バーズ (アメリカのバンド)
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バーズ | |
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1970年撮影 | |
基本情報 | |
出身地 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロサンゼルス |
ジャンル | |
活動期間 | 1964年 - 1973年 |
レーベル | |
旧メンバー |
バーズ(英語: The Byrds)は、アメリカ合衆国のロックバンドである。1964年にロサンゼルスでロジャー・マッギン、ジーン・クラーク、デヴィッド・クロスビーによって結成され[1]、その後すぐにベーシストのクリス・ヒルマンと、ドラマーのマイケル・クラークが加入した。
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100組のアーティスト」において第45位。
キャリア
バーズは、1960年代から1970年代前半のフォークロックのジャンルでは、特に著名なグループだった。ボブ・ディランがエレクトリック・ギターを持ちポール・バターフィールド・ブルース・バンドを伴ってステージに立ち、フォークとブルースにロックの融合を示唆する一方で、フォーク・リヴァイヴァル運動の若者はジャグ・バンドなどに親しむ一方、ビートルズや1966年以降のザ・ビーチ・ボーイズに注目しフォークをロック風に演奏する錯誤のなか、バーズはヒット曲「ミスター・タンブリン・マン」でフォークロックの概念を確立させた。21世紀に入ってこのバンドに関して、ビートルズとボブ・ディランの中間、という表現がよく見受けられるが、フォークミュージックの温かな雰囲気と、ロックンロールのリズム感と豊かなハーモニーを融合させた独特のサウンドが持ち味であった。
1965年にボブ・ディランの作った「ミスター・タンブリン・マン」でデビュー。次いで『旧約聖書』の「コヘレトの言葉(伝道の書)」3章を元に曲をつけたピート・シーガーの「ターン・ターン・ターン(Turn, Turn, Turn! (To Everything There is a Season))」が発売されたが、これら2曲はバーズのシンボル的な曲となった。
バンドは1964年にロサンゼルスで結成され、それぞれソロ・フォーク歌手やフォークグループに参加し、コーヒー・ハウスやトルバドール・クラブ(en)、ウィスキー・ア・ゴーゴーといったライブ・スポットで演奏活動し、ビートルズの影響でバンド結成を思い立ち集結した。地元のエレクトラ・レコードから「ザ・ビーフィターズ(The Beefeaters」)名義でシングル制作で録音(当時未発表)、ジム・ディクソン(en:Jim Dickson (producer))に注目されデモ・テープを制作している(後の1969年に『プリフライト(Preflyte en』として発売)。
1966年初頭にはジーン・クラークが脱退、3月14日当時のサイケデリック・ムーブメントを先取りした先進的な楽曲「Eight Miles High」が発表される。この曲は世界初のサイケデリック・ロックとする見方もある。ロジャー・マッギンの12弦ギターの奏でるうねるような不協和音的イントロは、ジョン・コルトレーンの影響を多分に感じさせる。また、ラヴィ・シャンカールなどのインド音楽からの影響もあったことであろう。この作品のインパクトは大きく、いくつかのラジオ局が「ドラッグ体験を連想させる」との理由で放送禁止にした。後のビートルズの『リボルバー』などの作風に大きな影響を与えている。ロジャー・マッギンの12弦ギターは、ジョージ・ハリスンの影響が最も強い。本人も、ビデオなどで述べている。
1967年アルバム『昨日よりも若く(Younger Than Yesterday en)』は、ゲストにヒュー・マセケラを迎え、コンセプト・アルバムでは先駆的作品の一つだった。評価が分かれた前作アルバム『霧の5次元(Fifth Dimension en)』以降、マッギンの独裁へ主にクロスビーが反発を強め、メンバー間それぞれの不和軋轢へ発展していた。荒れるメンバー間の関係に、折からのヒッピーカルチャーで浮かれる音楽ファンとロックスターを担ぐ音楽ビジネス業界を皮肉り、受け入れられない創作意欲への批判を嘆く厭世的な感傷(「昨日よりも若く」希望を、前進を。)を込めた社会風刺的な内容だった。前作で行ったサイケデリックな楽曲アレンジの先駆は流行になり、関連する実験的音楽、音響効果を最小限に留めフォークロックスタイルに立ち返ったが思索的な詞などは受け入れられず、程なくビートルズのサイケデリック作品『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が話題をさらい、脚光を浴びる機会を逸した。
『名うてのバード兄弟(The Notorious Byrd Brothers en)』は1968年1月15日に発売された。先行して1967年10月20日発売されたシングル「ゴーイン・バック」は、ジェリー・ゴフィンとキャロル・キング の作品で既にダスティ・スプリングフィールドが1966年7月発表した楽曲で、完成が遅れていた『名うてのバード兄弟』へ臨時処置の発売だった。アルバム録音はメンバー間の確執から6月から12月の長期間に渡って収録され、クロスビーは自作曲「Triad」を巡って孤立し楽曲制作の遅れから完成の目途が立たない新作アルバムに場繋ぎとして、この「ゴーイン・バック」カバーでシングル発表することをレーベル側から提案された。一度はバンドとして拒絶し説得に応じスタジオ入りしたのは発売の11日前だった。その後、「ゴーイン・バック」はアルバムへの採用が決まりクロスビーは前後して脱退、楽曲不足にジーン・クラークが招聘され一時的に復帰した。バンドの協調結束力は崩れマッギンのワンマン体制下メンバーチェンジに繋がった。
グラム・パーソンズが唯一参加した『ロデオの恋人(Sweetheart Of The Rodeo)』(1968年)は、ナッシュビルで録音され、サイケデリックな作風から一転、カントリーの要素が色濃く反映されている。アルバム発表後、グラム・パーソンズは、クリス・ヒルマンとともに脱退し、オリジナル・メンバーはロジャー・マッギンただ一人になった。
その後はクラレンス・ホワイトのギターをはじめ、高い演奏能力でカントリー・ロックを聴かせるライブ・バンドとして定着するが、新曲やチャート・アクションとは無縁の状況で惰性的な活動に陥り、マッギンはソロ活動で打開を構想し、活動を非公式に休止した。1973年に突然オリジナル・メンバーで再編し、アサイラム・レコードからアルバムを発表し、新作記念のライブ活動を短期間行ったが、同年中に解散した。
1991年にはロックの殿堂入りを果たした。
脱退したメンバーのその後は、ジーン・クラークはソロ活動、デヴィッド・クロスビーはクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング、クリス・ヒルマンはグラム・パーソンズと共にフライング・ブリトー・ブラザーズを結成している。
在籍メンバー
- ロジャー・マッギン (Roger McGuinn) - ギター(1964年 - 1973年)
- ジーン・クラーク (Gene Clark) - ハーモニカ、タンバリン、ギター(1964年 - 1966年、1967年、1972年 - 1973年)
- デヴィッド・クロスビー (David Crosby) - ギター(1964年 - 1967年、1972年 - 1973年)
- マイケル・クラーク (Michael Clarke) - ドラム(1964年 - 1967年、1972年 - 1973年)
- クリス・ヒルマン (Chris Hillman) - ベース、ギター(1964年 - 1968年、1972年 - 1973年)
- ケヴィン・ケリー (Kevin Kelley) - ドラム(1968年)
- グラム・パーソンズ (Gram Parsons) - ギター、キーボード(1968年)
- クラレンス・ホワイト (Clarence White) - ギター(1968年 - 1973年)
- ジーン・パーソンズ (Gene Parsons) - ドラム、ギター、バンジョーなど(1968年 - 1972年)
- ジョン・ヨーク (John York) - ベース(1968年 - 1969年)
- スキップ・バッティン (Skip Battin) - ベース(1969年 - 1973年)
ディスコグラフィ
アルバム
- 『ミスター・タンブリン・マン』 - Mr. Tambourine Man(1965年)
- 『ターン・ターン・ターン』 - Turn! Turn! Turn! (1965年)
- 『霧の5次元』 - Fifth Dimension (1966年)
- 『昨日よりも若く』 - Younger Than Yesterday (1967年)
- 『名うてのバード兄弟』 - The Notorious Byrd Brothers (1968年)
- 『ロデオの恋人』 - Sweetheart Of The Rodeo (1968年)
- 『バーズ博士とハイド氏』 - Dr.Byrds & Mr.Hyde (1969年)
- 『イージー・ライダー』 - Ballad of Easy Rider (1969年)
- 『(タイトルのないアルバム)』 - (Untitled) (1970年)
- 『バードマニア』 - Byrdmaniax (1971年)
- 『ファーザー・アロング』 - Farther Along (1971年)
- 『バーズ』 - Byrds (1973年)
シングル
# | タイトル | 発売年月日 | 最高位 | 収録アルバム | |
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U.S. | UK | ||||
1 | Please Let Me Love You / Don't Be Long[A] |
1964年10月7日 | – | – | ※オリジナル・アルバム未収録 |
2 | Mr. Tambourine Man / I Knew I'd Want You |
1965年4月12日 | 1 | 1 | Mr. Tambourine Man |
3 | All I Really Want to Do | 1965年6月14日 | 40 | 4 | |
I'll Feel a Whole Lot Better (B-side) | 103[K] | – | |||
4 | Turn! Turn! Turn! / "She Don't Care About Time |
1965年10月1日 | 1 | 26 | Turn! Turn! Turn! |
5 | Set You Free This Time | 1966年1月10日 | 79 | – | |
It Won't Be Wrong (B-side) | 63 | – | |||
6 | It Won't Be Wrong / Set You Free This Time[B] |
1966年2月18日 | – | – | |
7 | Eight Miles High / Why |
1966年3月14日 | 14 | 24 | Fifth Dimension |
8 | 5D (Fifth Dimension) / Captain Soul |
1966年6月13日 | 44 | – | |
9 | Mr. Spaceman / What's Happening?!?! |
1966年9月6日 | 36 | – | |
10 | So You Want to Be a Rock 'n' Roll Star / Everybody's Been Burned |
1967年1月9日 | 29 | – | Younger Than Yesterday |
11 | My Back Pages / Renaissance Fair |
1967年3月13日 | 30 | – | |
12 | Have You Seen Her Face / Don't Make Waves[C] |
1967年5月22日 | 74 | – | |
13 | Lady Friend / Old John Robertson |
1967年7月13日 | 82 | – | ※オリジナル・アルバム未収録 |
14 | Lady Friend / Don't Make Waves[D] |
1967年9月 | – | – | |
15 | Goin' Back / Change Is Now |
1967年10月20日 | 89 | – | The Notorious Byrd Brothers |
16 | You Ain't Goin' Nowhere / Artificial Energy |
1968年4月2日 | 74 | 45 | Sweetheart of the Rodeo |
17 | I Am a Pilgrim / Pretty Boy Floyd |
1968年9月2日 | – | – | |
18 | Bad Night at the Whiskey / Drug Store Truck Drivin' Man |
1969年1月7日 | – | – | Dr. Byrds & Mr. Hyde |
19 | Lay Lady Lay / Old Blue |
1969年5月2日 | 132[K] | – | ※オリジナル・アルバム未収録曲 |
20 | Wasn't Born to Follow / Child of the Universe[E] |
1969年9月26日 | – | – | The Notorious Byrd Brothers |
21 | Ballad of Easy Rider / Oil in My Lamp[F] |
1969年10月1日 | 65 | – | Ballad of Easy Rider |
22 | Jesus Is Just Alright / It's All Over Now, Baby Blue |
1969年12月15日 | 97 | – | |
23 | Chestnut Mare / Just a Season |
1970年10月23日 | 121[K] | 19 | (Untitled) |
24 | I Trust (Everything Is Gonna Work Out Alright) / (Is This) My Destiny[G] |
1971年5月7日 | – | – | Byrdmaniax |
25 | Glory, Glory / Citizen Kane |
1971年8月20日 | 110[K] | – | |
26 | America's Great National Pastime / Farther Along |
1971年11月29日 | – | – | Farther Along |
27 | Full Circle / Long Live the King |
1973年4月11日 | 109[K] | – | Byrds |
28 | Things Will Be Better / For Free[H] |
1973年4月24日 | – | – | |
29 | Cowgirl in the Sand / Long Live the King[I] |
1973年6月 | – | – | |
30 | Full Circle / Things Will Be Better[J] |
1975年8月8日 | – | – | |
"–"はチャート圏外もしくは未認定を意味する。 |
注釈
- A ^ ビーフィーターズ名義でのリリース曲。
- B ^ 米コロムビア盤のA面/B面を入れ替えて、イギリスのみでリリースされたシングル。
- C ^ 「Have You Seen Her Face」は、イギリスでのシングル未発売。
- D ^ イギリス盤「Lady Friend」は、B面が差し替えられた。
- E ^ イギリスのみでのリリース。
- F ^ 「Ballad of Easy Rider」は、イギリスでのシングル未発売。
- G ^ 「I Trust (Everything Is Gonna Work Out Alright)」は、アメリカでのシングル未発売。
- H ^ 「Things Will Be Better」は、アメリカでのシングル未発売。
- I ^ アメリカのみでのリリース。
- J ^ イギリスのみでの再リリース。
- K ^ ビルボード・ホット100シングル・チャートには登場せず。