膀胱炎
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| 膀胱炎 | |
|---|---|
| 概要 | |
| 診療科 | 泌尿器科学 |
| 分類および外部参照情報 | |
| ICD-10 | N30 |
| ICD-9-CM | 595 |
| DiseasesDB | 29445 |
| MeSH | D003556 |
膀胱炎(ぼうこうえん、英:cystitis)は、膀胱に起こる炎症である。
急性膀胱炎と慢性膀胱炎がある。急性膀胱炎は細菌性の感染症である。慢性膀胱炎は、急性膀胱炎の慢性化のほか、間質性膀胱炎もある。なお、糖尿病などの合併症に膀胱炎を起こすこともあるが、それらは主に細菌性である。
診断
[編集]女性に多く、男性では比較的少ない。これは、女性の場合尿道が短いため細菌が膀胱にまで遡上しやすいことによる。そのため、男性は逆に尿道炎の罹患率が高い(当該項目参照)。
基本的に発熱を伴わない。発熱を伴っているときには、実質臓器の炎症、特に腎盂腎炎まで感染が拡がっている可能性がある。排尿痛、頻尿、血尿のいずれかがあれば、ほぼ50%の確率で急性尿路感染症と診断される[1]。 検査としては尿検査が主な検査である。起炎菌の同定のため尿培養検査が実施される。間質性膀胱炎の診断には、膀胱鏡検査が必要となる。
治療
[編集]多くは細菌感染症である。原因となる細菌がはっきりしていれば、感受性や薬剤の組織移行性を考え処方を行う。 原因菌がはっきりしない段階で処方を行う際には
などを用いる。性感染症も合併が疑われるときには
も使われることが多い。
- 漢方薬 猪苓湯や猪苓湯合四物湯が症状緩和に用いられるが、根本的な治療にはならない。
関連項目
[編集]歴史
[編集]- 女性の頻尿は、主に大腸菌に起因する膀胱炎が原因であるとみなされており[2]、古代には抗利尿作用がある整腸剤として、フェヌグリーク(トリゴネラ種子)、クマリン(シナモン、桜の葉、トンカマメなど)、スパルテイン(ルピナス)が使用された[3]。
- 一般的に、焼いたジャガイモ、生姜、パセリ、大麦は水分を吸収しやすく抗利尿作用があるとされている[2]。
- 前述のとおり、女性は男性に比べて尿道が短く、罹患リスクが高いが、尿道口と肛門が至近距離にあるため雑菌が侵入しやすく、外陰部を男性以上に清潔に保つ必要がある。しかしながら、女性器は男性器に比べ排尿時に汚れやすく、また水分を振り落とせないため不潔になりやすい。そのため、パンティーとちり紙が普及すると世界の大半の文化圏で、女性は男性とは異なり排尿の度に陰部を拭き取る習慣が常識として定着した。
- 現代でもトイレットペーパーのない野外で排尿した際には、女性も男性同様に性器を拭かずに済ませることが多い。米国では、野外での排尿を経験した女性のうち、ポケットティッシュ等を使用した者は全体の53%にとどまっており、残り47%は野外では排尿後の後始末を省略している[4]。排尿後に性器を拭かなかった場合、下着を汚すことは避けられず、陰裂内部は尿で濡れたままとなる。また、陰裂内部から水分が下着に染み出し続けるため、長時間に渡り生殖器周辺やその内部で雑菌が繁殖しやすい湿潤な環境が持続する。このため、女性の野外での排尿は急性膀胱炎の罹患リスクを高めうる。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- 出典
- ^ Bent et al. JAMA 287:2701-2710,2002
- ^ a b Quora, Are there any natural antidiuretics? If so, what are they? https://qr.ae/pKlGVF.
- ^ J. A. Abdel-Barry, others. 2000, p. 83.
- ^ Zurer, Rachel (2015年9月14日). “Women: How to Pee Outside Without Toilet Paper” (英語). Backpacker. 2025年10月27日閲覧。
参考文献
[編集]- J. A. Abdel-Barry, others. (2000), Hypoglycaemic effect of aqueous extract of the leaves of Trigonella foenum-graecum in healthy volunteers, p. 83 https://applications.emro.who.int/emhj/0601/emhj_2000_6_1_83_88.pdf.