植民星の人民が貧困なのは彼らの無能さに原因がある。地球市民に罪があるという主張は自立心と向上心を欠く奴隷的精神の現れ」と返答し、食物栽培の強要と買い叩きにより飢餓に瀕した植民星がある中で冷淡を極める発言を行ったため、植民星人の激昂を買った。OVA版では彼の発言はA.D.2680年の汎人類評議会議場で行われた。(OVAではその発言の際に拍手が起きており、汎人類評議会が地球政府関係者に占められており、彼の発言は地球の総意であることが窺える)。
ハズリット(Haslitte)
地球軍の老将。地球統一政府首都のブリスベーンにある軍司令部でラグラン市事件の様子を見ながら談笑している同僚達を「他人の都市が燃えるのが、楽しいらしいな」「10年後には我らの首都がああなる可能性を考えろ」と批判した。しかし、地球軍内部で孤立・白眼視され、退役。彼の懸念は14年後の地球攻略戦で数十億の地球人が虐殺されるというより悲惨な結果として実現してしまう。
OVA版では登場せず、言明もない。
クレランボー(Crelenbeau)
地球軍中将。総司令部作戦局次長。地球軍内部の良識派に属している人物であり、作戦案の不備を名目にラグラン市事件の実施を阻止し、地球軍の「蛮行」を止めようとした。しかし、彼の努力は実る事は無く、市内の自警団が敗残兵狩りを行い、市内が戦闘状態に陥ったのを理由に地球が突入を開始した。
この蛮行を止められなかった悲しみと怒りを自らの日記に綴っており、地球軍を痛烈に批判している。しかし、この一件で地球軍内部で孤立・白眼視される事態を招き、退役。
OVA版では静止画のみの登場であり、一部良識派と努力により地球軍の突入を延期させたとのみ説明される。
コリンズ(Collins)、シャトルフ(Schatorff)、ヴィネッティ(Vinnetti)
シリウス戦役時、地球軍を率いていた有名な3人の提督。共に有能な司令官であったが、ヴェガ星域会戦では3人の歩調が合わず、「ブラック・フラッグ・フォース」に惨敗。後、チャオ・ユイルンの巧妙な謀略によって共倒れさせられた。ヴィネッティの部下に殺害されたシャトルフは、「ばか者…」と言い残して死亡している。
ウェーバー(Weber)
シリウス戦役時の地球軍主席報道官。地球軍少将。当初はラグラン市における虐殺事件はなかったとしたが、僅か三日で前言を翻し、虐殺があった事実をこそ認めたが、地球軍の関与を否定するとともに、虐殺規模も実数九十万人を二万人程度の小規模虐殺と捏造する。また、この虐殺は敗残兵が地球軍に罪を擦り付けるために引き起こされたと明言。地球軍によるゲリラ掃討作戦の継続を正当化し、ラグラン市の第二次掃討戦「ダブル・アップ」に繋がった。なお、公式見解が180度も変わった理由は一切述べられておらず、現在でも不明のままである。
アーノルド・F・バーチ(Arnold・F・Birch)
西暦2575年当時、第4方面総監部に所属していた宇宙母艦「デキシーランド」の艦長。従卒6人、専属コック2人、専属看護婦1人が生活の世話をするなど、当時の軍の肥大化、退廃ぶりを象徴する人間。告発者に「専属看護婦が必要な病人が1艦の指揮を押し付けてられている」と揶揄された。

銀河連邦[編集]

クリストファー・ウッド(Christoper Wood)
銀河連邦による対宇宙海賊部隊の司令官。宇宙暦106年から2年間に渡って本格的な活動を行い、その後は政界に進出して汚職政治家や企業家と対決した。毒舌家として有名とされる。
同盟では屈指の英雄として歴史の資料に掲載されている。一方、劇場版アニメ第2作で、帝国軍遠征艦隊がアスターテ会戦で同盟第4艦隊を撃破した後、食事中の将兵達がラインハルトを賞賛する意味で「ウッド提督の再来」と評しており、帝国と同盟の双方で英雄視されている事が描かれている。
ミシェール・シュフラン(Michelle Chefrain)
銀河連邦による対宇宙海賊部隊の司令官。上記のウッド提督と並び賞される英雄。

脚注[編集]

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  1. ^ 現実では、アブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ2005年に81歳でサウジアラビア国王に即位し、実際にはこれが人類史上最年長の皇太子の例となる。ただし原作小説刊行時点では74歳を超える皇太子は存在しなかった。またアブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズは、正確には「王太弟」であり、皇太子というのは言葉の使い方として間違っている。ただし現在の日本語においては、次期君主継承者は、その君主号と血縁関係関係無しに、皇太子と表記されるのが普通になっている。田中芳樹は、カールを「皇太曾孫」、別作品である『アルスラーン戦記』の登場人物であるアルスラーンを「王太子」と表記するなど、厳密に区別を行っている。現在の欧米語では、君主の地位や血縁関係に関係無く、次期君主継承者の称号は(英語なら)Crown Prince(またはPrincess)であり、区別は無い。作中における銀河帝国公用語においてどうなのかは、作中で言及は無い。
  2. ^ イゼルローンでは休日になっていないのか、ユリアンが学校に通っていないために休日にはならないという意味で書かれているのか、原著の記載からは読み取れない。
  3. ^ 公式HP用のインタビューの加筆・再録版”. 2016年11月14日閲覧。
  4. ^ 公表を意図したものではないが、ミリアムに容疑がかかった際の為