等差数列

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数学における等差数列(とうさすうれつ、: arithmetic progression, arithmetic sequence; 算術数列)とは、「隣接する項が共通の差(公差)を持つ数列」(sequence of numbers with common difference) を言う。例えば、5, 7, 9, 11, 13, …公差 2の等差数列である。

算術数列の初項を a1 とし、その公差を d とすれば、n-番目の項 an

であり、一般に
と書くことができる。

有限個の項しか持たない算術数列は有限算術数列とよび、初等数学ではしばしばそれを単に等差数列と呼ぶ。有限算術数列の和は算術級数 (arithmetic series) と言う。

算術数列の振る舞いは公差 d に依って決まる:

  • d が正ならば、数列の項は正の無限大に発散する。
  • d が負ならば、数列の項は負の無限大に発散する。

総和[編集]

2 + 5 + 8 + 11 + 14 = 40
14 + 11 + 8 + 5 + 2 = 40

16 + 16 + 16 + 16 + 16 = 80

2 + 5 + 8 + 11 + 14 の計算。もとの数列を逆順にした数列を用意して、もとの数列と項ごとに加えると、得られる数列は同じ一つの値を繰り返す(その値はもとの数列の初項と末項の和)。ゆえに、2 + 14 = 16, 16 × 5 = 80 が求める和の二倍に等しい。

通例、有限算術数列の和を算術級数と言う[注釈 1]。公差 d の等差数列の n 個の項 a1, a2, ..., an の総和は、

と表される。この種の式は、ピサのレオナルド(一般にはフィボナッチとして知られる)が記した『算盤の書』("Liber Abaci"; 1202年, ch. II.12)に登場する。よく聞かれる伝承として、カール・フリードリヒ・ガウスがこの式を再発見した話がある。彼が3年生のときに、教師J. G. Bütnerが生徒たちに1から100までの合計を求めさせたところ、彼は即座に答(5050)を出したため、Bütner と助手のMartin Bartels英語版)がいたく驚いた、というものである。

GIF動画: 自然数の和 1 + 2 + ⋯ + n を求める公式の導出
導出
等差数列の総和を順番を変えて
と二通りに表し、両辺を項ごとに足し合わせる。すると右辺では各項で d を含む成分がすべて相殺されて初項と末項の和だけが残り、それが n 項続いて 2Sn = n(a1 + an) となる。両辺を 2 で割れば
を得る。

そして等差級数の平均値 Sn/n は、明らかに (a1 + an)/2 である。499年に、インド数学天文学英語版古典期の傑物数学天文学者であるアーリヤバタは、Aryabhatiya英語版 (section 2.18) でこのような方法を与えている。

総乗[編集]

初項 a1 で、公差 d である総項数 n の等差数列に対して、項を全て掛け合わせた総乗

上昇階乗冪)はガンマ関数 Γ を用いて
という閉じた式英語版によって計算できる(ただし、a1/d が負の整数や 0 となる場合は、式は意味を持たない)。Γ(n + 1) = n! に注意すれば、上記の式は、1 から n までの積 1 × 2 × ⋯ × n = n! および正の整数 m から n までの積 m × (m + 1) × ⋯ × (n − 1) × n = n!/(m − 1)! を一般化するものであることが分かる。

算術数列の共通項[編集]

任意の両側無限算術数列が二つ与えられたとき、それらに共通に表れる項を(項の前後関係は変えずに)並べて与えられる数列(数列の「交わり」)は、空数列であるか別の新たな算術数列であるかのどちらかである(中国の剰余定理から示せる)。両側無限算術数列からなるに対し、どの二つの数列の交わりも空でないならば、その族の全ての数列に共通する項が存在する。すなわち、そのような無限算術数列の族はヘリー族英語版である[1]。しかし、無限個の無限算術数列の交わりをとれば、無限数列ではなくただ一つの数となり得る。

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注釈[編集]

  1. ^ 通常の意味では無限算術級数発散するから、その和はそもそも無意味である。

出典[編集]

  1. ^ Duchet, Pierre (1995), “Hypergraphs”, in Graham, R. L.; Grötschel, M.; Lovász, L., Handbook of combinatorics, Vol. 1, 2, Amsterdam: Elsevier, pp. 381–432, MR 1373663 . See in particular Section 2.5, "Helly Property", pp. 393–394.

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • Sigler, Laurence E. (trans.) (2002). Fibonacci's Liber Abaci. Springer-Verlag. pp. 259–260. ISBN 0-387-95419-8. 

外部リンク[編集]