金子遊
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金子 遊(かねこ ゆう、1974年 - )は、日本の映像作家、批評家、フォークロア研究。
目次
来歴・人物[編集]
父は脚本家の金子裕[1]。慶應義塾大学環境情報学部卒業[2]。同大学在学中に制作した16ミリ映画で、メディアウェイブ・フェスティバル(ハンガリー)に正式出品。2008年に『ぬばたまの宇宙の闇に』で奈良前衛映画祭グランプリ受賞、翌2009年に「批評の奪還 松田政男論」にて映画芸術評論賞・佳作を受賞[3]。2010年にドキュメンタリー映画『ベオグラード1999』を東京・大阪で劇場公開[4]。
2011年に編著『フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』刊行。「弧状の島々 ソクーロフとネフスキー」で三田文学新人賞(評論部門)受賞[5]。2012年から、ドキュメンタリーマガジン「neoneo」編集委員。2013年にドキュメンタリー映画『ムネオイズム 〜愛と狂騒の13日間〜』を全国で劇場公開。2015年に単著『辺境のフォークロア』刊行。「山形国際ドキュメンタリー映画祭2015」コーディネーター。テレビ番組やPR映像のシナリオ、番組構成、演出など多数。2017年に『映像の境域 アートフィルム/ワールドシネマ』でサントリー学芸賞受賞[6]。2018年より「東京ドキュメンタリー映画祭」プログラム・ディレクター[7]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『辺境のフォークロア ポスト・コロニアル時代の自然の思考』 河出書房新社 2015年
- 『異境の文学 小説の舞台を歩く』 アーツアンドクラフツ 2016年
- 『映像の境域 アートフィルム/ワールドシネマ』 森話社 2017年
- 『ドキュメンタリー映画術』 論創社 2017年
- 『混血列島論 ポスト民俗学の試み』 フィルムアート社 2018年
- 『悦楽のクリティシズム 2010年代批評集成』 論創社 2019年
編著[編集]
- 『フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方』 アーツアンドクラフツ 2011年
- 『逸脱の映像 拡張・変容・実験精神』 松本俊夫著 金子遊編 月曜社 2013年
- 『吉本隆明論集 初期・中期・後期を論じて』 アーツアンドクラフツ 2013年
- 『クリス・マルケル―遊動と闘争のシネアスト』 港千尋監修 東志保共編 森話社 2014年
- 『国境を超える現代ヨーロッパ映画250 移民・辺境・マイノリティ』野崎歓、渋谷哲也、夏目深雪共編 河出書房新社 2015年
- 『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』 西村智弘共編 森話社 2016年
- 『アピチャッポン・ウィーラセタクン 光と記憶のアーティスト』 夏目深雪共編 フィルムアート社 2016年
- 『映画で旅するイスラーム 知られざる世界へ』 藤本高之共編 論創社 2018年
- 『ブラジル映画史講義 混血する大地の美学』今福龍太著 金子遊編集 現代企画室 2018年
- 『半島論 アートと文学による叛乱の地勢学』中里勇太共編 響文社 2018年
訳書[編集]
- 『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』マイケル・タウシグ著 井上里、水野友美子共訳 水声社 2016年
- 『メイキング 人類学・考古学・芸術・建築』ティム・インゴルド著 水野友美子、小林耕二共訳 左右社 2017年
共著[編集]
- 『星座 Constellation 吉増剛造』 矢立出版 2008年
- 『アジア映画の森―新世紀の映画地図』 作品社 2012年
- 『このショットを見よ 映画監督が語る名シーンの誕生』 フィルムアート社 2012年
- 『平成時代史考』 色川大吉著 アーツアンドクラフツ 2013年
- 『アジア映画で<世界>を見る 越境する映画、グローバルな文化』 作品社 2013年
- 『アイヌ民族否定論に抗する』 河出書房新社 2015年
- 『鳥居龍蔵 日本人の起源を探る旅』 アーツアンドクラフツ 2015年
- 『映画批評コレクティヴ1』 シネマトリックス/ソリレス書店 2016年
- 『谷川健一 民俗のこころと思想』 アーツアンドクラフツ 2016年
- 『島尾敏雄・ミホ 共立する文学』 河出書房新社 2017年
- 『エドワード・ヤン 再考/再見』 フィルムアート社 2017年
- 『ストローブ=ユイレ シネマの絶対に向けて』 森話社 2018年
- 『折口信夫 死と再生、そして常世・他界』 アーツアンドクラフツ 2018年
- 『ゲームチェンジング・ドキュメンタリズム』 ビー・エヌ・エヌ新社 2018年
編集[編集]
- 『ドキュメンタリーカルチャーマガジン neoneo』01号 neoneo編集室 2012年
- 『ドキュメンタリーカルチャーマガジン neoneo』02号(小川紳介特集) neoneo編集室 2013年
- 『ドキュメンタリーカルチャーマガジン neoneo』03号(クリス・マルケル特集) neoneo編集室 2013年
- 『ドキュメンタリーマガジン neoneo』04号(ロバート・フラハティ特集) neoneo編集室 2014年
- 『ドキュメンタリーマガジン neoneo』05号(亀井文夫特集) neoneo編集室 2015年
- 『ドキュメンタリーマガジン neoneo』06号(ヨリス・イヴェンス特集) neoneo編集室 2015年
- 『ドキュメンタリーマガジン neoneo』07号(土本典昭特集) neoneo編集室 2016年
- 『ドキュメンタリーマガジン neoneo』08号(アジアのドキュメンタリー特集) neoneo編集室 2016年
- 『ドキュメンタリーマガジン neoneo』09号(いのちの記録特集) neoneo編集室 2017年
- 『ドキュメンタリーマガジン neoneo』10号(環境とネイチャー特集) neoneo編集室 2017年
- 『ドキュメンタリーマガジン neoneo』11号(ダイレクト・シネマ特集) neoneo編集室 2018年
関連書籍[編集]
- 『68-72 世界革命展』 ICANOF 2008年
- 『祝祭4 特集「ベオグラード1999」』 高円寺文庫 2010年
- 『ソーシャル・ドキュメンタリー 現代日本を記録する映像たち』 フィルムアート社 2012年
作品[編集]
映画[編集]
- でろり(2004年)監督
- ぬばたまの宇宙の闇に(2008年)監督 ※奈良前衛映画祭グランプリ、イメージフォーラム・フェスティバル出品
- ベオグラード1999(2009年)監督 ※東京・大阪劇場公開
- 予告する光 gozoCiné(2011年)配給・宣伝 ※東京・大阪劇場公開
- ムネオイズム 〜愛と狂騒の13日間〜(2012年)監督 ※全国劇場公開
- インペリアル 戦争のつくり方(2014年)監督 ※大阪劇場公開
- ガーデンアパート(2017年)プロデューサー・共同脚本 ※ロッテルダム国際映画祭、大阪アジアン映画祭出品
- 映画になった男(2018年)監督 ※東京ドキュメンタリー映画祭、田辺・弁慶映画祭出品
短編映画[編集]
- わが埋葬(1998年)監督 ※メディアウェイブ・フェスティバル出品
- バグダッド1999(2008年)監督 ※68-72 世界革命展出品
- 書頭人(2008年)監督 ※シアター・テレビジョン放映
- 小笠原リール(2010年)監督
- 軌跡 ―小名浜0811―(2011年)脚本 ※山形国際ドキュメンタリー映画祭出品
- 万葉律パレスチナ(2013年)監督 ※万葉アートフォーラム、パレスチナ・フェスティバル2013出品
テレビ番組[編集]
企画上映[編集]
- 特集 アジア映画の森 2012年10月 アテネフランセ文化センター
- フィルムヲ見ル会① 追悼・高林陽一 2012年11月 アップリンク
- フィルムヲ見ル会② 飯村隆彦レトロスペクティブ 2013年4月 アップリンク
- はじめての小川紳介 2013年7月 オーディトリウム渋谷
- 特集 アジア映画で<世界>を見る 2014年1月 映画美学校
- フィルムヲ見ル会③ 奥山順市 未現ゾーン 2014年2月 アップリンク
- 生誕130年 ロバート・フラハティ 2015年2月 アップリンク
- クリス・マルケル・セレクション 2015年7月 アテネフランセ文化センター
- 亀井文夫特集『日本の悲劇』『戦ふ兵隊』 2015年9月 アップリンク
- よみがえれ土本典昭 2016年7月 アップリンク
- 現代ヨーロッパ映画(1)移民・難民・越境・辺境・マイノリティ 2016年8月 アテネフランセ文化センター
- レトロスペクティブ 映像作家・金子遊 2017年7月 アテネフランセ文化センター
- 東京ドキュメンタリー映画祭2018 2018年12月 新宿K's Cinema
評論・エッセイ[編集]
- 『フィルム・メーカーズ デイヴィッド・リンチ』 キネマ旬報社 責任編集・滝本誠 1999年刊
- 「テロティシズム」 『発言者』99年7月〜10月号連載
- 「曖昧な日本の私がたり 江藤淳論」 『三田文学』05年春季号
- 「海の向こうで戦後が始まる」 『映画芸術』08年春号
- 「キートン・ベケット」 『Corpus 身体表現批評』no.6
- 「生活者のまなざしで撮る映画 ジョナス・メカス論」 『AAC』62号
- 「武満徹とラフカディオ・ハーン 耳という身体器官」 『Corpus 身体表現批評』no.7
- 『誰も読まない―大正・昭和日本文学瞥見』 島本達夫著 アーツアンドクラフツ 2010年刊
- 「開高健作品ガイド」 『文藝別冊 開高健』10年1月
- 「批評の奪還 松田政男論」 『映画芸術』10年冬号 ※映画芸術評論賞・佳作受賞
- 「現代映画とアメリカの複数性」 『映画芸術』10年春号
- 「シネマの中の高齢者」 『月刊エルダー』11年6月号~連載
- 「gozoCiné―妖精博士のマチエール」 『現代詩手帖』11年8月号
- 「弧状の島々 ソクーロフとネフスキー」 『三田文学』11年秋季号 ※三田文学新人賞(評論部門)受賞
- 「映像詩の宇宙」 『現代詩手帖』12年3月号~14年11月号
- 「サハリン半島の年代記」 『三田文学』12年春季号
- 「ドキュメンタリストの眼」 『neoneo』創刊号 12年9月~連載
- 「南洋の余白(マージナル)」 『やま かわ うみ』12年秋号~連載
- 「パレスチナの歩き方」 『月刊レコンキスタ』12年12月号~13年2月号
- 「野性のアクティヴィズム 『罵詈雑言』と無責任の体系 」 『neoneo』2号 13年3月
- 「書評『イメージの進行形』」 『週刊読書人』 13年3月
- 「窃視者は蝶を夢見る」 『別冊太陽 寺山修司 天才か怪物か』13年5月
- 「吉本隆明の“宗教と死”」 『週刊読書人』13年5/10号 鼎談=古谷利裕・西川アサキ・金子遊
- 「銀幕の上のデュラスと太宰の出会い」 『女生徒1936』映画パンフレット 13年6月
- 「赤きオオカミへの挽歌 『空気の底は赤い』論」 『neoneo』3号 13年10月
- 「巫娼たちの渚」 道の手帖『谷川健一 越境する民俗学の巨人』 14年2月
- 「伊良波盛男氏の詩集『超越』」 『宮古毎日新聞』 14年5月
- 「叫びと悲しみの彼方に、生まれ出ずるもの」『わたしたちに許された特別な時間の終わり』映画パンフ 14年8月
- 「呪術と死人」 『詩の練習13 吉増剛造特集』 14年10月
- 「おわりなき逸脱へ」 『映画芸術』14年秋号 鼎談=松本俊夫・波多野哲朗・黒坂圭太・金子遊
- 「吉本隆明 軍国主義者から普遍文学への軌跡」 『図書新聞』14年12/6号 対談=田中和生・金子遊
- 「3・11とドキュメンタリー表現の拡張」 『IMAGE LIBRARY NEWS』第31号 14年12月
- 「サモア島のモアナ フラハティとマーガレット・ミード」 『neoneo』4号 14年12月
- 「自死と心中 『日々の死』論」 『三田文学』15年冬季号 15年1月
- 「草葺き小屋のイザベラ・バード」 『やまかわうみ』10号 15年2月
- 「首を狩るひと 鳥居龍蔵の台湾フィールド写真」『やまかわうみ』別冊 15年6月
- 「砂川のインディアン 亀井文夫とデニス・バンクス」『neoneo』5号 15年6月
- 「大神島の媼亡ければ」『脈 谷川健一と沖縄』85号 15年8月
- 「光と重力がもたらす偶然という恩寵」『あえかなる部屋』映画パンフレット 15年9月
- 「交雑する池間島と伊良波盛男の詩」『やまかわうみ』Vol.11 15年9月
- 「パトリシオ・グスマンとクリス・マルケル」『neoneo web』 15年10月
- 「戦時の人類学 イヴェンスとベネディクト」『neoneo』6号 15年12月
- 「対岸のアラベスク マイケル・タウシグと樺太先住民」『現代思想 人類学のゆくえ』 16年2月
- 「クメール民話とアピチャッポンの東北」『neoneo web』 16年4月
- 「SEALDsと共に歩むために」『neoneo web』 16年5月
- 「オルタナティブ・ジャーナリズムの可能性」『現代思想 報道のリアル』7月号 16年6月
- 「憑り代としての手書」『現代詩手帖』7月号 16年6月
- 「オホーツク 漁る人びと」『neoneo』7号 16年6月
- 「ドキュメンタリー映画、あるいは現代における映像の極北」『キネマ旬報』11月下旬号 16年11月
- 「混血列島論」 別冊やまかわうみ『谷川健一 民俗のこころと思想』 16年12月
- 「リティ・パンと七つの外部記憶」『neoneo』8号 16年12月
- 「不寛容の世界に抗するドキュメンタリー」『週刊金曜日』12/23号 16年12月
- 「氷の大地の生活誌」『極北のナヌーク』Blu-rayリーフレット 17年6月
- 「佐藤真と生の芸術」『neoneo』9号 17年7月
- 「花綵列島の独唱曲」『島尾敏雄・ミホ』 17年7月
- 「北西部をインスタレーションする」『ツイン・ピークス読本』 17年8月
- 「亜熱帯のコスモポリタン」『エドワード・ヤン 再見/再考』 17年8月
- 「ニコトコ島はどこにあるのか?」『ニコトコ島』『石と歌とペタ』プレスリリース 17年10月
- 「フィルム・アンデパンダンの時代」『文藝別冊 大林宣彦』 17年10月
- 「光学の民族誌」『映画以内、映画以後、映画辺境』 18年2月
- 「ソーシャル・デザインとしてのオキュパイ」『現代思想 現代を生きるための映像ガイド』 18年2月
- 「いかにデジタルシネマを「映画」にするか」『音から作る映画 全記録2014-2018』 18年3月
- 「山のわざおぎ 湯立て神楽の常世観」『折口信夫 死と再生、そして常世・他界』 18年4月
- 「アピチャッポンの森に分け入る」『新潮』 18年5月
- 「『モアナ』に見るサモアの民俗」『モアナ 南海の歓喜』パンフレット 18年7月
- 「庶民の発見—ワン・ビンの『鉄西区』を観る」『neoneo』11号 18年7月
- 「ラタナキリの呪術師 カンボジア北東部の少数民族」『アステイオン』89号 18年11月
- 「ハニ族の通訳さん」『文學界』12月号 18年11月
- 「マクロネシア紀行」『アーツアンドクラフツ』WEB 18年12月〜連載
- 「狂気の静けさ」アピチャッポン・ウィーラセタクン著/金子遊訳 『新潮』3月号 19年2月
脚注[編集]
- ^ 金子裕 (2010年10月31日). “宣伝ですが、”. ネコも歩けば・・・(酔中日記). 2013年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月3日閲覧。
- ^ “2011年度掲載記事”. 慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス(SFC). 2014年5月3日閲覧。
- ^ “フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方「著者紹介」”. e-hon. 2018年3月14日閲覧。
- ^ “映画『ベオグラード1999』”. シネマトゥデイ. 2018年3月14日閲覧。
- ^ “三田文学新人賞 受賞者一覧”. 三田文学ホームページ. 2018年3月14日閲覧。
- ^ “第39回 サントリー学芸賞決定”. サントリー文化財団. 2018年3月14日閲覧。
- ^ “「東京ドキュメンタリー映画祭」公式サイト”. neoneo編集室. 2018年9月23日閲覧。
外部リンク[編集]
- シネマの舞台裏 本人のブログ
- フィルムメーカーズ 個人映画のつくり方 出版社のページ
- 逸脱の映像 出版社のページ
- 吉本隆明論集 出版社のページ
- アジア映画で<世界>を見る 出版社のページ
- クリス・マルケル 遊撃と闘争のシネアスト出版社のページ
- 辺境のフォークロア出版社のページ
- ドキュメンタリーマガジン「neoneo」
- ベオグラード1999 公式サイト
- ムネオイズム ~愛と狂騒の13日間~ 公式サイト
- インペリアル 戦争のつくり方 公式サイト
- 鳥居龍蔵 日本人の起源を探る旅
- 国境を超える現代ヨーロッパ映画250出版社のページ
- ヴァルター・ベンヤミンの墓標出版社のページ
- 異境の文学出版社のページ
- アピチャッポン・ウィーラセタクン出版社のページ
- エドワード・ヤン 再考/再見出版社のページ
- ドキュメンタリー映画術出版社のページ
- ガーデンアパート 公式サイト
- 映画で旅するイスラーム出版社のページ
- ブラジル映画史講義出版社のページ
- 悦楽のクリティシズム出版社のページ