陳建仁
陳 建仁 | |
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行政院長(首相)として公開された公式写真 | |
生年月日 | 1951年6月6日(73歳) |
出生地 |
中華民国 台湾省高雄県旗山鎮 (現:高雄市旗山区) |
出身校 |
国立台湾大学 ジョンズ・ホプキンズ大学 |
所属政党 |
無所属 民主進歩党(2022年 - ) |
称号 |
教育功労章 大聖グレゴリウス勲章 エルサレム聖墳墓騎士団 中山勲章など |
配偶者 | 羅鳳蘋 |
内閣 | 陳建仁内閣 |
在任期間 | 2023年1月31日 - 2024年5月20日 |
総統 | 蔡英文 |
在任期間 | 2016年5月20日 - 2020年5月20日 |
総統 | 蔡英文 |
内閣 |
蘇貞昌内閣 張俊雄内閣 |
在任期間 | 2006年1月25日 - 2008年5月19日 |
総統 | 陳水扁 |
内閣 | 游錫堃内閣 |
在任期間 | 2003年5月18日 - 2005年2月16日 |
総統 | 陳水扁 |
在任期間 | 2017年3月9日 - 現職 |
会長 | 蔡英文 |
その他の職歴 | |
第11代 国家安全会議副主席 (2016年5月20日 - 2020年5月20日) | |
第10代 中央研究院副院長 (2011年10月18日 - 2015年11月16日) |
陳 建仁 | |
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各種表記 | |
各種表記(本名) | |
繁体字: | 陳 建仁 |
拼音: | Chén Jiàn rén |
通用拼音: | Chén Jiàn rén |
注音符号: | ㄔㄣˊ ㄐㄧ ㄢˋㄖㄣˊ |
台湾語: | Tân Kiàn-jîn |
和名表記: | ちん けんじん |
発音転記: | チェン・ジェンレン |
英語名: | Chen Chien-jen |
陳 建仁(ちん けんじん、1951年〈民国40年〉6月6日 - )は、中華民国(台湾)の疫学家、政治家(民主進歩党所属)。第11代副総統[1]、第31代行政院長を歴任した。2016年総統選挙に出馬する前は輔仁大学理事であり、退任後は同大学に戻り再び理事を務めているほか、劉建仁記念講座の初代教授を担当した[2][3][4]。
略歴
[編集]1951年6月6日[5][6]、台湾高雄県旗山鎮(現・高雄市旗山区)生まれ。1973年に国立台湾大学動物学科卒業後[5]、1977年に医学部の大学院「公共衛生研究所」で修士号を取得し[5]、国立台湾大学での教員となる。その後渡米し、米国の1983年ジョンズ・ホプキンズ大学公共衛生学部流行病および人類遺伝学の大学院で博士号を取得[5]。1994年からはテュレーン大学(公衆衛生学)研究員兼任教授[7][8]。大学教員時にはB型肝炎や小児麻痺、肺癌、鼻咽頭癌などの研究に力を注いだ[9]。同時にヒ素中毒研究の国際的な第一人者であり、嘉南平原で発生していた烏脚病の調査隊に参加している[10]。
2003年5月18日から2005年2月16日まで、行政院衛生署(衛生福利部の前身)で署長を務め、重症急性呼吸器症候群 (SARS) 流行の際にはトップダウン方式の明確な対応と強いリーダーシップで感染拡大防止に尽力した[11]。
2006年1月25日から2008年5月19日まで、行政院国家科学委員会主任委員(委員会は科技部の前身、主任委員はその長)を務め、2011年10月19日から2015年11月23日まで、中央研究院副院長を務めた[12]。
2015年11月16日、2016年中華民国総統選挙候補者の蔡英文(民主進歩党)から副総統候補に指名された[13]。
2016年1月16日、総統選の結果、蔡英文とペアで当選した[14]。
2019年11月17日、蔡英文が2020年中華民国総統選挙の副総統候補に頼清徳を選んだため、中華民国副総統の退任が決まる[16]。
退任を控えた2020年5月18日、蔡英文から史上4人目となる中山勲章を授与された[17]。規定上は副総統退任後も恩給の受給や送迎車などの待遇が得られることになっているが、本人はこうした待遇を辞退し、引き続き中央研究院での研究に従事することを公表した。副総統待遇を辞退した例は過去になく、陳が初となる[18]。
2020年6月6日の誕生日には国立中山大学から名誉博士号を授与された[6]。
長らく無所属だったが、2021年末に蔡英文が推薦人となって民進党への入党手続を行い、2022年2月に党台北支部での入党審査を通過している[19]。
2023年1月25日、行政院長の辞任を表明した蘇貞昌の後任に就任することが総統府より発表された[20]。同月31日に就任した[21]。
2024年1月13日に総統選挙と立法委員選挙が執行され、新規の立法院招集を前に1月18日に内閣総辞職を決定したが、蔡英文総統より慰留された[22]。
新型コロナウイルス
[編集]副総統任期末期に発生した新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) での防疫対応では、政権内での多数のSARS対応経験者の一人として、また専門家の立場から医学的知見での助言や発信を積極的に行い[23][24]、中央流行疫情指揮中心の指揮官陳時中(衛生福利部部長)を後方支援した[25]。
高端疫苗生物製剤(高端、メディジェン)による国産ワクチン「MVC-COV1901」開発段階でも臨床試験に参加している[26]。
人物
[編集]大聖グレゴリウス勲章とエルサレム聖墳墓騎士団の「騎士」の称号を持っている[28]。熱心なカトリック信者であるとされるが、2015年10月24日にカトリック教会が世界代表司教会議で同性婚は認めないと強調した[29]翌月の11月18日にインタビューで同性婚の問題を問われ、「個人はそれぞれ幸福な生活を追求する権利があり、同性愛者も例外ではない。彼等も私たちと同じ様で、同じでない性的傾向があるだけ」、「同性愛者も生命の理念、生活の自由を追求する権利があるが、同性婚について語るならば社会的なコンセンサスが必要かもしれない」と語った[30]。
教授時代の教え子だった陳其邁(台大で公衆衛生修士)とは、SARS時に衛生署署長と立法委員という間柄で、防疫政策での予算や法案審議で立法院と行政院間の協調を図ったが[31]、2020年の新型コロナウイルスでも副総統と行政院副院長という立場で再度師弟が共闘することになった[32][33]。
温厚な性格から国民からは「大仁哥(ターレングァ、仁兄さんの意。)[注 1]」と呼ばれて親しまれている[35]。蔡英文もこの愛称を用いるが、教え子の陳其邁は建仁の副総統退任時に寄せたコメントでも「老師(先生)」と呼び続けていた[36]。
選挙記録
[編集]年度 | 選挙 | 選挙区 | 所属政党 | 得票数 | 得票率 | 当選 | 注釈 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
2016 | 第14期総統・副総統選挙 | 無党籍 | 6,894,744 | 56.12% | [37] |
受章
[編集]学術
[編集]年 | 国家 | 名称 |
---|---|---|
1983-1985 | 行政院国家科学委員会甲種研究奨[7] | |
1986-1994 | 行政院国家科学委員会傑出研究奨[7] | |
1989 | アメリカ国立衛生研究所 フォガーティ国際センター国外フェローシップ[8][5][38][7] | |
1989 | 米国疫学会(American College of Epidemiology) Overseas Fellow[38][7] | |
1991 | 青杏医学研究奨[7] | |
1992 | 聯合医学論文奨[7] | |
1992 | 教育部教学特優教師奨[8] | |
1993 | 米国疫学会会員[7] | |
1995-1999 | 傑出人才発展基金会傑出人才講座[8] | |
1995-2001 | 行政院国家科学委員会特約研究人員[38] | |
1996 | 衛生署二等衛生奨章[7] | |
1997 | 教育部学術奨[38] | |
1997-2002 | 教育部国家講座[38] | |
1998 | 中央研究院院士[5] | |
1999 | 台湾癌症基金会防癌研究傑出奨[7] | |
2001 | ISIトーマス・サイエンティフィック ISI Citation Classic Award[38][8] | |
2002 | 杜聡明博士紀念講座[7] | |
2003 | 行政院国家科学委員会傑出特約研究員奨[8] | |
2005 | 衛生署一等衛生奨章[38][8] | |
2005 | 行政院一等功績奨章[38][8] | |
2005 | 総統科学奨(生命科学奨)[5][8] | |
2005 | 第三世界科学アカデミー会員[38][8] | |
2007 | モンゴル科学アカデミー名誉会員[38][8] | |
2008 | ハーバード大学 Cutter 予防医学講座[5][8] | |
2009 | 台美文教基金会傑出科技工程奨[38][8] | |
2010 | ジョンズ・ホプキンズ大学デルタ・オメガ 優等生協会(Honorary Society in Public Health)会員[8] | |
2010 | 王民寧学術研究傑出貢献奨[38][8] | |
2011 | タイ王国消化系学会 Prof. Vikit Viranuvatti 紀念奨座[8] | |
2011 | 台湾癌症聯合学術年会台湾癌症防治貢献奨[8] | |
2012 | 行政院国家科学委員会一等科学専業奨章[8] | |
2012 | ジョンズ・ホプキンズ大学 「The Knowledge for the World」賞[5][8] | |
2013 | 行政院傑出科技貢献奨[38] | |
2014 | 中国医薬大学名誉博士[38] | |
2016 | 中央研究院特等服務奨章[38] | |
2017 | 米国科学アカデミー会員[38] | |
2020 | 国立中山大学名誉博士[38] | |
2020 | 高雄医学大学名誉博士[38][39] | |
2021 | ローマ教皇庁科学アカデミー会員(台湾出身者ではノーベル賞学者の李遠哲に次ぐ2例目[40]) |
勲章
[編集]年 | 国家 | 名称 |
---|---|---|
2009 | 国民教育省教育功労章(オフィシエ)[5][38][8] | |
2010 | エルサレム聖墳墓騎士団(ナイト)[41][42] | |
2013 | 大聖グレゴリウス勲章(ナイト)[38][5][43][42] | |
2020 | 中山勲章[38] |
脚注
[編集]註釈
[編集]出典
[編集]- ^ “陳建仁 副總統” (中国語). 中華民國總統府. 2022年1月15日閲覧。
- ^ The18th Session of the Board of Trustees
- ^ 輔仁大學學校財團法人董事會第 18 屆第 16 次會議摘要
- ^ 輔仁大學醫學院聘請中研院陳建仁院士 擔任第一屆劉建仁神父紀念講座教授
- ^ a b c d e f g h i j k l “陳建仁・第14代中華民国(台湾)副総統の紹介”. 台北駐日経済文化代表処. (2016年5月20日)
- ^ a b “罷韓日陳建仁生日!中山大學頒名譽博士學位”. 民視 (Youtube). (2020年6月6日)
- ^ a b c d e f g h i j k “陳建仁”. nchc.org.tw. 科技部週日閱讀科學大師計畫. 國家高速網路與計算中心. 2021年8月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t “Chen, Chien-Jen 陳建仁”. 中央研究院基因體研究中心. 2021年8月8日閲覧。
- ^ “人物:陳建仁—台灣流行病學戰士”. 大紀元. (2003年5月18日)
- ^ “流行病學家陳建仁 帶台灣走過SARS風暴”. 中央通訊社 (Taiwan News 台灣英文新聞). (2015年11月14日)
- ^ 2003年 第1号 新型肺炎SARS台湾視察報告トップダウンで感染防止を果たした台湾に学べ! (PDF)
- ^ 林讓均 (2015年11月16日). “蔡英文副手出列,正是中研院副院長陳建仁” (中国語). 遠見雜誌 2022年1月15日閲覧。
- ^ “台湾:副総統候補、陳氏を決定 野党・民進党”. 毎日新聞. (2015年11月17日). オリジナルの2016年1月25日時点におけるアーカイブ。 2016年1月25日閲覧。
- ^ “台湾新総統・蔡氏に当選証書「権力は人民に借りたもの」”. 朝日新聞デジタル. (2016年1月22日). オリジナルの2016年1月25日時点におけるアーカイブ。 2016年1月25日閲覧。
- ^ 鈴木玲子 (2016年5月20日). “台湾新総統就任:「一つの中国」言及せず 対中国で玉虫色”. 毎日新聞 2016年5月20日閲覧。
- ^ “台湾・蔡総統、副総統候補に頼氏起用 中国は警戒”. Reuters. (2019年11月18日)
- ^ “頒中山勳章給陳建仁 蔡:溫暖.專業.有責任感”. 民視 (Youtube). (2020年5月18日)
- ^ “陳建仁棄禮遇回中研院!施景中讚「聖人」:國家因你而偉大”. 三立新聞網. (2020年5月15日)
- ^ “陳建仁申請加入民進黨 吳怡農:台北市黨部審查通過”. 自由時報. (2022年2月25日)
- ^ “台湾、新たな行政院長に陳建仁・元副総統”. ロイター. (2023年1月25日) 2023年1月26日閲覧。
- ^ “台湾で行政院の新体制発足、外交・安保担当は留任”. 産経新聞. (2023年1月31日) 2023年1月31日閲覧。
- ^ “内閣総辞職を閣議決定 陳行政院長が辞職申し入れも蔡総統は慰留/台湾”. 中央社フォーカス台湾. 中央通訊社. (2024年1月18日) 2024年1月23日閲覧。
- ^ “台湾・陳建仁副総統「台湾がWHO加盟なら新型肺炎早期予防できた」”. 産経新聞. (2020年2月26日)
- ^ “肺炎疫情:台灣副總統陳建仁分享抗疫經驗 冀跟英國合作抗疫”. BBC News 中文 (Youtube). (2020年4月13日)
- ^ 赫海威, CHRIS HORTON (2020年5月11日). “台灣的抗疫「武器」:流行病學家出身的副總統陳建仁” (中国語). 紐約時報中文網 2022年1月15日閲覧。
- ^ “《新型肺炎》台湾製ワクチン、陳前副総統が特権接種?/台湾”. ワイズニュース. (2021年7月19日)
- ^ “台湾最大野党・民進党、副総統候補に陳氏 公衆衛生の専門家”. 日本経済新聞. (2015年11月16日) 2016年1月25日閲覧。
- ^ “陳建仁資歷顯赫 還有梵諦岡「騎士」頭銜” (中国語). 自由時報. (2015年11月13日)
- ^ “カトリック司教会議、離婚・同性愛への姿勢変えず”. 日本経済新聞. (2015年10月25日) 2016年5月9日閲覧。
- ^ “同性戀者有權追求幸福 陳建仁:同性婚姻需要社會共識” (中国語). ETtoday東森新聞雲. (2015年11月18日) 2016年5月9日閲覧。
- ^ “陳建仁誇得意門生陳其邁「當年控制SARS疫情功臣之一」” (中国語). 風傳媒. (2018年11月7日)
- ^ 方志賢 (2020年7月21日). “台灣防疫獲高度支持 陳建仁讚陳其邁是行政院背後操盤手” (中国語). 自由時報 2022年1月15日閲覧。
- ^ “糗! 陳其邁自爆 曾只穿內褲與陳建仁視訊” (中国語). 自由時報. (2020年6月11日) 2022年1月15日閲覧。
- ^ “鐵漢大仁哥驟逝 愛車繼續巡邏”. 今日新聞 (Yahoo奇摩). (2016年1月16日)
- ^ 高橋正成 (2021年6月8日). “日本のワクチン支援の裏で政争が起きていた台湾”. 東洋経済
- ^ 歡送第14任副總統陳建仁 謝謝大仁哥!台灣有你真好! - YouTube 2020年5月14日 蔡英文公式チャンネル
- ^ “中選會委員會議審定通過並公告第14任總統副總統選舉當選名單”. 中央選舉委員會. 2024年1月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年1月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u “Chien-Jen Chen”. Pontifical Academy of Sciences(ローマ教皇庁科学アカデミー). 2021年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月8日閲覧。
- ^ “《高雄》高醫大66週年校慶 陳建仁獲頒名譽博士”. 自由時報. (2020年10月18日)
- ^ “台灣第二人 前副總統陳建仁獲教宗任命為「宗座科學院」院士”. 台灣蘋果日報. (2021年7月31日)
- ^ “【禮儀】11/14 耶路撒冷聖墓騎士冊封大典”. 耶穌會中華省. 2015年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月13日閲覧。
- ^ a b 張嘉明 (2015年11月13日). “陳建仁資歷顯赫 還有梵諦岡「騎士」頭銜”. 自由時報 2015年11月13日閲覧。
- ^ “八位新封聖大額我略爵士”. 天主教會台灣地區主教團 (2013年8月5日). 2017年5月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月13日閲覧。
外部リンク
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