コンテンツにスキップ

WE ARE LITTLE ZOMBIES

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
WE ARE LITTLE ZOMBIES
ウィーアーリトルゾンビーズ
WE ARE LITTLE ZOMBIES
監督 長久允
脚本 長久允
製作 吉崎圭一
新井重人
水野道訓
井上肇
加太孝明
山西太平
高橋信一
横山治己
長谷川晴彦
國枝礼子
橘佑香里
熊澤瑠里
出演者 二宮慶多
水野哲志
奥村門土
中島セナ
佐々木蔵之介
工藤夕貴
池松壮亮
初音映莉子
村上淳
西田尚美
佐野史郎
菊地凛子
永瀬正敏
音楽 山田勝也(音楽プロデューサー)
LOVE SPREAD(リトルゾンビーズ音楽)
撮影 武田浩明
編集 稲本真帆
制作会社 ROBOT
製作会社 “WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS
配給 日活
公開 日本の旗 2019年6月14日
上映時間 120分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 3200万円[1]
テンプレートを表示

WE ARE LITTLE ZOMBIES』(ウィーアーリトルゾンビーズ)は2019年6月14日公開の日本映画

CMプランナー長久允の長編映画デビュー作[2]

第35回サンダンス国際映画祭にて日本映画初の審査員特別賞・オリジナリティ賞を受賞[3]第69回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門スペシャルメンション(準グランプリ)受賞、オープニング上映作品[4][5]

概要

[編集]

両親を亡くしゾンビのように心を無くした4人の子どもたちが冒険し心を取り戻そうと音楽を通して成長していく物語[6]。10代前半の二宮慶多水野哲志奥村門土中島セナらが劇中で登場するバンド「LITTLE ZOMBIES」のメンバー役で主演を務める[4]。ゾンビーズというタイトルだがゾンビ映画ではない[7]

監督の長久は2017年に短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』でサンダンス国際映画祭の短編部門のグランプリに輝いており、その際に独創的な映像が「ネオジャパニーズ」と称されたが、本作でもRPGのような映像表現や独特のリズム感で放たれる台詞回しなど、そのスタイルを貫いている[8]

キャッチコピーは「生きてるくせに、死んでんじゃねえよ。[9]

あらすじ

[編集]

物語は、ある葬儀場から始まる。そこに集まったのは、ヒカリ、イシ、タケムラ、イクコの4人の子どもたちだった。4人はいずれも両親を亡くしているが、誰ひとりとして涙を流すことができなかった。悲しみを感じることもなく、まるで感情を失ったゾンビのように。

ヒカリの両親はバス事故で命を落とし、イシの両親はガス爆発による火災で焼死。タケムラの両親は借金苦の末に自ら命を絶ち、イクコの両親は変質者の凶行によって殺害された。あまりにも唐突に家族を失った4人は、それぞれの家を転々としながら、生きる術を探していく。

やがてヒカリはポケットゲームを、イシは母の中華鍋を、タケムラは兄のエレキベースを手に入れる。しかし、イクコだけはグランドピアノを手に入れることができなかった。

ある日、行くあてもなくさまよう4人はゴミ処理場にたどり着く。そこは、捨てられたものたちが集まる場所だった。4人はその廃墟のような空間で、ひとつの衝動のもとにバンドを結成することを決意する。バンドの名は「LITTLE ZOMBIES(リトルゾンビーズ)」。

彼らの初めての演奏を偶然目撃したゴミ処理場のアルバイト・望月は、その様子を動画に撮影し、SNSに投稿する。その映像は瞬く間に拡散し、大きな話題を呼んだ。やがて音楽事務所の目に留まった4人はデビューを果たし、ライブ活動やテレビ出演を通じて人気を集め、「LITTLE ZOMBIES」は社会現象となるほどの存在へと成長していく。

だが、1stアルバム『殺したのは誰だ?』の発表をきっかけに、思いもよらぬ悲劇が起こる。SNS上でLITTLE ZOMBIESのメンバーそれぞれの両親の死因を探る者が現れ、ヒカリの両親が亡くなったバス事故の運転手が特定されてしまう。その運転手は激しい中傷を受けた末に自ら命を絶ち、結果として、LITTLE ZOMBIESは解散。ヒカリ以外の3人はそれぞれの楽器をゴミ処理場で燃やし、4人はバラバラに別れていった。

数日後、ヒカリは父方の叔母夫婦に引き取られることが決まり、駅の改札を通ろうとしたところで、偶然イシ、タケムラ、イクコと再会する。ヒカリは「両親が亡くなった場所へ行きたい」と口にし、3人はその言葉に応えるように改札を飛び越えた。ゾンビのように無表情で歩く大人たちの群れをかき分け、4人はヒカリの記憶の場所へ向かう電車に乗り込む。

電車を降りた後、彼らは通りかかったゴミ収集車の運転手を襲い、収集車を奪って目的地へと向かう。走る車内で、ヒカリの目に映る景色はすべて灰色に見え、まるで現実から色が消えてしまったかのようだった。

やがて車がトンネルに入った瞬間、強烈な衝撃が走る。ヒカリは有機的な水の中に沈んだような感覚の中で目を覚まし、自分がまるで胎内のような空間を漂っていることに気づく。彼の人生が走馬灯のように次々と映し出され、フロントガラスには「CONTINUE?」という文字と、「YES」「NO」の選択肢が浮かび上がる。触手のようなものがゴミ収集車に絡みつく中、ヒカリは「僕の人生はゴミだ」と呟き、最初は「NO」を選んでしまう。

しかし、イクコたちの呼びかけによって選択はリセットされ、もう一度チャンスが与えられる。ヒカリはこれまでの記憶と向き合い、「YES」を選択する。するとゴミ収集車は胎児のような形に変化し、ヒカリはへその緒のような触手を引きちぎって前へと進む。

次の瞬間、眩しい光の中で、ヒカリの母親が赤ん坊を出産する光景が現れる。母は新しい命を抱きしめながら、「世界は明るくてキラキラしてて、たのしいから。ヒカリ」と名を与える。

再び目を覚ましたヒカリは、イクコたちとともに事故現場である「野いちごの丘」にたどり着く。4人は静かな草原を歩きながら、「自分たちは感情を取り戻せたのか」と問いかける。するとイクコが穏やかに微笑みながら言う。「最初からあったんじゃない?」

4人はそれぞれの道へと歩き出し、物語はヒカリの両親の葬儀場で流れていた念仏の音が響く中、静かに幕を閉じる。

キャスト

[編集]

LITTLE ZOMBIES

ヒカリ(高見 光/たかみ ひかり):二宮慶多
LITTLE ZOMBIESのボーカルを務める少年。メンバーカラーは青。冷静沈着で無表情、感情をほとんど表に出さない性格だが、その内面には深い孤独と喪失感を抱えている。幼い頃から両親が多忙で、家の中でもほとんど会話がなく、愛されたという実感を持てずに育った。そのため、両親がバス事故で亡くなったときも涙を流すことができなかった。彼自身もその理由を「最初から孤独だったから」と受け止めている。彼の愛用品はポケットゲームというポータブルゲーム機で、いつもそれを手放さない。現実の世界に馴染めないヒカリにとって、ゲームは唯一の拠りどころであり、LITTLE ZOMBIESのバンド活動でもこのゲーム機を用いて演奏を行うという独自のスタイルを確立している。家庭では、母が忙しい合間に用意してくれた冷凍のミートソーススパゲッティをひとりで食べるのが日課だった。学校では周囲から疎まれ、クラスメートから「闇」と呼ばれていじめを受けていた。葬儀場で出会ったイシ、タケムラ、イクコとともに「LITTLE ZOMBIES」を結成し、仲間との関係の中で精神的な成長を遂げていく。物語を通して、ヒカリは“感情を取り戻す”こととは何か、そして“生きる”とはどういうことかを見つめ直していく存在として描かれている。
イシ(石 新八/いし しんぱち):水野哲志
LITTLE ZOMBIESのドラムを担当する少年。メンバーカラーは緑。中華料理屋「石珍楼」の一人息子で、坊主頭が特徴的なぽっちゃり体型。食べることが大好きだったが、両親がガス爆発事故で亡くなって以降、味覚を失い、何を食べても味を感じなくなってしまう。両親が生きていた頃は、空手教室に通っており、練習から帰ると母親が作ってくれた青椒肉絲を食べるのが日課だった。4人の中では比較的温厚で真面目、仲間思いな性格をしており、ヒカリたちを支える存在でもある。
タケムラ(竹村 ゆうき/たけむら ゆうき):奥村門土
LITTLE ZOMBIESのベースを担当する少年。メンバーカラーは赤。父親は高級車のエンブレムを製造する工場を経営しているが、家庭は借金を抱えており裕福ではない。4人兄弟の次男で、バンドマンの兄と、年の離れた弟、妹がいる。父親から日常的に暴力を受けており、その家庭環境の中で心を閉ざしていった。刺激やスリルを求め、万引きを繰り返しているが、本人は「万引きしても万引きしても、俺の人生減ってくのよ。」と語っている。愛用のメルセデス自転車を持っていたが、両親のことを思い出してしまうため、土手に置き去りにする。反抗的でやや不良気質な一面を持ちながらも、内面には家族への複雑な感情と喪失の痛みを抱えている。
イクコ(伊武 郁子/いぶ いくこ):中島セナ
LITTLE ZOMBIESのキーボードを担当する少女。メンバーカラーはピンク。左手の薬指が欠損しているが、それが生まれつきか、あるいは後天的なものかは明かされていない。物静かで冷たい目つきをしており、どこかアンニュイな雰囲気を漂わせている。母親からは「無差別恋愛で人に迷惑をかけている」と言われるほど、父親を含む多くの男性を自然と惹きつけてしまう存在だが、本人にはその自覚も興味もなく、「誤解だ」と否定している。ピアノ教室に通っており、講師の小山田からも好意を寄せられているが、彼女自身は感情を表に出すことが少ない。バンド「LITTLE ZOMBIES」を結成しようと最初に提案したのも彼女であり、4人の物語を動かすきっかけを作った人物でもある。

スタッフ

[編集]
  • 脚本・監督:長久允
  • 製作:吉崎圭一、新井重人、水野道訓、井上肇、加太孝明
  • プロデューサー:山西太平、高橋信一、横山治己、長谷川晴彦
  • ラインプロデューサー:鈴木康生、小柳智則
  • アソシエイトプロデューサー:國枝礼子、橘佑香里、熊澤瑠里
  • 撮影:武田浩明
  • 照明:前島祐樹
  • サウンドデザイン:沖田純之介
  • 美術:栗林由紀子
  • 装飾:渡辺誉慶
  • 衣裳:下山さつき
  • ヘアメイク:光野ひとみ
  • 助監督:平井淳史
  • キャスティング:田端利江
  • スクリプター:大西暁子
  • 演出補:長田亮
  • 制作担当:宮森隆介
  • 編集:稲本真帆
  • カラリスト:根本恒
  • VFXスーパーバイザー:二瀬具洋
  • 音楽プロデューサー:山田勝也
  • リトルゾンビーズ音楽:LOVE SPREAD
  • リトルゾンビーズ衣裳:writtenafterwards
  • リトルゾンビーズメイク:加茂克也
  • アートワーク:magma
  • 8bitデザイン / オープニング:たかくらかずき
  • アートディレクション / ロゴデザイン:間野麗
  • 特別協賛:フェイスマスク ルルルン / グライド・エンタープライズ
  • 配給:日活
  • 制作プロダクション:ROBOT
  • 製作幹事:電通
  • 製作:“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS(電通、日活、ソニー・ミュージックエンタテインメントパルコ、ROBOT)

脚注

[編集]
  1. ^ 『キネマ旬報』2020年3月下旬特別号 67頁。
  2. ^ “2019年サンダンス映画祭 コンペティション部門にて正式招待&日本公開決定!2017年グランプリ受賞作『そうして私たちはプールに金魚を、』長久允監督長編デビュー作最新作『ウィーアーリトルゾンビーズ』”. CINEMATOPICS. (2018年11月29日). http://www3.cinematopics.com/archives/99233 2019年2月13日閲覧。 
  3. ^ “日本人初の快挙!「サンダンス映画祭」審査員特別賞受賞『ウィーアーリトルゾンビーズ』”. シネマカフェ. (2019年2月4日). https://www.cinemacafe.net/article/2019/02/04/60106.html 2019年2月13日閲覧。 
  4. ^ a b “長久允の長編「ウィーアーリトルゾンビーズ」ベルリン映画祭に正式招待”. 映画ナタリー. (2018年12月20日). https://natalie.mu/eiga/news/312908 2019年2月13日閲覧。 
  5. ^ “長久允「ウィーアーリトルゾンビーズ」がベルリン映画祭ジェネレーション部門で受賞”. 映画ナタリー. (2019年2月16日). https://natalie.mu/eiga/news/320245 2019年6月17日閲覧。 
  6. ^ “速報❗️長久允監督またしてもサンダンス映画祭にて快挙!審査員特別賞・オリジナリティ賞を受賞!「ウィーアーリトルゾンビーズ/WE ARE LITTLE ZOMBIES」”. シネフィル. (2019年2月3日). https://cinefil.tokyo/_ct/17247918 2019年2月13日閲覧。 
  7. ^ “長久允監督の「ウィーアーリトルゾンビーズ」がベルリン国際映画祭ジェネレーション部門でオープニング上映”. スポーツ報知. (2019年2月9日). https://hochi.news/articles/20190209-OHT1T50075.html 2019年2月13日閲覧。 
  8. ^ “長久允監督、長編デビュー作「ウィーアーリトルゾンビーズ」で“再び”サンダンスへ!”. 映画.com. (2018年11月29日). https://eiga.com/news/20181129/5/ 2019年2月13日閲覧。 
  9. ^ “長久允監督の長編デビュー作『ウィーアーリトルゾンビーズ』、豪華キャスト集結”. クランクイン!. (2018年11月29日). https://www.crank-in.net/news/60804/1 2019年2月13日閲覧。 

外部リンク

[編集]