第三書館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

第三書館(だいさんしょかん)は東京都新宿区大久保にある出版社。『交番のウラは闇』『ケーサツの横はドブ』(どちらも1987)などの警察批判本・暴露本シリーズや『ザ・殺人術』といった戦闘テクニック書など、アナーキーサブカルチャー左翼系、反体制・反天皇制などの反日的テーマについての本を出版している。

また『大活字版 ザ・龍之介-全小説全一冊』、『ザ・漱石』、『ザ・花田清輝』、『ザ・シェークスピア-全戯曲(全原文+全訳)全一冊』などの「ザ」シリーズ、『ザ・俳句歳時記』(監修:有馬朗人金子兜太・廣瀬直人)、『ザ俳句10万人歳時記』(監修:有馬朗人・宇多喜代子・金子兜太・廣瀬直人、編集:松田ひろむ)などの文芸書など多様な出版をしている。代表取締役は日本赤軍関係者の北川明。 北川は、民主党議員の辻元清美の内縁の夫である。

注目を集めた刊行書籍[編集]

中東関係[編集]

これまで、ノルウェーの文化人類学者による『カイロの庶民生活』、アラブ民族運動の歴史『アラブの目覚め』といった翻訳書を中心に、30点以上の中東関係の単行本刊行を行っている。また、1990年湾岸危機時には、板垣雄三東大教授の編集で、同年10月に国内の中東研究者によるシンポジウムの収録と論文を集めた『クウェート危機を読み解く』、同年12月に中東の政治、文化、宗教などを理解するための論考を集めた『中東パースペクティブ』などを刊行し注目された。北川・当社社長は「大きな出版社は、中東関係の本は最初から諦めている。私のところは、中東は日本人の外国理解の重要な鍵になると思うから、初版は2000-3000部を出して、時間をかけて売っていく」と述べている[1]

エヴァンゲリオン本[編集]

1999年5月に、第三書館が出版した『エヴァンゲリオン・スタイル』(編集 森川嘉一郎)では、作品のイラストとともに、その人物デザイン、映像技法、音楽などを分析しているが、同原作者で版権を持つガイナックスは、「作品に登場するシーンを使ったイラストなどを無断で掲載」と指摘し、同年9月、販売中止などを求める警告書を発送、著作権法違反で告訴を行った。

しかし、同書は現在[いつ?]でも通常通り販売されている。

『プリンセス・マサコ』騒動[編集]

皇太子徳仁親王妃雅子の苦悩と内情を描いたとされるベン・ヒルズオーストラリアシドニー・モーニング・ヘラルドの元東京特派員でフリージャーナリスト)の著書『プリンセス・マサコ』(副題は「菊の玉座の囚人」)[2]日本語翻訳版が、第三書館から2007年8月に出版された(訳・藤田真利子)。この出版については宮内庁外務省皇室講談社を巻き込んだ紛糾が発生した。

この本の英語版原書は2006年に出版され、日本語版は2007年3月に講談社が出版を決めていた。ここに宮内庁と外務省が「日本の皇室が、ダイアナ妃による……レプロシー・ミッション……への支援のような論議を呼ぶ事柄に関わりをもつことはありえない」という部分に対し、事実誤認だとして著者に公開質問を行った。

その一方で皇太子妃の病気、不妊治療の先駆者である東大医学部産婦人科医・堤治教授が東宮職の御用掛に着任し体外受精をすすめていた事実など、皇太子妃に関する大部分の事実の記述について、宮内庁は反論を行わなかった[3]

講談社は、宮内庁の対応を受け、「東京やバンコクのナイトクラブなどへの出入り。手が早い。これ以上皇室の名が汚される前に手を打つ必要があった」(皇太子よりも早く結婚することになった文仁親王の結婚についての噂についての記述)など、原文にあった149箇所に渡る記述を削除し、最終的に出版中止を決めた[4]

著者は、宮内庁と外務省が出版社に直接出版中止を依頼もしくは強制したとの証拠はないにもかかわらず、講談社の発行中止について、「日本国民は本で示される事実を知る権利がある」「あからさまな表現の自由に対する攻撃」と評している。

第三書館側は問題部分への指摘は出版中止の理由には当たらないとしている[5]

同書は、日本に先立って台湾で出版されベストセラーとなっている。さらに中国、インドネシア、トルコ、ポーランド、ルーマニアでの出版が計画されている。

警視庁流出データ掲載書籍[編集]

2010年10月に、警視庁外事三課の内部資料とみられる国際テロに関する資料がインターネット上に流出する事件があった。第三書館は、日本に在住するイスラム外国人個人情報が記載されている問題の文書を『流出「公安テロ情報」全データ』として書籍化し出版した。同書には、捜査対象とみられる人々のほか、捜査協力者および国際テロ捜査を担する警察官の氏名、写真など個人情報も掲載された。

社長の北川明は、「警察の情報管理の甘さを問題提起したかった」とコメントしている。

警視庁は問題の資料が内部から流出したものであると認めていないため、著作権の侵害を理由とする出版差止めなどの措置を取ることができない。また捜査資料に創作性があるのかも問題となる[6][7]。資料に個人情報が記載されたイスラム教徒の男性らは、28日にプライバシー侵害、名誉棄損を理由とする仮処分申請をおこない、東京地方裁判所は翌日29日に本の販売・増刷を禁止する決定を下した[8]

主な出版物[編集]

文献[編集]

  1. ^ 1990年12月2日付朝日新聞
  2. ^ BII Princess Masako|Ben Hills、ベン・ヒルズ公式サイト、2016年3月25日閲覧。
  3. ^ 「プリンセス・マサコ」(ベン・ヒルズ)に関する宮内庁書簡(日本語仮訳) - 宮内庁
  4. ^ 浜名純「『プリンセス・マサコ』日本版出版中止事件と皇室タブー」、『』、2007年5月号。
  5. ^ 2007年8月2日付産経新聞
  6. ^ 流出の警視庁データ?出版、実名・住所を掲載[リンク切れ] 読売新聞 2010年11月27日
  7. ^ 流出データ本、怒る掲載人物…店頭から撤去も[リンク切れ] 読売新聞 2010年11月27日
  8. ^ 流出文書の本 出版・販売禁止決定[リンク切れ]、NHK、2010年11月29日

関連項目[編集]

  • 大麻 - 『マリファナ・ハイ』『チョコレートからヘロインまで』等、大麻解禁を主張した書籍を多数出版
  • 菊タブー
  • 辻元清美 - 元第三書館取締役 民主党衆議院議員

外部リンク[編集]